更新日:2023/08/24(公開日:2021/06/21)
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コールセンターの応答率とは?計算方法と改善策を紹介
コールセンターのKPIの一つとして応答率があげられます。顧客満足度を改善していくうえでも、応答率を上げていくことは重要な課題といえるでしょう。そこで、この記事では、応答率の定義や調査方法・計算方法などの基本情報と、改善するための対策事例やコールセンターが抱えがちな問題などについて解説していきます。
- コールセンターの応答率とは、電話の着信数に対してオペレーターが対応できた割合のことで、重要なKPIの一つ
- 応答率は「応答数÷着信数×100」の計算式で出すことができ、90%以上を目標とすることが多い
- 応答率やそのほかの課題を解決するには、オペレーションの分析や改善、デジタル技術を活用する方法などがある
- ビジュアルIVRやアンケートフォームの活用は、応答率の向上やサービス満足度向上に効果的
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そもそもコールセンターの応答率とは何か?
応答率は、コールセンターにおいて重要なKPIの一つです。KPIはKey Performance Indicatorを略した言葉で、重要業績評価指標という意味になります。最終的な目標数値のことをKGIといいますが、KPIは目標を達成するために重要なプロセス目標数値のことです。わかりやすくいえば、目標を達成するために必要な数値と考えればいいでしょう。
応答率の意味
コールセンターにおける目標達成とは「顧客満足度の向上」と考えることができます。コールセンターは、顧客が何らかの疑問や不満などの解決を求めて利用するものです。そのため、応答率が低ければ、それだけ解決できていない顧客が多いということになります。つまり、応答率はそのまま顧客満足度につながることがわかります。コールセンターの応答率を知ることは、顧客満足度をアップするために必要不可欠といえるでしょう。
応答率の定義とは?
応答率とは、電話の着信数に対してオペレーターが対応できた割合のことです。この割合は、オペレーターの人数が多ければ高くなるということではありません。着信数に対して確実に対応できたときだけがカウントされるため、対応可能なオペレーターがどれだけいるかが重要になってきます。例えば、離席しているオペレーターが多いなど実際には対応できないオペレーターが多ければ、応答率は低くなります。正しい応答率を知るには、顧客の電話に対応できた数値を正確に出すことが必要です。
応答率とサービスレベルの違いとは?
応答率と混同しやすい言葉としてサービスレベルがあります。サービスレベルとは、設定した時間内に電話に応答できた割合のことです。一定の時間内に、どれだけ応答できたかを表します。
サービスレベルが応答率と異なるのは、応答するまでの時間に制限があるという点です。つまり、応答率は時間に関係なく応答すればカウントされますが、サービスレベルは時間内に応答できなければカウントされません。
どちらも電話のつながりやすさを表す指標ですが、まず優先すべきは応答率の改善です。
コールセンターの応答率の調査方法と計算方法
応答率は「応答数÷着信数×100」の計算式で出すことができます。顧客からの着信数は、時間帯によって変化するのが一般的です。そのため、通常は1時間単位で応答率を出していくことが多くなります。顧客が「つながりやすい」と感じ、オペレーター側も「対応できている」と感じるには応答率が90%を超えていることが理想的です。しかし、1日の平均で応答率を見てはいけません。例えば、着信数が少ない時間帯がほぼ100%で、着信が多い時間帯が80%程度の場合、平均で90%になるという考え方はやや危険です。
コールセンターの応答率の目安と目標設定
応答率の目標は、企業の場合であれば90%で設定される傾向が高いといえます。前述したように、90%は顧客がつながりやすいと感じる割合です。ただし、実際にどれくらいの応答率を目標にするかは緊急性を重視したほうがいいでしょう。例えば、病院などの場合は応答率が高いことが必須で、時間帯に関係なく100%であることが望ましくなります。しかし、目標を高くすれば、その分コストがかかりやすいのも事実です。
80〜89%の応答率は、コストと応答率のバランスが取れた状態と言えます。しかし、顧客からつながりにくいと不満が出始めることもあり、サービス品質としてはギリギリの状態です。安定させるために、システム導入などの改善が必要かもしれません。
応答率が79%以下になると、オペレーター不足で業務が回っておらず、改善が必要な状態といえます。顧客からのクレームが増え、満足度の低下に直結します。また、オペレーターの業務負荷が高くなることで離職につながりやすくなるでしょう。
