2021/08/26

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顧客離れを防ぐ!カスタマーエフォートスコアとは何か?

企業が利益を上げていくために、「顧客離れ」対策は非常に重要です。そのためにも、企業と顧客の絆を強め、いわゆる「囲い込み」を行わなくてはなりません。その過程で参考にしたい指標が「カスタマーエフォートスコア」です。この記事では、カスタマーエフォートスコアの意味や重要性、測定方法などについて解説していきます。

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カスタマーエフォートスコア(CES)の意味と重要性

そもそもカスタマーエフォートスコアとは英語の「Customer Effort Score」を語源としており、略して「CES」と表されます。この段落では、CESの基本的な意味を説明していきます。

顧客努力の指標

ほとんどの顧客が商品やサービスを利用する際、なんらかの努力を行っているはずです。これを「顧客努力(カスタマーエフォート)」といいます。たとえば、商品を検索したり、購入するために店舗まで足を運んだりするのは顧客努力の一部です。サービスの疑問点をコールセンターに問い合わせるのもまた、代表的な顧客努力だといえるでしょう。顧客努力の度合いを指標で表したものがCESです。CESの数字が低いほど、顧客は多くの努力を行ったことになります。

CESが高い場合、顧客は商品やサービスにストレスを感じやすくなっています。そして、「もっと簡単に利用したい」という不満を抱いているでしょう。すなわち、企業にとってCESを上げることは顧客満足度と密接に関係しているのです。

CESはなぜ重要なのか

企業のマーケティングではさまざまな指標が用いられています。その中でもCESが重要視されているのは、利益に大きく影響するからです。ここからは、CESの重要性について解説します。

問題解決に焦点をあてられる

CESは顧客の問題を企業側が把握し、解決するために大切な指標です。問題解決は顧客を商品で喜ばせることよりも大事な場合があります。もちろん、多くの顧客が商品やサービスを購入する際、「期待を超えてほしい」と願っているでしょう。そして、自分の生活をより良くしたいと願っているはずです。しかし、商品やサービスの仕様だけに注力していると、機能性は高くても使いづらいという結果になりかねません。そうした商品やサービスは顧客にかなりの努力を強います。顧客がストレスを感じてしまう以上、どれだけ優れた商品やサービスでもリピートにはつながらないでしょう。

一方で、CESを上げるよう工夫した商品やサービスは、顧客に無駄な努力を強制しません。購入して実用するまでの流れがスムーズです。つまり、「利用が大変な高スペックの商品」より「簡単に使える商品」を求めている顧客は少なくありません。CESは顧客の問題解決を考えるうえで、見逃せないのです。

リピーター獲得に役立つ

CESが低いと、顧客は企業にエンゲージメント(思い入れ・愛着)を抱き始めます。他の企業よりも愛着を覚えているので、乗り換えようという発想を持ちにくくなっていくでしょう。結果的に、顧客はCESが低い商品やサービスをリピートします。もちろん、CES以外にも価格やスペックで競合他社と差別化する方法はあります。ただ、価格競争が激しくなれば利益は下がっていきますし、他社から抜きん出ているスペックを開発するのもひと苦労です。CESを上げることは、企業がすぐに実践できるマーケティングのひとつだといえるでしょう。

NPSやCSATとは?CESの測定方法も知っておこう!

CESのほかに押さえるべき指標として「NPS」や「CSAT」が挙げられます。これらを併用することでマーケティングはさらに充実していくでしょう。ここからは、NPSとCSATの意味を解説します。

NPSの意味

まずNPSとは「Net Promoter Score」の略で、顧客ロイヤリティを測る指標です。顧客ロイヤリティとは、ある人が企業や商品、サービスについて抱いている思い入れのことです。顧客ロイヤリティが強いほど、その人はリピーターになりやすいといえます。また、「ロイヤルカスタマー」と呼ばれるまでになれば、生涯にわたって企業に利益をもたらしてくれます。周囲の人間にも宣伝をしてくれるので、企業にとっては大切にしたい存在です。こうしたロイヤリティを指標で確認したいときにNPSは用いられます。

