ビジネス用語集とは?
データ辞書との違い、メリットを解説

ビジネス用語集は、企業全体で共通の意味が定義されたビジネス用語のリストです。社内用語として、全社員が共通理解を持つことで、情報の誤解を防ぐことができます。

ビジネス用語集(Business Glossary)とは

ビジネス用語集とは、企業全体で共通の意味が定義されたビジネス用語のリストです。全社すべての人がビジネス用語集に従うことで、おなじ意味で同じ用語を使うことが保証されます。データガバナンスにおいて、企業の共通言語は重要な要素のひとつです。用語集に記載された業務の用語や概念、用語同士の関係について全社で共通理解を持つことが、自社のデータを真に理解し、適切にガバナンスすることに直結します。

ビジネス用語集はデータガバナンスの核心であり、社員すべてが同じ意味で同じ言葉を使っていることを保証するものです。おなじ「顧客」であっても、ある部署では法人顧客、別の部署では個人顧客かもしれません。ビジネス用語集は複数部門で使用されるビジネス用語それぞれに対し、ただ1つの定義を提供することにより誤解の発生を防止します。用語の保証は自社のデータを信頼するための基盤であり、さまざまなレポートの誤解を撲滅するための第一歩です。基本的なところでは用語や単位の誤解によって生じる計算ミスや分析ミスの回避を防ぐことができます。

ビジネス用語集は、データマネジメント的にはビジネスメタデータの一種と扱われ、データに意味や説明を与える存在と定義されます。その作成についてはデータガバナンスプログラムが音頭を取り、実際に手を動かして作成するのはITではなくビジネス部門となります。

ビジネス用語集は、部門横串でのデータ可視性や意味の共有を促進し、用語の管理を向上し、部門間の協力を促進します。コンプライアンスやデータガバナンスなどの活動においては、部門間のサイロを解消する手段となります。またデータ連携においても、ビジネス用語集によってデータ連携先部門の考えをお互いに理解できるようになり、意思疎通や信頼関係が改善します。

ビジネス用語集はデータカタログでもあります。ある用語に対して、略語や同義語、データ項目名などが併記され、正式に承認された用語が登録されているならば、その用語集は形式にかかわらず内容的には完全なデータカタログと言えるからです。ビジネス用語集によってデータの有り場所が分かれば、実際のデータを探すことが容易になります。ビジネス用語集は、ガバナンス目的でも役立ちます。あるデータを使用している部門を特定したり、実際のデータが標準に従っているかどうかを容易に確認できるようになるためです。

ビジネス用語集とデータ辞書の違い

ビジネス用語集 (Business Glossary)とデータ辞書 (Data Dictionary)は、目的が異なります。ビジネス用語集の対象は業務ユーザーであり、業務部門全体で用語が正しい意味で使われるようにするため、用語の正しい意味を定義したものです。一方、データ辞書はデータ管理が目的であり、使うのはIT部門です。管理の単位はデータセットおよびデータ項目であり、ぞれぞれの属性に定義や説明を加えるものです。

データ辞書は物理データ、ビジネス用語集はビジネス用語や概念が主な対象であるため、データ辞書の内容はデータセット(テーブル)とフィールド(カラム)が中心、ビジネス用語集はビジネス用語と定義が中心です。またデータ辞書の目的はデータ資産とデータベースを明らかにすること、ビジネス用語集の目的は業務に関する意味と用語の共通理解を得ることです。

データ辞書の内容はテクニカルであり、通常はIT部門が保有・運用しています。またデータ辞書はデータソース単位で作ることができるのに対し、ビジネス用語集は全社で共有するのが目的のため、通常は全社で1つだけしか持ちません。用途としては、データ辞書はデータベースの設計・運用ドキュメントであり、ビジネス用語集はデータガバナンスと要求分析に用いられます。

それぞれは企業のデータの異なる側面を記述しており、両方をあわせることで立体的にデータを把握することができます。

ビジネス用語集のメリット

現代の複雑な社会環境において、ビジネス用語集は絶えず更新され、最新化されている必要があります。それによって組織内のすべての人が安定したコミュニケーションを行うことができます。またデータを表示した意図と読み取った意図がつねに同じであることを保証します。これが全社的な用語の標準となります。複雑になる一方のデータを正しく理解したり、適切にガバナンスしたりすることがますます困難になる中、正しく維持されたビジネス用語集によってすべての人が同じ意味で同じ用語を使っていることは、コミュニケーションの信頼性を獲得するための最良の方法の1つです。他にも以下のような利点があります。

