2020/11/05

請求書の電子化

請求書はメール送付が便利!郵送から電子化の手順と注意点

各種の帳簿や書類のペーパーレス化に伴い、請求書の郵送を停止し、電子請求書としてメール送付する企業が増えています。請求書の電子化は請求元と請求先にとってメリットの多い方法といえますが、相手によってはスムーズに受け入れてもらえない場合もあります。そこで、請求書の電子化を検討している方に向けて、どのような手順で進めたらよいか、請求書作成や送付時の注意点などについてわかりやすく紹介します。

請求書を電子化にしてメール送付は法的に有効か

クレジットカードや電話料金などは契約者宛の利用明細や請求書の郵送を何年も前に停止し、希望者のみに郵送するシステムに移行している会社がほとんどです。それにより請求書発送にかかる印刷コストや郵送代、人的コストなどの経費の削減が可能になりました。他の法人や個人相手のビジネスにおいても、請求書の郵送を廃止し、請求書を電子化してメール添付したりWeb発行したりする企業が増えています。ただし、紙で受け取る請求書と異なるため、少なからず違和感を持たれることもあるようです。

そもそも、電子化した請求書は法的に有効な帳票と認められるのでしょうか。以下に、今の時代の請求書のあり方や電子化の背景、法的根拠などについて説明します。

電子帳簿保存法により請求書の電子化は認められている

国税に関係する帳簿やデータ、取引先との受領書類などは、原則として7年間の保存が義務付けられています。昔は、手書きの書類やコンピューターで作成した書類を「紙」として残す必要がありました。そのため、1つの取引データに対して、経理上では、仕訳日記帳、総勘定元帳、補助元帳、売掛帳、売上帳、仕入帳、現金出納帳など該当する帳簿ファイルに転記したものを、それぞれにまとめてファイリングしなければなりませんでした。しかし、印刷コストや保管場所の確保、管理などの無駄も多いため、現代では紙ベースの書類のペーパーレス化が進み、多くの帳簿や書類のデジタル化が可能になっています。

国が定めた「電子帳簿保存法」では、時代の流れに応じて制度が適宜改正されています。紙で受け取った書類はスキャンしてデジタルデータでの保存が認められ、電子化してデジタルデータでやり取りした書類はそのまま保存できることが国の法律で認められました。つまり、多くの書類を紙に印刷して残す必要がなくなったため、管理の手間もなく大幅なコストの削減が実現できたのです。必要な書類を探すときも、簡単に検索できるため業務の効率化にもつながります。

電子帳簿保存法では、請求書や領収書なども電子化して保存することが認められています。そのため、請求書を印刷するコストや、郵送にかかる通信費をかけずに、電子メールで相手先の担当者に直接送付できるのです。請求書を受け取った側は、そのままデジタルデータとして保管できるため、お互いにとって都合のよい方法といえます。

請求書を電子化する場合は送付先の企業に確認を

今まで請求書を郵送していた場合は、自社の都合でいきなり電子メール送付に切り替えるわけにもいかないでしょう。仮に相手先が電子化を歓迎している場合でも、電子化に移行したい旨の連絡をして了承を得たうえで送るようにしましょう。ただし、世のなか合理的な会社ばかりではありません。また、支社や支店、部署、上長や経営管理者の考え次第で「請求書は従来どおり郵送で」という流れになるかもしれないのです。

相手先の担当者との関係性にもよりますが、案内の文面を「○月の請求分よりメールで送付させていただきます」とするか、「請求書をメールで送付させていただいてよろしいでしょうか」とお伺いを立てるべきか、方針を検討する必要があるでしょう。相手先との良好な関係性を維持したいなら、突然切り替えることはおすすめしません。事前に請求書をメール送付にしたい旨の案内と、この件に関する問い合わせ先、承諾の意思確認のための回答書やWebアンケートなどを準備しておきましょう。承諾の返事があれば請求書の郵送を停止し、メール送付の形にスムーズに移行できます。

請求書、領収書、給与明細などあらゆる帳票を電子化 電子帳票ソリューション ナビエクスプレス サービス内容はこちら

請求書の郵送から電子化で知っておきたい点

今までの請求書の郵送から、電子化した請求書をメール送付する場合は、コストを削減する代わりに労力が増えるのでは意味がありません。相手先から、「請求書の文字が読めないため作り直して再度送ってほしい」「レイアウトが崩れていて見づらいので従来の紙で郵送してほしい」と言われてしまっては本末転倒です。このような二度手間を発生させないためにも、請求書の電子化に当たって知っておきたいポイントを説明します。

