通信、クラウド、セキュリティ、AI、IoTなど、法人向けに幅広いICTソリューションを提供するNTTドコモビジネス株式会社様。約61万社におよぶ顧客基盤を持つ同社では、法人向け総合ICT事業におけるCX向上を全社的に推進するため、顧客体験管理プラットフォーム「クアルトリクス」を導入しました。
BtoB企業では、顧客接点や関係者が多岐にわたり、顧客の声を集め、分析し、改善アクションにつなげることは容易ではありません。同社はどのような課題感のもとでクアルトリクスを導入し、全社的なCX向上に取り組んでいるのでしょうか。経営企画部 営業戦略部門/CX推進PTの加藤氏、岩野氏にお話を伺いました。
― まず、NTTドコモビジネス様の事業内容と、CX推進PTの役割についてお聞かせください。
加藤氏 : NTTドコモビジネスは、NTTグループの中で法人向けの総合ICT事業を担っている企業です。日本企業を中心に、グローバル展開も含めたICT活用を支援しています。当社のミッションは、すべての法人のお客様に対して、ICTを活用したソリューションをワンストップで提供すること。ネットワークというベーシックな領域から、さまざまなサービスを組み合わせたプラットフォーム、さらにSIによる導入・構築まで、幅広く対応しています。その中で私たちCX推進PTは、ドコモビジネス全社のCX向上を推進する役割を担っています。

― CX推進において、どのような課題感があったのでしょうか。
加藤氏 : 私たちが重視している柱は3つあります。1つ目は、お客様が当社をどう評価しているのか、正確に現状を把握すること。2つ目は、把握した現状をもとに、改善のスピードと質を高めること。3つ目は、そうした活動を一部の担当者だけで行うのではなく、社員一人ひとりや各現場組織が自律的に考え、行動できる風土をつくることです。これら3本の柱をどのように実現するかが大きな課題でした。
― 特に、BtoB企業ならではの難しさはどのようなところにありますか。
岩野氏 : 一番大きいのは、構造が非常に複雑であることです。まず、社内の関係者が非常に多岐にわたります。営業とひと口に言っても、大企業向けの営業、中堅企業向けの営業、パートナー営業などさまざま。SEも、提案に関わる人、導入に関わる人、運用側の人など役割が分かれています。
一方で、お客様の業界や企業規模も非常に幅広く、提供しているサービスもネットワーク、プラットフォーム、インテグレーション、各種ソリューションなど多岐にわたります。
つまり、誰が、誰に、何を提供しているのかが複雑に絡み合っているため、顧客接点がどこにあり、どこに課題があるのかを把握するだけでも大変なんです。

― そうした複雑さに対して、どのように取り組まれていたのでしょうか。
岩野氏 : まずは現状の可視化が最重要だと考えました。従来の調査では、全体像に対して調査の対象範囲が限られていたり、抽出される課題の解像度がやや抽象的だったりしました。そこで、調査対象を広げながら、課題の解像度も上げていく必要がありました。
例えば、どの顧客セグメントを見るべきかを整理し、セグメントごとにNPSや満足度の差分を見ながら、どこに課題があるのかを抽出する。単に全体のスコアを見るのではなく、顧客層やチャネルごとにフィルターをかけ、具体的な課題に踏み込めるようにしていくことが重要でした。
― そうした課題を踏まえて、クアルトリクスを選定された理由を教えてください。
加藤氏 : 私たちが目指していたのは、現状の把握から分析、改善アクション、さらに現場での自律的な活動促進までを一気通貫で支えられる基盤です。
先ほどお話ししたように、当社は「誰が」「誰に」「何を」が複雑に絡み合っています。その中で、正確に現状を把握し、改善スピードを上げていくためには、大量のデータを扱いながら、チャネルや顧客セグメントごとに詳細に分析できる仕組みが必要でした。
そうした私たちの戦略を実現するうえで、最適な選択肢がクアルトリクスでした。「現状の可視化」「改善スピードの向上」「現場起点のCX向上」という3つの柱を支える基盤として活用できると考えました。
岩野氏 : CRMとスムーズに連携できる点も導入の決め手になりました。お客様から回答をいただいた結果を、迅速にCRM上へ反映できるようになれば、営業担当者がお客様の声に気づき、すぐにアクションを取ることができます。以前は、調査を行った後、CX推進PTが情報を持ち、そこから現場へ渡していく流れだったため、どうしてもタイムラグが発生していました。お客様の声を必要な担当者へより早く届けられるようになることは大きな価値だと考えました。
加藤氏 : また、NTTドコモビジネスXがクアルトリクスに精通している点も選定理由です。特にメリットに感じているのは、分析の軸をどう持つとよいのかを一緒に考えていただけること。それを踏まえて、私たちが扱いやすいようにダッシュボード化し、納品まで支援していただけるところにパートナーとしての価値を感じています。運用を進めていく中で、分析軸を追加したいケースも当然出てきます。そうしたときにも、こちらの要望に合わせて伴走していただける姿勢を非常に心強く思っています。

