Aggreko

顧客を中心とした業務改善の継続

アグレコ社はスコットランドに本社を置く臨時電力および温度制御ソリューションの世界的大手企業です。4,500人を超える社員を抱え、世界約165拠点で運営しています。2011年には約100ヶ国でサービスを提供し、約14億英ポンド(日本円で約1,790億円(*1))の収益を上げているロンドン市場FTSE100銘柄指定の上場企業です。

アグレコは企業に対し、一時的に電力と温度制御ソリューションを提供しています。例えば工業用地への電力提供、停電時における市全体への電力供給、多くの電力や冷房設備を使用する大規模なスポーツイベントでの電力供給などです。165ヶ所の海外現地拠点にあるサービスセンター、また、国をまたがる対応の場合は国際電力プロジェクト部門を通じて顧客の対応にあたっています。

1.アグレコが直面していた課題

アグレコのビジネスは、既存顧客からのポジティブな紹介に大きく依存しています。そのため世界43,000社以上の企業の声を聞き、適切な顧客体験の提供ができているかどうかを確認したいと考えており、そのための方法を探していました。「顧客はここを重要視するだろう」という推察に基づいたビジネス決定を行うのではなく、どの要素が顧客にとって本当に重要であるかを確認しようと考えたのです。企業文化の一部として顧客中心主義を推進し、会社全体で顧客との関係構築を最優先事項にしたいと考えていました。

2.解決に向けてのソリューション

アグレコは、ネットプロモーターの共同開発者であり、先駆者であるサトメトリックスとの提携を選択しました。そしてネットプロモータープログラムを実施しました。「アグレコを友人や同僚に薦めたいですか?」等のいくつかの重要な質問をし、その回答からロイヤルティを向上させるために効果的な対応をしているか、できていない場合、その原因は何かということをはっきりと示す信頼できるデータを取得することができました。また、サトメトリックスから提供されたソリューションには顧客満足度を測定できるベンチマークも含まれていました。

アグレコのグローバル・コミュニケーションおよびマーケティングの責任者であるサイモン・ライオンズ氏は次のようにコメントしています。
「サトメトリックスが提供してくれたのはデータだけではありませんでした。弊社の目標達成を支援するための豊富な経験、分析スキル、必要なユーザーインターフェース、信頼性、ベンチマークデータなどを備えていました」

2006年にアグレコの北米拠点でNPS®がまず試験的に導入され、2012年までには100ヶ国以上でこれを活用する体制がつくられました。アンケート調査が実施され、顧客企業からのフィードバックが幹部会に提出されました。アグレコの幹部が、これらデータの価値を認識し、施策を自らの責任として考え、全面的に支援していく貴重な最初のステップとなりました。

また、このパイロットプログラムが全世界に展開される前に、幹部のフィードバックが確実に考慮されるよう、幹部会の場で公開討論も行われました。

さらに、この最初のパイロットの結果は、世界中の幹部チームに公開・提供され、幹部を通じ、顧客からの貴重なフィードバックは営業担当者にまで共有されました。フィードバックは質が高く、問題点を明らかにするものだったため、アグレコはこれを活用して顧客対応のレベルを改善することができました。

アグレコのCEOはサトメトリックスのNPSクラウドを活用したプログラムの価値を認め、これを全社で取り入れることにしました。またこのプログラムは営業ではなく、マーケティングチームが主導するものとし、顧客ロイヤルティを理解し、確実なものとする貴重な手段として社内で位置づけられました。

ネットプロモータープログラムの全世界展開において、それぞれの拠点でどのように顧客エンゲージメントを向上できるかについてサトメトリックスの持つベスト・プラクティスを活用しました。以下がアグレコにおいて実施した施策概要です。

  • 顧客に対して、フィードバックの重要性を説明し、オンラインアンケートへの協力を依頼するメールを送信します。
  • 批判者がアンケートより特定された場合、その存在を知らせるアラートを即座に送信します。これを受け取った社員は不満を抱いている顧客と会話し、懸念事項や問題を理解し、その改善を図ります。
  • 顧客からのフィードバックに対し、会社として改善のための行動を起こしたか、すべての顧客をフォローアップして確認します。さらに顧客からのフィードバック結果を、良いものも悪いものもすべて企業のウェブサイトに掲載することで、顧客の声に対して真剣に取り組む姿勢を示し、顧客との関係を深めるようにしました。

