2025/12/17

ビジュアルIVR

コールセンターのDXとは?実施する利点や効果的な手法・事例を紹介

コールセンターのDXを進めることで、オペレーターの業務負担軽減や応対品質の向上、24時間対応などが可能になり、業務効率の改善や顧客満足の向上につながります。

この記事では、コールセンターにおけるDXの概要や実施する利点、具体的な手法、成功事例などをわかりやすく紹介します。自社コールセンターのDXを推進したいとお考えの企業ご担当者様は、ぜひ参考にしてください。

この記事の内容
  • コールセンターでは深刻な人手不足により放棄呼(あふれ呼)が増え、顧客満足度の低下が問題となっている
  • コールセンターがDXを推進することで、業務効率の向上やCX(顧客体験)・顧客満足度の向上、オペレーターの負担減少などにつながる
  • DXを成功させるためには、スモールスタートや有用なツールの導入、運用体制の整備などが重要

コールセンターにDXは必要?

まずは、DXの概要やコールセンターにおけるDXの必要性について解説します。

そもそもDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が提案した概念です。日本においては、経済産業省の「DX推進ガイドライン」(現在はデジタルガバナンス・コード2.0に統合)で、以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

引用:経済産業省|デジタルガバナンス・コード2.0

つまり、DXは単なるデジタル化やIT導入ではなく、企業のあり方そのものを再設計し、新しい価値を生み出すための総合的な取り組みです。コールセンターにおけるDXは、こうしたデジタル技術を通じて業務プロセスや顧客対応を効率化・高度化して顧客満足度を高めるとともに、オペレーターの働きやすさやパフォーマンス向上を実現する変革を指します。

コールセンターにDXが必要な理由

コールセンター業界では人口減少を背景とした深刻な人手不足が続き、限られた人員でも高品質な対応を維持できる仕組みづくりが急務となっています。厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概況」でも、多くの業種で人手不足感が高まっていることが示されており、コールセンターも例外ではありません。

人員不足が進むと、電話を取りきれない放棄呼(あふれ呼)が増え、顧客の待ち時間も長くなるため、顧客満足度の低下やブランドイメージの毀損につながります。また、業務が属人化しやすい環境では応対品質がオペレーターのスキルに左右され、安定的な運営が難しくなる点も課題です。こうした状況から、効率化と品質向上を両立する体制整備が求められています。

出典:厚生労働省|-令和5年雇用動向調査結果の概況-
【関連記事】待ち呼(あふれ呼)とは?コールセンターで発生するリスク・原因・改善方法を解説

コールセンターがDXを推進する利点

コールセンターがDXを進めることで、業務効率の向上だけでなく、顧客満足度の底上げも期待できます。ここでは、コールセンターがDXを推進する利点について解説します。

CX(顧客体験)の質や顧客満足度が向上する

DXを活用した自動化・デジタル化は、コールセンターの顧客体験を大きく向上させます。まず、業務プロセスのデジタル化により対応スピードが高まり、保留時間や待ち時間を大幅に短縮できるでしょう。さらに、顧客管理システムと連携することで、オペレーターは過去の問い合わせ履歴や顧客情報を即時に確認でき、一人ひとりに合わせたパーソナライズされた応対が可能になります。

また、チャットボットやボイスボットが一次対応を自動で担うことで、オペレーターにつながるまでの待ち時間をなくし、顧客満足度向上につながるのも特徴です。実際、中国最大のeコマース企業であるアリババでは、チャットボット導入後に顧客満足度が25%向上したと報告されています。これらの仕組みにより放棄呼の減少や応答率の改善が進み、顧客がストレスなく問い合わせできる環境が整い、全体として顧客体験の質が向上すると期待されています。

出典:AI BUSINESS|Case Study: How Alibaba Uses AI Chatbots to Serve a Billion Customers

コストを削減できる

DXによる自動化を実現すると、コールセンターでは業務効率が大幅に向上し、人件費を抑えながら収益性を高めることが期待できます。特にAIチャットボットは効果が大きく、アリババでは導入後に約1億5,000万米ドル以上のコスト削減につながったといいます。

さらに、自動応答システムを活用すれば、24時間体制を維持しながら夜間シフトの人件費を抑制できるうえ、オペレーターの採用や育成にかかるコストも軽減され、新人の即戦力化にも寄与するでしょう。こうした自動化の仕組みによって少ない人数でも効率的な運営が可能となり、人件費を最適化しながら利益率の向上を実現できるのです。

出典:AI BUSINESS|Case Study: How Alibaba Uses AI Chatbots to Serve a Billion Customers