― クアルトリクス導入後、運用の流れはどのように変わりましたか。
加藤氏 : 調査→分析→フィードバックという基本的なフロー自体は大きく変わっていません。ただし、それらの中身が深くなり、スピードが上がったことが大きな変化です。クアルトリクスでは、あらかじめ分析ダッシュボードを作成しておくことができます。そのため、お客様への調査が終わったタイミングで、すぐに分析をスタートできる基盤があります。そのおかげで、全社的な課題をさまざまな切り口で効率的に抽出できるようになりました。
岩野氏 : 導入後の変化を端的に述べるならば、「私たちの戦略に沿った調査ができるようになった」ことですね。複雑な構造の中で正確に現状を把握し、改善スピードを上げていく。その命題を実現できていることが、導入前後の大きな違いだと思います。
加藤氏 : 正確に現状を把握しようとすると、どうしてもデータ量が大きくなります。通常であれば、データ量を増やすほど、分析やフィードバックのスピードは落ちてしまいます。しかし、CX向上においては、お客様の声にいかに早く反応し、改善につなげられるかが重要です。量を増やしながら、スピードも含めた質を上げる。クアルトリクスは、その一見すると両立が難しい部分を支える基盤になっていると感じています。
― クアルトリクス導入後、CX推進PTでは社内コミュニティ「takibi」も立ち上げられているとお聞きしました。どのような取り組みなのでしょうか。
岩野氏 : クアルトリクスを導入し、全社的な分析や改善スピードの向上に取り組んできました。一方で、全社員がCXについて主体的に動けているかというと、まだ課題がありました。
「CXに取り組んでいるのは一部の人」「フィードバックがあったから対応している」という状態から抜け出し、現場が自ら考えて動く状態をつくりたい。そう考えて立ち上げたのが、takibiです。社員の中には、CXに対して熱い思いを持っている人たちがいます。そうした人たちから少しずつCXの火を焚き上げ、徐々に輪を広げていくコミュニティをつくれないか、という発想から始まりました。2026年1月、さまざまな部署から集まった十数名のメンバーで始動。自律的なCXを促していくために、どのようなコミュニティ機能や場が必要かを一緒に考えていきました。
現在は、チャットツール上にコミュニティを立ち上げ、200人を超えるメンバーが集まっています。交流イベントやトレーニング、VoCの活用を考える取り組みなど、さまざまな活動を進め始めています。
加藤氏 : お客様へのアンケート結果を見ると、どうしても改善すべきポイントに目が行きがちです。もちろん改善は重要ですが、それだけではトップダウンの指示になりやすく、現場にとっては「やらされ仕事」になってしまうこともあります。そうではなく、お客様と向き合う現場の一人ひとりが、お客様のことを考え、小さくてもよいからできることをやっていく。そうした現場の自律的なCX向上活動を少しずつ広げていきたいと考えています。
― 今後、クアルトリクスに期待していることを教えてください。
岩野氏 : 期待しているのは、AI活用です。分析や、組織・個人へのフィードバックは、まだまだパワーアップできると考えています。現状では、人がデータを読み取り、課題を抽出している部分があります。そこをAIがうまく支援し、「こんなニーズがあります」「こういうアクションがおすすめです」と提案してもらえるようになることを期待しています。
― 最後に、CX推進に向けた展望をお聞かせください。
加藤氏 : お客様から選ばれ続ける企業であるためには、お客様の声を正確に把握し、より早く、より質の高い改善につなげていくことが欠かせません。CX推進PTだけが動くのではなく、一人ひとりが自律的に考え、小さな一歩を積み重ねていく。その積み重ねが、会社全体として大きなCX向上につながると考えています。
岩野氏 : クアルトリクスを基盤に、顧客の声を可視化し、分析し、現場へ届ける仕組みは整いつつあります。今後は、その声をいかに現場の自律的なアクションにつなげていくかが重要です。takibiのようなコミュニティ活動も含めて、CXに思いを持つ人を増やし、全社へ広げていきたいです。お客様の声を起点に、現場が自ら動く組織へ。そこをめざして、引き続き取り組んでいきます。

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NTTグループにおいて法人向け総合ICT事業を担う企業。通信ネットワーク、クラウド、セキュリティ、AI、IoTなど幅広いソリューションを通じて、法人顧客のICT活用と持続的な成長を支援している。
※ 記載内容は2026年7月現在のものとなります。