2023/04/17

ビジュアルIVR

コールセンターのアウトソーシングのメリットと企業選びのポイント

コールセンターは、商品やサービスの改善につながる顧客の意見やレビューを入手する、という重要な役割を担っています。コールセンターにおける人材不足が進んでいる昨今、業務をアウトソーシングする企業も増えており、さまざまな業務委託サービスも登場していますが、どのような判断基準で選ぶべきか迷う場合もあるでしょう。

本記事では、コールセンターのアウトソーシングについて、運営方式からメリット・デメリット、導入の流れや委託業者の選び方まで詳しく解説します。コールセンター業務のアウトソーシングを検討する上で押さえておきたい注意点も紹介していますので、自社のコールセンター運営にぜひお役立てください。

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コールセンターのアウトソーシングとは?

コールセンターのアウトソーシングとは、顧客からの受電や発信といった対応業務を、外部に委託することを指します。アウトソーシングは、業務を担当するオペレーターや管理者、設備などに関して、どこまで委託するかによって、いくつかの運営パターンに分けられます。

ここでは、コールセンターの運営パターンと業務の種類について詳しく解説します。

コールセンターの運営パターン

コールセンターの運営パターンは、主に以下4つに分けられます。

運営方法 設備 管理者 オペレーター
インハウス 自社 自社社員 自社社員
人材派遣(外部スタッフ活用) 自社 自社社員 外部スタッフ
業務委託 自社 外部委託 外部委託
アウトソーシング 外部委託 外部委託 外部委託

コールセンター運営には、オペレーターや管理者をはじめ、業務を行う執務室やネットワーク、受電用ソフトなどのIT設備が必要です。運営に関わる人材や設備すべてを外部のコールセンター事業者に委託する形態が、アウトソーシングと呼ばれています。

一方、すべてを自社で準備するケースはインハウス、オペレーター業務を外部スタッフに依頼する場合は人材派遣、管理者とオペレーターを外部に委託し、設備は自社で用意する場合は業務委託に該当します。

コールセンター業務の種類

コールセンター業務は大きく分けて、「インバウンド業務」と「アウトバウンド業務」の2つに分けられます。インバウンド業務は、顧客や取引先からかかってきた電話の対応業務です。具体的には、以下のような業務が該当します。

  • 商品やサービスに関する問い合わせ
  • クレームや不具合の相談に対する対応
  • 商品の電話注文
  • アクティビティーやホテルなどの予約受け付け
  • 業務外時間などの一次対応

上記のような受電対応では、さまざまな連絡に対して柔軟に対応するスキルを要しますが、対応内容を定型化しやすいため、マニュアルやトークスクリプトを作ってアウトソーシングできます。

一方、アウトバウンド業務は、顧客や見込み客に発信する業務を指します。具体的には、以下のような業務があります。

  • テレマーケティング(市場調査、マーケティングリサーチ)
  • 新規顧客獲得(テレアポ)
  • 既存顧客へのサービス案内、フォロー説明
  • マーケティングリサーチ(テレマーケティング)
  • 新規サービスや商品の案内
  • セミナー案内
  • 商品購入やキャンペーン申し込みのお礼

アウトバウンド業務の代表例である新規顧客獲得に向けた業務では、架電用マニュアルがあるとはいえ、より多く発信する必要があります。また、電話がつながってもすぐに断られる、話を聞いてもらえない、といったケースも多く、根気強く取り組むことも大切です。

コールセンター における2つの業務の違いや活用事例については、下記記事で詳しく解説しますので、合わせてご覧ください。

関連記事:インバウンドコールとは?アウトバウンドコールとの違いとコールセンターでの活用例

ピーチ・ジョン様事例に学ぶ コールセンターの新常識!ビジュアルIVRで実現するCX向上と効率化

コールセンター業務のアウトソーシングが増えている理由

コールセンター業務のアウトソーシングが増加している背景には、人材不足や市場拡大などの要因があります。コールセンターにおける離職率の高さは、業種全体の大きな課題として認識されていますが、近年の働き方革命や労働者派遣法の改正、少子高齢化による生産年齢人口の減少などにより、人材不足の影響が以前にも増して深刻化しています。

