2023/03/27
ソーシャルリスク対策
SNSの迷惑行為は対策できる?増加の背景や炎上事例・対策方法を解説
近年、企業や商品に関する誹謗中傷やデマ情報をSNSで発信したり、迷惑行為を撮影してSNSで拡散するというトラブルが相次いで社会的な問題となっています。顧客や従業員による迷惑行為がSNS上で炎上すると、迷惑行為そのものへの批判にとどまらず、被害者である企業のイメージや信頼の低下にまでつながります。この記事では、SNSの迷惑行為が増加している背景や実際に起きた炎上事例を解説しながら、今後企業として何ができるのか対策方法について紹介します。
なお、炎上対策については以下の記事でも解説しています。
関連記事:炎上対策とは?企業における主な炎上原因と対策
SNSで企業に対する迷惑行為が増加している背景
現在SNSで企業に対する迷惑行為が増加している背景にはどのような事情があるのでしょうか。一般的に指摘されている2つの理由を見てみましょう。
SNSの利用率が増加している
スマートフォンが普及した現代ではSNSの利用者は増加の一途にあります。総務省が作成した情報通信メディアに関する調査報告書によれば、平成27年ではX (旧Twitter) 26.5% Instagram 14.3%であったのが、令和3年ではX (旧Twitter) 46.2% Instagram 48.5%と大きく伸びています。言い換えれば、多くの人にとってSNSで発信することが日常化・習慣化しているということです。この変化に伴ってSNS関連のトラブルや炎上、迷惑行為が増加していると考えられます。
出典:総務省情報通信政策研究所「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」令和4年8月発表
若年層が過去の事例を認識していない
昨今、飲食店やコンビニ等での迷惑行為が増加しています。しかしこれは今に始まったことではなく、すでに2013年頃にはバカッター(X (旧Twitter)の利用者が投稿を通して自らの犯罪や反社会的行動を晒け出すこと)、バイトテロなどが社会的な問題となり批判されていました。ところが年数の経過による世代交代で、当時を知らない新しい若年層が増えたことから、迷惑行為のリスクを認識しないまま非常識な迷惑行為を行っている可能性があることが指摘されています。
SNSの迷惑行為を対策しないリスク
企業がSNSの迷惑行為について対策しないままでいると、さまざまなリスクが発生してしまいます。ここでは懸念される主なリスクを3つ紹介します。
売上の減少
SNSの迷惑行為により企業側に生じるリスクとしてまず挙げられるのが売上の減少です。例えば、商品に何らかの危害を加えたという情報がSNSで拡散されると、消費者は安全のために「じゃあ、この商品を買わないでおこう」と考えます。これは消費者としては自然な心理・行動であり、迷惑行為が拡散されてしまった後にいくら商品の安全性を訴えても、少なくともほとぼりが冷めるまでは、消費者の購買意欲の低下を回復させることは困難です。
信頼の毀損
次に、売上げの減少とも関係するリスクとして、信頼の毀損があります。例えば商品の品質に関する悪質なデマ情報がSNSで拡散されると、取引先はトラブル回避のための処置として取引の停止を申し出る恐れがあります。また、商品に危害を加えた迷惑行為の場合も、当然その犯人が批判されるのですが、それだけにはとどまらず、その迷惑行為を防止できなかった企業への信頼も低下してしまい、消費者の怒りと批判にさらされることがあり得ます。
ビジネスを脅かすリスクについては以下の記事でも解説しています。
関連記事:【レピュテーションリスク】種類と実例
採用活動への悪影響
最後に、採用活動への悪影響について考えてみましょう。例えば、商品に関して生産地や原材料の偽装があるというデマがSNS上で拡散されて多くの人が信じてしまった場合、一時的とはいえ企業イメージが悪くなってしまうことは避けられません。そうなると当然採用活動にも悪影響が及び、新卒採用でも中途採用でも志望者の数は減少してしまいます。このように、SNSの迷惑行為、拡散による炎上のリスク対策をしないでいると思わぬところまで悪影響が及んでしまいます。
