2022/04/11

ソーシャルリスク対策

企業にとってのX (旧Twitter)運用におけるKPI活用とは

X (旧Twitter)は日本での人気が高く、世界的に見てもアメリカに続いて第2位の利用者数です。日本国内の月間アクティブユーザー数は約4500万人で、一般ユーザーだけではなく、企業アカウントの数も増加傾向にあります。企業がX (旧Twitter)アカウントを運用する際に活用されているのは「KPI」です。本記事では、企業がX (旧Twitter)においてどのようにKPIを向上させれば良いのかなどについてまとめました。

X (旧Twitter)でKPIツリーの構築を

X (旧Twitter)でアカウント作成後、どのように運用すれば良いのか迷ってしまう人は多いようです。企業がX (旧Twitter)で重要視しておくべきなのが「KGI」と「KPI」の2つといっても良いでしょう。

X (旧Twitter)での戦略でキーとなるKGIとKPI

KGI(Key Goal Indicator)は「重要目標達成指標」という意味で、わかりやすくいえば売上、利益目標のことです。つまり、X (旧Twitter)運用をする場合、KGIの達成をどのようにすれば良いのかを考えるのが基本になります。業績などのデータからKGIの数値を明確にすれば、それを達成するための具体的な施策を考えることも可能です。KGIを「集客」と定めても、漠然としすぎているので達成できない可能性があります。そこで、「今年度中に集客率を〇%アップする」と具体的に設定して、施策しやすい状況にするわけです。

KPI(Key Performance Indicator)は重要業績評価指標を指します。具体的には、KGIを達成するためには道筋を細分化したうえで、その各地点で設定される数値目標や行動、つまり中間の目標です。KPIをチェックすれば、KGIを達成するための施策やもし未達成だったときの原因などを分析しやすくなります。ただ、細分化したKPIが達成されていないにもかかわらず、KGIは達成できたといったケースがないわけではありません。このようなケースの原因は、KPIの設定をミスしていた場合が多いです。そのため、あらためてKPIツリーの見直しをする必要があるでしょう。

KPIを設定するならば「SMART」が基本

KPIの目標を具体的に設定することで、より達成率アップも期待できます。KGIについても同様ですが、設定をする際に役立つのが「SMART」です。S(Specific)は「具体的に」、M(Measurable)は「測定可能」、A(Achievable)は「達成可能」、R(Related)は「目的に関連した」、T(Time-bound)は「期限を決めて」を意味します。5つのポイントを意識して目標設定をしてみましょう。

KPIツリーとは

X (旧Twitter)でアカウントを効果的に運用するために取り入れたほうが良いといわれているものに「KPIツリー」があります。こちらは最終目標であるKGIをツリーのトップ(一番上)と考え、それを達成するまでにクリアするべきKPIをツリー上に枝のように設置したものです。図にする場合は左側に最終目標になるKGI、そこから右に向けて必要となる中間目標のKPIを設置していくのが一般的になっています。

KPIを構築するまでの流れは、まず最初にX (旧Twitter)アカウントを何の目的で運用するのかを明確にすることです。たとえば、「自社について多くの人に認知してほしい」「集客したい」といったことが挙げられるでしょう。アカウント作成の目的を明確にした後は、それを達成するためにKGIの設定をします。たとえば、X (旧Twitter)をきっかけに自社サイトに流入した数をKGIにすることが可能です。さらにKGIで設定した目標を目指すために必要な中間目標としてKPIを細かに設定する必要があります。

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KPIツリーを作成する3つのメリットと注意点

KPIツリーを作成することでさまざまなメリットを得られます。

チーム内での目標や認識を共有できる

KPIツリーを作成することで具体的な指標や目標などがわかるため、チーム内でそれらを共有しやすくなります。KPIを設定することでやるべき内容は明確になりますが、同時にさまざまなアクションをしなければならないことからチームメンバーが目的を失う可能性もないとはいえません。そのようなときにもKPIツリーを見れば目的の再認識ができます。しかも、チーム内で認識の違いがなくなることから、1つの目標の達成に向かって一丸となって努力することが可能です。