3.導入効果

アグレコはサトメトリックスのNPSクラウドを活用して顧客重視の活動を継続し、次のような結果を出しました。

  • 2011年、アグレコは43,000社近くの顧客企業にNPS調査を実施し、「同社を推奨するか」という設問に対して顧客の69%が10点中9点または10点をつけるという素晴らしい結果を出しました。
  • 下記の表に見られるように同社のNPSは上昇を続け、世界レベルのスコアを達成しました。
  • グローバルのB2B におけるNPSの平均値が20前後である中で、アグレコ社はB2Bベンチマークで上位5位をキープしています。

アグレコは以下のような世界レベルのNPSを維持しています。
2007年…54
2008年…58
2009年…60
2010年…60
2011年…60

「自社のNPSに対してアグレコの全チームが誇りを抱いており、その結果、前年上昇を続けているNPSに全社員が重点的に取り組んでいます。」とサイモン氏は述べています。

  • 顧客重視の姿勢を確かなものにすることで顧客中心の組織となり、その重要性を全社員が理解します。
  • 重要なロイヤルティ推進要因を見える化し、プロセスとポリシーの変更により対応します。
  • 問題の特定と解決を迅速に行います。
  • 顧客にとって重要な問題に適切に対応するため、既存の顧客サービスプロセスを見直します。
  • 顧客との取引関係を超えて長期にわたり信頼関係も構築します。
  • 自社ブランドの評判を改善します。
  • 顧客データを使用して、サービスに満足した顧客から受け取ったポジティブなフィードバックにより増収機会の可能性を見出します。

サイモン・ライオンズ氏は次のようにコメントしています。
「サトメトリックスと協業してから、弊社の考え方と業務管理方法は変わりました。初めてNPSプログラムの導入に成功して以来、サトメトリックスのテクノロジーとネットプロモーターに関する専門知識により、すべての国、あらゆる業務レベルで「顧客優先」の精神が芽生えるようになりました。『顧客の耳に傾ける』という姿勢によって企業文化に変化が生まれ、最終的に収益が向上しました。」
「サトメトリックスのNPSクラウドによって、ロイヤルティに影響を与える数々の要因の中でどれが顧客にとって重要で、それにどう対処すべきかが明らかになります。以前は、顧客にとって重要でない項目に対し、過大な努力と投資を行う可能性がありましたが、現在は、データから最も影響が大きい箇所を特定し、的確に投資配分することができます。」

その結果、リレーショナル調査(*2)におけるNPSが改善しただけでなく、すべてのタッチポイントにおけるNPSも上昇しました。最新の分析では、「コストパフォーマンス」という項目が一番改善しました。これは、厳しい経済環境の中で活動するサービス組織にとって幸先の良いニュースです。

4.ベストプラクティス

顧客から集められたデータにより、営業スタッフの専門性から、サービスと機器の性能、請求に至るまで、顧客とのタッチポイントにおけるロイヤルティに影響を与える要因が明らかになりました。また調査では顧客の期待と実際の体験のギャップについても尋ね、顧客が改善してほしいと感じている分野がわかるようになりました。

アグレコの活動拠点は100ヶ国を超えるため、それぞれの地域における多数の言語と文化の違いを全社で管理することは非常に難しいという問題がありました。サトメトリックスのNPSクラウドを活用することで、すべての市場でローカル言語の使用と文化的差異を考慮したアンケートを行うことができました。会社全体でプログラムを実施することで、この問題を克服しました。また同社は以下のような取り組みも行いました。

  • すべての事業部に対し、ネットプロモーターの方法論に関する教育を行いました。
  • ネットプロモータープログラムに関わるスタッフに対して、自らの役割として、何について意識し、どんな行動をすべきかについてトレーニングを行いました。

