2023/04/27

VOCマネジメント

SNSマーケティングとは?効果的な手法と7つの成功事例を解説

SNSアカウントを運用し、自社のファンになってくれる消費者を増やしたり、販売促進につなげたりするSNSマーケティング。スマホが普及し、多くの人がSNSを利用する現在、企業のマーケティングにおいてもSNSの活用が重要になっています。

しかし、実際にSNSマーケティングを実施しようとしても、ノウハウがなく、どうすれば上手くいくのか、イメージが湧かない企業も多いかもしれません。

そこで、この記事では、SNSマーケティングの効果手法、注意点、各プラットフォームの特徴、成功事例、導入方法や成功のポイントなどを解説します。

SNSマーケティングで活用するプラットフォームを確認したい方はこちら

SNSマーケティングとはSNSを企業戦略に活用すること

SNSマーケティングとは、X (旧Twitter)やInstagramなどのソーシャルメディアを活用して、ブランディングや販売促進などのマーケティング活動を行う手法です。

スマートフォンの普及でSNSの利用者は増加。特に若い世代では情報収集の中心的なツールになりました。おすすめや注目情報が自動的に流れてくるため、興味をもった言葉を検索する従来の方法より高い拡散力をもち、幅広い層にリーチできるのが特徴です。

さらに、双方向のコミュニケーションが取れるため、「顧客ロイヤルティ(企業に対する信頼・愛着)」の醸成に寄与するマーケティング手法も可能になっています。

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SNSマーケティングに取り組むべき理由

現代の企業にとってSNSマーケティングは非常に重要といわれます。では、これほど企業のSNS運用が重視されるようになったのは、なぜなのでしょうか。企業がSNSを使ったマーケティングに取り組むべき理由を解説します。

SNS利用率の向上

一番大きな理由は、SNSユーザーの増加です。総務省の「令和3年通信利用動向調査 ポイント」によると、SNSを利用する個人の割合は78.7%と8割近くがSNSユーザーとの結果が出ています。

参考:総務省「令和3年通信利用動向調査 ポイント

年代別の利用者数をみると、13歳~69歳までのすべての年代で令和2年より増加しました。若い世代はもちろん、40代以上でも7割~8割以上がSNSを利用しており、幅広い顧客に対してアプローチ可能なツールといえるでしょう。

スマートフォンの世帯保有率と個人割合も伸びているため、今後もSNSユーザーの増加傾向は続くと考えられます。広い世代で利用者が増え続けるSNSは、企業にとってマーケティングに取り入れる価値が高まっている媒体といえるのです。

SNSによる情報収集の一般化

ユーザーの購買行動の変化もSNSマーケティングが重視される理由の1つです。2022年7月に株式会社ネオマーケティングが実施した「SNSでの商品購入に関する調査」によると、SNSで商品を「よく購入する」「ときどき購入する」と回答した人の割合は、Instagramで48.3%、TikTokで44.8%、X (旧Twitter)で41.8%といずれも4割以上となりました。

さらに、「SNSで購入した商品は以前から購入予定があったか」の質問には、約6割以上が「SNSで見る前には購入予定はなかった」と答えています。

多くの顧客にとって、SNSで情報収集し、購入を決めるといった購買行動が一般化しており、SNSマーケティングによる販促効果も高まっているといえるでしょう。

参考:PRTimes「「SNSでの商品購入に関する調査」~Instagramで購入したユーザーの7割以上が“購入予定がなかった商品”を購入!Pinterestユーザーの約5割がSNS上で商品購入!~

SNSマーケティングが特に効果的なビジネスモデル

SNSマーケティングの実施においては、ビジネスモデルとの相性も重要です。特に「10〜30代をターゲットにするビジネスモデル」と「口コミ拡散されやすい商品・サービスを扱う企業」では、SNSマーケティングが効果的といえるでしょう。

前段で紹介した総務省の調査結果でも、SNS利用率は10代~30代で特に高くなっており、総務省情報通信政策研究所の「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、特に商品購入につながりやすいInstagramの利用率が、15〜19歳では72.3%、20代で78.6%、30代で57.1%です。

10代~30代をメインターゲットとするビジネスでは、SNSマーケティングによる認知拡大、売上向上へのインパクトも大きくなります。

また、食品や化粧品、家電、ファッションなど口コミで拡散されやすい商品を扱うビジネスもSNSマーケティングとの相性が良好です。「使用感が良い」「写真に映える」「共感を生む」といった商品はフォローやシェアにより、情報がどんどん拡散されていく現象も珍しくはありません。

