2024/03/12

ビジュアルIVR

ノンボイスとは?求められる背景とメリット・デメリットを解説

インターネットやスマートフォンの浸透に伴い、コールセンターの問い合わせ対応においても「ノンボイス化」の必要性が高まっています。電話以外のメールやSMS、オンラインチャットといったチャネルを有効活用することは、顧客側だけでなく企業側にとってもさまざまなメリットが期待できます。

本記事は、ノンボイスの概要やノンボイス化によるメリット・デメリット、導入時の注意点などについて解説します。カスタマーサポート業務の負担軽減や効率化に役立つツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事の内容
  • ノンボイスとは、カスタマーサポートにて顧客の問い合わせを受けるチャネルのうち、メールやチャットなど音声を使わないものを指す
  • ノンボイス化が求められる背景には、スマートフォンの普及やリモートワークの浸透など、ライフスタイルの変化や働き方の多様化の影響がある
  • ノンボイス化は、企業側には業務効率化や24時間対応の実現、コスト削減、顧客側には待ち時間の削減やスムーズな問題解決といったメリットが見込まれる
  • 一方で、音声通話を使わない分、顧客の感情を把握しにくい点や、すべての対応をノンボイス化することが難しいといったデメリットも考えられる
  • 顧客の要望や状況に応じて、複数のチャネルを使い分ける必要があり、ノンボイス対応ツールの選定が重要である
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ノンボイスとは

「ノンボイス」とは、カスタマーサポートの顧客対応チャネルのうち、音声を使わない手段を指します。具体的には、メールやオンラインチャット、問い合わせフォーム、LINEなどのアプリ、SNSなど電話以外の連絡方法が該当します。そして、これらのコミュニケーション方法を問い合わせ対応に組み込むことを「ノンボイス化」と言います。

ノンボイスはすでにさまざまなシーンで導入されています。例えば、ホームページのFAQ(よくある質問)ページにあるような定型的な問い合わせに対し、AI技術を搭載したチャットボットで回答するサービスなどです。

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ノンボイス化とセルフサービス化の違い

ノンボイス化と関連する言葉に「セルフサービス化」があります。セルフサービス化とは、FAQ(よくある質問)ページやチャットボットなどを用いて、顧客が自分で疑問や問題を解決できる環境を提供することです。

セルフサービス化を促す上で、ノンボイスのチャネルは欠かせません。製品の説明書を見ればわかるような簡単な質問やよくある問い合わせは、セルフサービス化によって解決できる可能性が高く、ノンボイス対応システムを利用することでセルフサービス化を進められます。

ノンボイス化が求められる背景

企業のカスタマーサポートでノンボイス化が求められている主な理由として、デジタル化の浸透とリモートワークによる働き方の多様化が挙げられます。ここでは、それぞれの要因について解説します。

スマートフォンの普及と社会のデジタル化

1人1台スマートフォンを持つ時代といわれる現代において、コミュニケーションの方法も大きく変化しています。メールやSMS、LINEなど音声通話以外のやり取りが一般化してきたことで、問い合わせにも音声を介さない対応を好む人が増加傾向にあります。

また、Web検索やSNSなどオンラインで簡単に情報を得られるようになってきました。社会やライフスタイルの変化に伴い、ノンボイス化やセルフサービス化へのシフトが促されています。

リモートワークの浸透

働き方革命や新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、リモートワークを取り入れる企業が増えたこともノンボイス化を後押ししています。感染症対策として自宅勤務やテレワークが浸透し、オフィスの在席人数が減ったことで、ノンボイス化の必要性が高まりました。

在宅でカスタマー応対業務をスムーズに行うために、メールやチャットなどの手段が必須となり、ノンボイス化が進んでいます。

また、離職率が比較的高いコールセンター業界では、業務体制の改善や業務効率化が課題となっています。早期離職を回避するために、業務体制や稼働率の見直しとしてノンボイス化の導入を検討するケースも増えています。

ノンボイス化によるメリット

ノンボイス化は、企業側と顧客側双方にとっても多くのメリットが期待できます。ここでは、カスタマーサポートのノンボイス化によるメリットについて具体的に解説します。

企業にとってのメリット

ノンボイス化は、企業のカスタマーサポートにおける業務効率化につながります。その結果、生産性の向上や人手不足の解消、対応時間の拡大、コスト削減など多くの課題解決が期待できます。

生産性の向上につながる

ノンボイス化により、顧客応対の時間を短縮できるため、生産性の向上が期待できます。電話では、相手から要件をその場で聞き出して内容を整理しなければならず、必要な情報を提示できるまでに時間がかかる可能性があります。

解決策がなかなか見つからない場合には通常よりも時間を要するため、自動的に対応できる件数が減ってしまいます。一方、メールやチャットでのやり取りなら、最初から要件がテキストでまとまっているため、スムーズな解決策の提示が可能です。