応答率だけではない!コールセンターのKPI項目
コールセンターの質を上げるために重視したいのは、応答率だけではありません。他にもコールセンターに求められることはあります。では、コールセンターのKPIには応答率以外にどのようなものがあるのか解説していきます。
応対品質
応対品質とは、顧客に対するオペレーターの品質のことです。コールセンターの電話がつながればそれでいいということにはなりません。顧客からしてみれば、電話がつながるだけでなく問題を解決できることが重要です。そればかりか、オペレーターの対応次第では企業への不信感や不満が増える可能性も出てきます。適切な言葉選びができることはもちろん、顧客が求めていることへの正しい理解、適切な解決方法への誘導が求められます。
評価基準NPS
NPSとは、「Net Promoter Score」を略した言葉で、顧客満足度や顧客ロイヤルティを測る手段の一つです。顧客ロイヤリティとは企業のブランド力を指すもので、わかりやすくいえば魅力や愛着などのことをいいます。顧客満足度を上げることも大切ですが、企業そのものに魅力を感じてもらうことも重要な課題です。NPSを知るには、アンケートを実施する方法が一般的です。
放棄呼率・放棄率
電話につながったものの、問題解決に至る前に顧客が切ってしまうことを放棄呼率または放棄率と呼びます。放棄呼率・放棄率が多いと、応答率がどんなに高くても顧客満足度も高いとはいえません。コールセンターの役割は、顧客の疑問や不満を解決することです。いくら電話がつながる状態にあっても、肝心の解決につながらなければ、返って顧客の不満を増やすことになります。また、放棄呼率・放棄率が高くなると、口コミや評判での企業イメージが下がる恐れも出てきます。
放棄呼率について詳しくはこちらの記事をご参考にしてください。
応答率に影響も!コールセンターが抱える課題
応答率を上げるには、ただオペレーターの人数を増やすだけでは解決できません。さまざまな要因を解決していく必要があります。では、どのような課題をかかえがちなのか主なものを紹介していきます。
スーパーバイザーの資質
スーパーバイザーとは、コールセンターの管理を行う人です。コールセンターにおけるスーパーバイザーの役割は大きく、オペレーターの指導から現場の管理、さらに顧客の応対まで含まれます。オペレーターの指導と現場管理はもっとも重要な役割で、それによって応答率を上げることはもちろん、応対品質にも影響が出てきます。オペレーターの育成では新人の教育からケア、勤怠管理やシフト作成まで幅広くこなさなければなりません。
例えば、顧客からの不満を受けたオペレーターのモチベーション維持にあたるのもスーパーバイザーの仕事の一つです。コールセンター内での人間関係の調整や他の部署との調整なども行いながら、品質管理や生産性も管理していきます。つまり、スーパーバイザーはコールセンターにとって大きな存在であり、それだけ資質が問われる存在です。どのような人材をスーパーバイザーとして配置するかで、コールセンターの質と顧客満足度が上がるかどうかも変わってきます。
大量の入電がある
想定を超える量の入電がある場合、現状のコールセンターの体制では対応しきれずに応答率の低下につながります。たとえば新商品発売やCM放送、イベントなどの影響で一時的に入電数が急増すると、通常のオペレーターの数では対応しきれません。
突発的なトラブルなどの場合は対応が難しいですが、事前に予測できる場合はあらかじめオペレーターを増やすなどの対策をしておくべきです。また、通常時でもオペレーター数に対して入電数が大きく上回っている場合は、人員の追加を検討しましょう。
平均通話時間(ATT)が長い
ATTとは「Average Talk Time」の略で、1件あたりの平均通話時間のことです。ATTが長いと、その分対応できる顧客数が少なくなるため応答率が低くなります。問題解決に時間がかかればかかるほどATTは長くなるため、マニュアルを見直して対応の無駄な部分や曖昧な部分を排除することが効果的です。また、会話内容を分析して不要な部分を改善する方法もあります。
ただし、単純にATTを短くすることだけを目標にすると顧客満足度が下がる可能性があります。サービス品質は維持した上で、なるべくATTを短縮することを目指しましょう。
オペレーターの後処理業務
後処理業務とは、顧客からの電話を切った後で内容を記録するなどの事務作業のことです。この作業を怠ってしまうと、次回同じ顧客から電話を受けた際、前回の問題がまったく伝わっていないなどの不満が出る恐れもあります。しかし、丁寧で細かく記録することだけが良いとはいえません。後処理業務に時間を取られすぎてしまうと応答率を下げる要因にもなります。応答率も顧客満足度も上げるには、限られた時間の中でどれだけ後処理業務をきちんとできるかが重要になってきます。