限られた人材の中で、企業の本業となるコア業務に専念する人材を確保するために、ノンコア業務であるコールセンターを外部に委託する動きが強まっています。

また、矢野経済研究所が発表した「コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査を実施(2022年)」では、コールセンターサービスの市場規模は拡大傾向にあり、今後も拡大が続くと予測されています。

アウトソーシングでは、業務の進め方や人員配置、育成などは委託先がまとめて管理、運用するため、自社の負担削減に役立つとともに、市場拡大に伴うニーズを埋めることにもつながると考えられます。

コールセンターにおける人材不足の原因や有効な解決策については、下記記事も合わせて御覧ください。

関連記事:コールセンターの人材不足の解決法とは?7つの施策をご紹介

コールセンター業務をアウトソーシングをするメリット

人材不足の解消を目的として、コールセンター業務のアウトソーシングを検討する企業が多く見られます。アウトソーシングによって、自社負担の軽減に加えて、顧客応対の品質向上やBCP対策といったメリットも見込めます。ここでは、コールセンターのアウトソーシング導入で期待できる主な4つのメリットを紹介します。

コールセンター構築の費用や手間をはぶける

コールセンター業務をアウトソーシングすることで、オペレーターや管理者、IT設備など運用に必要な環境を用意するための費用や手間を省けます。一般的なコールセンターの構築には、機材や執務スペースの確保、電話回線やインターネット回線の接続など、さまざまな費用がかかります。

また、オペレーター採用や育成にもコストが必要です。繁忙期の受注や問い合わせが多い業務などでは、社内で人員を調整することは難しいでしょう。その点、アウトソーシングでは委託企業に任せられるため、コストや時間の節約につながります。

応対のクオリティを担保できる

オペレーター応対の品質を確保できる点も、アウトソーシングの大きなメリットです。顧客や取引先からの問い合わせ対応には、専門知識やスキルを要する場合も多く、教育には時間がかかります。とはいえ、優秀な人材を確保することも簡単ではありません。

外部に業務を委託すれば、電話応対のスキルや経験、専門知識を持ち合わせた優秀なオペレーターを即戦力として確保できます。クレーム処理やトラブル対処など難易度の高い業務にも、電話対応のプロが高品質な対応を行ってくれるため、応対クオリティを維持できます。

コア業務に専念することによる生産性の向上

コールセンター業務をアウトソーシングすることで、社員はコア業務に専念できます。例えば、営業職が担当する新規顧客開拓のテレアポをアウトソーシングすることで、営業職の社員は既存顧客への新規提案や購入後のフォローといったコア業務に時間を使えるため、生産性の向上につながります。

また、総務人事部など他部署の社員が、コールセンター業務を兼任している企業もありますが、電話対応のために作業を止めなければならず、業務効率が下がってしまう可能性があります。コールセンター業務を外部に委託することで、本来の業務だけに集中できます。

BCP対策になる

コールセンターのアウトソーシングは、BCP対策にも役立ちます。BCP(Business Continuity Planning)とは、災害などの緊急事態における企業や組織の事業継続計画のことです。

BCPには、自然災害や大規模な事故によるシステム障害などの状況下において、影響を最小限に抑え、重要な業務の維持と早期復旧を図る目的があります。日本では、2011年の東日本大震災をきっかけに、多くの企業がBCP対策を取り入れ始めています。

コールセンター業務を外部に委託し、自社とは別の場所で運営・管理することで、自社がダメージを受けてもコールセンター機能を維持できるため、リスクヘッジとしても有効です。

