2022/07/05
ビジュアルIVR
自己解決率が低いコンタクトセンターの原因と対策
コンタクトセンターにおいて「業務が滞る」「人手不足」などの課題を感じることはないでしょうか。こういった問題を抱えている場合、お客様による自己解決率が低い可能性があります。問題を解決し業務を効率的にするには、自己解決率が低い原因の把握と対策が必要です。この記事は、自己解決とは何か重要性を説明し、自己解決率が低い原因と高めるための対策を紹介します。
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自己解決とは?
自己解決とは、商品やサービスに関する不明点などを、顧客が自ら解決することです。顧客自身が考えたり説明書を見たりして解決する方法もありますが、商品やサービスを提供する企業へ電話やインターネットで問い合わせするケースも少なくありません。そのため、コンタクトセンターでは、顧客が自己解決を促すためのさまざまな方法を準備しておく必要があります。例えば、ホームページ上に説明書やよくある質問と回答を載せておく、問い合わせフォームやチャットボットを設置し自動回答する環境をつくっておくことなどが一般的です。では、なぜ顧客自らの解決を促す、自己解決が重要なのでしょうか。
コンタクトセンターにおける自己解決の重要性とは
コンタクトセンターにおける顧客の自己解決を促す重要性は、顧客が問題を商品やサービスに問題点を抱えたときの行動パターンに関連します。顧客の行動パターンを理解したうえで、コンタクトセンターがその行動に沿ったサポートをし、満足してもらうことがポイントです。ここでは、顧客が商品やサービスに不明な点があったときの行動パターンを紹介し、コンタクトセンターが自己解決を促す重要性を解説します。
顧客の約90%がWeb検索で自己解決を試みる
顧客が商品やサービスに困ったときの行動パターンとして多いのは、スマホやパソコンなどで調べることです。
顧客が商品やサービスに不明な点などを感じたとき、すぐにコンタクトセンターに電話で問い合わせる顧客は多くありません。約90%の顧客が、電話で問い合わせる前に、Web検索で自己解決を試みることがわかっています。Web検索する顧客が多いという調査結果がある以上、商品やサービスを提供する企業は、Web上で顧客が問題を解決するための環境を整える必要があるのです。また、顧客がWeb上で自己解決を試みる理由には、コンタクトセンターの対応に満足していない可能性もあります。
「日常生活でコールセンターに問い合わせても問題解決しなかったことがあるか」というアンケートでは、44.9%の顧客が「ある」と回答し、主な理由として54%の顧客が「混雑や音声入力で待たされて断念した」としているのです。そのため、Web検索だけで自己解決できる環境づくりは、顧客の満足度を高めることにつながります。
エフォートレス体験の充実
顧客のエフォートレス体験を充実させるうえでも、自己解決が重要です。エフォートレスとは、顧客が商品やサービスを利用するときや課題があったときの努力を減らすため、企業が行う工夫のことを指します。
例えば、電源の入れ方や切り方がわからない、操作方法が難しい、手順が複雑すぎるなど、顧客自らが克服のために努力しなければならないケースも少なくありません。こういった商品やサービスの利用に努力が必要と考えられる部分には、企業側が予め顧客の努力が最低限になるように工夫する必要があります。企業の工夫により努力が減れば、顧客はエフォートレス体験を充実させられるのです。その結果、商品やサービス、企業へのストレスが低減され、顧客の満足度を高められます。
関連コラム:顧客体験を充実!コールセンターのエフォートレス体験とは
カスタマーエフォートスコアを改善
自己解決を重視することは、カスタマーエフォートスコアの改善することにもつながります。カスタマーエフォートスコアとは、顧客努力の指標を表すものです。例えば、自分に合った商品やサービスを探すことや、購入のためにWeb検索したり店まで行ったりすることなども顧客努力といえます。また、商品やサービスの利用後に、コンタクトセンターに電話することや、ホームページで情報を得ることも顧客努力です。カスタマーエフォートスコアは、こういった顧客努力を表すもので、指数が低いほど「顧客へ商品やサービスに対して努力させてしまっている」という目安にできます。
したがって、カスタマーエフォートスコアの改善は、顧客の満足度に関連する指標です。顧客満足度を高めれば、商品やサービスのリピート率にもつなげられます。
関連コラム:顧客離れを防ぐ!カスタマーエフォートスコアとは何か?