参考:総務省情報通信政策研究所「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

SNSマーケティングによる効果

SNSマーケティングは、従来のマーケティング手法にはなかった多くのメリットをもたらします。続いては、SNSマーケティングの活用が企業にもたらす3つの効果を解説します。

低コストでファンを獲得できる

コストパフォーマンスの高さはSNSマーケティングがもつ大きなメリットです。各SNSは基本的に無料利用できるため、初期投資はかかりません。また、特別な広告でなくても、日々の投稿による情報発信が可能です。

前述した通り、SNSの利用率は年々向上しているため、同じマーケティング施策でも、広い世代で多くの人の目に留まりやすくなります。さらに、フォロワーやシェア機能によるユーザー間での高い拡散効果が期待できるのも特徴です。

従来の広告には興味を示さなかった層にリーチできる可能性もあります。拡散を生むにはユーザーの共感が必要になるものの、既存のマス広告より低コストで広い範囲のファン獲得につながる手法といえるでしょう。

顧客と密なコミュニケーションが取れる

顧客との双方向のコミュニケーションにより信頼関係を構築できるのも、SNSマーケティングのメリットです。従来の広告は基本的に一方通行でしたが、SNSであれば、ユーザーが返信し企業がそれに反応するといったやり取りも可能になります。

企業と消費者ではなく、個人同士のコミュニケーションに近い形で実施できるのがSNSマーケティングの大きな特徴です。顧客との意思疎通を大切にすれば、企業に対する親しみや信頼、愛着といった「顧客ロイヤルティ」が醸成されていきます。

消費者と企業に良好な関係が構築されれば、1人の顧客が企業に対してもたらす利益である「LTV(Life Time Value)」の向上も期待できるでしょう。

VOCをマーケティングに活用できる

SNSであれば、VOC(Voice Of Customer)のマーケティングへの活用も可能になります。VOCとは「顧客の声」を意味したものです。従来の企業によるアンケートなどと異なり、SNSの投稿からはユーザーの正直な意見が収集できます。

また、集めた要望などをリアルタイムでマーケティングに反映できるため、広告施策の軌道修正が容易に行えるのもメリットです。

消費者のニーズや反応に合わせたきめ細やかなマーケティングや、より効果的なユーザーへのアプローチが実現し、企業のブランディングや顧客との信頼構築にもつながるでしょう。

VOCを効果的にマーケティングで活用する方法についてはこちらの記事もご覧ください。
VOCとは?マーケティングに活用する3つのメリットや事例を解説

SNSマーケティングで認識しておくべき注意点

SNSマーケティングには、企業にとって多くのメリットがある反面、従来のマーケティング手法とは異なるリスクやデメリットがあります。SNSマーケティングを実施する際に、企業や担当者が認識しておくべき3つの注意点を解説します。

運用担当者の倫理観が問われる

SNSマーケティングでは、運用担当者にSNSでのマナーや情報発信の方法に対するリテラシーが問われます。SNSで発信された情報は自社の顧客以外が目にする可能性があり、多様なユーザーや価値観への配慮が欠かせません。

SNS担当者は比較的自由に情報発信できる分、個人の意見が企業を代表する考え方のように見られるリスクにも注意が必要です。

またSNSは、使い方次第でステルスマーケティングのような社会的に批判される宣伝方法も可能なため、行き過ぎた広告手法には手を出さない倫理観も求められます。

SNSを活用するのであれば、個人の良識に頼るだけでなく、社内でのルール作りや運用方針の策定も重要といえるでしょう。

不適切な発信で炎上するリスクがある

SNSマーケティングのリスクとしてあげられるのが、不適切な発信による炎上です。SNSでは、社会的なモラルに反する発信や他の企業や製品を批判するような投稿には炎上リスクがあります。また、発信内容に配慮していても炎上する可能性があるため、複数人による多角的なチェック体制も必要です。

SNSでの炎上は拡散により被害が大きくなりやすいのも特徴です。SNSマーケティングでは、基本的な倫理観に加えて、ジェンダーや宗教、災害など多様な社会情勢にも気を配る必要があるでしょう。

過去にSNSマーケティングで起こった炎上事例について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
SNSにおける企業の炎上事例7選|炎上の対処法・事前対策を紹介

長期視点でリソースを割く必要がある

SNSマーケティングは成果が出るまでに時間が必要なので、長期運用を前提にしなければなりません。SNSはアカウントを作りユーザーに認知され、フォロワーが増えていくのに時間がかかります。

ユーザーとの信頼関係を築くには、コツコツと運用し、有益な投稿を重ねていく以外に近道はなく、企業アカウントであっても、なかなかフォロワーが増えずに試行錯誤が必要になるケースもあります。

