
2023/01/18
VOCマネジメント
サイレントクレーマーのリスクや日本人の割合・対策方法を解説
サイレントクレーマーとは、商品やサービスに対する不満を企業に伝えず、利用をやめる顧客のことです。一見、企業側にとってはデメリットがないように見えますが、サイレントクレーマーを放置しておくとさまざまなリスクを負う可能性があるので注意しましょう。
この記事では、サイレントクレーマーのリスクや日本人の割合、対策方法などについて解説します。
サイレントクレーマーとは
「サイレントクレーマー」とは、商品やサービスに対する不満を直接企業に伝えずに、その企業の商品・サービスの利用をやめる顧客を指します。一般的なクレーマーは商品やサービスに関して直接苦情を伝えてくれるため、企業は不満を持っている顧客の存在を知り、何らかの対応ができます。対応が適切であれば、不満が解消するケースもあるでしょう。
また、顧客が抱える不満の中には、企業の成長に必要なヒントが隠されているケースも少なくありません。しかし、サイレントクレーマーの不満は知ることができないため、企業には名誉挽回のチャンスが与えられないのがデメリットです。
日本人のサイレントクレーマーの割合
日本の消費者にはサイレントクレーマーが多いことを示す、ある調査が実施されました。調査は米国との比較で実施され、日本人の調査は日経リサーチが、アメリカ人の調査はCCMC社が担当。調査の内容は、過去1年間に購入・使用した商品・サービスに不満を抱き、企業にクレームを伝えた割合となります。
まず、日本・アメリカ共に、不満を抱いたことがあるという人の割合は約65~66%でした。しかしその後、企業にクレームを伝えた割合は日本が27.5%、アメリカは51.0%という結果に。このことからも、日本人にはサイレントクレーマーが多いことがわかります。消費者の隠れた不満を企業側は把握できないため、クレームが少ないことは企業にとって単純に喜ばしいものではありません。
出典:株式会社日経リサーチ「クレームしない日本人、「痛点」に先回りし顧客離れ防ぐ」
サイレントクレーマーの脅威が分かるグッドマンの法則
「グッドマンの法則」とは、クレーム処理と再購入決定率の間に相関関係があることを示したものです。法則の名前になったグッドマンとは、マーケティング調査・コンサルティング会社TRAP社の創業者John A・Goodmanのこと。アメリカ政府の依頼により、彼が大企業のマーケティング調査結果をまとめたデータから法則が発見されました。発見には、日本人アナウンサーの佐藤知恭氏も関与しています。
クレーム対応により顧客満足度を向上できるという、マーケティング業界ではよく知られている法則です。グッドマンの法則には以下の3つがあります。
第一法則 | 満足のいくクレーム対応で再購入率がアップする |
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第二法則 | 非好意的な口コミは好意的な口コミの2~4倍影響力がある |
第三法則 | 顧客がほしい情報を提供することで顧客との信頼関係が生まれ、市場拡大に貢献する |
上記の法則からわかるように、適切に対応することで顧客と信頼関係を築ける可能性がある一方、事業成長の阻害要因にもなりうるので注意が必要です。
サイレントクレーマーを放置するリスク
ここでは、サイレントクレーマーを放置するリスクについて解説します。
レピュテーションリスクにつながる
グッドマンの法則にもあるように、商品やサービスに不満を感じた体験ではネガティブな口コミが拡散しやすい傾向にあります。そのため、サイレントクレーマーを放置しておくと商品やサービスの利用が減るだけでなく、ネガティブな口コミが拡散してレピュテーションリスクが高まる可能性もあります。また、ECサイトのレビュー投稿欄や口コミが掲載されるサイトなどの情報は、数年掲載され続ける可能性もあるので注意が必要です。
商品・サービスだけでなく企業自体の信頼を失う可能性に加え、風評被害につながるリスクもあるでしょう。
関連記事:【レピュテーションリスク】種類と実例
潜在顧客を失う可能性がある
サイレントクレーマーによってネガティブな口コミが拡散されると、今後顧客になるかもしれない潜在顧客を失う可能性があります。企業はWeb広告やSNSなどで潜在顧客へアプローチを行い、新規顧客獲得へとつなげます。ネガティブな口コミの拡散により潜在顧客を失うと、Web広告やSNS運用の費用対効果が悪化し、新規顧客の減少、ひいては売上やLTVが減少する原因になるため注意が必要です。
また、ネガティブな口コミはSNSだけでなく、家族や友人、知人などにも広がりやすいので気をつけたいところです。
商品・サービスの改善ができない
