2021/06/18

ビジュアルIVR

IVRとは何か?コールセンターに導入するメリットや導入方法

顧客との重要な接点として、コールセンターは非常に重要です。一方で、コールセンターのノウハウが身についていないため、かえって顧客満足度を下げてしまっている企業も少なくありません。問題解決のひとつの方法として、「IVR」というシステムを検討してみましょう。この記事では、IVRの意味やメリット、導入のポイントを解説します。

IVRとは?言葉の意味や歴史などの基本情報を紹介

IVRの意味は?何の略なのか

そもそもIVRとは「Interactive Voice Response」の頭文字をとった略称で「自動音声応答システム」を意味します。IVRはコールセンターで導入されているシステムであり、あらかじめ入力された情報に基づいて顧客の電話対応をします。また、入電内容を番号に振り分け、的確なオペレーターへと案件をつなぐことも可能です。

VRUと同義語とは本当?

IVRと似た意味の言葉に「VRU(Voice response unit)」があります。VRUは音声応答装置のことで、IVRと同じ意味として使われることも珍しくありません。ただ、厳密にはVRUとは入電の情報を保管し、運用するためのソフトウェアシステムです。

IVRの歴史

コールセンターにIVRが導入されるようになったのは1990年代からです。そして、21世紀に入ってから加速度的にIVRは広まっていきました。その背景として、人工知能「AI」の発達が挙げられます。AIによって、コールセンターは自動的に顧客情報を管理、運用できるようになりました。2010年代後半になると、スマートフォンの画面上で案内のタッチパネルを操作できる「ビジュアルIVR」も登場しており、時代とともにシステムは進化を続けています。

根本的な仕組み

IVRは入電に対して作動するシステムです。コールセンターの回線に消費者から着信があると、IVRは音声案内を開始します。消費者はIVRの音声に従い、プッシュ番号を押して担当部署へとつながれます。あるいは、そのまま音声が自動的に解決方法を伝えることも可能です。かつてはコールセンターに専用の自動音声応答装置を設けなければIVR導入はできませんでした。しかし、21世紀に入ってからはクラウド型のIVRが一般化してきています。

業務効率が改善する!IVRを導入する目的とは?

よくある質問に自動で回答できる

大きな意味では、「業務効率改善」こそがIVR導入の目的だといえます。その代表例が、「よくある質問」への対応にあるでしょう。商品やサービスについて、消費者からの問い合わせのパターンはおおむね決まってきます。ときには、さまざまな消費者から同じ質問を何回もされることもあるでしょう。これらの対応をオペレーターが繰り返し行うのは、時間をかなり無駄にしかねません。IVRではよくある質問への音声対応を自動化できるので、オペレーターの負担を減らせます。そして、オペレーターでなければ対応できないような、より複雑な案件だけに集中できるようになるのです。

問い合せ内容に優先順位を付けられる

IVRでは最初に自動音声が問い合わせ内容をいくつかの種類に振り分けていきます。その際、どのオペレーターにつなぐべきかの優先順位もつけられます。消費者は用件に対して適切なスキルや知識を持つオペレーターへとつながれるので、問題を解決してもらえる可能性が高くなるのです。その結果、顧客満足度は向上してロイヤリティが育まれていきます。

24時間入電を受けられる

自動音声システムを使えば、24時間365日コールセンターを運営することも不可能ではありません。もちろん、問い合わせ内容によっては自動音声ではなくオペレーターが対応しなくてはならない場合もあるでしょう。ただ、「9:00~18:00」のようにオペレーターがいる時間帯を区切っておき、それ以外はIVRが問い合わせ内容を聞き出すようにしておきます。翌日以降、オペレーターが入電データをチェックしてから消費者に折り返すことで、顧客満足度の低下を避けられます。

IVRのメリットとデメリットをチェック!操作にストレスもある?