SNSマーケティングをはじめるなら、長期的に人的コストや管理ツールの費用などを支払う必要があるため、人員や予算などのリソースをきちんと準備しておかなければなりません。

SNSマーケティングに活用される7つのプラットフォーム

ここからは、企業のSNSマーケティングでよく活用されている7つのSNSプラットフォームを紹介していきます。

以下は、各SNSの特徴を簡単にまとめた表です。マーケティングを実施する際は、どのプラットフォームのユーザー層が自社の商品・サービスに合っているか検討してください。

サービス名 国内のアクティブユーザー数 ユーザーの年齢層 特徴
Instagram 3,300万人 10代後半~20代
  • 画像や動画の投稿がメイン
  • 拡散性は低い
  • ハッシュタグが重視される
  • 他のSNSアカウントと連携がしやすい
X (旧Twitter) 4,500万人 10代~40代
  • 幅広い年齢層が利用
  • 匿名性が高い
  • 信憑性の低い情報が拡散されるケースがある
  • 商品、サービスなどのクチコミ、感想が多く投稿される
Facebook 2,600万人 30代~50代
  • 実名登録制
  • 1人1アカウントが原則
  • ユーザーのターゲティングがしやすい
  • 情報の正確性が高い
  • Facebookページが作成できる
  • コミュニティ機能が充実
LinkedIn 300万人
(登録者数)
30代~50代
  • 世界最大のビジネス特化SNS
  • 実名登録制
  • 日本ではまだ知名度が低く、ユーザーも少ない
  • リクルーティングに活用できる
YouTube 7,000万人 10代~70代
  • 世界最大の動画共有サービス
  • 利用者の年齢層が幅広い
  • 投稿動画のジャンルが幅広い
  • 有料のサブスクリプションプランがある。
Tik Tok 1,700万人 10代~20代
  • 縦型・短時間の動画に特化した動画投稿SNS
  • 10代の利用率が高い
  • 投稿や視聴の手軽さが人気
LINE 9,300万人 10代~70代
  • 利用者数で他のSNSを上回る
  • 幅広い年齢層が利用している
  • 連絡手段としての利用が多数を占める
  • ニュースや電子決済などでも利用される
表の続き →

参考:「2023年3月更新!性別・年齢別 SNSユーザー数(X(Twitter)、Instagram、TikTokなど13媒体)

それぞれのSNSについて、さらに詳しくみていきましょう。

1|Instagram

国内アクティブユーザー数:3,300万人(「Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破」2019年7月7日

10~20代の利用者に支持されている、動画や画像の投稿をメインとしたSNSです。30代の利用者も多く、20~30代の購買力をもったユーザーにもリーチできます。全ての年代で女性の利用率が高いのもInstagramの特徴です。

写真や動画といった視覚的な情報発信に強いため、コスメやアパレルなどビジュアルイメージを重視する商材と高い親和性を発揮します。検索がキーワードではなくハッシュタグで行われるため、Instagramではハッシュタグのつけ方が重視されます。

リツイートのようなシェア機能がなく、拡散力は低いとされているものの、FacebookやX (旧Twitter)など他のSNSと連携が行えるため相乗効果が期待できるでしょう。

Instagram内での商品販売もできるため、投稿によるブランディングから商品購入につなげるマーケティングも可能です。

2|X (旧Twitter)

国内アクティブユーザー数:4500万人(日本のX公式アカウントのツイート、2017年10月27日)

10~40代まで幅広い年代に利用されているSNSです。140文字以内のテキストによる短文投稿が主流で、「つぶやき」の手軽さは、X (旧Twitter)が高い支持を得ている大きな理由といえます。また、画像や動画などの投稿もできて、幅広い情報発信が可能です。

匿名性が高いため、本音での投稿がしやすく、商品・サービスへの感想やユーザーが日常的に感じている不満などをリサーチすることに向いています。

投稿数が多く、タイムラインで次々とツイートが流れてくるため、リアルタイムでの情報収集に強いのも特徴。トレンドを捉える際にも利用可能です。

リツイート機能があるため拡散性が高く、広いユーザーへの情報発信に適しており、YouTubeやInstagramなど、他のSNSでの投稿を拡散する目的でも活用できます。

X (旧Twitter)でのマーケティングのやり方や拡散を狙うポイントを知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
X (旧Twitter)で拡散を狙うには?ツイートの時間帯や投稿のコツを紹介

3|Facebook

国内アクティブユーザー数:2,600万人(「フェイスブック ジャパン長谷川代表が語る「退任の真意」--独占ロングインタビュー」2019年7月8日)