また、IVR(自動音声対応システム)の番号選択により要件が絞られている場合にも、よりスピーディかつ的確な対応が実現します。

人手不足対策になる

ノンボイス化は、コールセンターにおける人手不足の解消にも役立ちます。顧客からあらゆる問い合わせやクレームが入ってくるカスタマーサポート部署は、ストレスなど精神的負担から離職する人も少なくありません。そのため、離職率の高さや人手不足に悩んでいる企業も多く見られます。

ノンボイス化により自己解決を促すことができれば、電話対応が削減できるため、少人数でもスムーズなコールセンターの運用が実現します。同時に、オペレーターの精神的負担も軽減され、離職率の改善にもつながる可能性があります。

24時間の顧客対応が可能になる

ノンボイスによって、24時間いつでも顧客が問い合わせを送信できる状況を構築できます。電話ではリアルタイムでやり取りする必要があるため、応対時間はオペレーターの在席中に限定されてしまいます。

一方、メールや問い合わせフォーム、オンラインチャットといったノンボイスのチャネルなら、24時間受け付けが可能です。返信は営業時間になるとしても、顧客が繰り返し電話をかける必要がない分、負担が軽減されます。また、自動応対が可能なチャットボットを導入し、セルフサービス化を進めれば、顧客の都合が良いタイミングで自己解決が実現するでしょう。

情報提供の手段が増える

音声のみのやり取りである電話と違って、メールやチャット、SNSでは商品画像やURLリンクなど幅広いデータを扱えます。テキストだけでは伝えることが難しい情報もスムーズに伝達できるようになることで、顧客にとってよりわかりやすい対応が実現するでしょう。

ノンボイスのチャネルごとに強みや特徴は異なるため、使い分けると良いでしょう。例えば、メールはまとまった情報を送信しやすく、フォーマルなシーンにも向いています。また、オンラインチャットでは、気軽なコミュニケーションが可能です。

コスト削減につながる

ノンボイス化により、カスタマーサポート業務のコスト削減も期待できます。電話応対にはオペレーターが必要となり、コールセンターの運営には人件費や通信費、家賃などの費用がかかります。また、あらゆる問い合わせに適切に対応するためには高い応対スキルを要するため、オペレーター育成のコストも発生します。

よくある問い合わせはチャットボットを使って自己解決を促し、複雑で難易度の高い質問はオペレーターへの通話を案内する、といったフローを構築すれば、オペレーターの業務負担が減り、コスト削減が見込めます。

顧客にとってのメリット

ノンボイス化は、顧客が都合の良いタイミングで自ら問題を解決することを促します。電話対応のみの場合、営業時間が制約される可能性がありますが、ノンボイスのチャネルなら24時間365日問い合わせが可能です。

また、簡単な質問であれば、オンラインチャットの自動応対だけで短時間で解決できます。電話をかけるのはハードルが高いと感じている人や、仕事などで営業時間内に電話ができない人も、問い合わせしやすい状況を構築できるでしょう。

ノンボイス化によるデメリット

ノンボイス化によって、企業と顧客の両方に多くのメリットが期待できますが、デメリットもあると知っておく必要があります。ここでは、ノンボイス化によって考えられるデメリットについて解説します。

企業にとってのデメリット

ノンボイス化は、コールセンターにおけるすべての問題を解消できるわけではありません。ノンボイス化によって、企業側では顧客の感情から状況を判断しづらくなり、適切な対応を選ぶことが難しくなる可能性があります。

また、顧客の中には音声通話以外のコミュニケーションに不安や不信感を抱いている人もいるため、慎重に検討することが大切です。ここでは、企業にとってのノンボイス化によるデメリットについて詳しく見ていきましょう。

顧客の感情を読み取るのが難しい

テキストでコミュニケーションを取るノンボイス対応は、電話に比べて顧客側の感情やニュアンスを読み取ることが難しい場合があります。コールセンターでは、顧客の感情を汲み取り、寄り添うような対応が必要とされるシーンも出てきます。

時間をかけた対応が望ましいようなシチュエーションでは、オペレーターの通話対応のほうが解決しやすい場合もあります。論理的でスピーディな対応が強みのノンボイスだけでは、迅速な課題解決ができても、クレーム対応や重要な問い合わせへの対応には適さない場合もあるでしょう。

ノンボイス化にネガティブな印象をもたれる場合がある

メールやチャット、LINEなどのノンボイス対応に良い印象を持たれない可能性も考えられます。例えば、デジタル端末やITツールに馴染みが少ない世代や、苦手意識を持っている人などにとってはノンボイスは使いにくく、電話応対の方が安心と感じるかもしれません。

