2025/01/31

ソーシャルリスク対策

デジタルリスクとは?具体例や対策に役立つマネジメント方法を解説

インターネットやデジタルデバイス、SNSなどIT技術の業務利用は高い利便性・生産性をもたらす反面、デジタルリスクも増加させる危険性があります。現代の企業にとって、情報漏洩や炎上などデジタルリスクへの対策は必要不可欠といえるでしょう。

本記事では、デジタルリスクの詳細とリスクを未然に防止するマネジメント方法を解説します。インターネットやSNSの利用に伴う炎上やトラブルを避けたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の内容
  • インターネットやデジタル技術などの業務利用で起きる可能性のあるビジネス上のリスクをデジタルリスクと呼ぶ
  • 近年では、企業の情報管理のデジタル化や拡散力の向上、一度投稿すると削除が難しいネットの構造などを背景にデジタルリスクが増加している
  • 主なデジタルリスクには、個人情報の漏洩やSNSの炎上・風評被害、システム障害での業務停止、DX失敗による損失などがある
  • 企業が取り組むべきデジタルリスクマネジメントは、ITリテラシー教育・研修や就業規則の見直し、ガイドラインの作成、SNSを監視するソーシャルリスニングの導入などがある

デジタルリスクとは?

デジタルリスクとは、インターネットやデジタル技術の業務活用で起こりえるビジネス上のリスクを指す用語です。インターネットITツールの利用による情報漏洩やサイバー攻撃、SNS上での炎上など、デジタルリスクにはさまざまな種類があります。

近年では、特にSNSの利用によるデジタルリスクが拡大しているため注意が必要です。企業には、デジタルリスクの発生や被害を未然に防止する管理体制の構築が求められています。

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デジタルリスクが増加している背景

近年、企業に対するデジタルリスクが増加している背景として、以下の理由があげられます。

  • 情報管理の変化:従来は紙での管理が主流だった業務情報をパソコン内やインターネットを通じたクラウドで管理する企業が多くなり、不正アクセスやデータの誤送信など、情報流出・改ざんが起きる可能性が増加した。
  • 情報拡散力の向上:インターネット上では、一度炎上などが起きると、SNSや情報サイトを通じて急速に広まってしまう傾向があり、リアルよりも拡散力が高い。
  • 削除できない構造:一旦SNSなどに投稿した情報は「デジタルタトゥー」とも呼ばれ、自分が消しても他人に次々とコピーされて長期的にネット上に残り続ける場合があり、削除の難しい構造になっている。

デジタルリスクの具体例と発生原因

企業が注意すべき主なデジタルリスクは、以下の通りです。

  • 個人情報の漏洩
  • SNSの炎上や風評被害
  • システム障害による業務停止
  • DXの失敗による損失

それぞれの具体例と発生原因を紹介します。

個人情報の漏洩

1つ目は、企業がもつ顧客や従業員などの個人情報漏洩です。以下のように、問題が起きる理由にはさまざまな原因が考えられます。

  • 内部の不正:
    従業員が不正に社内の個人情報をもち出し、競合他社に渡したり、売却したりする。
  • サイバー攻撃:
    悪意をもった攻撃によりサーバーやクラウドに保存されていたデータが流出してしまう。
  • ヒューマンエラー:
    従業員が誤って顧客情報などを外部に送信する。
  • SNS上での炎上:
    「今日、芸能人の○○が店に来た」のように、従業員が業務上知り得た顧客の情報をSNSなどに投稿する。

個人情報の漏洩では、悪意をもった攻撃以外に内部の不正やSNSでの漏洩など、従業員の倫理観やITリテラシーの欠如が原因のケースも多くなっています。就業規則の不整備など、従業員に対するSNS利用やITリテラシーの教育不足も要因の1つといえるでしょう。

SNSが原因で起こる企業の情報漏洩についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
SNSによる企業の情報漏洩の原因とは?事例や5つの対策方法も詳しく解説

SNSの炎上や風評被害

2つ目は、SNSで起きる炎上や風評被害のリスクです。企業の公式アカウントや従業員の個人アカウントでの不適切投稿や、ネット上での根拠のない悪評などには注意する必要があります。