業務効率が向上する

音声認識AIを活用すると、通話内容がリアルタイムでテキスト化され、オペレーターが通話後に行う記録作業の負担を大幅に減らすことができます。また、RPAによる定型業務の自動化によって、報告書作成やデータ転記といった事務作業が効率化され、オペレーターはより多くの時間を顧客対応に充てられるようになるのです。

さらに、業務プロセス全体をデジタル化することで処理スピードが向上し、対応件数の増加や生産性の向上にもつながります。こうした取り組みは、限られたリソースでも高品質なサービスを安定して提供できる体制づくりに寄与します。

データの活用によりサービスの質が向上する

音声認識でテキスト化された通話データを分析することで、顧客ニーズの変化やよくある問い合わせ内容を把握でき、サービス改善に役立てることができます。また、VOC(顧客の声)をリアルタイムで収集・分析すれば、潜在的な課題を早期に発見でき、顧客満足度向上につながります。

さらに、通話データから理想的なトークスクリプトを作成すれば、新人でも質の高い応対スキルを短期間で習得可能です。過去の問い合わせ履歴や傾向を把握できる分析ツールを活用することで、顧客ごとに最適化された応対が実現し、サービス品質が一段と向上します。

【関連記事】VOCとは?顧客の声を効率的に収集・活用する方法を解説

オペレーターの負担が減少し満足度が向上する

定型業務の自動化により、オペレーターの業務量が減り、精神的・身体的負担が軽減されます。その結果、クレーム対応や大量の受電によるストレスが緩和され、離職率の低下や人材の定着率向上が期待できます。また、AIによるリアルタイムの感情解析を活用すれば、オペレーターの状況に応じたフォローが可能です。

働きやすい環境が整うことで従業員満足度が向上し、高品質な対応ができるベテランオペレーターの育成も促進され、満足のいく顧客対応が持続的に実現できるようになるでしょう。

コールセンターのDXを実現するための手法

ここからは、コールセンターのDXを実現するための手法について、顧客対応、業務プロセス、データの管理・分析に分けて解説します。

顧客対応のDX

まずは、顧客対応のDXにつながる手法を紹介します。

チャットボット

チャットボットはAIを活用してテキスト上で自動的にやり取りを行うシステムです。パソコンやスマートフォンを通じて、顧客の問い合わせに自動応答できます。コールセンタージャパンの実態調査(2024年)によると、調査対象の過半数のコールセンターでチャットボットが導入されており、前年に比べて飛躍的に増加しています。

チャットボットは大量の同じような問い合わせへの対応に適しており、よくある質問に対して24時間365日、即座に回答できるのが特徴です。ただし、FAQデータにない複雑な問い合わせには対応できないため、必要に応じてオペレーターに転送する仕組みとの併用が必要です。うまく活用することにより顧客は自己解決が促され、オペレーターの負担軽減と業務効率化が図られると同時に、顧客満足度の向上にも貢献します。

出典:CALL CENTER JAPAN|SVが足りない! 生成AIはどう使う? 「コールセンター実態調査」に見る現状と課題
【関連記事】チャットボットを導入するメリットと失敗しない選び方

ボイスボット

ボイスボットは、AI音声認識技術を活用して顧客の発話内容を解析し、音声で自動応答するシステムです。Cotraが実施した「音声AI(ボイスボット)利用実態調査2022」によると、ボイスボットを体験した人は47.1%、課題を解決した人は54.7%と報告されています。

ボイスボットは顧客の自由な発言に会話形式で応答でき、プッシュボタン操作が不要なため、高齢者にも使いやすいのが特徴です。予約受付や商品注文などの定型業務に加え、営業時間外やあふれ呼が発生した場合の対応にも活用可能です。また、機械学習により通話データから学習を重ねることで、対応精度が日々向上し、より効率的で質の高い顧客対応を実現できます。

出典:Cotra|音声AIサービス(ボイスボット)利用実態調査2022

IVR・ビジュアルIVR

IVR(音声自動応答システム)は、あらかじめ録音された音声ガイダンスとボタン操作により、顧客の用件に応じて適切な部署やオペレーターへ電話を振り分ける仕組みです。これにより対応時間を短縮し、顧客満足度の向上につなげられます。

さらに、ビジュアルIVRではスマートフォン画面に選択肢を表示するため、音声ガイダンスを最後まで聞く必要がなく、操作が直感的でわかりやすくなるのが特徴です。ビジュアルIVRにより顧客の利便性が高まり、よりスムーズな問い合わせ体験を提供できます。

