Symantec

顧客体験の向上を第一に、業績向上を実現

シマンテック社は、カリフォルニア州シリコンバレーに本社を置くセキュリティソフトウェアのグローバル企業です。40カ国以上で事業展開を行い、売上は60億ドル、5000名以上の顧客を抱えています。同社は、セキュリティ、ストレージ、システム管理に関するソリューションを提供することで、コンシューマーから法人顧客にいたるまで、同社の顧客がリスクに対し、より安全に情報の保護と管理ができるよう支援をしています。

1.ネットプロモーター®を軸に長期的成功を作り上げているシマンテック

シマンテックのコア・バリューのひとつが「顧客重視」の姿勢です。同社は顧客ロイヤルティが長期的成功における重要な鍵になると考え、2004年にネットプロモーターを採用しました。ネットプロモーターは顧客ロイヤルティの測定基準であり経営指標となるもので、また改善を行うためのベンチマークとして世界中の多くの企業が採用しています。

シマンテックは、顧客の声や体験を継続的に把握し、全社的な改善活動を推進するための仕組みとしてサトメトリックスのNPS®クラウドを選び、2006年に、コンシューマー事業部門(ConsumerBusiness Unit、以下CBU)でネットプロモーターを展開し始めました。CBUは、業界を代表する製品である「ノートン」の開発とマーケティングの主管であり、全社売上の30%を担当しています。

NPS®クラウドを導入して以来、CBUはノートンインターネットセキュリティ(NIS)とノートンアンチウイルス(NAV)のNPS®を50%以上向上させただけでなく、サポート満足度、サポートコスト、電話応答効率も改善しました。

2.シマンテックが直面していた課題:各部門に閉じた管理指標と独自目標

ネットプロモーターの導入前、CBUは各部門に閉じて、お互いにあまり連携することなく業務を行っていました。営業、サポート、技術、その他の部門がそれぞれ独自の管理指標と目標を持って業務にあたっていたのです。

コンシューマー向け営業戦略担当のシニア・ディレクターであるステファン・リヴィエラはネットプロモーター導入前の様子について以下のように述べています。「会社全体がバラバラでした。各部門には独自の管理指標がありましたが、これらの指標は必ずしも会社全体の改善につながっているものではありませんでした。例えば開発チームはバグ修正や新機能に関する指標を管理していましたが、それが最終的にどのようにサポート部門での対応やその結果の顧客ロイヤルティに影響を与えるかを必ずしも考慮していたわけではありませんでした。」

コンシューマー顧客にとって、インストール、性能、サポートの良し悪しが顧客ロイヤルティを決定づける重要な要因でした。サポート部門にあがった顧客からのフィードバックとNPS®調査を分析した結果、その中でも、インストールのプロセスと製品性能に顧客は大きな不満を抱えており、それこそが解決すべき最優先事項であることが明らかになりました。つまり、インストールもしくは性能のいずれかで顧客が問題を抱えていたため、その結果として、対応にあたるサポート部門のパフォーマンスに直接的な影響が起きており、通話回数、保留時間、問題解決時間が増大していたのです。

3.顧客からのフィードバックに対してアクションを起こす

顧客の声に耳を傾ける新しいチームを作る

その後2年をかけて、CBU内のエンジニアリングチームは、新しいビジョンを導入し、また顧客の声を継続的に把握できるテクノロジー基盤も整えることで大きな変化を遂げました。新たに高い目標が設定され、新たなメンバーが追加され、顧客から挙げられた問題をひとつずつ潰していきました。そのように大きな変化を遂げる一方で、製品に対してもいくつもの小さな改善を行いました。インストールがうまくいかないなどの問題を解決し、全体的な製品の使用感も向上させました。その結果、製品は業界随一のセキュリティ品質に加え、インストールの容易さとスピードにおいても優れたものに生まれ変わりました。顧客からのフィードバックを指針として活用することで、顧客はきっとこれを望んでいるだろうというシマンテック側の思い込みではなく、顧客が本当に欲しがる形で製品を届けることができました。

ノートンアンチウイルスとノートンインターネットセキュリティの最新バージョンでは、次のような素晴らしい結果を収めています。

  • インストール失敗率を11%から0.3%に低減
  • インストール性能を500%改善し、インストール時間43秒を達成
  • 性能向上により、メモリ使用量を80MBから4MBに圧縮
  • 2009 年製品の NPS® がそれ以前のものから 2 倍に向上

製品改良が進むのと同時に、チームは、サポート体験の改善も行うために、製品に技術的な仕組みを埋めこみ、技術サポートに変化をもたらし始めました。顧客がすぐにフィードバックを提供でき、またウェブサイトで検索することなく、すぐにヘルプを得ることができる機能を実装したのです。具体的には次のようなものが含まれます。

  • 製品に“Get Help”ボタンを設置:これはサポート部門に直接つなげられており、バージョン、購入日、サブスクリプション状況などの情報を自動的に送信します。
  • チャットとリモートコントロールの導入:これにより言葉では説明しくかった状況が改善され、シマンテックと顧客の両方にとって効率の良いサポートができるようになりました。