30~50代と利用者の年齢層が高めになっているのが特徴で、購買力をもった層やビジネスパーソンにリーチしやすいSNSです。1人につき1アカウントの実名登録制で、匿名性が低いため、属性情報も正確で細かいターゲティングがしやすくなっています。

企業がHPのように利用できるFacebookページも作成可能。特定ユーザーのコミュニティ機能も充実しており、ビジネス関連の商品・サービスのマーケティングに強いのも特徴といえます。

ただ、実名制のため、家族や友達、仕事関係など、リアルで面識のある人とのつながりが優先される傾向にあり、企業の投稿は広告出稿などを利用しないとなかなか見られにくい点には注意が必要です。

また、10代の利用者数は低くなっているため、ターゲットユーザーの年齢層によっては他のSNSを利用したほうが良いでしょう。

4|LinkedIn

国内登録者数:300万人(LinkedIn「Statistics」2021年12月)

実名・顔出しを原則とするビジネス特化型のSNSです。国内ではまだ認知度が高いとはいえず、他のSNSと比べてユーザーも少ない状況ですが、「全世界のユーザー数は8億人以上」とビジネス目的のSNSでは世界最大級の規模を誇ります。今後、日本でも広く利用される可能性があるでしょう。

LinkedInでは、自分の学歴や職歴などをプロフィールに掲載して、自己紹介に利用できるほか、企業ページを作ってPRや広報ツールとしても活用できます。

特に、BtoBの商材を扱っている企業向きで、海外ユーザーが多いため、グローバルなブランディングやマーケティングを実施したい場合にも利用できます。

また、リクルーティングにも有効なのがLinkedInの大きな特徴。すでに海外では、就職・転職活動や人材探しにも広く使われています。

5|You Tube

国内アクティブユーザー数:7,000万人(Google「「選ばれている、理由がある」—— 生活者・マーケターにとっての YouTube」2022年10月)

世界最大の動画共有サービス。豊富なジャンルの動画が投稿されており、誰でも無料で手軽に見られるため、年齢問わず幅広い層が視聴しています。

特に、2020年以降、新型コロナウイルス流行をきっかけに自宅で過ごす時間が増えたため、ユーザー数を大きく伸ばしました。

動画配信市場では世界No.1のシェアを誇り、他のSNSでは難しい長編動画も投稿可能なため、動画によるブランディングやナーチャリング(見込み顧客の購買意欲醸成のためのマーケティング)を行うなら重視すべきプラットフォームです。

ただ、企業アカウントの場合は、再生数がいくら伸びても商材購入につながらなければ意味がありません。エンタメ動画のようにバズらせるのを目的にするのではなく、きちんと購買や集客への動線を意識した動画作りが重要になります。

6|Tik Tok

国内アクティブユーザー数:1,700万人(MarkeZine「「2021年に活用を始めないと乗り遅れる」電通天野氏に聞くTikTok活用の今」2021年10月7日)

短時間の縦型動画投稿に特化しており、Z世代に人気のショートムービーが投稿できるSNSです。投稿時間が当初の15秒から現在では10分まで延長されています。動画の時間に制約はあるものの、その分、1人のユーザーが多くのコンテンツを視聴してくれるのが特徴です。

10代を中心にユーザーを伸ばしており、2017年のサービス開始からたった4年で世界のアクティブユーザー数が10億人を突破しました。日本でも、利用者数では10代が圧倒的に多いものの、30代・40代のユーザーも増加傾向で、幅広い層へのマーケティングが狙えるSNSです。

企業アカウントでも一般の投稿に馴染みやすく、YouTubeに比べて視聴されやすいアルゴリズムを採用している点もメリットといえます。Z世代をターゲットにするなら、ぜひ活用したいプラットフォームです。

7|LINE

国内アクティブユーザー数:9,400万人(LINE for Business「LINE広告とは」2022年12月)

日本人口の約7割が使用しているコミュニケーションアプリ。年齢や性別にかかわらず、幅広い年代で多数のユーザーにリーチできるのが大きな特徴で、特に10~30代での利用率は90%以上です。

マーケティングに利用する場合は、企業の公式アカウントを作成して、登録してもらえばユーザーと友達としてつながれるようになり、商品・サービスの情報提供やアンケート、キャンペーンなど、さまざまな方法で活用できます。

チャットボットを設置すれば、ユーザーとのチャットを自動化でき、運営や問い合わせ対応コストが軽減可能なのもメリット。ほかにも、LINE広告やLINEチラシ、プロモーションスタンプなど、マーケティング施策に利用できる機能が充実しています。