【関連記事】IVRとは何か?コールセンターに導入するメリットや導入方法
【関連記事】ビジュアルIVRとは?メリットや導入事例、IVRとの違いを解説

FAQシステム

FAQシステムは、顧客からのよくある質問と回答を一元管理し、顧客が自己解決できる環境を提供する仕組みです。Webサイト上で必要な情報に迅速にアクセスできるため、コールセンターへの問い合わせ件数を減らすことができます。

検索機能やカテゴリ分類などを実装すれば顧客は必要な情報を見つけやすくなるほか、オペレーターにとってもマニュアルとして活用できるため非常に便利です。FAQの精度を高めるには、頻出する質問をデータ分析で把握し、内容を継続的に更新・改善することが求められます。

【関連記事】FAQを作成するメリットと作り方の手順・ポイントを解説

SMS

SMSは電話番号宛にテキストメッセージを送信するサービスで、IVRと組み合わせることで効果的な顧客対応が可能になります。音声案内では伝えにくいURLや手続きページのリンク、店舗の住所などを正確に送信できるため、顧客は必要な情報を手元で確認可能です。

また、受信したメッセージを自身のタイミングで参照して問題を解決できるため、コールセンターへの再入電を減らす効果も期待でき、顧客の利便性向上と業務効率化の両立に寄与します。

【関連記事】IVR+SMSの連携で何ができる?メリットや活用例を紹介

ビデオ通話システム

ビデオ通話システムは、音声に加え映像を用いて、顧客と対面に近い形でやり取りできるシステムです。複雑な手続きや商品説明が必要な場合、画面共有機能を活用することで視覚的に情報を提示でき、顧客の理解を深めることが可能です。

特に高齢者や操作に不慣れな顧客に対しても、画面を見ながら丁寧にサポートできるため、安心感を与えつつスムーズにサポートできます。これにより、顧客満足度の向上とサービス品質の安定化が期待できます。

ACD

ACD(着信呼自動分配装置)は、オペレーターの稼働状況やスキルレベルを判断し、入電を自動で最適なオペレーターに振り分けるシステムです。顧客の問い合わせ内容に応じて専門知識を持つオペレーターに優先的に接続できるため、一次解決率の向上が期待できます。

また、待機時間を均等化しオペレーターの負荷を分散できるため、業務の効率化と安定した運営が可能です。結果として、顧客はスムーズに対応を受けることができ、コールセンター全体の生産性やサービス品質の向上につながります。

業務プロセスのDX

続いて、業務プロセスのDXにつながる手法を解説します。

CTI

CTI(Computer Telephony Integration)はコンピューターと電話システムやFAXを統合する技術で、パソコン画面から通話の受発信や顧客情報の確認が可能になります。CTIは、以下のようなものと連携させることができます。

  • SFA(営業支援システム)
  • CRM(顧客関係管理)
  • PBX(構内交換機)
  • チャットボット
  • FAQシステム など

これらと連携することでオペレーターはよりスムーズに対応でき、顧客対応の質が向上するとともに、コールセンター業務全体の効率化や生産性向上にもつながります。

音声認識AI

音声認識AIは、顧客の発話内容を解析してリアルタイムでテキスト化する技術で、オペレーターの通話後の作業負担を大幅に軽減することができます。通話内容は自動でテキストデータとして保存され、キーワード検索により必要な情報を素早く参照可能です。

また、テキスト化されたデータは品質管理やトレンド分析に活用でき、顧客ニーズの変化を把握してサービス改善につなげることができます。さらに、経験豊富なオペレーターの通話をもとにトークスクリプトを作成することで、新人教育の効率化と応対品質の均一化も実現可能です。

RPA

RPA(Robotic Process Automation)は定型業務を自動化するソフトウェアロボットで、人間の代わりにパソコン上の作業を実行します。報告書作成やデータ転記、メール送信などの繰り返し発生する事務作業を自動化でき、ヒューマンエラーの防止にも役立ちます。

また、顧客情報の照会や通話ログの取得・転記、架電結果の集計など、コールセンターの多様な業務効率化にも対応可能です。ただし、RPAは明確なルールに基づく業務に適しているため、導入時には業務プロセスの見直しと自動化対象の適切な選定が重要です。

データの管理・分析のDX

ここからは、データの管理・分析のDXにつながる手法を紹介します。

CRM

CRM(Customer Relationship Management)は顧客情報を一元管理し、顧客との良好な関係構築を支援するシステムです。顧客の基本情報に加え、購入履歴や対応履歴も管理できるため、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされた対応が可能になります。