  • 企業アカウントでの炎上:
    SNS担当の従業員が企業の公式アカウントに誤ってプライベートな内容を投稿してしまう。
  • 従業員の個人アカウントでの炎上:
    バイトテロと呼ばれるような悪ふざけの投稿のほか、自分の勤め先を公表している従業員が個人のアカウントで顧客・会社など、特定の人や組織への過激な投稿を行って炎上につながるケースなど。
  • 風評被害:
    ネット上での根拠のない悪意のある投稿や、事実誤認などが拡大してしまい、自社への風評被害につながる。

SNSで炎上が起きる原因は、従業員のリテラシー不足による不適切投稿や情報漏えい、風評被害や内部告発などさまざまです。どのような投稿が炎上リスクにつながるのか、普段から従業員へのリテラシー教育を推進するほか、企業アカウントにおける運用ルールの策定や社内規定の整備、リスク発生時の対応フローの明確化など、多角的な視点で対策を講じる必要があります。

過去に起こった実際のSNS炎上事例と対策、風評被害についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
SNSにおける企業の炎上事例9選|炎上の対処法・事前対策を紹介
風評被害対策の意味とは?有効な対策や被害を抑える対処法を解説

システム障害による業務停止

3つ目はシステム障害による業務停止リスクです。一度システム障害が起きると、例えば、銀行ならATMでの振り込みや引き出しができなくなるなど、顧客や取引先にも大きな影響が及びます。オンラインストアなど、インターネットを通じたサービス・商品を提供している企業なら、受発注が行えず損害を出す場合もあるでしょう。

ハードウェア・ソフトウェアの故障からサイバー攻撃、不正アクセス、アクセス集中による処理能力超過など、システム障害が起きる理由はさまざまです。

システム障害が起きる原因には、以下のような問題点があげられます。

  • サイバー攻撃への対策が不足している:
    セキュリティ対策が適切でないため、外部からの攻撃に対して脆弱になっている。
  • サーバーを適切に管理できていない:
    適切な負荷分散ができておらず、高負荷がかかりシステム障害につながる。

DXの失敗による損失

4つ目は、DXの失敗からくる損失です。AI(人工頭脳)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータなどを利用して、業務改善や新しいビジネスモデルの創出を行い、企業を変革していく取り組みを「DX(デジタルトランスフォーメーション)」といいます。

DXは成功すればメリットが大きいものの、失敗すると、以下のような損失をもたらす恐れがあるため注意が必要です。

  • 業務改善につながらず、クラウドやシステム導入など、DXに投じた資金が回収できない。
  • テレワークを導入しても、従業員のインターネット環境が不十分な場合などは、かえって業務パフォーマンスを低下させてしまう。

DXが失敗する原因として、以下の理由があげられます。

  • デジタル化の基盤ができていない:現在、書類をすべて紙で管理している企業のように、デジタル化の経験がほとんどない場合、いきなりのDXは難しい。
  • DX人材が不足している:デジタル技術やデバイスを理解したり、使いこなしたりできる人材が社内で確保できていない。

デジタルリスクがもたらす企業への影響

企業がデジタルリスクを放置したり、何の対策も実施しないままだったりすると、以下のような影響が出る恐れがあります。

  • 社会的信用の低下:
    個人情報の漏洩やSNSでの炎上は、多くの顧客や取引先にも影響を及ぼすとともに「また同じ問題が起きるのではないか」と不安を与え、企業の社会的信用を低下させる。
  • 損害賠償請求などによる金銭的な損失:
    個人情報の漏洩やシステム障害による業務停止など、顧客・取引先に損害をもたらすトラブルを起こすと損害賠償を請求されて金銭的な損失につながる恐れがある。
  • ビジネスチャンスの喪失:
    システム障害による業務停止が起こると復旧までの間、商品・サービスを提供できず、ビジネスチャンスを失ってしまう。また、企業の信用が傷つくためユーザー離れを起こし、新規顧客の獲得にも悪影響を及ぼす。

デジタルリスクはできる限り、未然に防止するのが望ましいでしょう。

デジタルリスクマネジメントの構築フロー

具体的なデジタルリスクマネジメントを実施する際には、はじめに計画・設計から運用・改善までのフローを明確化して、順番に進めていくのが大切です。

例えば、リスクマネジメントを考える場合は、まず自社のデジタルリスクを明確にして、どの部門の誰が、どのように対応するかなどの取り決めからはじめていく必要があります。