SNSマーケティングで活用する手法

続いては、SNSマーケティングで用いられる代表的な手法の解説です。インフルエンサーの活用やSNSによる顧客のリサーチなど、SNSマーケティングに特徴的な手法も紹介します。

企業アカウントの運用

X (旧Twitter)やInstagramなどに自社のアカウントを作成し、情報発信を行っていく手法です。広告費を抑えながらユーザーとの接点を増やせるため企業や商品の認知拡大が狙えるほか、既存顧客や見込み顧客に向けた情報発信やブランディングなどにも活用できます。

広告のように企業からの一般的な発信だけでなく、ユーザーとコミュニケーションを取りながら信頼関係を構築していけるのがSNSのメリットです。

反面、炎上が発生するリスクも存在するため、運用には慎重さが求められます。開始時には、目的やルールの明確化、発信時のトンマナ統一などをしておき、運用はできる限り少人数で行うようにしましょう。

企業アカウント運用の具体的なテクニックや注意点についてはこちらの記事もご覧ください。
SNSフォロワーを増やすノウハウやその注意点を一挙に解説

SNS広告

SNS上で広告を配信し、情報発信を行う手法です。X (旧Twitter)であれば、タイムラインのツイートの中に広告ツイートが挟み込まれる形で表示されるといったように、プラットフォームごとに、独自の特徴をもったサービスが提供されています。

一般の投稿に馴染む広告配信が可能なため、ユーザーに見てもらいやすいのが特徴です。さらに、SNS登録時の情報や普段の利用傾向などをもとに詳細なターゲティングができ、効率的な広告運用が行えます。

テキスト以外に画像や動画を使ったPR力の高い広告も作成でき、安価で配信できるケースが多いため、コストパフォーマンスも高いといえるでしょう。

インフルエンサーマーケティング

SNS上で影響力の高い人物であるインフルエンサーの人気をマーケティングに活用する手法です。SNSで多くのフォロワーをもつアカウントや登録者数・再生回数の高いユーチューバーなどを指します。自社の商品・サービスにマッチしたインフルエンサーとコラボすれば、ターゲット層にピンポイントで訴求できます。具体的な手法は以下の通りです。

  • 自社製品を使用して紹介してもらう。
  • コラボ商品を企画・販売する。

など方法はさまざまです。

キャラメルコーンで知られる株式会社東ハトのように、料理人ユーチューバーに自社製品を使ったレシピ動画を投稿してもらうといった手法もあります。SNSやインフルエンサーの特性を上手く活かせば、大きな宣伝効果が期待できるでしょう。

インフルエンサーマーケティングの詳細や注意点についてはこちらの記事もご覧ください。
インフルエンサーマーケティングの魅力と注意点

SNS内でのキャンペーン

SNS内でユーザー参加型のキャンペーンを実施し、集客や商品・サービスの認知度向上を目指す手法です。

代表的なキャンペーンには、以下の企画があります。

  • ユーザーにオリジナルのハッシュタグをつけた投稿を促す
  • フォロー・リツイートによるプレゼント企画を行う
  • コンテスト形式で、ユーザーに商品を活用した写真や動画などのUGC(ユーザー生成コンテンツ)投稿を促す

キャンペーン企画は、企業アカウントのフォロワー数を増やしたり、ユーザー自身が企画に参加してブランドロイヤリティを高めたりすることが期待できます。ほかには、ユーザー同士のつながりによる拡散が狙えるのもメリットです。

SNSでのプロモーションやUGCについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
SNSプロモーションのメリット!成功事例つき

UGCとは?マーケティングや風評被害回避のために

ソーシャルリスニング

SNSに投稿されたユーザーの声を収集・分析してマーケティングに活用する手法です。SNSに投稿された口コミからは、キャンペーンやイベントの効果測定、ユーザーのリアルな声の収集などが行えます。

企業のアンケートでは分かりにくい要望や不満点を発見できるため、商品開発や改善に利用可能です。さらに、炎上の早期発見にも役立ちます。

長期的なPDCAを繰り返すSNS運用において、情報収集や分析の効率化、高精度化は重要です。SNSマーケティングを実施する上では、ぜひ導入するべき手法の1つといえるでしょう。

ソーシャルリスニングの方法について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
ソーシャルリスニングとは?その仕組みやメリットなどを解説

企業のSNSマーケティングにおける成功事例7選

SNSマーケティングの効果やプラットフォーム、手法などを解説してきたところで、ここからは、実際にSNSでのマーケティングに成功した企業の事例を紹介していきます。各企業がどのようにSNSでマーケティングを行い、どういった成果を上げているかをみていきましょう。