また、CTIと連携すれば着信時に顧客情報が自動表示され、迅速かつ的確な対応が可能となり、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。さらに、VOC(顧客の声)を登録・分析することで、商品開発や営業・マーケティング戦略に活用でき、コールセンターが売上向上や顧客満足向上に貢献することも可能です。

入電予測

入電予測(呼量予測・コール予測)とは、過去の入電データを分析して将来の入電件数を予測する手法で、コールセンターの効率的な運営に役立ちます。AIを用いた時系列分析により、曜日別や時間帯別といった詳細な予測を高精度で行うことができ、最適なオペレーター配置が可能になります。

入電予測により人員の過不足を防ぎ、放棄呼の削減による顧客満足度向上と不要な人件費の抑制によるコスト最適化を同時に実現でき、運営効率とサービス品質の両立が図れるでしょう。

コールセンターのDXを実施する手順

適切なステップを踏むことで、無理なく効果的なDX化を実現できます。ここからは、コールセンターのDXを実施する手順について解説します。

1|自社が抱える課題を洗い出す

DX推進の第一歩として、現状のコールセンター業務における課題を明確化することが重要です。具体的には、以下のような課題が挙げられます。

  • 人手不足
  • 放棄呼率の高さ
  • 応対品質のばらつき
  • 後処理作業の負担

経営層やオペレーター、管理者など関係者からヒアリングを行い、多角的な視点で課題を把握すると効果的です。また、DXで実現したい目標やビジョンを明確にし、課題解決の方向性を定めることで、効率的かつ戦略的な改善を進めることができます。

2|デジタル化できる業務プロセスを洗い出す

洗い出した課題を解決するためには、どの業務をどの手段でデジタル化するかを明確にすることが重要です。業務プロセスは、顧客応対、情報検索や入力などの事務作業、マネジメント業務の3つの観点から見直しましょう。

特に、定型的で繰り返しが多く、ルール化が可能な業務は優先的に自動化の対象として選定します。また、既存の業務フローを可視化することで、どの部分がデジタル化に適しているかを判断し、効率化と品質向上の両立を図ることが可能です。

3|導入するシステムを決定する

課題と自動化対象の業務プロセスが明確になったら、それらに適したDXツールやシステムを選定します。自社の業務内容や規模、利用するチャネル、予算に応じて複数のシステムを比較検討し、最適なものを選びましょう。また、クラウド型とオンプレミス型の違いを理解し、初期コストや拡張性、セキュリティ面なども考慮して判断する必要があります。

加えて、ベンダーのサポート体制や教育支援の充実度、既存システムとの連携可能性も確認し、導入後の運用をスムーズに行える環境を整えることが求められます。

4|計画を立案してDXを実施する

続いて、システム開発や導入スケジュール、既存システムからの移行時期を踏まえ、具体的な実行計画を作成します。新システムの操作方法や運用ルールについては、スタッフへの周知や教育を計画的に実施しましょう。

さらに、DX実施後の効果測定を行い、継続的に改善するためのPDCAサイクルを確立することで、業務効率化やサービス品質向上を持続的に推進できます。

コールセンターのDXを成功させるためのポイント

コールセンターのDXを成功させるには、最適なツール選定や運用体制の見直しなども必要です。ここでは、その実践に役立つ具体的なポイントを解説します。

スモールスタートで始める

大規模なDXを一気に進めるのではなく、まずは特定業務や小さな部門から取り組むことが成功の近道です。小規模導入で効果や課題を確認しながら段階的に範囲を広げれば、失敗のリスクを抑えられます。

費用対効果の高い領域から自動化を始めることで、早い段階で成果を実感しやすくなるでしょう。スモールスタートは現場の抵抗感を減らし、従業員の理解や協力を得やすくなる点でも有効です。

複数の役割を担うツールを導入する

単一機能のツールを複数導入するより、複数の機能を備えたオールインワン型のシステムを選ぶほうが運用の手間を大幅に減らせます。たとえば、CTIとCRMが一体化したシステムや、チャットボットとボイスボットを両方運用できるツールを導入すれば、業務がシンプルになり効率も向上します。

加えてシステム間の連携もスムーズになり、データの一元管理や情報共有が容易になるのも大きな利点です。複数ツールを個別に導入するよりも、トータルコストを抑えられる可能性があります。

運用体制を整備しておく

DXの導入後、安定して運用するためには、システムを継続的に管理・運営できる体制をあらかじめ整えておくことが欠かせません。万が一トラブルが起きた際の対応フローやエスカレーションルールを明確にしておくことで、問題発生時も素早く対処できます。