対策が求められるSNSの迷惑行為の事例
ここでは過去数年の間にどのような迷惑行為が実際に行われたか、具体的な事例を振り返ってみましょう。ニュースになったものもあるので、よくご存じの事件もあるかと思います。
回転寿司チェーンでの迷惑行為
手頃な価格や利便性の高さから人気の回転寿司レストラン。日本には多くの回転寿司チェーンがありますが、昨今、寿司テロとも呼ばれる迷惑行為事件が相次いでいます。具体的には、レーンから皿を取る前に寿司を箸でつまんで食べる、醤油ボトルや湯呑みを舐める、他人の注文した商品にわさびを塗るといった行為です。マナーを守るのが当たり前という性善説によって成立していた回転寿司のシステム。それだけに衛生管理を妨害するような信じがたい画像や動画がSNSに上がり、世間を騒然とさせています。また、被害を受けたある企業は時価総額が大きく暴落するなど甚大な損害を被っています。
SNS上でデマを拡散
2021年8月頃、「ワクチン入りトマト」に関する情報がX (旧Twitter)をはじめとするSNSで急激に拡散されました。ワクチン入りのトマトがすでにつくられており市場に出回っている可能性について言及した記事を紹介するツイートが投稿され、該当記事では大手食品会社を連想させる記述もありました。他にも「ワクチン入りトマト流通プロジェクト」という「計画」に参画しているとして15の企業名が書かれた画像の投稿も数多くリツイートされ、一部反ワクチン派が不買運動を呼びかけるような騒ぎにまでつながりました。
コンビニエンスストアへの迷惑行為
2020年5月、あるコンビニエンスストアで店長を務めているマスク姿の女性の写真や勤務先の店名とともに「咳をして態度も悪い。暴言を吐いた」「この店には絶対行かないように。拡散してください」「自分はコロナ感染者だと言って、近寄って来た」といったような内容の中傷がX (旧Twitter)に投稿されました。あたかも新型コロナウイルスに感染しているかのようなデマを拡散された女性は、ストレスにより休職を余儀なくされました。なお、事態を重く受け止めたオーナーは警察に相談しています。さらに後に行われた裁判では投稿者は有罪判決を受けています。
SNSでの迷惑行為を防ぐ3つの対策方法
ここからは悪質なSNSでの迷惑行為をどう防いだらよいか、対策方法について解説します。被害にあってから事態を収束させるのは大変です。食品関連事業や飲食店でなければ安全とは限りません。できるだけ早めの対策が肝心です。
1|過去の事例から防止策を検討する
幸か不幸かSNSの炎上事例に関して社会にはすでにいくつもの事例があります。その事例から自社でも起こりうる迷惑行為を予測して対策を検討しましょう。具体的な対策は店舗型ビジネスか、その他のビジネス形態かなどにより異なるので、できるだけ自社と類似した企業の事例を調べて参考にする方が合理的です。さらに、迷惑行為だけではなく企業の発信活動が原因となった炎上事例も参考にすると、アンチを生まない発信活動に役立ちます。
2|禁止事項のガイドラインを策定する
手軽かつ有効な対策として、店内に禁止事項のガイドラインを表記した張り紙などを掲示しておくという方法があります。例えば、飲食店であれば「客席を故意に汚すような召し上がり方」「大声を出す、行動スペースを多くとるなどの迷惑行為」「卑猥な言葉や行動、服を脱ぐ行為」をしないよう禁止事項や注意事項を記載します。「無断撮影」「ライブ配信」の禁止は飲食店のみならずコンビニやスーパー、デパートなどでも応用可能でしょう。さらに迷惑行為が発覚した際の対応も記載しておくと効果的です。
3|防犯カメラ・AIカメラシステムを導入する
多少コストはかかりますが、防犯カメラやAIカメラの設置も効果的です。常に見られていることを認識させることで迷惑行為がしづらい状況が生まれます。一般の優良な顧客に対して申し訳なくもありますが、迷惑行為を阻止することは顧客の利益を守ることにもなります。迷惑行為が増加している昨今では「カメラが設置されている店=より安全で安心できる」と捉える顧客も少なくないでしょう。炎上リスクの大きさや世間の迷惑行為に対する嫌悪感を加味すれば検討の価値は十分あります。