株式会社ジンズホールディングス【X (旧Twitter)】

わずか1年でUGC数3.8倍、インプレッション数8倍、指名検索数約1.65倍、エンゲージメント6.8倍の急成長を達成したメガネブランド「JINS」を運営する「株式会社ジンズホールディングス」の公式X (旧Twitter)アカウントの事例です。

JINSでは、商品やキャンペーン情報の一方的な発信をメインとする運用方針を2020年から変更し、以下のような施策を行いました。

  1. 質の高いフォロワー獲得を目指してメガネユーザーや潜在ユーザー、SNS投稿に積極的なユーザーなどをターゲティング
  2. メガネのバーチャル試着機能を使った投稿企画や「メガネの収納方法を教えてください」といったUGCのきっかけになるオーガニック投稿を展開
  3. ハッシュタグをつけてツイートするとプレゼントがもらえるキャンペーン企画。

結果、JINS公式は多くのユーザーに支持される人気アカウントに成長。2021年のクリスマスキャンペーンでは、トレンド1位を獲得しています

株式会社ミルボン【X (旧Twitter)・Instagram】

美容室向けのヘアケア製品を製造販売している化粧品ブランドの「株式会社ミルボン」では、X (旧Twitter)とInstagramを上手くマーケティングに活用しており、特にInstagramではUGCを8か月で6倍に増加させています。

X (旧Twitter)では、ヘアケア製品の選び方などユーザーの役立つ投稿の発信や自社商品に関するツイートへのリツイート・コメント返し、プレゼント付きのビンゴ企画などでファンになってくれるフォロワーを増やしていきました。

Instagramでも、最初にビジュアル、2枚目以降に情報を載せた投稿で、ブランドの世界観を表現しながら有益な情報発信を行い、大幅なフォロワー獲得。「#ミルボン」をつけた多くのUGCが投稿されるようになりました。

freee株式会社【You Tube】

クラウド会計ソフト「freee」を提供しているFreee株式会社はYouTubeチャンネルでのマーケティングに成功している企業です。

Freee株式会社が運営する「freee(フリー)【公式】」は登録者が2.38万人(2023年3月現在)で、人気動画は10万回以上を超える再生数を出しています。

クラウド会計ソフトの操作方法に加えて、「確定申告の方法」や「会計の基礎知識」など役に立つ情報を教えてくれる動画を多数配信しているのがFreeeチャンネルの特徴です。

「会社設立の基礎知識」や「開業の基礎知識」「人事労務の基礎知識」など、会計に関心のある人を中心に、個人事業主から法人、経営者、会社員まで幅広い層が興味をもつ動画を投稿し、登録者数増加や再生数獲得に成功しています。

株式会社AKAISHI【LINE】

女性向けシューズを販売している株式会社AKAISHIは、プロモーション方法を従来のメールマガジンからLINE公式アカウントへと移行し、顧客のEC送客率をメールマガジンの約3倍へとアップさせています。

AKAISHIでは、スマホの普及によりメルマガを読んでくれるユーザーが減ったため、2018年にLINEアカウントを導入し、以下の施策を実施しました。

  1. 画像を組み合わせてユーザーに親しみやすくしたリッチメッセージの送信。
  2. 店舗での購買客への声掛けやクーポン、優待制度などのインセンティブにより友達追加を促進。

結果的に、2か月で3,000人の友達獲得に成功。LINEユーザーはECサイトへの送客率が高い傾向にあり、現在では、LINEをユーザーテストのサンプル集めにも利用して商品開発に役立てています。

株式会社ユニクロ【Facebook】

ファッションブランドの株式会社ユニクロは、魅力的なFacebookページを利用してマーケティングを成功させている企業です。

ユニクロのFacebookページは投稿頻度が高く、ほぼ毎日投稿されているため、タイムラインで目にしやすく、ユーザーの認知度アップに貢献しています。

さらに投稿は写真やイラスト、PR文で商品の特徴や良さが伝わるよう工夫されているのも特徴。ユーザーの質問や意見などにも積極的に答えることでブランドロイヤルティを向上させて、多くのファンを獲得しています。

株式会社ローソン【Tik Tok】

Tik Tokを利用したマーケティングを成功させたのが、コンビニエンスストアチェーンを運営する株式会社ローソンの事例です。

ローソンでは、人気フライドチキン商品「Lチキ」のキャンペーンとして、ユーザーにダンス動画を投稿してもらう企画「#いつでもLチキチャレンジ」をTik Tokで実施しました。

オリジナル楽曲「いつでもLチキ」と、親指と人差し指でLの文字を作る「Lチキポーズ」のかわいさが若者を中心に人気となってキャンペーンは大成功。商品の知名度やブランディングにも効果を上げました。