早い段階で現状の課題を発見

現状の課題はできるだけ早く解決することが大切です。しかし、自社の現状を正確に把握できていない場合、課題の認識でさえも困難になります。KPIツリーはKGIを達成するために必要な行動ひとつひとつを明確にするので、それぞれのアクションをしたときに課題の早期発見ができる点がメリットです。新たな課題が見つかった場合にはKPIの枝を増やすのも可能なので、自社の状態をより良いものにしながら目標達成を目指せます。

KPIを細分化することで、より細かなデータ収集が可能になる

KGIに向けてKPIが細分化されているため、それぞれのKPIに対して適切に効果を判断し、高い精度の数値を得ることも期待できます。また、目的を効果的に得るために重要なPDCAもスムーズに行いやすいです。PDCAとはPLAN(計画)、DO(行動)、CHECK(確認)、ACTION(改善)を指します。ピンポイントで情報収集ができれば、適切な施策を複数見つけて改善しやすくなります。

KPIツリー作成における注意点

KPIを作成する際に陥りやすいのが、初めて作成した段階で完璧なものに仕上げようとすることです。KPIツリーで細分化した各アクションを実行した際に新たな課題が見つかる可能性がありますし、そうなればツリー自体も修正しなければなりません。完璧なものに仕上げようとするほど固定観念にとらわれやすくなり、本来目指すべき目標を見失ってしまいます。そのため、完璧なツリーの作成を目指すのではなく、必要なときには柔軟に修正することを前提として作成しましょう。

ほかの注意点としては、KPIの細分化の際にすべてのアクションについて単位をそろえることです。最終的にKGIに辿り着かなければならないので、それに合わせた単位にするのがポイントになります。たとえば、X (旧Twitter)からの流入率のアップをKGIに設定しているのであれば、KPIのアクションの単位を「%」にそろえるといった具合です。単位は場合によっては1つではなく、2つ使用しなければならないケースもあるかもしれません。

フォロワー数の獲得をするために必要な指標

KGIの達成に向けてKPIを実行するとしても、X (旧Twitter)の活用をするのであればフォロワーの獲得が重要になります。ユーザー数が多いとはいえ、X (旧Twitter)上で投稿していればフォロワー数が増えるわけではありません。フォロワーにはその人をフォローしているユーザーがいる場合も多く、そういったユーザーにも自社アカウントの投稿を見てもらえる場合があります。そのため、フォロワー数の獲得はアカウント作成後、優先的に行うべきことといっても良いでしょう。フォロワーの獲得をするためにチェックしておくべき指標として、3つの数字が挙げられます。それは「インプレッション数」「プロフィール閲覧数」「フォロー完了数」です。これらのデータについては、X (旧Twitter)の無料ツールである「X (旧Twitter)アナリティクス」を確認するとわかります。

インプレッション数は最重要視

インプレッション数とはユーザーが自社の投稿したツイートを閲覧した数を指します。ツイート内容が良ければ「いいね!」をしてくれたり、リツイートしてもらえたりするので、ユーザーの興味を引く内容にすることが大切です。注目されることでツイートが表示されやすくなり、自社商品・サービスを知ってもらえるチャンスも増えます。また、いいね数やリツイート数が多いツイートはさらに興味を持ってもらいやすくなるため、画像だけではなく、動画を活用するのも効果的です。ほかにも、企業ということで丁寧な言葉遣いが必須であると考えてしまいがちですが、親しみを持ってもらうために文章内にあえてくだけた言葉遣いを混ぜ込むといった方法も有効といえます。

プロフィール閲覧数はフォロワー獲得のためのキーになる

X (旧Twitter)の仕様上、フォローするためにはプロフィール欄を開く必要があります。そのため、ツイートだけではなく、プロフィール欄までチェックされていれば、それだけ興味を強く持ってもらえたと考えても良いでしょう。そのときフォローをしなかったとしても、いずれフォローしてもらえる可能性もあります。ツイート内容だけを工夫するのではなく、興味を引くようなプロフィール欄をつくっておくことも大切です。たとえば、TOPバナーやアイコンをオリジナルのものにし、説明文では自社のホームページやブログなどのURLを含めてアピール文をつくります。また、プロフィールの真下にはお気に入りの投稿を固定できる機能があるため、注目度が高かったツイートを固定させておくのもひとつの方法です。