応答率の向上
自己解決は、応答率を高めることにもつながります。コンタクトセンターにおける応答率とは、電話の着信数に対して応答できた割合です。例えば、1000件の着信があり、900件にオペレーターが対応した場合、応答率は90%となります。前章でも紹介したように、顧客がコールセンターで問題解決しなかった理由で半数以上を占めているのは「混雑や音声入力で待たされて断念した」ことです。そのため、応答率を向上させることは、顧客満足度に直接関連するといえます。
応答率を向上させるもっとも効果的な方法は、オペレーターを増やすことです。ただ、場所や設備、人件費など、さまざまなコストが必要になり、効率的ではありません。したがって、顧客がコンタクトセンターに電話することなく、自己解決を促す環境をつくることが重要になるのです。自己解決できる数を増やせば、着信数を減らすことができます。その結果、顧客を待たせることなく、コストもかけずに応答率を高められるのです。
関連コラム:コールセンターの応答率とは?その定義と主な改善策
自己解決率とは?自己解決率が低くなる原因
自己解決率とは、商品やサービスに関する不明点などを、顧客が自己で解決できた割合です。自己解決率が低い原因には「Web検索で解決できる回答がない」「FAQで目的の回答が見つけづらい」「課題部分の案内や資料の説明が不十分」などが考えられます。ここでは、それぞれの原因について解説しましょう。
Web検索で解決できる回答がない
商品やサービスの不明点が解決できる回答が、Web検索で探し出せないことが原因です。前述したように、商品やサービスに不明点があった90%の顧客が、解決するためにWeb検索を利用することがわかっています。その場合、Webに解決できる情報がないと、顧客の自己解決につなげらません。
関連コラム:【2021年度版】事前のWEB検索は当たり前!性年代別に見るコールセンターに電話をかける前の顧客行動とは
全国的に有名で利用者が多い商品やサービスなら、よくあるトラブルや解決策を紹介しているサイトやブログもあります。ただ、ターゲット層が限られている商品やサービスなどの場合、一般的なサイトやブログでは紹介されづらいので、顧客は解決できる回答を探し出せないのです。このように、Web検索で商品やサービスの情報が少ないことは、自己解決率の低下につながります。
FAQで目的の回答が見つけづらい
ホームページなどに設置しているFAQで、目的の回答が見つけづらいことも原因です。企業などのホームページには、一般的に商品やサービスについてのFAQページが設けられています。
そのページが目的の回答を見つけづらいものなら、自己解決につなげられません。また、そもそもFAQの数が少なく、問い合わせを促してしまっているケースもあります。その結果、自己解決できない顧客からの、コンタクトセンターへの問い合わせにつながってしまうのです。
課題部分の案内や資料の説明が不十分
商品やサービスの、案内や資料による説明が不十分なことも原因です。顧客が知りたいことや、よくある問い合わせの回答などが載っていれば、顧客はそれを参考に問題を解決できます。しかし、十分な説明が載っていない案内や資料では、解決につなげられません。そのため、自己解決につながらず、自己解決率を高める結果になるのです。
自己解決率を高める具体的な対策
自己解決率の低下原因を紹介しましたが、自己解決率を高めるにはどのような対策が必要なのでしょうか。具体的な対策としては「ナレッジベースを提供し自己解決を促す」「顧客からの問い合わせ内容を整理する」「FAQの定期的な見直しや根本的な解決へのアプローチをする」などです。ここでは、それぞれの具体的な対策について解説します。
ナレッジベースを提供し自己解決を促す
顧客にナレッジベースを提供することで、自己解決につなげることができます。ナレッジベースは本来、業務によって得られた知識の積み重ねを、データベースとしてまとめて管理するものです。
企業のノウハウが詰まっているデータなので、社員が情報を必要としたときに必要な情報を参考にできるデータとして活用できます。では、顧客が商品やサービスの自己解決率を高めるためのナレッジベースとは、どのようなものなのでしょうか。顧客にナレッジベースを提供するとは、顧客が情報を必要としたときに必要な情報を適切に提供できるような環境をつくることです。適切に提供するとは、例えばFAQを充実させることや、ユーザーコミュニティなどが考えられます。次では、FAQを充実させる方法や、ユーザーコミュニティについて紹介しましょう。
FAQを充実させる方法
