2024/03/12

ビジュアルIVR

ASA(平均応答時間)とは?悪化の要因と改善策を解説

「ASA(平均応答時間)」とは、コールセンターの電話がどの程度つながりやすいかを示す指標です。カスタマーサポートの対応品質に直結するASAの改善により、顧客満足度の向上やリピーターの獲得といった効果が見込めます。

本記事では、ASAの意味や他の指標との違い、悪化したときに考えられる原因と改善策などについて解説します。コールセンターの業務改善に向けて、ASAを有効活用するためにぜひお役立てください。

この記事の内容
  • 「ASA(平均応答時間)」とは、コンタクトセンターで入電からオペレーターが応答するまでの平均時間のこと
  • ASAを調べ、改善に取り組むことにより、顧客満足度の向上やオペレーターの業務効率化につながるため重視されている
  • ASAが悪化する原因としては、オペレーターの人数が足りていないことやスキル不足、AHT(平均処理時間)が長いことなどが考えられる
  • ASA改善には、オペレーター教育の見直しや、自己解決を促すFAQシステムや自動化、ノンボイス化の導入・整備が効果的
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ASA(平均応答時間)とは

「ASA」とは、「Average Speed of Answer」の頭文字を取った言葉で、日本語では「平均応答時間」もしくは「平均応答速度」などと呼ばれます。コールセンターにおいて、顧客の入電からオペレーターが応答するまでの平均時間を表す指標です。

コールセンター業界では応対品質を図るKPI(重要業績評価指標)の1つとしてASAを活用しているケースが多く見られます。

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ASA(平均応答時間)が重視される理由

コールセンターやカスタマーサポート部署で、ASA(平均応答時間)が重視されている理由として、顧客満足度やオペレーターの業務効率化が挙げられます。ASAが短いほど、顧客を待たせることなく通話ができることを示します。よって、ASAを改善することでスムーズな問題解消につながり、顧客満足度の向上が期待できます。

また、ASAが短縮されれば、同じ稼働時間の中でより多くの問い合わせをこなせるため、業務効率化につながります。

ASA(平均応答時間)の求め方

ASA(平均応答時間)は以下の計算式で算出します。

● ASA(平均応答時間) = 応答までにかかった時間の合計 ÷ 総着信件数

例えば、3件の入電があり、着信から応答までにそれぞれ3秒、14秒、40秒かかったとします。応答までの時間は合計で「3 + 14 + 40 = 57秒」となり、この場合のASAは「57秒 ÷ 3件 = 19秒」です。コールセンターの現場では毎日何百、何千という入電があるため、システムなどを用いて全体のASAを自動計算するケースが一般的です。

ASA(平均応答時間)とSL(サービスレベル)との違い

ASA(平均応答時間)と同じシーンで用いられる指標に、SL(サービスレベル)があります。ASAとSLはどちらも電話のつながりやすさを表す指標ですが、ASAがオペレーターにつながるまでの平均時間であるのに対し、SL(サービスレベル)は一定時間内にオペレーターが電話に応対した割合を指します。

例えば、10件の入電に対し、ASAを20秒、SLを 「20秒以内に80%の電話をとる」と設定している場合、8件以上の電話に20秒以内で応対できればASAとSL両方を達成できています。しかし、入電ごとに待ち時間は異なるため、ASAを達成していても個別で見ると20秒以上かかっている着信が多い場合もあります。つまり、顧客満足度や応対品質の向上につなげるためには、ASAを短縮させるだけでなく、SLを向上させる必要があるといえます。

ASA(平均応答時間)悪化の代表的な要因

ASAはさまざまな要因により、長くなってしまう場合があります。ここでは、ASAが悪化する代表的な3つの原因を紹介します。

オペレーターの数に比べて入電数が多い

入電数に対してオペレーターの数が不足していると、顧客の待ち時間が長くなり、必然的にASAが悪化します。コールセンターの顧客満足度を維持するために、適切な人員配置は重要です。オペレーターが少人数でも入電が少ないとすぐに応対できますが、プロモーションなどで一時的に入電数が増え、オペレーターが対応しきれないと顧客を待たせてしまうでしょう。

また、慢性的に入電が多くなってASAが悪化するケースでは、オペレーターの増員だけでなく入電数を減らす施策も検討が必要でしょう。

オペレーターのスキルが不足している

コールセンターの応対品質は、オペレーターのスキルや経験に左右されます。スキルや経験が豊富なオペレーターであれば、クレームや複雑な問い合わせに対しても短い通話時間で的確に対応できるでしょう。

しかし、スキルや経験が浅い場合、質問に対してすぐに答えられず、調べながら回答するため、結果的に顧客を待たせてしまいます。

AHT(平均処理時間)が長い

ASA悪化の原因には、コールセンターで重要な指標の1つ「AHT(平均処理時間)」が長いことも考えられます。AHT(平均処理時間)とは、顧客応対にかかる平均時間のことです。AHTが長いということは、入電1件の応対に時間がかかっていることを意味します。つまり、次の問い合わせに移るまでの時間が長引くため、結果的にASAも悪化してしまいます。

AHTが長くなる原因は、複雑で難易度の高い問い合わせが多いことや、オペレーター用のマニュアルやFAQが使いにくいことなど、状況や環境によりさまざまです。オペレーターの数や応対品質に問題が見られないにも関わらず、ASAが悪化している場合はAHTをチェックしてみましょう。

