2023/01/27

ビジュアルIVR

コールセンターのKPIとは?KPIの重要性と種類をご紹介

コールセンター業務の目標達成に役立つ指標に「KPI」があります。KPIには多くの種類があり、項目毎に計測、改善することがコールセンター全体における業務改善につながります。

本記事では、コールセンターのKPIについて、定義や重要性、設定する際のポイントなどについて解説します。KPIの代表的な項目や計算式についても詳しく紹介するので、コールセンター業務の改善に向けてぜひお役立てください。

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KPIとは

KPI(Key Performance Indicator)とは、目標を達成するための過程を計測、評価する中間指標のことです。日本語で「重要業績評価指標」といい、企業やチームにおける最終的な目標達成の重要な要素を管理するために使われます。

現状を的確に把握し、ゴールまでの効率的な道筋が明確化されていないと、最終目標にたどり着くまでに時間がかかり、期限内の達成が難しくなってしまいます。KPIという指標を管理することで、課題を洗い出し、改善を通して目標達成へと導くことが可能です。

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KPIを管理する重要性

KPI管理は、課題解決や現状改善を通した目標達成を目指す上で重要な要素です。KPIは、具体化が難しい目標を掲げる際に特に効果を発揮します。コールセンターをはじめ、接客というジャンルでは、顧客満足度や対応品質の向上といった目標が中心です。

客観的な達成度を判別することが難しいこれらの指標に対して、KPIを用いることで数値化し、分析することで原因が明確化します。結果、改善に向けた具体的なアクションを考え、業務に取り入れることが可能になります。

KPIは、業務に取り組むスタッフとマネージャー側両方に対してメリットがあります。数字で定められた目標は、スタッフにとっては明確な目標として有用であり、管理者側は各スタッフのパフォーマンスを分析、評価する際の明確な基準や根拠として活用できます。

毎日多くの顧客とスタッフが入れ替わるコールセンターのような現場では、全体における課題が表面化しないケースも少なくありません。時間が経ってから、顧客満足度の低下や応答率の悪化といった大きな問題が発生し、対処を迫られることになる前に、細かな課題を明らかにし、改善策を取るためにもKPI管理が重要です。

コールセンターでのKPIの4つのカテゴリー

コールセンターで用いられるKPIは、主に以下4つのカテゴリーに分けられます。

  • 顧客満足度
  • 応対品質
  • 生産性
  • マネジメント

顧客満足度は、スタッフの対応による顧客の満足度を測るKPIです。応答品質は、主に電話のつながりやすさやスタッフの応答時間といったサービスの品質を測るKPIを指します。

生産性は、対応スピードや効率による収益性を見るためのKPIで、マネジメントはオペレーターの管理や職場環境の健全性など、部署全体におけるKPIです。

業務内容に応じてKPIの種類や内容は変化しますが、基本的なコールセンターのKPI指標としては上記4つを使用し、それぞれのカテゴリーで細かくKPIを管理します。目標や方向性を考えつつ、必要なKPIを取捨選択して使用することが大切です。

顧客満足度に関する2つのKPI

顧客満足度に関するKPIとしては、顧客満足度(CS)の他に顧客推薦度(NPS)があります。

KPI項目 概要 計算式
顧客満足度(CS) オペレーターの応対に対する顧客満足の度合い -
顧客推奨度(NPS) 企業やブランドへの顧客の信頼度や愛着度 (推進者-誹謗者)÷全体数
表の続き →

各KPI項目の意味について、詳しく解説していきます。

顧客満足度(CS)

顧客満足度(CS/Customer Satisfaction)は、一般的に企業の商品やサービスに対する顧客満足の度合いを表す指標です。顧客満足度が高いサービスほど、リピーターを獲得しやすい傾向があります。

顧客満足度が悪化する原因には、電話のつながりやすさやオペレーターの対応品質などがあり、応対品質に関するKPIも関係しています。

顧客満足度は、計算式を使った数値ではなく、アンケート調査などを実施して独自の指標データを計測するのが一般的です。お客様の声を客観的にデータ化し、分析することでオペレーターの応対品質の向上につながります。

顧客推奨度(NPS)

顧客推奨度(NPS/Net Promoter Score)は、ネットプロモータースコアと呼ばれ、企業やブランドに対する顧客の信頼度や愛着度を示す指標です。「(推進者-誹謗者)÷全体数」の計算式で求められます。

企業やブランドに対して、どのくらい愛着や信頼があるか、他者へ推奨したいと感じているか、といった顧客ロイヤリティの度合いを数値化します。

顧客の不満や悩みから課題を見つけるための手段という意味では、先述の顧客満足度(CS)と同じですが、顧客推薦度の方が業績との相関性が高いとされ、顧客満足度調査の代わりに計測する企業が増加傾向にあります。

