2020/11/12

請求書の電子化

どこまで有効?請求書をPDF化するにあたっての疑問を解決

作業の効率性を考えて、帳票類のペーパーレス化が推し進められる時代となりました。一方で、帳票をデータで管理するにはリスクもあります。「法的に有効なのか」「読み取れないデータはどうすればいいのか」と疑問を持っている人も多いでしょう。この記事では、請求書をPDF化して管理する際の注意点について解説していきます。

PDF化された請求書も法律的に有効!作成・管理するうえでの注意点は?

データでも法的な有効性は保たれるのか?

そもそも、帳票類のPDF化、データ管理が推奨されるようになった理由はさまざまです。紙で保管していると、どうしても劣化が起きますし、紛失のリスクとも隣り合わせです。また、プリント出力したり、ファイリングしたりするコストも決して無視できません。こうした流れを受けて、システム上やハードディスク内で管理しやすいPDFにして管理するケースが増えてきました。ただ、紙ベースで商談を行う時代が長かっただけに、「データ化された請求書は法律的に有効なのか」という不安も完全には解消されていないのです。

結論から書けば、データであっても請求書の有効性は保たれます。請求書が有効になる条件としては、形式以上に双方の認識が重要だからです。すなわち、PDFの送信者と受信者が共に「この請求書は正式な内容である」と認識していれば、PDFであっても十分に法的な効力を持ちます。当然ながら、一度確認していた請求書を後になって「PDFだから無効である」と押し切ることはできません。もしも請求書を発行した企業に税務調査が入ったとしても、PDFデータが残されていれば参考資料として提出できます。データであろうと紙であろうと、「その請求書に基づいて入金が行われた」という事実が法律上では優先されるのです。

ただし、微妙な問題が「急に請求書の形式が変わった」というケースです。これまでは紙ベースでやりとりしていたのに、いきなりPDFで請求書を送信したのでは、受信者と認識を共有しづらいといえます。この場合、受信者はPDFデータを正式な請求書とみなしていないので、法的な効力を持たない可能性が出てきます。こうしたトラブルを招かないよう、PDFデータで請求書を送る場合には「これからはデータで送らせていただきます」という確認をとっておくことが大事です。そのうえで、先方から「了解した」という返事を、書類やメールなどの形で残しましょう。

画像が粗過ぎると無効になる

データで帳票類を管理する場合、「見読性の確保」が重要視されます。見読性とは、電子保存の原則として、真正性、保存性などと共に語られる要素です。これらの原則は2005年に制定された「e-文書法」によってルール化されました。見読性とは「明確に読めて出力可能であること」であり、請求書のデータ保存では特に注意が必要なポイントです。なぜなら、PDF化の過程で、請求書の細部が損なわれてしまう場合も多いからです。

手書き帳票をスキャンしてPDF化する際、字のかすれた部分や薄い部分が上手くデータにならないことは珍しくありません。手書きでなくても、PDF化する際の変換が失敗してしまい、エラーや空白が出てしまう可能性も出てきます。こうした請求書は、見読性が確保されているといえません。たとえ原本では正しく表記されているとしても、取引先に送られたデータに誤りがあれば、法的効力を認められないこともあるのです。画像が粗過ぎると請求書として無効になりかねないため、データ化した際には念入りに内容をチェックしましょう。

請求書はEXCEL・Word形式でも法的に有効

PDF以外のデータ形式でも、法律的には問題となりません。送信者と受信者の間で取り決めがなされているのであれば、どのような形式でも正式な請求書とみなされます。たとえば、細かい計算のできるEXCEL形式は、請求書を作成するのに適しています。また、使い慣れているWordで帳票を作るのが楽な人もいるでしょう。これらの形式で帳票を作れば、エクスポートしてPDF化する手間も省略できます。

ただし、EXCELやWordで請求書を作成してしまうと、改ざんが容易になるデメリットを生みます。EXCELやWordはデータを上書きできる形式なので、送信者と受信者が違う請求書を保管しているという状況を招きかねません。たとえば、送信者が請求書の額に不満があったとき、自分で書き換えておいて「そちらが数字を間違えたのではないか」と言いがかりをつけてくることもできるのです。