ASA(平均応答時間)改善のための4つの対策

ここからは、ASA(平均応答時間)を改善するための4つの対策について解説します。自社のコールセンターで効果的な方法を検討してみましょう。

オペレーター教育の改善やマニュアルの見直しを行う

オペレーターのスキルアップに向けて、教育マニュアルの改訂やオペレーションの見直しを行いましょう。オペレーターのスキルが高まれば、問い合わせ対応がスムーズになり、業務効率化とAHT(平均処理時間)の短縮につながります。

教育用マニュアルの内容を充実させ、使いやすいものに仕上げることが大切です。例えば、文字だけでなく画像や図を用いることで、内容の理解と定着に役立ちます。また、問い合わせ内容に応じてトークスクリプトを瞬時に調べられるよう検索性を高めることで、業務中でもすぐに対処できるでしょう。

加えて、常に最新の状態を維持することも重要です。紙の冊子ではなく、デジタルで作成しておけば、必要に応じて内容を簡単にアップデートできます。

対応できるオペレーターを増やす

入電に対してオペレーター数が不足している場合は、オペレーターの増員を検討しましょう。人員の配置を最適化することで、顧客の待ち時間が減るため、ASAの改善が見込めます。また、AHTやSLなど他の指標の向上にもつながります。

適切なオペレーターの増員を考える際に、「ワークフォースマネジメント(WFM)」という指標が役立ちます。ワークフォースマネジメントとは、入電数の予測やシフト調整によって効率的な人的リソースの活用を目指すことです。

ワークフォースマネジメントにより、過去のデータから必要な人員をスムーズに割り出せるため、時間や曜日ごとの入電数の増減に応じた最適な人員配置が実現します。自動算出に対応した専用システムなどもあるので、活用を検討してみるのも良いでしょう。

FAQなど自己解決を促すコンテンツを強化する

FAQ(よくある質問)など自己解決につながる手段を強化することで、入電数の削減が期待できます。顧客自らが調べることで悩みや問題を解決できる仕組みを提供することで、コールセンターに問い合わせるよりも効率的です。また、オペレーターの業務負担も軽減できるため、余裕のある電話応対が実現し、顧客満足度の向上にもつながります。

ヘルプページやFAQの内容を充実させるとともに、簡単に調べられるよう検索システムを整備しましょう。また、ユーザーコミュニティを設置して、顧客同士が相談、誘導しやすい環境を提供する方法も有用です。FAQページの作成や改善については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。

関連記事:FAQを作成するメリットと作り方の手順・ポイントを解説

自動化やノンボイス化をすすめる

近年コールセンター業界を中心に、自動化やノンボイス化が注目を集めています。「ノンボイス化」とは、メールやSMSなど音声通話以外のチャネルで顧客に対応できる体制を整えることです。

ホームページ上の問い合わせフォームやメールの他に、IVR(自動音声応答システム)やAIチャットボットなど、よくある問い合わせに自動応答するシステムも多くの企業で導入されています。

同時に、複雑な問い合わせやクレームにはオペレーターが応対する、というフローを構築することでASAの短縮が期待できます。コールセンターの自動化については、下記記事で解説していますのであわせてご覧ください。

関連記事:コールセンターを自動化するには?4つの手法と自動化のメリット

ASA(平均応答時間)改善への取り組みのポイント

ASAを改善するための施策を実行するにあたって、気をつけたいポイントもあります。ここでは、ASAの改善に向けた取り組みの注意点について解説します。

応答品質が下がらないように気を付ける

ASAを短縮するために、スピードや効率化を重視するあまり、応対品質が低下しないよう注意が必要です。顧客はオペレーターとすぐに話ができるだけでなく、疑問や問題の十分な理解と解決を求めています。

ASAの改善により待ち時間が削減できても、課題を最後まで解決できなければ顧客満足度が下がる可能性もあります。ASAと顧客満足度のバランスを保つために、できる限りASAの改善に取り組みつつ、応対品質の向上に努めましょう。

オペレーターに負担をかけ過ぎない

ASAの短縮を目指すために、オペレーターの負担が増加してしまっては本末転倒です。1件あたりの応対時間が短くなればASAは改善されますが、オペレーターに過度な目標やノルマを課すなどの対策を行うと、ストレスや不満が増えてしまうでしょう。

結果的に、応対品質の低下や離職率アップによる人手不足を招くことも考えられます。問い合わせ内容次第では応対時間が長くなることは避けられないでしょう。現場の状況を正しく把握した上で、効果的な施策を取り入れることが大切です。

ビジュアルIVRで平均応答時間(ASA)を改善しよう

ASA(平均応答時間)は、顧客の着信があってからオペレーターが応対するまでの時間の平均値のことで、コールセンターの品質管理において重要な指標の1つです。ASAの改善により、顧客満足度の向上やオペレーターの負担軽減といった効果が期待できます。

ASAを改善するためには、オペレーター教育の見直しやFAQなど自己解決手段の充実、自動化・ノンボイス化の導入といった取り組みが有用です。現場の状況や問い合わせ内容を見極めて、コールセンターにおける応対品質の向上を目指しましょう。

ASAの改善につながる自動化の選択肢として、ビジュアルIVRの導入が挙げられます。NTTコム オンラインのビジュアルIVRは、IVR(自動音声応答システム)のガイダンスをメニュー化したページURLをSMSで送信し、最適なデジタルチャネルへと誘導するシステムです。自己解決を促すことで、ユーザーとオペレーター双方の負担軽減が期待できます。ご検討の際はお気軽にお問い合わせください。