2021/06/21

ビジュアルIVR

コールセンターの応答率とは?その定義と主な改善策

コールセンターのKPIの一つとして応答率があげられます。顧客満足度を改善していくうえでも、応答率を上げていくことは重要な課題といえるでしょう。そこで、この記事では、応答率の定義や調査方法などの基本情報と、改善するための対策事例やコールセンターが抱えがちな問題などについて解説していきます。

そもそも応答率とは何か?

応答率は、コールセンターにおいて重要なKPIの一つです。KPIはKey Performance Indicatorを略した言葉で、重要業績評価指標という意味になります。最終的な目標数値のことをKGIといいますが、KPIは目標を達成するために重要なプロセス目標数値のことです。わかりやすくいえば、目標を達成するために必要な数値と考えればいいでしょう。

応答率の意味

コールセンターにおける目標達成とは「顧客満足度の向上」と考えることができます。コールセンターは、顧客が何らかの疑問や不満などの解決を求めて利用するものです。そのため、応答率が低ければ、それだけ解決できていない顧客が多いということになります。つまり、応答率はそのまま顧客満足度につながることがわかります。コールセンターの応答率を知ることは、顧客満足度をアップするために必要不可欠といえるでしょう。

応答率の定義とは?

応答率とは、電話の着信数に対してオペレーターが対応できた割合のことです。この割合は、オペレーターの人数が多ければ高くなるということではありません。着信数に対して確実に対応できたときだけがカウントされるため、対応可能なオペレーターがどれだけいるかが重要になってきます。例えば、離席しているオペレーターが多いなど実際には対応できないオペレーターが多ければ、応答率は低くなります。正しい応答率を知るには、顧客の電話に対応できた数値を正確に出すことが必要です。

応答率の調査方法

応答率は「応答数÷着信数×100」の計算式で出すことができます。顧客からの着信数は、時間帯によって変化するのが一般的です。そのため、通常は1時間単位で応答率を出していくことが多くなります。顧客が「つながりやすい」と感じ、オペレーター側も「対応できている」と感じるには応答率が90%を超えていることが理想的です。しかし、1日の平均で応答率を見てはいけません。例えば、着信数が少ない時間帯がほぼ100%で、着信が多い時間帯が80%程度の場合、平均で90%になるという考え方はやや危険です。

応答率の目標設定

応答率の目標は、企業の場合であれば90%で設定される傾向が高いといえます。前述したように、90%は顧客がつながりやすいと感じる割合です。ただし、実際にどれくらいの応答率を目標にするかは緊急性を重視したほうがいいでしょう。例えば、病院などの場合は応答率が高いことが必須で、時間帯に関係なく100%であることが望ましくなります。しかし、目標を高くすれば、その分コストがかかりやすいのも事実です。

応答率だけではない!コールセンターのKPI項目

コールセンターの質を上げるために重視したいのは、応答率だけではありません。他にもコールセンターに求められることはあります。では、コールセンターのKPIには応答率以外にどのようなものがあるのか解説していきます。

応対品質

応対品質とは、顧客に対するオペレーターの品質のことです。コールセンターの電話がつながればそれでいいということにはなりません。顧客からしてみれば、電話がつながるだけでなく問題を解決できることが重要です。そればかりか、オペレーターの対応次第では企業への不信感や不満が増える可能性も出てきます。適切な言葉選びができることはもちろん、顧客が求めていることへの正しい理解、適切な解決方法への誘導が求められます。

評価基準NPS

NPSとは、「Net Promoter Score」を略した言葉で、顧客満足度や顧客ロイヤルティを測る手段の一つです。顧客ロイヤリティとは企業のブランド力を指すもので、わかりやすくいえば魅力や愛着などのことをいいます。顧客満足度を上げることも大切ですが、企業そのものに魅力を感じてもらうことも重要な課題です。NPSを知るには、アンケートを実施する方法が一般的です。

放棄呼率・放棄率

電話につながったものの、問題解決に至る前に顧客が切ってしまうことを放棄呼率または放棄率と呼びます。放棄呼率・放棄率が多いと、応答率がどんなに高くても顧客満足度も高いとはいえません。コールセンターの役割は、顧客の疑問や不満を解決することです。いくら電話がつながる状態にあっても、肝心の解決につながらなければ、返って顧客の不満を増やすことになります。また、放棄呼率・放棄率が高くなると、口コミや評判での企業イメージが下がる恐れも出てきます。

