2022/06/21

アドバンスド

Row Level Security機能(2)

このコンテンツでは、SpotfireのRow Level Security機能について説明していきます。
なお、本コンテンツで利用したバージョンはSpotfire10.10/11.4となります。ご利用環境によって、一部画面構成が異なる可能性があります。ご了承ください。

本コンテンツはRow Level Security(1)の続きになります。

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TIBCO Spotfire

Spotfireは分析に必要な機能を単一製品でカバーするビジュアルアナリティクスツールです。

はじめに

Row Level Security機能を実現するには、2通りの方法があります。
(1)データ接続
(2)インフォメーションリンク

本コンテンツでは、(2)インフォメーションリンクでの方法について説明します。
前回と同様、下記のようなデータ(testtable)を利用して、自分が属しているグループのレコードだけをSpotfire側に渡します。
本コンテンツの仮想Spotfireユーザーは事業所グループ「groupB」に所属しているため、「groupB」のレコードだけをSpotfireに表示させるようにします。

インフォメーションリンクとは

インフォメーションリンクとはSpotfire Server機能の一つで、JDBC経由でデータベースからデータを取得する仕組みです。この機能を使うことで、管理者はデータベースへのアクセス情報を一元管理できる一方で、ユーザーはアクセス情報を入力せずにデータを取得できます。

インフォメーションリンクはSQL文に相当します。
カラムやフィルターなどの「要素」を作成し、定義した取得カラムや取得条件を組み合わせることで、「インフォメーションリンク」というデータベースへのアクセス情報(SQL文)を作成します。ユーザーは作成したインフォメーションリンクをデータソースとして利用できます。

インフォメーションリンクはインフォメーションデザイナーを利用して作成し、Spotfire Serverのライブラリに公開する必要があります。インフォメーションリンクの作成には、対象ユーザーに以下のライセンスを付与する必要があります。

  • TIBCO Spotfire Analyst
     ・インフォメーションリンクの作成
  • TIBCO Spotfireインフォメーションモデラ―
     ・管理
  • TIBCO Spotfireインフォメーションモデラー
     パラメーターのプロンプト

ライセンスの付与はSpotfire管理者がAnalystにログインし、メニューバー「ツール」 > 「管理マネージャ…」 で行います。

ライセンスが付与されたユーザーにおいて、メニューバー「データ」 > 「インフォメーションデザイナー」を選択すると下記画面が開きます。こちらで、インフォメーションリンクの作成ができます。

データソースへの接続

まず、インフォメーションデザイナーダイアログにおける「データソースのセットアップ」でデータベースへの接続情報を設定します。

「データソース」タブが開かれるため、下記を入力して自身のデータベースへの接続設定を行います。

  • 名前
     ・任意のデータソース名を設定
  • タイプ
     ・データソースへの接続に使用するデータソーステンプレートを指定
  • 接続URL
     ・JDBC形式の接続URL
  • 接続数
     ・DBへの最小、最大接続許可数を指定
  • ユーザー名
     ・データベースへ接続できるユーザーアカウント名
  • パスワード
     データベースへ接続できるユーザーのパスワード

インフォメーションリンク作成手順

カラム要素の作成

データソースへの接続情報を設定後、インフォメーションリンクを作成していきます。
下図のように、DBから取得するデータを制限するための「要素」をインフォメーションリンクの中で設定することで、データ制限を実現します。

今回データを制限するために利用する「要素」は下記の2つです。

  • カラム要素
     ・対象データテーブルで取得したいカラム。SQLにおけるSELECT文に相当します。
  • フィルターエレメント(フィルター要素)
     ・対象データテーブルで絞り込みたい条件。SQLにおけるWHERE句に相当します。

まず、カラム要素を作成します。
「データソース」タブにて、対象データソースのツリーを展開し、対象データテーブルを選択します。
右クリックで「カラム要素の作成」を選択します。

すると「複数のカラム要素」タブが開きます。

「カラムの作成」をクリックして、カラム要素を保存するライブラリ内フォルダを指定します。

「要素」タブを確認すると、保存したフォルダに先ほどのカラム要素を確認できます。

フィルターエレメントの作成

データ制限をするフィルターエレメント(フィルター要素)を作成します。
「開始」タブで「フィルター」を選択します。

すると、「フィルター」タブが開きます。
データソースから使用するテーブルtesttableを選択し、カラム「事業所グループ」を追加します(下図①参照)。
ユーザーの所属するグループにより、閲覧できる事業所グループに制限をかけるため、下記の式を入力します(下図②参照)。

%1 in (%CURRENT_GROUPS%)

入力後、「名前を付けて保存」でライブラリ内に保存します。今回は「フィルター」と名付けて保存します(下図③参照)。

インフォメーションリンクの作成

前準備として作成したカラム要素およびフィルターエレメントを利用して、インフォメーションリンクを作成します。

「開始」タブの「インフォメーションリンクの作成」をクリックします。

「インフォメーションリンク」タブが開かれます。
「要素」タブ内の先ほど作成したカラム要素とフィルターエレメントを選択し、「追加」を選択します(下図①参照)。

追加できたら「名前を付けて保存…」をクリックして、ライブラリ内に保存します。今回は「testtable」と名付けます(下図②参照)。

以上で、インフォメーションリンク「testtable」が作成できました。

インフォメーションリンクを開く

試しに、作成したインフォメーションリンクを開きます。
+ボタン > Spotfireライブラリーを選択し、インフォメーションリンク「testtable」をダブルクリックで開きます。

「データを分析に追加」画面が出てくるため、そのまま「OK」をクリックします。

データを取得後、データテーブルを表示して確認します。
今回のSpotfireユーザーは「groupB」に所属しているため、「groupB」のレコードだけが表示されます。

実際に確認してみると、下図のように事業所グループが「groupB」のレコードのみが表示されています。

このように、前回の記事で試したデータ接続だけでなく、インフォメーションリンクでも、ユーザーごとに閲覧できるデータを制限できます。

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