デジタルリスクマネジメントの構築フロー

計画・設計 実行・検証 運用・改善
  • 管理体制の構築計画
  • 基本方針・ルールの策定
  • 自社のデジタルリスクの明確化
  • リスクに応じた対策の決定
  • ルール・ガイドラインの策定
  • 従業員の教育計画の作成
  • リスクマネジメント研修の実施
  • パフォーマンス評価・改善の検討
  • リスクマネジメントに関する情報収集と社内での共有
  • 改善内容のマネジメントへの反映
  • トラブルに強い組織体制作り
表の続き →

デジタルリスクマネジメントでは、各フローに応じた適切な施策を実行していくことが大切です。適切に管理するためには、デジタルリスクの把握や分析、判断を正しくできるリーダーも必要なため人材育成も求められます。

企業が取り組むべき具体的なデジタルリスクマネジメント

企業が取り組むべき具体的なデジタルリスクマネジメントは、以下の通りです。

  • ITリテラシー教育を実施する
  • 就業規則を整備する
  • セキュリティ環境を見直す
  • SNS炎上リスクの研修を実施する
  • SNS利用のガイドラインを作成する
  • ソーシャルメディアの監視体制を構築する

それぞれの対策を詳しく解説します。

ITリテラシー教育を実施する

1つ目は従業員に対するITリテラシー教育の実施です。社員のITリテラシーが低いままだと思わぬデジタルリスクを招く恐れがあります。ITツール・デバイスの使い方や使用ルール、データの活用方法などを学べば、どのような行動がトラブルにつながる恐れがあるのか理解が深まり、デジタルリスクへの解像度も高くなるでしょう。

例えば、業務用データの職場からのもち出しを禁じたり、もち出す場合は上司に報告したりするなどのルールを設ければ、従業員もデータの扱いに関して今より注意を払うようになります。社内のITリテラシーが向上すれば、情報漏洩の防止やDXの成功などにもつながるはずです。

就業規則を整備する

2つ目は就業規則の整備です。情報漏洩などのデジタルリスクによるトラブルが発生すると、企業の信用が低下するだけでなく法的責任を負う恐れがあります。就業規則を定め、従業員に周知しておけば、未然にリスクを抑制可能です。

従業員が職場で働く際の賃金や労働時間、服務規程などを定めた会社のルールを就業規則といいます。就業規則は企業だけでなく、社員が安心して働くためにも必要不可欠です。

就業規則の内容には、始業・終業・休憩の時間や賃金の計算・支払方法など必ず記載すべき事項と、会社でルールを作る場合に任意で記載する事項の2種類があります。就業規則を作成する際、任意の規則として情報管理に関する規則や違反時の責任を規定しておくと、従業員の意識向上が期待できるでしょう。

セキュリティ環境を見直す

3つ目はセキュリティ環境の見直しです。社内システムをはじめとした情報セキュリティ環境はデジタルリスクと大きく関係しているため、見直しによって情報漏洩への対策につながります。

  • ウイルス対策:
    メールだけでなく、記憶媒体など多様な侵入経路をもっています。対策ソフトなどを導入して常に最新のセキュリティにしておきましょう。不審な添付ファイルなどは開かないのも大切です。
  • パスワード設定と管理の徹底:
    パスワードを生年月日など分かりやすい数字にしたり、使いまわしたりしていると漏洩リスクが高くなるため、安全性の高いパスワードを設定する必要があります。
  • フィッシング詐欺やワンクリック詐欺対策を行う:
    メールやWebサイトを使った詐欺に引っ掛からないよう、セキュリティソフトを導入するとともに不振なURLやメールは開かない習慣を身に着けましょう。

SNS炎上リスクの研修を実施する

4つ目はSNS炎上リスク研修の実施です。SNSへの投稿が原因となる炎上は企業公式だけでなく、従業員個人のアカウントで発生するケースもあるため、社員一人一人に危機管理が求められます。従業員がSNS炎上に対するリスクを理解すれば、利用時の意識向上につながるでしょう。

SNS研修に含めるべき具体的な内容は、以下の通りです。

  • SNSの特性
  • SNSによる炎上の原因
  • 炎上が起こった際に考えられる具体的なリスク
  • 炎上の対策方法
  • 企業の炎上事例
  • 理解度チェックなど