応答率に影響も!コールセンターが抱える課題

応答率を上げるには、ただオペレーターの人数を増やすだけでは解決できません。さまざまな要因を解決していく必要があります。では、どのような課題をかかえがちなのか主なものを紹介していきます。

スーパーバイザーの資質

スーパーバイザーとは、コールセンターの管理を行う人です。コールセンターにおけるスーパーバイザーの役割は大きく、オペレーターの指導から現場の管理、さらに顧客の応対まで含まれます。オペレーターの指導と現場管理はもっとも重要な役割で、それによって応答率を上げることはもちろん、応対品質にも影響が出てきます。オペレーターの育成では新人の教育からケア、勤怠管理やシフト作成まで幅広くこなさなければなりません。

例えば、顧客からの不満を受けたオペレーターのモチベーション維持にあたるのもスーパーバイザーの仕事の一つです。コールセンター内での人間関係の調整や他の部署との調整なども行いながら、品質管理や生産性も管理していきます。つまり、スーパーバイザーはコールセンターにとって大きな存在であり、それだけ資質が問われる存在です。どのような人材をスーパーバイザーとして配置するかで、コールセンターの質と顧客満足度が上がるかどうかも変わってきます。

オペレーターの後処理業務

後処理業務とは、顧客からの電話を切った後で内容を記録するなどの事務作業のことです。この作業を怠ってしまうと、次回同じ顧客から電話を受けた際、前回の問題がまったく伝わっていないなどの不満が出る恐れもあります。しかし、丁寧で細かく記録することだけが良いとはいえません。後処理業務に時間を取られすぎてしまうと応答率を下げる要因にもなります。応答率も顧客満足度も上げるには、限られた時間の中でどれだけ後処理業務をきちんとできるかが重要になってきます。

コールセンターの稼働時間

コールセンターの稼働時間が長ければ、それだけ多くの顧客に対応することは可能です。しかし、コールセンターの稼働時間が平日の朝9時〜夕方6時までだった場合、その間仕事をしている人にとってつながりにくいことになります。お昼休みを利用してかけるにしても、通常は混みやすい時間帯です。結果として応答率を下げることになるでしょう。夜間も稼働するなど、コールセンターの稼働時間は、長いほうが良いと考えることもできますが、その分コストがかかるという課題も出てきます。

応答率を改善する対策事例

応答率を上げていくには、問題を洗い出して改善していくしかありません。では、具体的にどのような対策が取れば良いのか事例をあげていきます。

レポートによる分析

まずはレポートによる分析です。統計レポートを活用し、月別日別、時間別などの応答率を見ていきましょう。レポートをチェックするのは、自社のコールセンターの状況を判断するために重要なことです。しかし、レポートが出るまでには時間がかかり、瞬時の状況を把握できるわけではありません。そのため、実際に改善につなげるには時間差が出るのがややデメリットといえます。また、実際の応対品質など細かい内容について知ることは難しく、あくまで分析する手段の一つという位置づけになります。

問合せが多い課題の対応

顧客からの問い合わせが多い項目については、何らかの対応策を取る必要があります。例えば、FAQとしてWebサイトにまとめるのもその一つです。顧客が自分で調べて問題解決を図ることができれば、コールセンターに電話で問い合わせをせずに済みます。ただし、誰が見ても見やすいものでなければなりません。例えば、一般の人にはわからないような専門用語を多用した説明はかえって混乱を招き、ストレスを誘発することもあります。また、類似した問題でも結果的には解決できないことも出てきます。

FAQへ適切に誘導する

FAQはただ用意すればいいということではありません。実際に活用してもらうことで役割を果たします。FAQは、誰が見てもわかりやすい位置に配置されていることが理想的です。見づらい文字で誘導されていると見落とすこともあります。画面中を目で追ったり、さまざまなページを見たりしないと辿り着けないFAQは顧客にストレスを与えるだけです。また、リンクが外れていると結局何の解決にもなりません。見やすい場所にあるか、最新の情報で更新されているか、リンクが外れていないかといったことを常に注意しておく必要があります。