メリットまとめ

コールセンターにIVRを導入することで多くのメリットを得られます。以下、代表的なメリットをまとめました。

応答率や顧客満足度の向上

オペレーターが混雑しているときでも、IVRの自動音声が消費者の対応をしてくれます。そのため、あきらめて電話を切る消費者は減り、最終的に問題解決へとつながります。消費者が「放置されている」という感覚を抱かずに済むので、顧客満足度向上につながるでしょう。

入電内容の振り分けと生産性向上

IVRは入電内容を、適切なオペレーターへと振り分けます。その結果、オペレーターは不得意分野についての対応をする機会が少なくなります。自身の専門分野に対して応対できるので生産性が上がり、より多くの問い合わせを受けられるのです。

スムーズな折り返し連絡

営業時間外に問い合わせがかかってきたり、オペレーターが空いていなかったりしたときも、IVRが消費者の受付をしてくれます。自動音声案内によって折り返しの連絡をしてくれるので、ビジネスチャンスを逃しません。消費者のストレスも軽くなります。

デメリットまとめ

IVRにはわずかながらデメリットもあるため、導入の際には要注意です。デメリットと同時に対策も調べておきましょう。

操作の長さ

入力された音声データを再生している以上、IVRはどうしても操作にかかる時間が長くなります。操作を説明したり、選択肢を読み上げたりする時間を煩わしく思う消費者もいるでしょう。そうならないよう、案内の文言は慎重に考えることが大事です。

操作ミスの可能性

システム自体がいかに優れていても、消費者側の操作ミスによるトラブルは起こりえます。さらに、案内が複雑になってしまうと消費者は適切な選択肢へと進めず、結局は「そのほか」に集中してしまいます。IVRの設定では消費者の傾向をしっかりリサーチし、選択肢の集中化を防ぎましょう。

ビジュアルIVRとの連携が解決策に

音声だけでなく画面でも案内を見られる「ビジュアルIVR」は、デメリット軽減に役立ちます。消費者は視覚と聴覚の両方で情報を確認できるため、操作ミスを避けられます。音声案内を最後まで聞かなくても、画面上の操作で次に進めるのも便利なポイントです。

IVRが導入されている業種は?活用シーンとともに紹介

不動産業での活用例

入居者やオーナーなど、相手の属性に合わせた適切な案内をするためにIVRは用いられています。顧客は音声案内で自分の属性、問い合わせ内容などを選び、専門のオペレーターへとつなげられる仕組みです。

製造業での活用例

社内の部署や製造ラインが多く、オペレーターが消費者や取引先からの問い合わせ対応に苦労していたのが製造業における問題でした。IVRは専門部署への取次までを自動的に行ってくれます。また、入電のデータも保管しておけるので、消費者や取引先は同じ内容を何度も伝えるストレスがなくなりました。

電気・ガス・熱供給・水道業での活用例

料金の支払いやトラブルなど、これらの業界では「よくある質問」がパターン化可能です。そのため、IVRを導入することにより多くの問い合わせについて自動音声で対応できるようになります。結果的に、オペレーターはより複雑で緊急性の高い問い合わせに集中できるのです。

情報通信業での活用例

製品に関する問い合わせからサービスへの質問まで、入電のパターンが多様なのは情報通信業の特徴です。場合によっては問い合わせ内容を深く調べたうえで消費者に折り返すことも必要です。これらの業務をオペレーターのスキルだけに任せるのはたいへんな手間になりかねません。IVRはオペレーターに問い合わせが集中する状況を防ぎ、スムーズに折り返しの案内をしてくれます。

運輸業での活用例

緊急の連絡が多い運輸業界では、従業員の残業や休日出勤が深刻な問題になっています。ただし、IVRを導入することで緊急の入電には自動音声が対応してくれます。システム内に保管されたデータを確認したうえで、翌日以降に従業員から折り返せる仕組みです。

卸売・小売業での活用例

多数の商品を扱う業界では、消費者からのクレームや質問にかなりの時間を割かれます。一方で、これらの問い合わせを放置していると顧客満足度の低下を招きかねません。IVRは顧客からの問い合わせをパターン化し、自動音声によってとりあえずの対応をしてくれます。どうしてもオペレーターが対応しなければならない入電でも、IVRの管理画面上で前もって内容をチェックできるのはメリットです。

金融・保険業での活用例

契約や振り込み、滞納の相談など、金融や保険ではよくある問い合わせが定型化しています。そのためIVRとの相性はよく、自動音声によって対応できる入電が少なくないのです。