コールセンター業務をアウトソーシングをするデメリット

コールセンター業務のアウトソーシングには、さまざまなメリットがある一方で、初期コストや情報漏えいリスクなどのデメリットもあります。ここでは、コールセンターをアウトソーシングする上で知っておきたい4つのデメリットについて解説します。

社内にノウハウを蓄積できない

システム構築方法や対応マニュアルなど、コールセンター運営に必要なノウハウを社内に蓄積できない場合があります。自社の商品やサービスに関する知識を持つ社員が関わらない場合、顧客のニーズやクレームの傾向など、自社にとって重要な顧客の声に気づけず、品質向上の機会を損失する可能性が出てきます。

また、委託先の倒産やサービス撤退によって、情報や知見が断絶されるリスクも考えられます。対策として、外部の委託先に業務を任せきりにせず、綿密に情報共有を行い、業務マニュアルや手順書の作成、業務フローの標準化を進めておくと、いざというときに自社運用に移行できるでしょう。

専門性の高い内容は対応できない可能性がある

自社サービスや商品に関する専門性の高い問い合わせやトラブル処理といった内容に、対応できない可能性も考慮しておく必要があります。コールセンターの業務委託サービスにはさまざまな種類があり、得意分野や特化しているサービスなどはそれぞれで異なります。

委託先を選定する段階で、顧客や取引先からの問い合わせに必要な専門性を持ち合わせているかを見極める必要があります。また、専門知識を要する問い合わせには自社社員が対応する、といった振り分けも検討すると良いでしょう。

トラブルが発生した際に介入しにくい

委託先で発生したトラブルに介入しにくい、という問題も考えられます。コールセンター業務においてイレギュラーな事態やトラブルが起きた際に、素早い対応や連携ができず、返答に時間がかかってしまうと、顧客満足度の低下を招く可能性があります。

柔軟かつスピーディな情報共有に対応できる委託先を選ぶと同時に、問題発生時の対処マニュアルや連絡手順を明確化し、迅速に対応できる連携体制を整えておく必要があります。

情報漏洩のリスクが高まる

顧客の個人情報や社外秘情報を扱う業務では、社外のスタッフが自社の機密情報を扱うことで、情報漏えいのリスクがある点にも注意が必要です。当然ながら、アウトソーシング委託業者では、個人情報や機密情報の保護について厳格なルールを設けて運営されています。とはいえ、自社よりもセキュリティレベルが低いことも考えられます。

顧客や取引先の情報漏洩えいリスクを回避するためにも、あらかじめ委託先のセキュリティレベルを確認しておきましょう。導入企業や創業年数などの実績、プライバシーマークの有無などをチェックし、信頼できる企業かどうかを判断する必要があります。

コールセンター業務をアウトソーシングする際の料金体系

コールセンター業務のアウトソーシング料金は、一般的に「パーコール契約」と「パーブース契約」の2つに分けられます。ここでは、各料金体系の特徴について解説します。

パーコール契約

「パーコール(Per-Call)契約」とは、コール数に応じて金額が変動する料金体系です。架電先リストに1件ずつ電話をかける業務が中心の、アウトバウンド業務の委託で採用されています。

アウトバウンド業務では、リストに電話する時間をコントロールできるため、コール数に応じて課金できるパーコール契約が主流です。

パーブース契約

「パーブース(Per Booth)契約」は、座席数や人員数と稼働時間に応じて金額が変わる料金体系を指します。パーコール契約はコール数に応じて金額が変動するのに対し、パーブース契約では、コールセンターの座席数あるいは人員数、稼働時間によって金額が発生する形態で、主にインバウンド業務を委託する際に採用されています。

顧客や取引先からの受電がメインのインバウンド業務では、いつ何件ほどの電話が来るか事前に把握することは難しく、常に人員を配置しておく必要があるため、パーブース契約が主流です。

