クラブツーリズム株式会社

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https://www.club-t.com/

NPX Proの明快な分析がボトムアップからの全社展開を後押し

絵画・スケッチ、歴史探訪、登山など趣味分野に特化した講座やツアー商品で、シニアを中心に絶大な人気を誇るクラブツーリズム株式会社。
同社で、顧客満足度調査(CS)では測りきれない顧客の思いを掬い上げるために導入されたのが「NPX Pro」でした。ここではその経緯と導入後の活用ぶりについて、酒井氏、高橋氏にうかがいました。

クラブツーリズム株式会社
経営企画部 100年プロジェクト
課長 酒井 信也 氏
リーダー 高橋 やよい 氏

顧客満足度とリピート率の乖離が、NPSへ注目するきっかけに

―はじめに、貴社の事業についてお聞かせいただけますか。

酒井:弊社は、KNT-CTホールディングスの一員であり、主事業は旅行業です。特に60代~70代のシニア層を中心としたパッケージ旅行を多く取り扱っています。中でも「趣味を楽しむ旅行、趣味を通じた仲間と一緒に楽しむ旅行」が主力となっていまして、そのコミュニティ形成も兼ね、英会話や歴史といったテーマで講座を開くなど、旅行以外の事業にも広く取り組んでいるのが特徴ですね。

―講座をきっかけに「英会話を身につけて海外へ行きましょう」「講座の仲間と旅をしましょう」といった形で旅行へ展開していくのですね。

酒井:そうです。社内では「テーマ旅行」と呼んでおりまして、他にも登山、歴史探訪、写真撮影……と多くのテーマを扱っていることを独自性、強みにしています。「仲間が広がる、旅が深まる」を企業理念としていまして、旅行自体は目的ではなくあくまで手段、その先にあるのが自分の趣味やコミュニティであり、それを共に楽しめる人と一緒に過ごすことが目的という考え方です。「クラブツーリズム」という社名もそういった意味合いを持っています。

―そうしますと、NPS調査は「お客様にとって旅行での体験がより良いものになるように」という観点で取り入れられたのでしょうか。

酒井:サービス業ですので、大きい意味ではそうなりますが、より具体的な課題として「リピート率の伸び悩み」を抱えていたのもあります。実は顧客満足度は年々上がっていたのですが、そこにリピート率が比例しない。これは私の仮説ですが、旅行単価が高めになるとお客様の心理として「これだけ旅行費をかけたのだから満足しているはずだ」という自己暗示的な気持ちが生まれるのかもしれません。そうした、顧客満足度だけでは測りきれない部分で手をこまねいていた時に「NPSの『推奨意向』は再購買との相関性が強い」という話を聞きつけました。

NPX Proのシンプルで明快な分析手法が本格的な導入の鍵

―初回のNPS調査は、単発的に実施されたそうですね。

酒井:当社のメルマガ会員を対象に、リレーショナル調査、いわゆるブランドNPSの調査を実施しました。そこでやはり、満足度や再利用意向よりも、推奨意向の方がリピート率と相関していることが分かったのです。ただ、CSを重要なKPIと認識している経営層を納得させ、NPSを現場にまで浸透させるには難しい面があり、本格的な導入には至りませんでした。

高橋:また、そのとき用いた分析手法が、統計学的といいますか、よりリサーチャー、マーケター寄りの高度なものだったので、NPSを全社に浸透させていく上では、もっと誰にでも分かりやすいアウトプットが必要でした。

酒井:そういった中で、NTTコム オンラインの、四象限図を使った分析方法は非常に分かりやすかった。横軸に各顧客体験の満足度、縦軸にNPSへのインパクトを置いた時の相関性が直感的に分かる。

高橋:今まで活用してきた「満足度」という尺度も活かしながら、そこにNPSを掛け合わせた時に、満足度が顧客ロイヤルティにどれだけ寄与していたのかが分かり、課題領域がしっかり見えてきたんですね。NPX Proのツールとしてのインターフェースが使いやすそうだというのもポイントでした。やはりPDCAを回し続ける上で「いかにリアルタイムで実態を捉え、改善アクションを検討できるか」は非常に大事です。
私は以前マーケティング部に所属していたのですが、どんなデータの見せ方、伝え方が現場の判断に役立つかは、常に考えていることのひとつでした。そう考えると、NPX Proのダッシュボード上で、カスタマイズを効かせながらデータを共有できるというのは大きいですね。

―現在のNPS調査はどのように実施されているのですか。

高橋:メルマガ会員のお客様を対象にしたリレーショナル調査とトランザクショナル調査の二段構えです。年に一度、クラブツーリズムのブランドに対する顧客ロイヤルティの実態把握や、顧客体験における課題領域を把握するためにリレーショナル調査を実施したところ、そこで見えてきた課題領域が「ツアー自体の内容」、「行程や段取り」などの、いわゆる「旅ナカ」でした。
想定通りといえば想定通りでしたが、顧客ロイヤルティへの影響の強さを改めて認識できたのと同時に、そこでまだまだ満足を獲得しきれていないことが明確になったので、その領域について毎月トランザクショナル調査を走らせています。毎月一度、前月にツアーにご参加されたお客様に対して、一斉にアンケートをお送りして、直近ご参加いただいたツアーについての評価をお伺いする形ですね。
もともと、当社ではツアー終了時に紙のアンケートをお客様へお渡しして記述していただく形式で満足度調査を行っていますが、先々はこれをNPX Proを使ったNPS調査に置き換え、現場が自走して運用できるようにしたいと考えています。ただ、運用面など一気に変更するのが難しいところもあるので、まずは経営企画部内でトライアル的にトランザクショナル調査を実施している段階です。