NPSはCESと似ているものの、「ロイヤリティ」と「努力」を示しているという点で異なります。ただ、両者の関連性は高いのでマーケティングの際には併せて意識したいところです。

CSATの意味

「顧客満足度」を表す指標が「CSAT(Customer Satisfaction)」です。CSATが高いときほど、顧客は企業や商品、サービスについて深い満足を覚えています。CSATは顧客の感情を表すスコアであり、「非常に不満」「不満」「普通」「満足」「非常に満足」といった、細かい段階で示されるケースが大半です。そして、NPSもまた、顧客満足度を表す指標のひとつという点では、CSATと似ています。ただ、CSATは顧客の努力を指標にしたもので、感情ではなく体験に関係しています。

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CESはどうやって測定する?

実際にCESをマーケティングで活用するのであれば、指標を測定しなくてはなりません。ここからは、CESの測定方法について解説していきます。

リッカート尺度を用いる

アメリカの社会学者レンシス・リッカートによって提唱された、アンケートの尺度が「リッカート尺度」です。そして、CESを求める際にもリッカート尺度を用いることが大半です。そもそもリッカート尺度とは、2択や3択ではなく、細かい選択肢を用意するところが特徴です。回答者は「やや満足した」「普通だった」といった、微妙な感想も解答できるようになっています。そのため、CESのように正しい感覚を知りたいケースではぴったりの尺度だといえるでしょう。

7段階でアンケート

CESを測るための一般的な方法は、「まったく努力しなかった」から「非常に努力した」までの7段階でアンケートをとることです。このとき、中間の回答として「普通だった」という選択肢も用意します。そのうえで集計し、「まったく努力しなかった」「努力しなかった」と答えた割合から、「非常に努力した」「努力した」と答えた割合を引きます。すなわち、上位の回答から下位の回答を引くということです。その結果、100から-100までの数字が得られるでしょう。これがCESです。CESは100に近いほど顧客満足度が高く、-100に近いほど満足度が低いといえます。

0〜10の11段階(NPS)を用いる方法

NPSをCESと一緒に測定しておくと、マーケティングをより効率的に進められます。NPSもアンケートによって測定するのはCESと同じです。ただし、NPSは「他人に薦めたいか」という気持ちが基準になります。他人に薦めたいかどうかは、自分が満足したかどうかよりも冷静で正確な感想になりやすいからです。なお、NPSのアンケートでは0~10の11段階の選択肢を用意します。0が「まったく薦めたくない」で、10が「絶対に薦めたい」です。9か10と答えた「推奨者」の割合が高いほど、顧客ロイヤリティは強まっているといえます。

カスタマーエフォートスコアを改善するための測定方法として、「Webアンケート」を紹介します。

いつ調査すればいい?CESを分析するタイミングについて

CES調査を行うには最適のタイミングがあります。正確なデータを効率的に集めることで、顧客努力を抑えられるようになるでしょう。この段落では、CES調査のタイミングについて解説します。

サービス利用やトライアルの後

最適なのは、顧客がサービスを利用したりトライアル体験を終えたりしたところで、アンケートをとる方法です。顧客はひと通りの努力を済ませた直後なので、正しい感想を伝えやすくなっています。ただし、あまりにも手間がかかるアンケートには多くの人が答えてくれません。設問数は少なく、答えやすい内容にしましょう。

カスタマーサポートに連絡があった後

コールセンターをはじめとしたカスタマーサポートも、CES調査のタイミングとしてはぴったりです。特にコールセンターは顧客と直接会話できる貴重な機会です。要件が終わった後、スムーズにアンケートへと移行すれば本音を聞き出せる確率は高いでしょう。

CESはなぜ悪化する?具体例と改善のポイント

企業がいろいろな対策をしていても、CESが悪化してしまうことはあります。ここでは、CES悪化の原因となる具体例をまとめました。

サービスの操作・手順が複雑になっている

顧客にとって、サービスの操作や手順がスムーズでないと、要する努力は増えていきます。たとえば、会員登録までの記入事項が多すぎたり、どこから商品を購入すればいいのか分からなかったりするのは問題です。