大前提として、こうした改ざんは社会的に許されない不法行為です。しかし、現実的に、このようなルール違反もEXCELやWordWORDを用いている限りは可能といえます。また、本人に悪意がなくても何らかのはずみで数字を変えてしまい、後からトラブルに発展するケースもありえるでしょう。送信者と受信者の間で余計な疑いを抱かず、気持ちよく取引を続けるのであればPDFデータを用いるのが無難です。PDFデータであれば、後から請求書を改ざんできません。送信者と受信者で同じデータを共有できます。

請求書、領収書、給与明細などあらゆる帳票を電子化 電子帳票ソリューション ナビエクスプレス サービス内容はこちら

PDFで請求書を送る際の心がけ

データで帳票を送る際に、よくあるトラブルが「見逃し」です。受信者が添付に気づかず、開封が遅れてしまって入金に支障をきたすこともありえます。こうしたすれ違いをなくすには、件名に「請求書在中」と明記しておきましょう。また、メールだけでなく電話で「送信しました」と念押ししておくのもひとつの方法です。

次に、セキュリティ対策も徹底したいところです。PDFデータはそのままの状態だと、決して安全な形式とはいえません。そこで、ZIPファイルに圧縮したり、パスワードを設定したりして第三者から保護しましょう。請求書には口座番号をはじめとする機密情報も含まれているので、万が一、悪意のある人間に見られてしまえば大事件に発展する恐れもゼロではありません。

そのほか、PDFデータにしたところで、請求書を管理する作業は変わらず発生します。送信した請求書を取引先別、日時別に区分して分かりやすく管理しましょう。先方から問い合わせがあったり、入金を確認する必要が生じたりしたら、サーバー内ですぐに見られるようにしておきます。ただし、請求書によっては誰でも簡単に見ていいわけではない内容もあるでしょう。アクセスや出力の権限を設定しておくと、より安全です。

PDF化によって変わる部分はある?請求書の記載項目とは

紙とPDFにおける請求書の違い

結論から書けば、紙で出力していた請求書をPDFに移行するからといって、記載項目が変わるわけではありません。事実、これまでも紙の請求書をスキャンし、PDF化して保管するような作業は当たり前に行われてきました。請求書の発行ではむしろ、「取引の証拠として記すべき項目」と「帳票に関する制度」のほうが大事です。請求書の形式に関係なく、必須項目を押さえて確実に期限内の入金が果たされるよう努めましょう。また、税率の変化にともない、保存方式も更新されているため、注意が肝心です。

請求書に記載するべき必須項目

まずは「送信者の氏名と名称」です。当然ながら、誰が請求書を作成したのかを示さなくてはなりません。また、組織内での責任の所在も明らかにしておく必要があります。担当者の名前も忘れずに記載しておきましょう。次に、「取引の日付」です。年度から月日まで、正確な日付を記すことが大事です。請求書の送信日は、締日や支払日と関わってくるので、入金に影響します。もしも取引日が記載されていなければ、入金が遅れても抗議を認められない可能性すら出てきます。取引履歴をしっかり残しておく意味も込めて、必ず記しておくべきです。

次に、「取引内容」です。取引の多い企業であれば、請求書が送られてきても何についての金額か瞬時に判断できません。送信者側が一方的に「このタイミングで送れば分かってくれるだろう」と思っているとすれ違いを生んでしまいます。必ず、商品名や作業内容を明記して、受信者に認識してもらいましょう。そして、「金額」はもっとも重要ともいえる項目です。請求書の一番の目的は、顧客に商品やサービスの対価を支払ってもらうことだからです。また、請求額が曖昧だと間違った額が振り込まれ、経理の負担が大きくなるケースも出てきます。見積書や口頭で請求額を伝えていたとしても、書面上で記載漏れがないようにしましょう。なお、税込の額を載せるのが理想です。