コールセンターの稼働時間
コールセンターの稼働時間が長ければ、それだけ多くの顧客に対応することは可能です。しかし、コールセンターの稼働時間が平日の朝9時〜夕方6時までだった場合、その間仕事をしている人にとってつながりにくいことになります。お昼休みを利用してかけるにしても、通常は混みやすい時間帯です。結果として応答率を下げることになるでしょう。夜間も稼働するなど、コールセンターの稼働時間は、長いほうが良いと考えることもできますが、その分コストがかかるという課題も出てきます。
応答率を改善する対策事例
応答率を上げていくには、問題を洗い出して改善していくしかありません。では、具体的にどのような対策が取れば良いのか事例をあげていきます。
レポートによる分析
まずはレポートによる分析です。統計レポートを活用し、月別日別、時間別などの応答率を見ていきましょう。レポートをチェックするのは、自社のコールセンターの状況を判断するために重要なことです。しかし、レポートが出るまでには時間がかかり、瞬時の状況を把握できるわけではありません。そのため、実際に改善につなげるには時間差が出るのがややデメリットといえます。また、実際の応対品質など細かい内容について知ることは難しく、あくまで分析する手段の一つという位置づけになります。
問い合わせが多い課題の対応
顧客からの問い合わせが多い項目については、何らかの対応策を取る必要があります。例えば、FAQとしてWebサイトにまとめるのもその一つです。顧客が自分で調べて問題解決を図ることができれば、コールセンターに電話で問い合わせをせずに済みます。ただし、誰が見ても見やすいものでなければなりません。例えば、一般の人にはわからないような専門用語を多用した説明はかえって混乱を招き、ストレスを誘発することもあります。また、類似した問題でも結果的には解決できないことも出てきます。
FAQへ適切に誘導する
FAQはただ用意すればいいということではありません。実際に活用してもらうことで役割を果たします。FAQは、誰が見てもわかりやすい位置に配置されていることが理想的です。見づらい文字で誘導されていると見落とすこともあります。画面中を目で追ったり、さまざまなページを見たりしないと辿り着けないFAQは顧客にストレスを与えるだけです。また、リンクが外れていると結局何の解決にもなりません。見やすい場所にあるか、最新の情報で更新されているか、リンクが外れていないかといったことを常に注意しておく必要があります。
FAQについて詳しくはこちらの記事をご参考にしてください。
つながりやすい時間帯のアナウンス
電話がつながりやすい時間帯や曜日をWebサイトなどでアナウンスする方法です。実際にはその日によって混み合い方は変わりますし、必ずつながるとはいえませんが、顧客にとって一つの目安にすることはできます。ただし、誰もが同じ時間帯にかけることになれば、結果としてどの時間帯もつながりにくいという状況になる恐れも出てきます。
折り返し連絡受付
オペレーターにつながらなかったときや、最終的な解決に至らなかったときに折り返し連絡をしましょう。すぐに解決することは難しい場合もありますが、顧客の不満を解消につなげることは可能です。少なくとも、問題が解決できないままという事態を防ぐことはできます。
NTTコム オンラインが提供する「モバイルウェブ アンケートフォーム」では、コールバックのフォームを作成することができます。電話対応が混雑している際にSMSなどを通じてコールバック予約のWebフォームURLを送信し、折り返しの連絡先や希望時間などを入力してもらいます。効率的に折り返し連絡ができることで、顧客のストレス軽減が期待できます。
コールバックについて詳しくはこちらの記事をご参考にしてください。
対応時間を延長する
ややコストはかかりますが、コールセンターでの対応時間を延長する方法です。例えば、夕方6時までだった時間を夜の8時まで延ばすだけでも、十分効果は得られるでしょう。仕事が終わった後で電話をかけられる顧客が増えることも想定されます。または、週末など休日の対応を増やすのも一つの方法です。
スピーディーな対応と後処理
後処理などの事務的な作業も含め、オペレーター一人ひとりのスピーディーな対応と処理を行うことは、もっとも望ましいといえるでしょう。そのためには、業務に必要な知識をしっかり吸収しておく必要があります。同時に、教育と管理を行うスーパーバイザーの役割も大きなものになってきます。
デジタル技術を活用した改善策
コールセンターの応答率を上げる以外に、デジタル技術によって顧客満足度を上げることも可能です。では、どのような改善策があるのか例をあげてみましょう。
全項目に共通した改善項目
まずは、さまざま項目に共通して対応可能な改善項目です。