オペレーターの対応や文面が十分に丁寧であっても、事務的に感じられるなどの理由でノンボイスにネガティブな印象を持っている人もいます。問い合わせの多いユーザー層の特性を理解しないまま電話応対をカットしてしまうと、顧客満足度やロイヤリティの低下を招くリスクがあるため注意が必要です。

すべての対応をノンボイス化できるわけではない

すべてのカスタマーサポート業務をノンボイス化できるわけではありません。テキストを中心としたノンボイス対応は、定型的な問い合わせや難易度の低い要望に応えることが可能です。一方、複雑な質問や個別性の高い要望は、チャットボットの自動応対などでは解決することは難しいでしょう。

問い合わせの内容によっては、オペレーターとの通話の方がスムーズに対応できる場合があります。応対チャネルが適切でないと問題解決のスピードが下がり、顧客満足度の低下を招く可能性もあるため、有人の電話窓口は残しつつ、問い合わせ内容に応じて振り分けるなどの対策が有用です。

顧客にとってのデメリット

顧客側のデメリットとしては、抱えている葛藤や感情が伝わりにくいことが考えられます。ノンボイス対応ではテキストでのやり取りが中心で、明確に言語化しにくいニュアンスや細かな要望を伝えにくい場合があります。

特に急なトラブルや不都合な状況などでは、冷静にわかりやすく要点を伝達することは誰にとっても難しいでしょう。気持ちが高ぶっているときにテキストでうまく説明できず、問題解決から遠ざかってしまうことで、葛藤を抱える悪循環に陥ってしまうことも考えられます。

ノンボイス化する際のポイント

カスタマーサポートのノンボイス化を成功させるためには、要点をおさえた上で導入することが大切です。ここでは、ノンボイス化を行う際のポイントを3つ紹介します。顧客対応の品質や満足度の低下を避け、ノンボイス化を成功させるために確認しておきましょう。

顧客や問い合わせの性質に合わせたチャネルを構築する

ノンボイス化にあたって、自社の顧客や問い合わせ内容に合ったチャネルを構築することが重要です。顧客の使用するチャネルが多様化してきている現在、多くの顧客が使いやすいチャネルを選ばなければ、ノンボイス化のメリットは見込めないでしょう。自社の顧客はどのようなチャネルを使って問い合わせを行っているか把握し、適切なものを取り入れる必要があります。

また、問い合わせの性質に合ったチャネルを整備することも重要です。定型的な質問や要望にはノンボイス対応にし、緊急性の高い問い合わせや複雑な質問が多い場合には、オペレーターとの通話につなげる、といった仕組みの整備も検討しましょう。

音声での対応以上にマナーや言葉遣いを気を付ける

テキスト中心のノンボイスは、音声対応に比べると冷たい印象を与える可能性がある点にも注意が必要です。電話応対での声のトーンや言葉遣いをマナーとして教わる機会があっても、ノンボイス応対については指導がない場合もあります。

また、ビジネスシーンでは端的でわかりやすい言い回しが好まれますが、顧客応対において同じように対応すると無機質で不親切だと受け取られることも考えられます。

ノンボイス対応では電話対応以上に真摯かつ丁寧で、安心感のある言葉遣いを意識することが大切です。基本的な言葉遣いに加えてノンボイス対応での注意点をマニュアルに盛り込む、事前研修を行うといった方法で、オペレーターに周知しておくと安心です。

顧客が自己解決できる仕組みの構築も並行して進める

ノンボイス化と並行して、セルフサービス化も進めることをおすすめします。FAQページやチャットボットなど、顧客が自己解決できる仕組みをノンボイス対応システムを使って構築することで、オペレーター応対が必要な問い合わせを減らすことが可能です。

有人対応の負担を削減できれば、業務効率化や人手不足の解消、コストカットにもつながります。また、さらなるノンボイス対応の有効活用を目指し、定期的に内容を見直して改善や更新を続けることも重要です。顧客がいつでもスムーズな自己解決を実現できるよう、コンテンツを継続的に整備しましょう。

ビジュアルIVRでノンボイス化を実現

スマートフォンやインターネットの普及、リモートワークの浸透などによって、ノンボイスの需要が高まっています。ノンボイス化により、企業側と顧客側双方にとって多くのメリットが期待できる一方で、デメリットや懸念点も残されています。

顧客の特性や問い合わせ内容によっては、ノンボイスよりも電話応対を強化した方が良いケースもあります。ノンボイス化を進める上で、自社の顧客や問い合わせに合わせてチャネルを整備するとともに、必要に応じてオペレーターとの通話に切り替えられるよう配慮することが大切です。また、セルフサービス化によって自己解決につなげられる仕組みの構築も並行して進めると良いでしょう。

ノンボイス化に役立つツールとして、電話から適切なデジタルチャネルへと誘導するビジュアルIVRがあります。IVRのガイダンスをビジュアルIVR上で可視化し、Webページでのスムーズな自己解決をサポートします。

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