会社印鑑の押印はなくても法的に有効

請求書を郵送する場合は、差出人欄に会社の角印を押印する場合が多いのではないでしょうか。角印を押すことにより会社が発行した正式な文書であることの証拠になりますし、需要な書類とアピールするのにも役立ちます。しかし、実際は請求書の書式や体裁、押印などに決められたルールは存在しません。請求書の押印がなくても何の問題もないのです。とはいえ、ハンコ文化は長い間の商習慣や社会的慣習が根付いて受け継がれたものです。

契約や大きな買い物の際は、印鑑登録した実印が使われますし、ハンコは法的効力のあるものとして社会に認められています。請求書に関して言えば、会社の角印や代表者印はあってもなくてもどちらでもよいのですが、取引相手によっては押印がないと受け付けてもらえない場合もあるようです。たしかに、税務調査や裁判などがあった場合には、証拠資料として提出するには押印があったほうが信憑性が高いといえるでしょう。押印がなければ、誰でも簡単に偽造できてしまうからです。

その書類が正式な本物と認めてもらうためには、面倒な手続きが生じる可能性もあります。それらを見越して押印がなければ請求書が受け付けられない官公庁や企業へは、電子印鑑や電子証明書などの方法で対応するとよいでしょう。電子署名法が定める要件を満たせば、請求書や契約書などに利用することが認められています。

スキャンした場合は解像度を考慮(可視性の確保)

請求書を印刷して社印を押してから、請求書をスキャンしてメール添付で送ってほしいという場合もあるかもしれません。その場合、解像度を低く設定してスキャンすると、文字がぼやけて読み取りづらくなってしまいます。国税庁によると、スキャンは専門のスキャナーの他に、スマホやデジカメの使用もOKとされています。ただし、解像度は「200dpi以上」で読み取ることと規定されているため気をつけてください。ちなみにA4サイズの場合、約387万画素以上になれば要件を満たしていることになります。色調は、請求書の場合はカラー画像で読み取ることが義務付けられています。

エクセルやワードで作成した請求書をPDFで保存する場合も、200dpi以上になるように設定しましょう。最適化は「標準(オンライン発行および印刷)」、あるいは、解像度の設定で「印刷用(220dpi)」を選んでおけばよいでしょう。あまり、高解像度にし過ぎるとデータサイズが大きくなり保存するにしても容量を圧迫してしまいます。また、データ容量の大きい重たいファイルは、使用回線やメールアプリなどによっては添付ファイルの容量の上限が決まっていて送れない場合があります。必要以上に高解像度のファイルは迷惑になることがあるため気をつけてください。

電子請求書は改ざんしづらいPDFが一般的

メール添付で送れるように作成した請求書を「電子請求書」といいます。請求書を作成する際は、最小限の入力で済むよう、あらかじめワードやエクセルの請求書テンプレートを作成して使い回している会社がほとんどでしょう。会社のロゴやイメージカラーなどを使って見やすく工夫して、ひな形をデザインしているところもあります。しかし、電子請求書として送る場合は、ワードやエクセルのファイルをそのまま送るのは問題です。ワードやエクセルは多くの会社で使われているため別に問題はないだろうと思われるかもしれません。

しかし、作成する側と、受け取る側のワードやエクセルのバージョンが違ったり、内蔵フォントや余白の設定などが異なったりすることで、意図しない形でレイアウトが崩れることがあります。内容を改ざんされないようにファイルを読み取り専用で送った場合、レイアウトバランスが悪く見づらい請求書のまま保存されることになってしまうのです。可視性が悪ければ金額を間違って支払うなどのトラブルの元にもなりかねません。読み取り専用にしない場合は、ささいな操作ミスで金額を書き換えてしまう可能性もないとはいえません。

それらのレイアウトの崩れや見た目の違いを解消し、作ったままの形でやり取りできるのがファイル名の拡張子が「.pdf」になるPDF形式です。電子請求書を発行する際は、PDFファイルへ変換してから送るのがベストです。ワードやエクセルで保存する際にPDFにして保存するか、既に作成したファイルをPDFにエクスポートすることで簡単にPDFファイルへの変換が可能です。