そのほか、「受信する事業者や担当者の氏名」も載せておきたいところです。請求書は送信者だけでなく、受信者も保存していく書類です。それなのに、受信者の名称が書かれていないとすれば、法的効力が揺らいでしまいます。「これは当社に送られてきた請求書ではない」と受信者に主張されてしまうと、証明するのが難しくなることもありえます。何よりも、相手の名前のない帳票を作るのは失礼です。不要な言い争いを避けるために、ミスなく名称を記しておきましょう。

請求書に記載するのが望ましい項目

基本的に、送受信者の名称、日付、請求内容と金額があれば、請求書は有効です。ただし、より確実に入金を促せるよう、いくつかの項目を追加しておくのが賢明でしょう。まず、「支払期限」は押さえておきたいところです。請求書にまつわるトラブルで、入金遅れは絶えません。締日や支払日は通常、取引先間で共有されてはいるものの、人為的なミスは起こりえます。そうなったときに、「正しく請求を行った」と証明できるよう、帳票にも期限を記しておきましょう。

次に、「振込先」も掲載したい項目です。支払期限と同じく、入金ミスを防ぐためには請求書の定型に振込先を含んでおくことが大事です。また、請求金額の書き方として、「消費税」を別記するのもひとつのマナーです。帳票によっては「税込」と記して、請求の総額を載せるだけの場合もあります。ただ、それでは「税込」を先方が見逃してしまうこともありえます。税抜の金額をまずは記し、その次で消費税、最後に税込の総額を載せる書き方が丁寧です。

「商品単価」の内訳も記しておきましょう。まとめて「~月の取引分」といった書き方をしてしまうと、請求書の受信者が何についての金額を支払っているのか分からなくなります。「ノートパソコン10台、サーバー2台」と、商品名だけでなく個数も明記し、送信者と受信者で共通の理解ができるようにします。そして、請求書には「注意事項」の欄も設けるのが得策です。請求内容によっては、通常と違う支払方法、支払期限になることも珍しくありません。口頭で教えるだけでは記録に残らないため、請求書に追加するのが安全です。

適格請求書等保存方式(インボイス制度)に則した記載項目

2023年10月1日から導入される見込みの、仕入税額控除に関する新しい手法が「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」です。インボイス制度導入の背景には、2019年10月から適用された新消費税率があります。一部の品目に限り軽減税率が用いられるため、帳票内では2種類の税率が存在することとなります。変則的な請求書の形式によって経理が混乱しないよう、インボイス制度では複数の税率がなくても、消費税率を示すことが義務付けられる予定です。

インボイス制度による請求書をデータ化する場合でも、「送信者の名前」「取引の年月日」「請求内容」「受信者の名前」などの必須項目は従来と変わりません。ただし、これらに「送信者の登録番号」「取引内容に含まれる軽減税率の対象品」「税率ごとに計算した合計額と適用税率」「消費税額」などが加わります。

まず、「登録番号」は、適格請求書発行事業者に登録した際、事業者に振り分けられる番号を意味します。ただ、免税事業者はそもそも登録自体ができないので、課税事業者になるため消費税課税事業者選択届を税務署に提出しなければなりません。次に、取引において「軽減税率の対象商品」があったとき、請求書でその内訳を記すことが義務付けられます。また、これまでの請求書と違い、総額だけを記して送信するような行為は許されなくなります。どのような税率に基づいて請求額が計算されたのかを証明し、税率ごとに金額をまとめなくてはなりません。当然ながら、「消費税」を記すことも必須です。

請求書のデータ化に関する制度と注意点を確かめよう

PDFで請求書を発行、管理するのは確かに便利です。しかし、セキュリティ面やスキャン時のかすれなど、リスクもともないます。また、帳票に関する制度は時代とともに変わっているので、柔軟に対応していかなくてはなりません。請求書に記すべき必須項目を確かめながら、自社にとっても取引先にとってもストレスのない業務を目指しましょう。

資料ダウンロード資料ダウンロード

閉じる閉じる