用語のリレーションシップを使って、芋づる式のデータ検索を実現

用語集の利点は、ビジネス用語および関連用語が明確になることでデータの検索性が高まることです。ビジネス用語集には定義や用例や関連用語だけでなく、その用語に関連するKPIやプロセス名、データベースやシステムの情報、データオーナー部門やデータスチュワード担当など、関連する他の記事へのリンクを紐付けることも可能です。他のデータソースに関連付けることで、ビジネス用語集は部門を越えた知識や、関連するITの情報を検索することができるようになり、その用途を大きく拡張することができるようになります。

コラボレーションの強化

全社の全員が共有する用語集を持つことには、部門間のコミュニケーションが促進される効果もあります。用語集がなければ、同じ部門の人に同じ「隔週 (bi-weekly)」の意味を尋ねたとしても、皆それぞれ別の定義を答えるはずです。これがビジネス用語集に準拠している組織においては、誰も用語の意味を推測したり毎回確認したり説明したりする必要がなくなり、ただ1つのビジネス用語集を参照するだけでよくなります。これは事業部門間はもちろんのこと、特に業務とIT間のコミュニケーションに効果があります。用語集とデータ辞書がリンクしていると、データ相互の関連やデータリネージュ (データの流れ)をビジネス用語を通じて追跡することができるようになり、IT部門が類似メタデータが同一なのかどうかを容易に確認できるようになります。

データガバナンスにおける役割を明確化する

ビジネス用語集にもワークフローや承認は必須です。これによってビジネス用語がデータガバナンスの範疇となり、それぞれの役割と責任が明確になります。ビジネス用語集を作るプロセスを確立することで、関係するそれぞれの業務部門それぞれが、自分の領域のビジネス用語を自分で定義しつつも部門間のサイロ化を防ぎ、なおかつ全社標準やデータガバナンスポリシー、それにベストプラクティスに準拠することが可能になります。またそれぞれの部門が積極的に関与することで、ビジネス用語集の活用にもつながります。

ビジネス用語集を適切に構築および維持するためには、業務ユーザー自身がビジネス用語集の作成・編集・承認・公開といったタスクのすべてに何らかの役割を持つことが重要です。これにより、ビジネス用語について誰が管理し、誰が登録や変更をしたのかというトレーサビリティと責任分担が保証されます。

また、組織の要求は時間に応じて変化します。定期的にビジネス用語集を棚卸しし、再公開することも重要です。これにより、ビジネス用語集がつねに最新かつ現行の業務と乖離していないことが保証されます。正式なワークフローを使って更新されることで、ビジネス用語集は企業全体のデータ信頼性を向上させます。

データ品質の数値化を実現

ビジネス用語集は、全社における情報交換、データ理解、および用語作成プロセスを標準化するものです。そのための用語定義方法や入力・修正方法、公開方法などのプロセスは全社標準として文書化されます。一方、用語の品質についても全社で標準を定義し、ドキュメント化しておくことも重要です。例えば「用語の定義に、その用語そのものを使用してはいけない」「単なる略語や省略語を記述するだけでは、用語の定義とは認めない」「定義は用語について十分に記述していなくてはならない」などのルールが品質の定義です。品質定義を定めることは、用語の明確性や整合性に直結します。こうしたルールによって、用語というデータの品質を正しく測定することができるようになります。

いったん確立された品質は、進化することができます。たとえばビジネス用語集へのアクセス頻度(よい用語定義ほどアクセスが少ない)、同義語が社内で使われる頻度(少ないほどよい)、誤解 (少ないほどよい)など高度なデータの品質などを適用することです。品質の定義が確立されていると、問題を発見した場合に原因の所在を突き止め、改善することがより容易になります。

ビジネス用語集は、部門間のコミュニケーションを促進し、連携を促進します。業務の透明性を提供し、お互いがデータやビジネス用語を正しく理解し使用していることを保証します。また新入社員の研修にも効果があります。ベストプラクティスに従った用語の定義方法や分類方法は、さらなるデータの信頼性と見つけやすさ、理解しやすさを強化します。

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