関連サービス:NPS®とは(ネットプロモータースコア)顧客満足度に変わる新指標 - NPSソリューション

応対品質に関する4つのKPI

コールセンターにおけるオペレーターの応対品質に関するKPIとしては、以下の4つが挙げられます。

KPI項目 概要 計算式
応答率 着信呼数に対する対応数(一部IVR対応も含む)の割合 対応件数 ÷ 着信総数 × 100
放棄率(放棄呼率) 着信呼数に対する放棄呼数の割合 放棄数 ÷ 着信総数 × 100
サービスレベル(SL) 着信呼数に対し、設定した時間内で応答できた呼数の割合 規定時間内につながった件数÷ 着信総数 × 100
一次解決率(FCR) 応答数に対し、顧客からの一度の入電で解決できた割合 1回の電話で解決したケースの総数 ÷ 着信総数 × 100
表の続き →

各KPI項目の意味を詳しく見ていきましょう。

応答率

応答率は、コールセンターにかかってくる着信に対してオペレーターが対応した割合のことです。電話がつながることはコールセンターの大前提であり、応答率は最も重要なKPIの1つとして使用されます。

応答率は、「対応件数 ÷ 着信総数 × 100」の計算式で算出します。例えば、着信件数が1,000件、対応件数が700件であれば、応答率は70%です。

応答率が低い場合、着信件数に対してオペレーター数が不足している状況を表します。ただ、テレビで取り上げられたなどで一時的に着信件数が増えたタイミングや、スタッフ1人あたりの対応件数が減ったときにも、応答率は下がります。改善には、応答率が下がっている時間帯の状況を把握、分析し、原因を明確にした上で対策を取り入れる必要があります。

関連記事:コールセンターの応答率とは?その定義と主な改善策

放棄率(放棄呼率)

放棄率(放棄呼率)は、アバンダンコールレートとも呼ばれ、コールセンター全体の着信数に対して、オペレーターが対応できなかった受電件数の割合です。「放棄数 ÷ 着信総数 × 100」という計算式で求められます。

先述の「応答率」と「放棄率」は対の関係にあるため、応答率が70%である場合、放棄率は自動的に30%と算出できます。

放棄数には、オペレーターにつながる前に電話が切れてしまったケースや、何らかの理由でシステムによって切断された着信も含まれます。放棄率が高い場合、入電の集中や1件あたりのスタッフの応対時間が長いといった原因が考えられます。電話がつながりやすいコールセンターの放棄率は低い傾向にあるため、現状を把握し、改善することで接続品質の向上につながります。

関連記事:放棄呼率を低くするには?コールセンターの悩みを解決!

サービスレベル(SL)

サービスレベル(SL/Service Level)とは、一定時間内にオペレーターが対応した着信の割合です。「設定時間内の対応件数 ÷ 着信総数 × 100」の計算式で算出できます。例えば、着信件数が1,000件、設定時間(20秒)以内の対応件数が800件の場合、着信から20秒以内のサービスレベルは80%です。

応答率同様に電話のつながりやすさを示すKPIとして重要です。多くの企業では、着信から20秒以内の対応を基準とし、その割合が80%以上を達成できるよう設定しています。

応答率とサービスレベルは比例する傾向があり、応答率の改善に取り組むことでサービスレベルの向上も期待できます。「オペレーターにつながるまでどのくらい待たせたか」というプロセスを管理、改善するためにはサービスレベルの測定が重要です。

一次解決率(FCR)

一次解決率(FCR/First Call Resolution)とは、1回の応対で問い合わせを解決できた割合のことです。コールセンターの着信総数に対して、転送やコールバックなしで顧客の問題を解決できたかを示します。「1回の電話で解決したケースの総数 ÷ 着信総数 × 100」の計算式で求められます。

一次解決率は、ビジネスの効率性や顧客満足度を示す指標としても扱われる重要な指標です。すべてのチャネルにおいて測定可能で、一度の返信で解決した電子メールや一度のセッションで解決したWebチャットなどが該当します。チャットボットやAIアプリケーションによって行われたセッションも含まれることがあります。

同じ問題について、何度も問い合わせしなければならない状態は、顧客にストレスを与え、満足度の低下を招きます。オペレーターのトレーニングやインセンティブ制の導入、顧客のニーズや期待値の管理といった対策を行い、一次解決率の向上に努めましょう。