PDFファイルは、パソコンのOSやMicrosoft Officeのバージョン、内蔵フォントや設定などの環境に依存することなく、どこでも同じレイアウトで表示されます。自治体などでダウンロードできる届出用紙、メーカーで公開している取扱説明書などもPDFファイルを利用しているところがほとんどで、一般的なファイル形式として広く使われています。

電子請求書をメールで送付する時のポイント

請求書を郵送する際は、封筒に赤字で「請求書在中」と記載したりゴム印を押したりすることが多いでしょう。電子請求書をメール添付で送る場合は、普通のメールやDMメールなどに紛れてしまわないよう特別な配慮が必要です。以下に、電子請求書をメールで送付する際のポイントについて説明します。

メールの件名は「何月」や「何の」請求書かを明確に

電子請求書をメール添付するときは、通常の連絡メールと間違われないよう、件名を見ただけで「請求書」であることが瞬時にわかるよう明確にしなければなりません。件名を見ただけで内容が判断できるよう、何月分の何に対しての請求なのかがわかるよう簡潔にまとめましょう。たとえば、「【株式会社○○】○月分○○料金請求書のご案内」や「○月分○○料に関する請求書送付のご案内」、会社名だけで請求内容が判断できる場合は「【○月分ご請求書送付】○○株式会社」としてもよいでしょう。

文字数が長くならないよう、なるべく重要なワードが文頭にくるようにします。メール本文には、郵送で同封する「請求書送付のご案内」同様の文面を使うとよいでしょう。ただし、読み飛ばされる可能性もあるため、重要な用件のみ簡潔にまとめます。

ダウンロードURLを案内などセキュリティの確保を

請求書は、メールに添付して送る方法のほかに、Web発行する方法もあります。メールの本文に請求書のダウンロード先のURLを記載して、相手にクリックして見てもらったりファイルをダウンロードしたりできるものです。Web共有という形で作成した請求書をクラウドやサーバーにアップロードして、メールでURLやパスワードを知らせてダウンロードしてもらう方法や、自社のシステムの一環として自動的に相手先にURLを通知するサービスを利用する方法があります。

セキュリティリスクという点では、請求書ファイルをメール添付で送る場合、送信側にも受信側にも情報漏洩の危険性が少なからず生じます。また、メールボックスの容量によっても、添付ファイルがいくつも送られると、容量オーバーになったあとのメールが不着という事態もありえます。遅れてもあとから無事に届けられればよいですが、確実性は定かではありません。お互いがメールの不着に気づかず、「支払い拒否」と誤解されたり、何の知らせもなく突然「督促」通知されたりといったトラブルの元にもなりかねません。それらのセキュリティリスクやトラブルを防ぐためには、Web発行という形が手間もかからずおすすめです。

誤送信は必ずすぐに対処を

電子請求書をメール添付で送る場合も、Web共有のURLを送る場合も、宛先違いによる誤送信が起こる可能性があります。単純な人的ミスやアドレス帳の登録ミスによるものなど原因はさまざまです。たとえば、アドレスの入力をミスして誤った宛先に送ったため配信できず、エラー通知が返ってきても迷惑メールボックスに振り分けられていたためアドレス違いに気づかないケースもあります。一番気をつけなければならないのが、相手先の同業他社などに誤って送ってしまうケースです。

内容によっては重大な情報漏洩になり、両社からの信用を著しく損なってしまうでしょう。同業他社に限らず、相手先を間違えて請求することは大変失礼なことであり、一歩間違うと賠償問題が生じる危険性もあるため十分なチェック管理体制が重要です。

請求書の電子化は双方にとってメリットが大きい!スムーズな運用準備を!

毎月発生する請求業務は、取引相手が多いほどコストや労力のかかる作業です。請求書が電子化できれば、請求元と請求先双方の手間も軽減できます。スムーズな運用のために、相手先との共通の理解のもと十分な体制を確立させてから導入するとよいでしょう。請求書の書式や押印、送付方法などについても丁寧なすり合わせが必要です。

資料ダウンロード資料ダウンロード

閉じる閉じる