富士通株式会社【LinkedIn】

コンピュータや通信機器のメーカーである富士通株式会社は、ビジネス特化型SNSのLinkedInを活用した海外向けのマーケティングで成功している企業です。

富士通では、LinkedInを使って海外企業の「意思決定権をもつIT分野の担当者」を対象とした正確なターゲティング設定を行い、コンテンツ広告をピンポイントで発信。

自社の認知や関係構築などを目的に、ターゲットが興味を示しそうなトピックや専門知識を提供する動画やブログ記事などを配信し、イギリスやフィンランドなどで7,500を超えるクリック数を達成しました。さらに、フィンランドでは4万4,100回以上のインプレッションも獲得しています。

SNSマーケティング導入の4ステップ

実際に自社でもSNSを活用したマーケティングをはじめる場合、どのような手順で進めていけば良いのでしょうか。SNSマーケティングは最初のターゲティングやプラットフォーム選択が重要です。SNSマーケティングを導入する4つのステップを解説します。

ステップ1|目的・ターゲットの設定

はじめに、SNSマーケティングを行う目的・ターゲットを設定しましょう。ひとくちにSNSマーケティングといっても、

  • 自社商品・サービスの認知度を高める
  • 商品・サービスの購入・利用を促す
  • イベント・キャンペーンをPRする
  • ソーシャル分析を行う
  • 採用活動に役立てる

など、目的はさまざまです。ターゲットや求める成果を明確にしていないと適切なプラットフォーム選定や施策の戦略立案ができません。自社商品の特性やペルソナなどを加味して、具体的な目的を定めましょう。

ステップ2|活用するSNSと手法の選定

目的が決まったら、ターゲットにとって適切なSNSのプラットフォームとマーケティング手法を選択します。各SNSがもつ特徴やメリットと自社商品・サービスの相性を考慮して最適なプラットフォームを選択しましょう。

同時に、成果に応じて実施するマーケティング手法を決定します。例えば以下のような手法です。

  • 自社商品・サービス情報の長期的な発信やユーザーとのコミュニケーションで既存客・見込み客のファン化や顧客ロイヤルティ向上を目指したい→X (旧Twitter)やInstagramなどのSNSアカウント運用
  • 新発売の商品・サービスやイベントなどの認知度を向上させたい→SNS広告、インフルエンサーマーケティング
  • SNS上で話題を作って集客したい→SNS内でのキャンペーン

ステップ3|KPI・運用体制の設定

次に、目標達成のためにKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定し、運用体制を決定します。KPIとは、目標達成プロセスの到達度合いを測定するために定めておく定量的な重要指標です。

SNSマーケティングでは以下のような指標を活用します。

  • 1か月にフォロワーを○○人ずつ増やす
  • SNS経由の販売数を月○○件アップさせる
  • キャンペーンに関するユーザーからのUGCを月○○件投稿してもらう

分析しやすいよう、一定期間での具体的な数値で設定しましょう。

また、SNSの担当者選定や運用チーム作りなど、運用体制の整備も進めていきます。炎上などのリスクを排除する体制を構築するとともに効率的な運用フローを策定しましょう。

ステップ4|施策の実行と結果の分析

運用の準備ができたら、企画したSNS施策を実行し、結果の分析を行います。SNSマーケティングでは施策がどのような成果を上げたかの分析も大切です。

KPIの達成度合いやユーザーからのフィードバック、エンゲージメントなど、数値の推移を確認。目標が達成できた場合は成功要因を、達成できなかった場合は何が課題だったのかをデータから分析し、改善策を立案します。

ほかには、競合他社が行っている施策や人気インフルエンサーの使っている手法から役立つノウハウを吸収するのも有効です。SNSマーケティングのヒントはさまざまな場所で見つけられるため、積極的に情報収集を行い、改善案に活かしていきましょう。

SNSの分析をマーケティングに活かす方法についてはこちらの記事もご覧ください。
ソーシャル分析が重要な理由とは?5つの活用方法と各SNSの特徴を解説

SNSマーケティング成功のポイント

SNSマーケティングで目標を達成するには、従来のマス広告やメルマガなど他のweb広告とは異なるコツやノウハウが必要とされます。SNSマーケティングを成功に導く4つのポイントをみていきましょう。

綿密なアカウント設計を行う

SNSマーケティングで重要になるのが緻密なアカウント設計です。SNSを長期的に運用していくには、はじめのアカウント設計が大切です。

自社商品・サービスの情報を一方的に発信するだけのアカウントや、競合と似通った投稿内容のアカウントではユーザーからの信頼を得るのは難しくなります。

アカウント設計のポイントは以下のとおりです。

  • コンテンツのコンセプトやトンマナなどを明確にする
  • 同じ情報でも、投稿するSNSごとに写真やPR方法を変更する
  • ターゲットが好みそうな投稿内容を分析する