生産性に関する6つのKPI

生産性に関しては、以下6つのKPIを使用して業務改善を図ることが可能です。

KPI項目 概要 計算式
稼働率 稼働時間のうち応対業務を行っている時間の割合 (応対時間 + 保留時間 + 後処理時間 + 待機時間)÷労働時間
平均処理時間(AHT) 1回の通話開始から後処理終了までに要した時間 (総通話時間 + 総後処理時間 + 総保留時間)÷ 着信総数
平均通話時間(ATT) 1コールあたりに要する通話時間の平均 総通話時間 ÷ 着信総数
平均応答速度(ASA) 着信から応答までにかかる時間の平均 総保留時間 ÷ 着信総数
平均後処理時間(ACW) 1コールあたりに要する後処理時間 合計後処理時間 ÷ 着信総数
コスト・パー・コール(CPC) 1コールあたりに要したコスト コール件数÷ コールセンター全経費
表の続き →

稼働率

稼働率とは、オペレーターの稼働時間内に、電話やメール、チャットなどの顧客の応対に費やした時間の割合です。給与が発生している勤務時間内に、どのくらいの割合を顧客対応に割いたかを表します。計算式は、「(応対時間 + 保留時間 + 後処理時間 + 待機時間)÷労働時間」が一般的です。

稼働率に含まれる時間は生産時間と呼ばれ、離席時間や研修、面談といった非生産時間と区別されますが、コールセンター全体における生産性向上のためには非生産時間も確保する必要があります。

稼働率が高いほど、オペレーターが効率的に顧客応対を行っていることを意味しますが、100%に近づくほど業務負担が増える点に注意が必要です。

平均処理時間(AHT)

平均処理時間(AHT/Average Handing Time)とは、1回の顧客の対応にかけた時間の平均値です。通話やチャットの返答、やり取りの後処理など、対応に費やした時間を表します。「(総通話時間 + 総後処理時間 + 総保留時間)÷ 着信総数」の計算式で算出できます。

業務内容にもよりますが、一般的には平均処理時間が短いほど、サービスレベルも上がる傾向があります。また、平均処理時間が短縮できるとスタッフ1人あたりの対応コール数が増えるため、人件費削減や生産性向上といった効果も期待できます。

平均通話時間(ATT)

平均通話時間(ATT/Average Talk Time)は、顧客との通話にかかった時間の平均値で、「総通話時間 ÷ 対応総数」の計算式で求められます。

平均処理時間(AHT)では、通話以外の後処理も含めますが、平均通話時間(ATT)は純粋な通話時間のみを考えます。平均通話時間を確保できれば、丁寧な対応がしやすいですが、対応可能な着信数が少なくなりやすいでしょう。逆に平均通話時間が短いと、対応が雑になり、顧客の問題解決という最大の目標を達成できていない可能性もあります。

応対品質と生産性を両立できるよう、バランスを考えて平均通話時間の目標を決めることが大切です。

平均応答速度(ASA)

平均応答速度(ASA/Average Speed of Answer)は、着信から応答までの時間の平均値で、「総保留時間 ÷ 着信総数」の計算式で算出できます。顧客が電話をかけ始めてから、どれだけ早く応答できたかを表します。お客様の待ち時間を示す指標であり、サービスレベルのプロセス指標として管理されることもあります。

平均応答速度が短いほど少ない待ち時間で応対できているといえます。数値が悪化している場合、着信数に対するオペレーター数が不足しているなどの原因が考えられます。

平均後処理時間(ACW)

平均後処理時間(ACW/After Call Work)とは、電話やWebチャットにおける顧客とのやり取りの後処理にかけた平均時間です。「後処理時間の合計 ÷ 対応件数」の計算式で求められます。業務効率化によって削減が期待できる数値です。

オペレーター業務では通常、通話終了後に対応履歴の記入などの後処理を行います。1回あたりの後処理に時間がかかると、対応件数が少なくなり、放棄率が増える可能性があります。目標よりも時間が費やしている場合は、マニュアル改善や後処理の内容改善を検討する必要があります。

コスト・パー・コール(CPC)

コスト・パー・コール(CPC/Cost Per Call)とは、1コールあたりの費用を表す指標で、経営指標として最も重要視されるKPIの1つです。費用には、人件費や通信費、家賃などを含めた総費用を使うのが一般的ですが、人件費のみを費用とする場合もあります。

費用の中でも大きな割合を占める人件費は、コストに大きく影響します。コスト・パー・コールが多い、あるいは増えている場合、数値改善のために、業務フローの見直しやシステム強化による処理時間の効率化、アウトソーシングなどの対策が必要です。