FAQを充実させる方法としては、よくある質問と回答の提供です。一般的に多く寄せられる質問を、まとめて顧客に共有することができれば、自己解決率は高まります。FAQを探すとき、ジャンル分けされていたり、検索窓が設置されていたり、タグから探せたりする方法も有用です。商品についてなのか、支払いについてなのかなどジャンル分けされていれば、顧客はスムーズに目的の回答までたどり着けます。検索窓があれば、ピンポイントで探すことが可能です。タグの一覧から探せると、顧客が自分の知りたい項目選びに迷っている際のヒントにもなります。
自分が抱えている商品やサービスの不明点を、どのように調べたり質問したりすべきか迷っている顧客も少なくありません。FAQの利便性を高め、効率的に顧客へ共有できれば、自己解決を促すことにつなげられます。
ユーザーコミュニティの活用方法
ユーザーコミュニティで商品やサービスの情報を顧客と共有することも、自己解決率を高めます。ユーザーコミュニティとは、SNSや掲示板などを利用して、商品などを提供する側とユーザーやユーザー同士が、商品やサービスについて情報を共有する場のことです。
ユーザーコミュニティに、商品などを提供する企業が積極的に情報を共有すれば、ユーザーはその情報を頼りに自己解決につなげられます。ユーザーの質問に対し、企業の担当者がタイムリーに返信することも可能です。また、その商品やサービスの利用者で高い知識を持つユーザーがいれば、ユーザー同士で多く悩みを解決することもできます。このように、提供する側とユーザーが商品やサービスの情報を共有できるコミュニティも、自己解決を高める対策になるのです。
顧客からの問い合わせ内容を整理し提供する環境をつくる
顧客からの問い合わせ内容を整理し提供する具体的な方法は「IVRとビジュアルIVR」「チャットボットやWebフォーム」などです。次では、それぞれについて紹介します。
IVRとビジュアルIVR
IVRとビジュアルIVRの活用は、問い合わせする顧客の不明点を整理し適切な情報提供に役立ちます。IVRとは音声自動応答システムのことで、電話で問い合わせた顧客に対し、音声で自動応答するシステムです。一方のビジュアルIVRは音声ではありません。パソコンやスマホなどから視覚的に問い合わせできるシステムです。
画面にメニューや項目が表示されるため、顧客は電話のように待たされることなく、目的の情報を得られます。
チャットボットやWebフォーム
チャットボットやWebフォームは、テキストで質問を受けられるので、問い合わせ内容を整理しやすい方法です。チャットボットとは、チャットとロボットを組み合わせたシステムです。顧客のアクションに対し、ロボットが適切な回答を行います。一方のWebフォームは、ホームページなどに設置し、顧客から直接問い合わせを受けられるようにする仕組みです。どちらもテキストで送れるので、顧客にとっては細部まで詳しく質問できるメリットがあります。
質問を受ける側も、問い合わせ内容を回答前に整理して対応できるのはメリットです。チャットボットのほうが人件費などの面でコストを抑えられるので、企業にとっては有用と考えられますが、顧客にとってはチャットボットよりもWebフォームのほうが良いというデータがあります。その理由は、質問に対する回答内容の適切さです。ロボットによる回答は学習量が少なかったり、きめ細かな条件分岐を設定するなどの繊細なメンテナンスができていない場合は必ずしも適切とは限りません。Webフォームなら、顧客からの問い合わせ内容を整理したうえで情報を提供できるので、顧客の満足度も高くなる傾向があるのです。
さらに、追加の提案情報とあわせて回答することでお問い合わせ対応を商機に転換できる事例もでてきていたりします。
FAQの定期的な見直しや根本的な解決へのアプローチをする
FAQを定期的に見直したり、根本的な解決方法へ顧客を誘導することも重要です。問い合わせ内容を分析して顧客が解決したい内容を洗い出すことで、定期的なFAQの見直しができます。顧客はよくあるFAQなどから該当する項目を見つけやすくなるので、自己解決率を高められるでしょう。商品やサービスのチュートリアルを充実させるのも効果的です。顧客はそれを確認すれば、自分の状況では次に何をすべきなのか、行動を促すことができます。
自己解決を促進する仕組みとITソリューションを活用しましょう
自己解決率が低い主な原因は、商品やサービスなどの情報がWeb検索で少ないことや、ホームページなどで顧客が知りたい情報をうまく提供できていないことです。自己解決率を高めるには、仕組みづくりとITソリューションの活用が求められます。ビジュアルIVRなど、顧客が問題解決までスムーズにたどり着けるシステムの活用なども検討しましょう。