サイレントクレーマーは企業に不満を伝えることなく、商品やサービスの利用をやめてしまいます。そのため、企業はサイレントクレーマーの抱える不満がどういったものか知ることができず、自社商品・サービスの問題点や顧客のニーズを把握できないままです。
もし同様の不満を持った顧客がいれば、新たなサイレントクレーマーを生み出す可能性もあるでしょう。また、新規顧客を獲得しても離脱してしまい、ロイヤルカスタマーを創出できないというデメリットもあります。このような負の連鎖を引き起こさないためにも、何らかの対策が必要です。
リピーターが増えない
事業を安定させるためには、新規顧客を獲得する以上にリピーターを獲得することが重要視されています。「1:5の法則」でも、新規顧客の獲得には、既存顧客の5倍のコストがかかるといわれています。これは、新規顧客は獲得コストが高いうえ利益率が低いため、既存顧客を維持することがより重要になるという考え方です。
サイレントクレーマーを放置するとリピーターが獲得できないため、安定した事業成長が難しくなります。業務の効率化、コスト削減においても、サイレントクレーマーの対策が重要になるでしょう。
サイレントクレーマーを対策する3つの方法
ここからは、サイレントクレーマー対策に有効な3つの方法を紹介します。
1|問い合わせフォーム・ FAQなどを作る
サイレントクレーマーが抱える疑問や不満に応える体制を整えることも対策の一つです。例えば、顧客の疑問に応えられる自社サイトへの「FAQコーナー」設置や、顧客が解消できなかった疑問をメールで質問できる「問い合わせフォーム」の設置もおすすめです。
また、24時間いつでも対応可能なチャットボットの導入や、商品・サービスの使い方解説動画などは、問題解決のハードルを下げてくれるでしょう。その際、FAQコーナーや問い合わせフォームまですぐにたどり着ける見やすい配置にすることが重要です。これらが使いにくいとクレームの対象となってしまうので注意しましょう。
2|顧客とコミュニケーションを取る
ネガティブな口コミは主にSNSで拡散されるため、顧客と直接コミュニケーションを取るよう意識することも有効です。ネガティブな口コミに誠実かつ迅速な対応を行うと、一転して好印象を得られる可能性もあります。
また、グッドマンの第三法則では、顧客に積極的に情報発信をしていくことで信頼感が増し、「購買意欲の促進や好意的な口コミの拡散につながる」とされています。顧客とのコミュニケーションには、次項で紹介するソーシャルリスニングツールを活用するとより効果的です。
3|ソーシャルリスニングを行う
ソーシャルリスニングとは、SNSやブログ、レビューサイトなどで発信された情報を収集・分析するマーケティング手法です。あらゆる情報が対象となるため、商品やサービスの改善、顧客対応、広告宣伝など、収集した情報は幅広い分野で役立ちます。また、潜在的なリスクも察知できるため、迅速な対応が可能です。
ただし、ソーシャルリスニングの手動での検索は時間と手間がかかるため、あまりおすすめできません。ソーシャルリスニングツールを活用すると効率的に口コミ・評判を収集でき、サイレントクレーマーの対策にもつながります。
関連記事:ソーシャルリスニングとは?その仕組みやメリットなどを解説
サイレントクレーマー対策に役立つ「Buzz Finder」
サイレントクレーマー対策に役立つツールをお探しの企業様には、企業のブランドセーフティを強固にする「Buzz Finder」がおすすめです。Buzz FinderはX (旧Twitter)公式全量データからリアルタイムで情報収集できるので、顧客の不満を即座に把握することができます。
また、ポジネガ分析により口コミ・評判の傾向を効率的に把握できるうえ、炎上など自社に対するツイート数が急増したときには、アラートメールで通知されるため迅速な対応が可能。毎日送られる日報メールでは、ツールにログインすることなくメールチェックだけで変化を把握できるのも強みです。サイレントクレーマー対策だけでなく、さまざまなSNSユーザーの生の声を分析し、効率的な課題の改善に役立つでしょう。
サイレントクレーマー対策は顧客ロイヤルティ向上につながる
何も対処せずサイレントクレーマーを放置してしまうと、業務改善のチャンスを逃すだけでなく、リピーターの損失にもつながります。また、ネガティブな口コミが拡散されることで、企業イメージの低下や信頼を失ってしまう可能性もあるでしょう。顧客ロイヤルティ向上のためにも、サイレントクレーマー対策は必須です。
まずはソーシャルリスニングツールを利用して、情報の収集・分析を行うことをおすすめします。多くの企業様に活用されているBuzz Finderを活用して、サイレントクレーマー対策にお役立てください。
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