緻密なアカウント設計を行えば、質の高い投稿を安定して発信でき、投稿内容にも一貫性が生まれるでしょう。

ターゲットユーザーに刺さるアカウントにするには情報収集も重要。競合や人気アカウントの投稿などを収集・分析できるソーシャルリスニングツールなどを導入してみるのも1つの方法です。

専任のチームで運用する

SNSアカウントの運用は、1人の担当者ではなく、複数人の専任チームで実施するのがおすすめです。

SNSマーケティングでは、コンテンツ制作のほかに、フォロワーへの返信や運用状況の確認、施策の分析など、多くの業務が発生します。個人や兼任で担当すると負担が大きくなるため、いずれかの業務が滞ってしまう可能性が高いでしょう。

投稿頻度やコンテンツの質を安定させるためには、専任チームを立ち上げるのが理想的です。コンテンツ制作やフォロワーとのコミュニケーション、ディレクションなどの業務別やマーケティング手法別にノウハウをもった人材が担当すれば、より効果的なSNS運用が可能になります。

複数のSNSを使い分ける

マーケティングに使用するSNSは1つに絞らず、複数のプラットフォームを利用しましょう。拡散性の高いX (旧Twitter)やビジュアル重視のInstagramなど、SNSにはそれぞれの特徴があるため、目的に合わせて使い分けるとより施策の効果が高められます。

また、SNSごとに異なるメインユーザー層を把握したうえでの運用も重要です。10代や20代ならInstagramやTikTok、40代から50代には、FacebookやYouTubeといったように、ターゲットを定めた情報発信による新規顧客獲得を目指しましょう。

SNSごとにユーザー層や利用目的も違うため、さまざまな属性のフォロワーやファンを増やせます。

ただ、はじめから複数アカウントを運用するのはリスクもあるため、慣れてから徐々に増やしていくと安全です。

適切なツールを導入する

SNSマーケティングを実施する際は、適切なSNS分析ツールを導入するのがおすすめです。SNSアカウントを長期で運用していくためには、施策の分析と改善が欠かせません。

しかし、SNSを使った情報収集や投稿管理、運用データ分析などをすべて手作業で行うのは難易度が高いといえるでしょう。

運用全般にはSNSの管理ツールを、情報収集や分析、リスクマネジメントにはソーシャルリスニングツールなどを導入すれば、運用の効率化、見える化を実現可能です。長期的にSNSマーケティングをサポートしてくれるため、担当者の負担を減らしながら、より合理的な施策を実施できます。

SNSマーケティングを行うのであれば、情報収集・分析ツールの導入も合わせて検討しましょう。

SNSマーケティングをサポートする「Buzz Finder」

「Buzz Finder」は情報収集・分析により、SNSマーケティングをサポートしてくれるソーシャルリスニングツールです。

Buzz Finderでは、X (旧Twitter)の投稿を全量データからほぼリアルタイムで収集し、前日の主な話題をまとめた日報を配信。SNSユーザーのトレンドを迅速にキャッチできるようになるため、施策の分析や改善に役立ちます。

炎上などで投稿が急増した際はアラートメールを送信してくれるので、リスクへの早期対応が可能です。さらに、トレンド分析や関連語分析など役立つ機能も豊富備えており、過去1年のデータや競合ブランドとの比較など、幅広い視点からの分析レポートも提供します。

X (旧Twitter)だけでなく、FacebookやInstagramにも対応しており、複数SNSを利用したマーケティングもしっかりとサポートします。SNSマーケティング実施の際には、ぜひBuzz Finderの導入をご検討ください。

SNSマーケティングは各フェーズでの分析が重要

スマートフォンが普及した現在、X (旧Twitter)やInstagramなどを利用したSNSマーケティングは、企業がブランディングや販売促進を実施する上で非常に重要な存在です。

SNSを利用して大きな成果を上げている会社もあり、今後、SNSマーケティングを使いこなすかどうかが企業のパフォーマンスを左右する要素になるでしょう。

効果的なSNSマーケティングには、各SNSの特徴を理解した運用と企画段階や施策実行後の振り返りなど、各フェーズでのデータ収集・分析が大切になります。

ぜひ、NTTコムオンラインのソーシャルリスニングツール「Buzz Finder」を導入し、自社のSNSマーケティングの分析・改善を効率化してみてください。

「Buzz Finder」に関する詳しい情報・お問い合わせはこちらから

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