医療・福祉での活用例

IVRを積極的に導入している業界が医療や福祉、介護です。これらの施設では来院、来訪の予約管理にIVRを応用しています。また、IVRで患者の基本情報をチェックしてから診察を行えるのも便利なポイントです。

旅行・人材派遣での活用例

プランや宿泊施設の予約にIVRを用いる旅行業界は少なくありません。また、人材派遣業界では登録者のシフト管理、問い合わせ対応などにIVRを使っています。

行政機関での活用例

税金や戸籍関係、事業関係など、行政機関にはさまざまな窓口があります。電話をかけてきた住民に適切な窓口を案内するため、IVRは重要な役割を果たしてきました。さらに、観光イベントや確定申告などで問い合わせが集中する時期に、職員の負担を減らす方法としても重宝されています。

いつ始めるべき?IVRシステムを導入を検討する適切なタイミングとは

まず、「オペレーターの人材不足」が明らかな現場では、IVRの緊急性が高いといえます。入電に対してオペレーターの数が少ないと、どうしても消費者を放置することが多くなっていくでしょう。また、優先度が低い問い合わせに対しても、オペレーターが時間を割かれかねません。このような状態が続ければ、利益の機会損失や顧客満足度の低下を招きます。

そのほか、IVRはアウトバウンドの強化にも応用できます。顧客データをIVRに取り込み、サービスや商品のターゲット層を絞り込んでから自動的に音声発信する方法です。そのため、新規開拓や休眠ユーザーの掘り起こしなどに力を注ぐタイミングでも、IVRを導入するのは得策です。

自社に合ったものを絞り込もう!IVRシステム選定のポイント

第一に「オンプレミス型」と「クラウド型」のどちらかを選びましょう。管理の手間やコストを考慮し、多くの企業がクラウド型を導入しています。ただ、自社で細かくカスタマイズを続けていきたいならオンプレミス型が便利です。柔軟に自社の業態へとシステムを合わせられるのがオンプレミス型のメリットだといえるでしょう。そのうえで、自社の求める機能をチェックしていきます。IVRには入電データの解析、アンケート作成や音声録音といった機能があります。また、セキュリティ対策としての認証機能も設定可能です。これらの機能がオプションになっている場合の追加費用も含めて、システム選定することが大切です。

ベンダーからのサポートも事前に確認しましょう。保守プランの概要や問い合わせ対応はしっかり把握しておきたいところです。IVRを初めて導入する際にはベンダーからの支えが不可欠なので、気軽に相談できる相手が理想的です。これらの要素を踏まえて、最終的には予算感を検討します。自社のニーズが予算の範囲内で実現できるかどうか、もしできないのであればどの部分を削ぎ落とすのかを考えてシステムを決定しましょう。

ビジュアルIVRとのシステム連携でもたらされる効果

IVRの発展形として、ビジュアルIVRの認知度も高まってきました。ビジュアルIVRは消費者をWebへと誘導する際に効果的です。専用のURLをSMS等で消費者に送ったうえで、画面上にて課題解決を行ってもらいます。そのまま資料請求や会員登録につなげやすいのもビジュアルIVRのメリットです。さらに、ベンダーによってはビジュアルIVRのデザイン設計まで手掛けています。企業のブランドイメージやターゲット層に合わせて画面を作れるので、顧客満足度のさらなる向上につなげられるでしょう。

そして、オペレーターの負担を確実に軽減させる意味でもビジュアルIVRは評価されてきました。通常のIVRは音声のみの案内になってしまうので、情報がうまく伝わらないこともあります。その場合は結局、オペレーターが直接消費者の対応をしなくてはなりません。ビジュアルIVRなら専用画面で簡潔に情報を伝えられるため、オペレーターが対応する頻度がより少なくなります。

コールセンターで顧客満足度を上げるにはIVRの導入を

オペレーターの負担が大きくなっているコールセンターでは、貴重なビジネスチャンスを大量に逃しかねません。IVRはオペレーターの作業効率を高めるための解決策になりえます。また、インバウンドだけでなくアウトバウンドの場においてもIVRは応用可能です。自社の業態に合ったIVRシステムを選定して顧客満足度向上に努めましょう。