マニュアル・サポートが必要なときにない

CESを向上させるために重要なのがマニュアルやサポートシステムです。これらの支えがあれば、顧客は複雑なサービスや商品もストレスなく利用できるでしょう。しかし、顧客がサポートを必要としているとき、すぐに活用できないようならストレスにつながります。問い合わせてもつながらないコールセンターや、マニュアルの不足などは致命的な欠点になりかねません。

問い合わせ方法への不満

カスタマーサポートにどうやって連絡すればいいのかすぐに分からないと、CESは低下していくでしょう。その分、顧客は「サポートを探す」という努力を続けなくてはならないからです。そして、問い合わせ方法が制限されているのも改善するべき要素です。スマホに対応していなかったり、電話できなかったりすると、さまざまな顧客の事情に対応できなくなります。

オペレーターへの不満

コールセンターで起こりやすいのは、オペレーターが顧客に不適切な対応をしてしまうことです。最初に対応したオペレーターでは問題を解決できず、たらい回しにしてしまうと顧客は大きな不満を覚えるでしょう。また、オペレーターの説明が分かりづらいのも望ましくありません。そもそも、オペレーターの言葉遣いや態度が顧客を怒らせてしまうこともありえます。

CES改善のために心がけることは何か?

顧客努力を減らすには、カスタマーサポートを充実させていくことが大切です。ここからは、CES改善方法を紹介していきます。

一次解決率の向上

コールセンターにおいて顧客に対応した最初のオペレーターが、コールリーズンを解決することが「一次解決」です。そして、CES改善には一次解決率の向上が欠かせません。オペレーターをたらい回しにされることで、顧客は余計な努力を強いられていくからです。一次解決率向上のためには、オペレーター自身の教育が不可欠です。入電対応に必要な知識、トークスキルを十分に教育してから配置させましょう。そのうえで、オペレーターの仕事をアシストするような業務マニュアルの整備も肝心です。

顧客情報を収集して活用

「同じことを何度も言わなくてはならない」状態はCESを悪化させかねません。顧客の多くはコールセンターやカスタマーサポートを繰り返し頼ることになります。前回までの情報が反映されていないと、どうしても非効率的な対応しかできなくなってしまいます。顧客の連絡先や対応内容、商品やサービスの利用履歴を蓄積できるシステムは必須です。また、ここで収集したデータを解析すれば、よくある質問やクレームを把握できてサービスの質も上がっていきます。

問題解決方法を増やす

顧客に提供できる問題解決方法が増えれば、それだけスムーズに疑問や不満が取り除かれやすくなるでしょう。たとえば、コールセンターの営業時間外にも利用できる問い合わせフォームを設置します。その内容を翌日以降に担当者が確認し、折り返しの連絡をすれば顧客の努力は軽減されます。顧客が自主的に問題解決するためのサポートなる、FAQも充実させましょう。カスタマーサポートの利用履歴を基に、よくある質問と解決方法をまとめておきます。

サポート方法そのものも複数あると、いろいろな顧客に対応可能です。自動音声で顧客に応答するIVRなどは、コールセンターが混み合っているときでも入電を受けられるので顧客にとって便利です。そのうえで、どうしてもオペレーターと直接話したい顧客はIVRから切り替えられるようにしておくのが得策です。

問題解決を体験してもらう

CES改善では、顧客がしっかり「問題解決できた」と体験できることが大切だといえます。カスタマーサポートを体験するのはあくまでも顧客なので、サービスが企業側の目線になっていてはなりません。「企業が提供したいサービス」ではなく、「顧客が体験したいサービス」であることを意識します。FAQの作り方にせよ、顧客は専門的すぎると理解できません。難しい表現を避け、専門用語にも注釈をつけるなどして工夫します。サービスを通じて顧客が問題解決を実感できると、その人のCESは改善されていくでしょう。

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ロイヤルカスタマー育成のためにCES調査からサービス改善を

企業の利益を伸ばしていくにはロイヤルカスタマー獲得が不可欠です。そして、顧客ロイヤリティを育むのはCES改善です。顧客は努力せずに商品やサービスを体験できることで企業への思い入れを深めていくでしょう。たとえば、CESはコールセンターで調査できます。コールセンターの充実は正確な顧客データ収集へとつながるはずです。