自己解決型ユーザーの増加
自己解決型とは、オペレーターを通すことなく電話の音声ガイダンスだけで顧客自身が解決できる手段をいいます。例えば、宅配の再配達などが該当します。不在票に書かれた電話番号にかけることで、配達日時などを顧客が番号だけで選べるサービスです。それによって、顧客はオペレーターとの会話をせずに自分の要望を解決することができます。このように、音声ガイダンスの利用で自己解決型ユーザーを増やしていけば、応答率の改善につながります。
Webで24時間365日対応
Webサイトを利用するのも有効な改善方法です。Webサイトなら24時間365日対応が可能なうえに、なかなか時間が取りにくい顧客にも対応できます。顧客が知りたいときにすぐ解決することは難しいですが、その場で疑問や不満をぶつけることは可能です。
サービス機能に応じた改善策
次に、サービス機能に応じた改善策を見ていきましょう。
IVR(自動音声応答装置)
IVRとは自動音声応答装置で、「Interactive Voice Response」の略です。これは、顧客をプッシュボタンや音声で誘導し、用件に合ったオペレーターにつないでいく方法で、コールセンターでは良く用いられています。IVRは、顧客をひたすら待たせてしまうことを回避でき、さらに用件に応じたオペレーターに誘導できるのがメリットです。
ビジュアルIVRの導入
ビジュアルIVRとは、IVRをビジュアル化したもので、Webサイトやスマートフォンのアプリを活用します。顧客は、Webサイトやアプリの画面に表示されたメニューを選択し、自分で問題解決を導くことが可能です。例えば、チャットボットやFAQページへの誘導などがその一つで、コールセンターがつながらないときの解決策として有効といえます。
NTTコム オンラインが提供する「ビジュアルIVR」は、SMSを用いてお客様へビジュアルIVRのURLを含むメッセージを送信します。お客様はURLをタップするだけでWebサイトが表示され、希望のメニューを選択することが可能です。
ビジュアルIVRの画面は、コールセンターの特徴に応じて自由に設計できるため、ブランドイメージに合わせて作成できます。ページアクセス数を確認する機能や、コールバックフォームやメールフォーム、アンケートフォームも作成する機能も搭載されており、さまざまな用途で活用できることもメリットです。
チャットボットでの対応
チャットボットは、スマートフォンやWebサイトに表示されるチャット画面のことで、AIによって応答が行われます。顧客に知りたいことを文字で打ってもらい、AIが直接回答したり適切なサイトに促したりするツールです。コールセンターがつながらない時間帯でも、簡単な疑問やサイト内で解決できそうなことであれば誘導することができます。
応答率を改善した事例
株式会社 HRC は「理想の姿を叶える」というミッションのもと、バストケア商材を中心とした美容商材の通販事業を軸とする企業です。同社は売上拡大に伴いコンタクトセンターへの入電数が倍増したことにより、応答率の低下や業務の圧迫という深刻な課題を抱えていました。
そこで、NTTコム オンラインの「ビジュアルIVR」を導入することで応答率の向上とお客様がスムーズに問題を解決できる状態を目指しました。入電の一部をビジュアルIVRに誘導し、導入3ヶ月後には電話からの遷移率は約19%、うち約56%のお客様がWebで自己解決できる状態に。同時に、低下していた応答率の回復にも成功しました。
現在は入電数を減らしながら、注文や解約といった重要な場面ではオペレーターが対応してアップクロス、解約抑止、継続促進などに注力しています。今後は応答率95%を目指し、さらにビジュアルIVRを活用していく予定です。
応答率を上げることは顧客満足度を上げるうえで欠かせない重要課題
コールセンターの応答率を上げることは、顧客満足度を上げるうえで欠かすことができません。しかし、ただ応答率が高いだけでも、肝心の質が低下すれば顧客満足度はおろか企業イメージも下げることになります。レポートの分析やデジタルツールの活用など、さまざまな改善策を考えながら応答率の改善と顧客満足度を図っていくことが望ましいといえます。
NTTコム オンラインが提供する「ビジュアルIVR」は、電話でのお問い合わせをWebなどの最適なデジタルチャネルに誘導して、お客様自身で課題を解決できるコールセンター向けのサービスです。お客様の待ち時間とオペレーターの業務負荷を減らし、応答率を向上させることができます。
また、要件に応じたさまざまなフォームを作成し、コールバックの予約を受け付けることも可能です。コールセンターでのお客様満足度向上のために、ビジュアルIVRの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。