また、システムの定期メンテナンスやアップデート、データバックアップといった運用業務を担う担当者の確保も重要です。さらに、オペレーターからのフィードバックを収集し、継続的にシステムを改善していく仕組みを整えておくことで、DXの効果を長く維持することができます。

人が対応すべき業務を明確にしておく

DXではすべての業務をAIに任せるのではなく、人とシステムがそれぞれの強みを活かして協働するハイブリッド運用が基本となります。クレーム対応や複雑な問い合わせ、顧客の感情に寄り添う対応など、人が担うべき領域を明確にしておくことが大切です。

一方で、定型的で繰り返しの多い業務は自動化し、オペレーターは判断力やコミュニケーション力が求められる業務に集中できるようにします。また、AIやシステムだけでは解決できないケースに備え、スムーズにオペレーターへ引き継げる仕組みを整えておくことで、顧客体験の質を維持しながら効率的な運用を実現できます。

コールセンターのDXをサポートするNTTコム オンラインの「モバイルウェブ」

モバイルウェブは、コールセンターのDX推進を支える多機能なWebマーケティングツールです。コールセンターの業務を効率化するビジュアルIVRやアンケートフォーム、コールバック予約フォームなどのサービスを提供しています。

ビジュアルIVRは音声案内からSMS経由でWebへ誘導できるため、ユーザーは画面を見ながら自分のペースで必要な情報にアクセス可能です。オペレーターにつながる前に疑問が解決するケースも増え、対応の負荷を軽減できます。

また、WebアンケートはSMSの高い到着率を活かして送信でき、回収した回答を対応履歴と照らし合わせて分析することが可能です。このような仕組みにより、顧客理解の向上や業務改善を効果的に進めることができ、コールセンターのDXにつながります。

モバイルウェブを導入してDXに成功した事例

ここでは、モバイルウェブを導入しDXに成功した事例を3つ紹介します。

事例1|北陸電力送配電株式会社 様

北陸電力送配電株式会社様は、電話オペレーターの作業負担を減らし、業務効率を向上させたいという課題をお持ちでした。また、災害時など問い合わせが急増する状況でも、迅速かつ正確に対応できる体制が求められていました。

そこで 2024年9月にモバイルウェブのビジュアルIVRを導入。結果、FAQや停電情報などをWeb経由で案内することで、顧客の自己解決が増加しました。さらに、オペレーターによる電話対応の負担が大幅に軽減され、大規模災害などの非常時でも、少ない人員で対応品質を維持することができるようになったと喜ばれています。

事例2|株式会社岩手ホテルアンドリゾート 様

株式会社岩手ホテルアンドリゾート様は、スキー場の問い合わせ対応を事務スタッフが兼任しており、応対の質にばらつきが生じるうえ、通常業務との両立で大きな負荷がかかっていました。

そこでモバイルウェブのビジュアルIVRを導入し、顧客をWebページに誘導する仕組みを整備。その結果、電話での問い合わせ件数が減少し、顧客の自己解決の促進に成功しました。加えて、モバイルウェブ導入を見据えて、FAQページの新設やコンディションやアクセス情報の充実といったWebサイトの改修が行えた点も大きな効果のひとつと満足されています。

事例3|アイペット損害保険株式会社 様

犬や猫向けの医療保険を販売しているアイペット損害保険株式会社様は、顧客からの電話による問い合わせが99%を占めており、オペレーターの業務が逼迫していたことが大きな課題でした。お客様を待たせてしまう事態が多発していたため、モバイルウェブのビジュアルIVRを導入し、通話からWeb手続きへ誘導する仕組みを整備しました。

導入後、お問い合わせの電話比率が99%から90%程度にまで減少し、Web手続きを選択する顧客が当初の1%から、7~8%に増加。さらに、24時間対応が可能になったことで時間外の問い合わせにも対応できるようになり、オペレーターの負荷を軽減しつつ、顧客の利便性を高めることに成功しています。

コールセンターの多くの課題はDXで改善できる

コールセンターでは、人手不足や応対品質のばらつき、繁忙時の対応負荷など多くの課題が存在します。しかし、こうした課題はDXを推進することで改善が可能です。

モバイルウェブのビジュアルIVRを活用すれば、自己解決を促進し、電話応対の負担を軽減できます。さらに、24時間対応やデータ活用による効率化で顧客満足度も向上し、オペレーターの負荷削減と業務効率化を同時に実現することが可能です。

NTTコム オンラインでは、モバイルウェブの活用に役立つ資料をご用意しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。

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