マネジメントに関する2つのKPI

コールセンター全体におけるマネジメントに関するKPIとしては、以下の2つが挙げられます。

KPI項目 概要 計算式
欠勤率 シフト日数に対して欠勤した割合 月の欠勤日数合計 ÷ シフト日数
離職率 一定期間において離職した従業員の割合 離職人数 ÷ 在籍人数
表の続き →

欠勤率

欠勤率とは、オペレーターの勤務予定日数に対する欠勤日数の割合のことで、「欠勤日数 ÷ 予定勤務日数」の計算式で求められます。早退や遅刻を含めた欠勤時間をカウントする場合もあります。

欠勤率が高い場合、オペレーターの心理的あるいは身体的な要因が考えられます。欠勤者がさらに増える前に、欠勤率悪化に対する早期の改善が必要です。個人に改善を要求するとストレスが増えて逆効果となる可能性があるため、欠勤者の理由や状況を把握した上で、センター全体における対策として取り組むことが重要です。

離職率

離職率とは、一定期間内に離職した従業員の割合を表す指標で、「離職者数÷労働者数」の計算式で算出できます。

離職率には、人材の流動性の向上や労働者人口の減少といった外的要因と、職場環境や業務内容、人事制度などの内的要因の両方が関係しています。外的要因に対する対策を行いながら、社内要因の改善を早急に取り入れる必要があるでしょう。

コールセンター業界は人手不足の傾向があり、離職率が高い企業もありますが、オペレーターが定着しやすく、離職率の低い職場環境を実現できることが理想です。従業員アンケートや360度評価、マンツーマン面談などを導入し、現場で働く従業員の意見をヒアリングしながら労働環境に反映させることができれば、従業員満足度の向上につながるでしょう。

KPIを設定する際のポイント

ここからは、KPIを設定する際のポイントを解説します。コールセンターに必要なKPIは、適切な活用ができてこそ効果が見込めます。目標達成に向けてKPIを有効活用するために参考にしてください。

目的を明確にする

コールセンターで管理すべきKPIは多数あるため、最初にKGI、目的を明確化した上で必要なKPIを設定することが重要です。コールセンターの最終的な目標を達成するためのKPI設定では、それぞれの相関関係も考える必要があります。

例えば、応答率の向上を最終目標として掲げる場合、放棄率の減少とともにサービスレベルの増加が必要です。サービスレベル増加には効率性の改善が不可欠であり、平均処理時間や平均応答速度、平均通話時間を短くする対策や、一時解決率や稼働率を高める対策も必要になります。

このように、複数のKPIの連動を考えながら、最終目標を達成するための数値を設定することが大切です。

優先順位をつける

効率よく最終目標を達成するためには、改善すべきKPIから手を付けることが重要です。一気にすべてのKPIを改善させようとすると、効果が分散してしまい、効率性が下がる可能性があります。

最終的な目標に近いKPIほど重要度が高いため、優先して取り組む項目として判断できます。
例えば、応答率の向上を最終目標とした場合、放棄数の減少またはサービスレベルの改善が挙げられます。

応答率の向上が見込めるか段階的にチェックしながら、次に優先すべきKPIを検討して進めていくと良いでしょう。

定期的に振り返りを行い、改善をする

週次や月次など定期的に振り返りを行い、KPI管理の効果が出ているかを確認することも重要です。業務改善の過程で、重要度の高いKPIが変わっていくこともあるため、最終的な目標に近づいているか定期的に集計しながら、必要に応じて修正する必要があります。

管理業務を継続的に改善していく手法として、PDCAサイクルの活用がおすすめです。PDCAでは、KPIの現状を元に1ヶ月あるいは1週間の目標を設定し、チーム内で目標を共有します。日々の業務において計画を実践し、一定期間後にKPIを集計して、検証と新たな目標設定を行う、というサイクルを続けることで、長期的な改善につながります。

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コールセンターにおける業務管理には、さまざまなKPIが使われます。KPIを計測、管理することは、オペレーター個人の業務改善だけでなく、センター全体における業績や労働状況の改善にも役立ちます。

KPIを効果的に活用するためには、まず目的を明確にし、関連するKPIの優先順位を決定します。最終目標に近いKPIから優先的に取り入れ、定期的な振り返りと必要に応じたPCDAサイクルの実行によって、継続的な改善が期待できます。

コールセンターにおける重要なKPIの改善には、業務効率化に役立つサービスの導入も有用です。NTTコム オンラインが提供する「ビジュアルIVR」は、自動音声ガイダンスからSMSを送付し、Webページや他デジタルチャネルへと誘導するサービスです。

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