なお、炎上の実例や防止策については以下の記事でも解説しています。
関連記事:企業のSNSアカウントが炎上する理由とリスク回避の対策とは
SNSで迷惑行為を受けたときの対処法
SNSの迷惑行為を防ぐ対策を講じても、なお迷惑行為を受けてしまうこともあり得ます。万が一の場合に備えて、迷惑行為を受けたときの対処法も考えておきましょう。以下に解説するような方法をぜひ参考にしてみてください。
クライシスマネジメントに沿った対応を行う
事前にCMP(クライシスマネジメントプラン)を作成しておき、万が一の事態が生じたら、プランに沿って行動します。リスクマネジメントは危機が発生しないように対策することを指すのに対して、クライシスマネジメントは危機が発生したときの対応を管理することを指します。経営に損害を与えかねない予想外の事態が起きた場合を想定し、初期対応から復旧までの対応を事前に検討して具体的な手順を立てておくことでなるべく早く平常時の状態に戻せるように導きます。どの部署がどう動くかなどなるべく詳細にプランを作成したら実際にリハーサルも行いましょう。
警察への通報や法律に準じた対応を行う
迷惑行為は内容によっては犯罪に該当し、法的処置によって刑罰が科されることもあります。営業行為を妨害したときは業務妨害罪、デマなどを拡散したときは名誉棄損罪と侮辱罪など犯罪行為に当たる可能性があります。迷惑行為を受けて事態を重く見た場合、まずは警察へ連絡して相談するのが一般的な対応です。誰が迷惑行為を行っているのか個人を特定できないときはSNS管理者やプロバイダに発信者情報の開示請求を行うこともできます。また、民事訴訟を起こすことで損害賠償や名誉回復措置などを要求できる可能性があります。
.SNSにおける迷惑行為の被害を抑えるには早期発見が重要
ここまでSNSの迷惑行為の対策を解説してきましたが、実際には利用客による迷惑行為を完全に防ぐのは難しいといわれています。実は炎上リスクが潜む場面はSNSとして広く認知されているX (旧Twitter)やInstagramだけではなく、Q&Aフォーラムサイトや匿名掲示板、ブログサービスなど驚くほど広範囲に及んでいるのです。リスクを最小限に抑えるには火種が小さいうちに早期発見することが重要です。その手段として、さまざまなソーシャルメディアの投稿を監視してくれるソーシャルリスニングツールの活用があります。日々投稿される炎上の種、顧客の不満などを素早く拾い上げ、拡散する前の対応ができます。
SNS監視の詳細については以下の記事でも解説しています。
関連記事:SNS監視の重要性と具体的な4つの方法・炎上対策や対処法も解説
SNSにおける迷惑行為の対策には「Buzz Finder」
ソーシャルリスニングツールの「Buzz Finder」は炎上対策に有用なさまざまな機能を備えています。風評被害や炎上によりツイート数が急増した場合、システムが自動的に異変を検出して電子メールで通知してくれます。また、急増時のツイート本文一覧を画面表示もしくはCSV出力することにより、正確な状況分析と迅速な対策が可能になります。さらに、企業やブランドに対する消費者の反応を自動でサマリーしてメールで知らせてくれるので、毎日の動向を手間なく把握できます。X (旧Twitter)はもちろん、企業の要望に応じてニュース、掲示板、Facebook、Instagram等、メディア投稿の収集・分析をサポートするツールです。
まとめ
この記事ではSNSの迷惑行為の現状と対策について解説しました。SNSがこれほど普及し、顧客の価値観や行動様式も多様な現代では、他社の炎上事例は決して他人事ではありません。明確な悪意のある迷惑行為にまでは至らずとも、誰もが自由に書き込むことができるSNS及びインターネット上では常に小さな火種が発生しているといっても過言ではないでしょう。今すぐ始められる対策の1つとして、ソーシャルリスニングツール「Buzz Finder」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Buzz Finderの詳しい情報はこちら
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