つながりやすい時間帯のアナウンス

電話がつながりやすい時間帯や曜日をWebサイトなどでアナウンスする方法です。実際にはその日によって混み合い方は変わりますし、必ずつながるとはいえませんが、顧客にとって一つの目安にすることはできます。ただし、誰もが同じ時間帯にかけることになれば、結果としてどの時間帯もつながりにくいという状況になる恐れも出てきます。

折り返し連絡受付

オペレーターにつながらなったときや、最終的な解決に至らなかったときに折り返し連絡をしましょう。すぐに解決することは難しい場合もありますが、顧客の不満を解消につなげることは可能です。少なくとも、問題が解決できないままという事態を防ぐことはできます。

対応時間を延長する

ややコストはかかりますが、コールセンターでの対応時間を延長する方法です。例えば、夕方6時までだった時間を夜の8時まで延ばすだけでも、十分効果は得られるでしょう。仕事が終わった後で電話をかけられる顧客が増えることも想定されます。または、週末など休日の対応を増やすのも一つの方法です。

スピーディーな対応と後処理

後処理などの事務的な作業も含め、オペレーター一人ひとりのスピーディーな対応と処理を行うことは、もっとも望ましいといえるでしょう。そのためには、業務に必要な知識をしっかり吸収しておく必要があります。同時に、教育と管理を行うスーパーバイザーの役割も大きなものになってきます。

デジタル技術を使用した改善策

コールセンターの応答率を上げる以外に、デジタル技術によって顧客満足度を上げることも可能です。では、どのような改善策があるのか例をあげてみましょう。

全項目に共通した改善項目

まずは、さまざま項目に共通して対応可能な改善項目です。

自己解決型ユーザーの増加

自己解決型とは、オペレーターを通すことなく電話の音声ガイダンスだけで顧客自身が解決できる手段をいいます。例えば、宅配の再配達などが該当します。不在票に書かれた電話番号にかけることで、配達日時などを顧客が番号だけで選べるサービスです。それによって、顧客はオペレーターとの会話をせずに自分の要望を解決することができます。このように、音声ガイダンスの利用で自己解決型ユーザーを増やしていけば、応答率の改善につながります。

Webで24時間365日対応

Webサイトを利用するのも有効な改善方法です。Webサイトなら24時間365日対応が可能なうえに、なかなか時間が取りにくい顧客にも対応できます。顧客が知りたいときにすぐ解決することは難しいですが、その場で疑問や不満をぶつけることは可能です。

サービス機能に応じた改善策

次に、サービス機能に応じた改善策を見ていきましょう。

IVR(自動音声応答装置)

IVRとは自動音声応答装置で、「Interactive Voice Response」の略です。これは、顧客をプッシュボタンや音声で誘導し、用件に合ったオペレーターにつないでいく方法で、コールセンターでは良く用いられています。IVRは、顧客をひたすら待たせてしまうことを回避でき、さらに用件に応じたオペレーターに誘導できるのがメリットです。

ビジュアルIVRの導入

ビジュアルIVRとは、IVRをビジュアル化したもので、Webサイトやスマートフォンのアプリを活用します。顧客は、Webサイトやアプリの画面に表示されたメニューを選択し、自分で問題解決を導くことが可能です。例えば、チャットボットやFAQページへの誘導などがその一つで、コールセンターがつながらないときの解決策として有効といえます。

チャットボットでの対応

チャットボットは、スマートフォンやWebサイトに表示されるチャット画面のことで、AIによって応答が行われます。顧客に知りたいことを文字で打ってもらい、AIが直接回答したり適切なサイトに促したりするツールです。コールセンターがつながらない時間帯でも、簡単な疑問やサイト内で解決できそうなことであれば誘導することができます。

応答率を上げることは顧客満足度を上げるうえで欠かせない重要課題

コールセンターの応答率を上げることは、顧客満足度を上げるうえで欠かすことができません。しかし、ただ応答率が高いだけでも、肝心の質が低下すれば顧客満足度はおろか企業イメージも下げることになります。レポートの分析やデジタルツールの活用など、さまざまな改善策を考えながら応答率の改善と顧客満足度を図っていくことが望ましいといえます。