重要なKPIになるフォロー完了数

「フォローされた数÷プロフィール閲覧数=フォロー完了率」となります。たとえば、1カ月間でプロフィール閲覧数が2000、フォローされた数が100だったとすると、フォロー完了率は5%です。プロフィール閲覧数に対してフォローされた数が明らかに少ないことがわかります。具体的な数字が出ると今後どのようなアクションが必要なのかが想像しやすいです。こちらの例であれば、フォローされる数を増やすためによりツイートやプロフィール欄を充実させたり、必要であれば方向を変更したりといった施策が必要であるとわかります。

風評被害を避けるためにもX (旧Twitter)運用は重要

フォロワー数の獲得とともに注目しておきたいのが、リアルタイムにやりとりをできるゆえの情報拡散スピードの速さです。良い内容であればメリットになる情報拡散力の高さも、風評被害となれば自社にとってマイナスに働いてしまいます。リツイート機能があるため、1度投稿されたネガティブな情報はあっという間に拡散されてしまう可能性が極めて高いです。そこで、X (旧Twitter)のアカウントを通してKGIの達成を目指すとともに、顧客満足度の向上を目指すことで風評被害を避けましょう。

X (旧Twitter)は公開状態で投稿するとリプライ(返信)をもらうことができ、さらにそのリプライに対して返信ができます。この機能を利用して、直接顧客とやりとりを行うことが可能です。たとえば、顧客から商品・サービスについてリプライされたときに直接答えられるので、問い合わせやコールセンターへ電話をかけてもらうより親しみを持ってもらいやすいです。こういった戦略をアクティブサポートといい、集客や風評被害を避けるためにも重要な方法のひとつだといえるでしょう。

ちなみに、同じくリプライ機能を有効活用した方法にはリプライマーケティングがあります。こちらは顧客の投稿に対して、企業側がリプライをするという方法です。リプライマーケティングは自社ブランドや商品・サービスなどの周知のために行うものであり、顧客の不満・希望などのサポートを行うアクティブサポートとは異なるものになります。

アクティブサポートは風評被害の防止に効果的

アクティブサポートをすることで、顧客の自社商品・サービスに関する投稿に対して必要に応じてお詫びの返信をしたり、改善に向かって努力することを伝えたりできます。早期アクションは、風評被害を未然に防ぐためには非常に有効です。X (旧Twitter)での投稿やリプライなどが丁寧で真摯な対応であれば、既存顧客だけではなく、新規顧客の獲得にもつながります。

イメージキャラクターを作成してアイコンにする

X (旧Twitter)ではアイコンを設定することができるため、多くのユーザーが自分のアイコンを設定して個性を出しています。オリジナルのアイコンを常に使用していれば記憶してもらうこともできますし、より親しみを感じてもらえる可能性も高いです。たとえば、企業のなかにはオリジナルのイメージキャラクターを作成し、ツイートをする際はすべてそのキャラクターが投稿するといった形にすることでファンを増やしているところもあります。リプライについてもイメージキャラクターが行うので、顧客側も気軽に質問や不満などを伝えやすくなるのも良い点です。

リプライではテンプレートを使用しない

風評被害に遭わないためには、リプライの際に決められた言葉で返信するのではなく、顧客に向けてあくまでも真摯に対応することが大切です。テンプレートの返信に対して不誠実であると感じる顧客も少なくありません。前述したイメージキャラクターによるリプライでも同じで、あくまでも顧客の言葉に対してわかりやすく、丁寧に返信するなどを心がける必要があります。

X (旧Twitter)での風評被害防止にはKPI達成も有効

本記事では、X (旧Twitter)運用におけるKPIと風評被害防止などについてまとめました。X (旧Twitter)ではフォロワー数を獲得することで情報分析がしやすくなり、KPIツリーの作成・実行がしやすいです。たとえば、インプレッション数やプロフィール閲覧数、フォローされた数などは必要な対策を知るためにも重要な情報になります。また、X (旧Twitter)では顧客とリアルタイムでのやりとりも可能なので、リプライを活用するなどして風評被害の防止にもつなげましょう。

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