パーブース契約では、電話以外のメールやチャットを使用した対応やデータ入力、クレーム対応や稼働曜日など、細かな要件に応じた料金を課金するケースもあります。

アウトソーシングする際の流れ

ここからは、実際にコールセンター業務をアウトソーシングする際の基本的な流れについて解説します。

自社のコールセンター業務の分析

まずは、自社のコールセンター業務の分析を通して、現状の課題を整理します。現場が抱える課題を洗い出すことで、アウトソーシングがなぜ必要なのか、導入する目的を明確化できます。また、委託先を選定する基準も明らかになり、スムーズなアウトソーシング導入につながります。

具体的には、業務内容や個人の業務量、業務時間、要員数など業務工数を洗い出し、コア業務とノンコア業務の仕分けを行います。このとき、オペレーターの社員にもヒアリングを実施して、現場とのコミュニケーションを綿密に行っておくと、導入後もスムーズに運用できるでしょう。

コールセンター業務のフロー見直し

洗い出したコールセンターの業務フローを見直し、整理します。業務フローやプロセスの変更や業務の標準化ができるかどうか、作業手順や書式フォーマットなど見直すべき内容についてチェックし、アウトソーシングできる業務と内製業務を分けておきます。

この段階で、委託先との連携方法、イレギュラー時の対応方法などについても取り決めておくことが大切です。情報セキュリティや個人情報保護に関する確認を行っておくと、導入後のトラブル回避につながります。

アウトソーシングする内容の確定

アウトソーシングする業務範囲を確定します。委託する業務がインバウンド業務なのか、アウトバウンド業務なのか、どの業務をアウトソーシングするのかを明確に整理しておくことで、委託企業とのやり取りをスムーズに進められます。

また、委託業務に必要な情報や工程やスタッフ、予算などのベースラインも可能な範囲で決めておくと良いでしょう。

アウトソーシングする企業の選定

アウトソーシングする企業を選定します。業務内容や対応体制などを比較して数社ピックアップし、実際に担当者と話しながら自社に合う企業を選ぶと良いでしょう。一度委託先と契約した後に、業者を変更するとなるとコストも時間もかかるため、事前に確認した上で決める必要があります。

委託先の選定における主なポイントは以下の通りです。

  • 自社の課題解決に役立つ業務要件
  • 提案内容やオペレーションの柔軟性
  • 実績や売上、業界ランキング
  • 創業年数や企業規模、グループ企業など会社の信頼性
  • 得意分野や強みのあるジャンル
  • 初期費用・料金体系
  • 企業の特長・経営方針
  • 営業担当者の姿勢

委託企業の提案内容を確認し、正式に契約してサービス開始となります。

アウトソーシングの会社選びで失敗しないポイント

委託企業選びは、アウトソーシング導入の成功を左右する要素の1つです。ここでは、アウトソーシング企業を選ぶ際に注意したいポイントを紹介します。

アウトソーシング先の企業の得意分野を確認する

委託先の得意分野を確認し、自社の導入目的や課題解決にマッチした企業を選ぶことが大切です。アウトソーシング会社ごとに、実績が豊富な業務内容や得意とするサポートは異なります。

導入計画で明確にしたアウトソーシングする業務範囲において、業務能力やスキル、信頼性が十分にある企業に依頼しましょう。コミュニケーションのとり方や連絡頻度など、連携方法についても事前に確認しておくと安心です。

セキュリティが高い企業を選ぶ

セキュリティ対策についても事前に確認しておきましょう。社内情報や顧客情報を扱う業務の場合、社外のスタッフが扱うことになるため、情報漏えいのリスクはゼロではありません。プライバシーマークやISO27001などを取得しているなど、委託企業のセキュリティ性が十分であることを確認してから、契約するよう徹底しましょう。

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コールセンター業務のアウトソーシングにより、コスト削減や業務負担の軽減、対応品質の向上を通して顧客満足度の向上が期待できます。アウトソーシングを依頼する企業を選ぶ際には、得意分野や実績、セキュリティ対策を含めて比較検討し、自社の導入目的に合った委託先と契約することが、導入成功の秘訣といえます。

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