ステファン・リヴィエラは次のようにまとめています。「ネットプロモーターはすべての部門が共にフォーカスできる指標です。会社全体がネットプロモーターというひとつの指標を共通目標にし、それぞれの部門の目標をネットプロモーターの向上に関連付けて設定します。この結果、考え方が変わり、部門間の連携が進みました。これは単純ですが重要なことです。」

4.NPS® 導入がもたらした影響と結果

  • CBUのNPS®はわずか3年で2倍になりました。
  • サポート部門は、満足度スコアで高めに設定した目標を超える13ポイントの改善を達成しました。
  • サポートの通話時間を10-12%削減し、これまで顧客1人の問い合わせ対応にかかっていた時間で、平均1.6人の顧客に対応できるようになりました。
  • サポートコストが30%削減された分を顧客体験向上のために再投資し、全体の費用は維持しました。
  • 権威ある“PC World”の編集者賞を各国で受賞したほか、世界中で多数の賞と高い評価を受けました。

カスタマーエクスペリエンス担当バイス・プレジデントのステファン・オストハウスは、「ブランドへの評価は、製品そのものや技術ではなく、顧客の感じ方によって決まってしまうものだ」と述べています。

5.関係者全員で顧客からのフィードバックに真剣に向き合う

シマンテックは顧客からのフィードバックとNPS®をすべての社員と委託先のサポート組織に継続的に共有しています。

サポートチーム
サポートコールセンターのスタッフとサポート委託先企業は、サポートに対する顧客のフィードバックと顧客満足度スコアを毎月レビューしています。

部門横断オペレーションチーム
部門横断チームは隔週で会議を開き、顧客からのフィードバック、NPS®の対計画比を確認し、業績向上に向けた計画の進捗具合を確認します。また、目標と実績のギャップを特定し、改善案を出し、それを経営幹部に上げます。

経営幹部
技術、マーケティング、サポート各部門のリーダーを含む経営幹部には、四半期ごとに全社 NPS® の結果がアップデートされます。

6.成功を生み出す文化

顧客重視の姿勢により業績が向上

今ではネットプロモーターはシマンテックのビジネスに深く組み入れられています。すべての部門には、業績、顧客ロイヤルティ(NPS®またはNPS®に紐づけられた指標で測定される)、従業員満足度、業務効率に対する目標が埋め込まれた、全体としての業績向上計画があります。経営幹部の報酬は、これらの目標すべてと連動しており、このような責任を持った関わり方によって、業績向上につながる顧客重視の文化が作り上げられています。

7.サトメトリックスとのパートナーシップで成功を加速

シマンテックはサトメトリックスをパートナーに迎え、ネットプロモータープログラムを実施しました。テクノロジーを導入することで顧客データの収集、分析、関係者や関連するビジネスプロセスでの共有をリアルタイムに行い、またそのデータを社員のワークフローに組み込んでいます。このシステムは、シマンテックが顧客体験の向上を継続的に推進する支えとなっています。

サトメトリックスのNPS®クラウドを使った顧客ロイヤルティ把握により、顧客との関係の健全性や顧客体験における理想と現実のギャップがわかりました。そして結果的に客離れが防がれ、競合他社への優位性を獲得し、クロスセルとアップセルの機会を増やすことができました。また、サトメトリックスのNPS®クラウドにより、サービス品質とサポート対応が与える、顧客満足度と顧客ロイヤルティへの影響も把握できるようになりました。

8.新たな収入機会を生み、継続的なイノベーションを可能にする安定した基盤

シマンテックは、セキュリティソフトウェアソリューションのマーケットリーダーであり、多くの顧客にとって信頼できるアドバイザーであるため、新なサービスを開拓する機会にも恵まれます。レニー・アルガスは、より広範囲なPCサポート製品にまでシマンテックの事業を拡大することができるのではないかと考えています。そしてそれは、社内の誰もの期待でもあります。

コンシューマー向け製品担当のシニア・バイス・プレジデントのローワン・トロロープは次のようにコメントしました。「NPS®プログラムによって、顧客フィードバックに会社として注意を払うようになりました。ネットプロモーターを活用することで製品が抱える問題への対応の緊急度を上げ、製品に関する不満を取り除くことができました。これからもNPS®をKPIとして活用していきたいと思います。」

現在シマンテックは顧客から挙げられた緊急度が高い問題への対応に力を注いでいますが、次の段階においては、顧客体験の差別化を目標にしています。このプロセスでは顧客サポートの範囲を超え、購入、更新、ライセンス付与に至るまでの一連の顧客との接点において、顧客からのフィードバックを得て、何が差別化要因となるかを探っていきます。

シマンテックは、顧客の声を聞き、そのフィードバックに対応することで、2年以上をかけ業界で最も優れた、継続的に顧客体験を向上させる仕組みを構築してきました。このような優れた基盤と、企業として、顧客第一の姿勢を貫いているため、今後も更なる成長が期待されます。

グループ・プレジデントのジャニス・シャフィンは、次のように発言しています。「顧客体験に影響を与える重要項目に取り組むことにより、弊社の優れた地位を維持することができました。こうした努力が実を結び、更に成長していくことを期待しています。」

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