今までにSNS研修の経験がない企業や社内に研修を実施するリソースがない場合は、外部で研修を依頼できる企業の活用も検討してみてください。

SNS利用のガイドラインを作成する

5つ目は社内でのSNS利用ガイドラインの作成です。近年ではSNS上での炎上やトラブルが原因で企業が謝罪に追い込まれるなど、大きな影響を与えるケースも増えています。

SNS利用ガイドラインの主な効果は、以下の通りです。

  • SNS上での炎上やトラブルを防ぎ、損害や信用低下から企業を守る
  • 企業SNSの属人化を防止して、複数人・長期での投稿活動を可能にする
  • 公式アカウントの投稿クオリティを守る

SNS利用ガイドラインを作成する際は、以下の内容を含めると良いでしょう。

  • SNS利用の基本方針
  • 情報発信のルール
  • 個人責任の範囲
  • 社内機密情報、顧客・取引先情報の保護
  • 著作権・商標権等の保護
  • 真偽不明情報の発信禁止
  • 誹謗中傷の禁止
  • ステルスマーケティングの禁止

ソーシャルメディアの監視体制を構築する

6つ目はソーシャルメディアの監視体制の構築です。デジタルリスクを回避するには、早期発見・早期対応が重要になります。問題が起きても、早くに発見して迅速に投稿を削除するなどの対応がとれれば、トラブルの拡大を抑止できるでしょう。

リスクを早期発見するには、ソーシャルメディアの監視(ソーシャルリスニング)が有効です。SNS上の幅広い投稿を収集・分析する手法をソーシャルリスニングといい、企業のリスク対策やマーケティング戦略などに取り入れられています。

ソーシャルリスニングを実施する際は、手作業だと情報収集のスピード・精度ともに低くなるため、専用ツールの活用がおすすめです。また、リスク発見時に早期対策がとれるよう、事前に対応フローを策定しておくと良いでしょう。

ソーシャルリスニングに関してさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
ソーシャルリスニングとは|意味や分析方法の解説と導入事例を紹介!

デジタルリスク対策をサポートするNTTコム オンラインの
「Buzz Finder」

NTTコム オンラインの「Buzz Finder」は企業のデジタルリスク・炎上対策に最適なソーシャルリスニングツールです。

X (旧Twitter)公式全量データから直近の投稿をリアルタイムで収集するとともに、瞬時に分析を実施して、自社に関する投稿が急増した場合にはアラートで通知します。炎上などのデジタルリスクが発生した場合にも、拡散状況の迅速な把握と問い合わせに対する適切な対応が可能です。キーワード収集時にノイズとなるスパム情報を除去して条件を最適化する機能も備わっており、より正確な分析を実現しています。

さらにX(旧Twitter)だけでなく、ニュースサイトや掲示板、Facebook、 Instagramなど、ほかのWebサイトやSNS投稿の収集・分析にも利用可能です。SNS上でのデジタルリスク防止のため、ソーシャルリスニングを活用したいとお考えの方は、ぜひ「Buzz Finder」の導入をご検討ください。

続いては、実際に「Buzz Finder」を導入した企業様の事例を紹介します。

導入事例|情報通信サービス業

ある情報通信サービス業の会社では、ネット炎上時にSNSの反応を踏まえてメディア対応や顧客からの問い合わせに備えたいとの目的で「Buzz Finder」の導入を決めます。

ソーシャルリスニングを取り入れた結果、素早いリスク通知とレポートにより、的確なメディア対応や迅速なプレスリリースが可能になりました。また、お客様センターでも普段からSNSの反応を日報で把握しており、炎上・トラブル時の顧客対応力向上へとつながっています。

導入事例:情報通信サービス業 様

デジタルリスクは早急に対策すべき課題

インターネットやSNS、デジタル技術の発達は、利便性の向上とともにデジタルリスクも増加させました。情報漏洩やSNS炎上、システム障害などのデジタルリスクは、社会的信用の低下やビジネスチャンスの喪失などにつながるため、現代の企業にとって、早急に対策すべき重要な課題となっています。デジタルリスクを防ぐには、従業員のリテラシー教育やガイドラインの作成に加えて、SNSを監視するソーシャルリスニングの導入が有効です。

自社のデジタルリスク対策にお悩みの場合は、ぜひリスク対策をサポートするソーシャルリスニングツール「Buzz Finder」の導入を検討してみてください。

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