このフレームワークのおかげで、アグレコは地域に関係なく一貫した顧客体験を提供することができました。また、地域、部門、推進要因のすべてで標準化されたデータ収集が行われているため、業績を比較するうえで信頼できるデータとなり、マネジメント層は全社レベルのパフォーマンス比較を行い、洞察を得ることができます。

サトメトリックスのNPSクラウドは直感的で簡単に使用できます。このことを社内にアピールし、新しいスタッフが抵抗なくツールを使用できるようにしました。また、すでに利用しているスタッフも含め、機能がアップデートされたときは使い方を確実に理解できるようにしています。このように、会社全体でデータ活用が進むような取り組みを継続して行っています。そしてNPSを理解するために必要な知識、スコアに影響を与える要因、適用できるベストプラクティスのアプローチを浸透させるために、スタッフと継続的なコミュニケーションをとっています。またこのベストプラクティスのアプローチは各地域の組織の成熟度にあわせて、徐々に改善や変更を図りながら洗練させていくことができます。リアルタイムでNPSが把握できるので、スタッフがスコアを定期的に確認し、すぐに必要なアクションをとることができました。

また、サトメトリックスは、顧客体験データの収集、要因分析、洞察を行い、顧客からのフィードバックに関係者が直接アクセスすることができるNPSクラウドを提供しています。CEOから現場監督まで組織のあらゆるレベルに自動的に情報が配信されるので、顧客にとってまだ記憶が鮮明なうちに、顧客の満足度にあったレベルで迅速に対応をすることができます。例えばこのシステムでは、少し不満を抱えた顧客に対してフォローアップを行い、問題に対処するアクションをとるよう営業スタッフにアラートメールを送ることができます。

顧客から非常に批判的な回答が返信されてきた場合は、アカウントマネージャーと地域担当マネージャーだけでなく、CEOにもアラートメールを送信することが可能です。

重要顧客が、提供されたサービスに「非常に満足した」と答えた場合は、直接重役にメールを送信することができます。これにより、実際に顧客が非常に喜んだ体験について理解を深めることができ、引き続き良い仕事をするようアカウントチームに対して報酬を与え、モチベーションを上げることもできます。

またアグレコは、顧客体験データに自社の業務データと財務データを組み合わせて、高度な分析をしています。投資と業務改善の機会を簡単に特定することができるので、戦略や戦術について決定を下すことができます。スタッフがNPSを常に意識することで、何が業務上の最優先事項かはっきりと理解することができるので、顧客をすべての活動の中心に置くことができます。

サイモン・ライオンズ氏は次のようにコメントしています。
「社員はリアルタイムに顧客からのフィードバックを得られるので、自分の行動が顧客体験に与える影響を理解できるようになりました。この結果、社員を本当の意味でプロセスに組み込むことができました。NPS施策に関わらず、社員が顧客のフィードバックを得たいと熱心に思うようになり、この結果、顧客対応のレベルを向上させることができました。」

またアグレコではサトメトリックスのNPSクラウドを活用し、トランザクショナル調査(*3)とリレーショナル調査の両方で、リアルタイムで顧客フィードバックをモニターすることができます。

サイモン・ライオンズ氏は次のようにコメントしています。
「弊社の役に立っているのは、NPSクラウドから受け取るデータの量が多いということだけではありません。これらのデータは事実に基づいており、すぐに利用できるため、顧客それぞれに合わせたアクション提案を考えることができます。そして予算や人材を、弊社が推測する分野ではなく、顧客にとって本当に重要な分野に配分することができるのです。」

  • (*1) 2011年の平均為替レート1ポンド=127.9340円で換算
  • (*2) サービス全体の評価や総合的な体験の評価を、顧客体験の全体的な印象、企業と顧客の関係性を測る設問にて測定。年1回、半年/四半期毎の頻度で実施することが多い。
  • (*3) 現場における評価や特定のタッチポイントにおける評価を顧客体験の特定要素、特定の取引に対する評価を測る設問にて測定。取引発生直後に実施することが多い。

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