―トランザクショナル調査では予測もしなかった結果が出たそうですね。

高橋:「こんなに強く出るのか」と驚いたのはツアー中の「食事」、食体験の重視度ですね。感覚として「大きな要素だろう」と思ってはいたものの、ここまで強く顧客ロイヤルティに寄与する項目であると調査結果から気づかされて、危機感を持ったところもあります。

酒井:顧客ロイヤルティへの寄与という部分では、添乗員も同列に高いですけれども、ここは比較的ご満足いただいていました。ですが、ツアー単位でスコアやコメントを見てみると、添乗員によるばらつきがまだまだあるため、レベルの均質化が求められます。また、食事は非常に重要である一方で、残念なことに現状の満足度が低いと分かって、これは喫緊の課題であると。
ちなみに「食事」に次ぐ課題は「行程」と出たのですが、おそらくこの2要素はお客様にとって事前に予測、把握がしにくいのです。宿の設備はインターネットで検索すれば大体想像がつきますので、実際との乖離を縮めることができますが、食事の内容や美味しさや、行程が自分に合っているかは、フタを開けてみないと分からない部分がある。そこで、お客様の事前期待と、実際の体験にギャップが生まれてくるのかもしれません。

―クラブツーリズムのツアーは、一般的な旅行会社よりも品質が高いというイメージがあるだけに、お客様の期待値がより高くなってしまうのかもしれないですね。

酒井:はい。実は行程も、売ることを考えれば「多くの観光地へ行ける行程」の方に引きがあります。でもそのために移動がきつかったり、じっくり見たい観光地の滞在時間が短かったりということが起こっているんですね。我々が、その売らんがための感覚を改めなければと気づけたところが今回の大きい収穫だと感じています。

―課題の他に何か見えてきたところはありますか?

高橋:課題も見えてきましたが、逆に添乗員の強み、添乗員の満足度の高さも色濃く出て、弊社の中でも特にこだわっている部分、そこが強みとして現れたのは自信になりました。また、それをどういう風に維持向上していくのか、再認識して重要性を確認することにもつながりましたね。

品質と利益を相反させるのではなく、品質向上を利益へつなげたい

―今後のNPS活用について、お聞かせいただけますか。

酒井:現在メルマガ会員中心に行っているNPS調査を、もっと全量的なものにしていきたいですね。紙ベースのアンケートはお客様の個人情報と紐づけできないので、Webで実施しているアンケートとの二重構造になってしまっている。そこを統合するというのは大きな課題です。実はすでに、ツアーごとの紙のアンケートにNPS調査の設問を盛り込んで、セクションごとのNPS、2019年度のベンチマークとなるスコアを取り始めていまして。2020年から本格的な稼働を目指しています。

高橋:顧客情報と紐づけられるというのもNPSを導入した大きなポイントでして、弊社が豊富に持っている顧客情報のデータに、今まで持っていなかった顧客ロイヤルティという指標を組み合わせて、「推奨度によってどういう購買行動になっているのか」、「どういう風に顧客ロイヤルティが育成されていくのか」を見ていくことで、顧客育成戦略を考えていきたいですね。

―ボトムアップから全社展開されているところも素晴らしいですね。

酒井:全社的に「NPSを1上げるとどのような経済効果があるのか」を証明しなくてはと考えています。「数字が上がった/下がった」という話で終わらせたくないのです。
従来は現場が数字で出せる結果というと、どうしても「利益」だけになってしまっていた。「感動計画」とか「クオリティファースト」などのスローガンを掲げて、品質は大事だと言いながらも、品質を追うとどうしてもコストが増し利益が下がる、表裏一体のような関係になっていたんですね。そこにNPSを採用することによって、「品質を上げ、お客様を満足させると経済効果としてこれだけ利益が上がります」という考え方にしたい。書籍「ネット・プロモーター経営―顧客ロイヤルティ指標 NPS で『利益ある成長』を実現する」にもありますが、NPSのSは「スコア」でなく「スピリット」と解釈すべきだと。そもそも我々のミッション、企業理念はお客様に喜んでもらうこと。そこを社員が理解して本当にそこを目指して取り組むところまで変えていくことが、今目指しているところですね。

―数字だけではなく、お客様の喜ぶ姿を目指して取り組む、その計測ツールとしてNPS、そして弊社のNPX Proと営業担当者(小林 飛暁)、コンサルタント(笠岡 秀輝)がお役に立てて、たいへんうれしく思います。最後に、KNT-CTホールディングスは東京2020オリンピック・パラリンピックのオフィシャルパートナーでもあります。日本開催のオリンピックにNPS調査が投入されるのも初めてのことになりますね。

高橋:おそらく今まで接点のなかったお客様と初めて接点を持つケースが増えますし、オリンピックという特別な機会に、お客様の期待も高まり、いつもと異なる顧客体験をされる可能性がとても高い。そういった中でNPSスコアがどう出るかは、しっかりモニタリングしていきたいと思っています。訪日旅行者も増加していますので、インバウンド事業のメンバーにもNPX Proを紹介したところ「分かりやすい」「これは役立ちそう」とすぐに理解が得られ、今、初めての現場運用へ向けて準備を進めています。

―本日はありがとうございました。

まとめ

お客様の課題

  • 顧客満足度は年々上がっていたが、リピート率が比例しなかった。
  • ブランドNPSの調査を単発で行ったが、分かりやすいアウトプットを出すことができなかった。

導入の効果

  • 満足度や再利用意向よりも、推奨意向の方がリピート率と相関していることが分かった。
  • トランザクショナル調査により、重要度と満足度のギャップが大きい項目が明らかになった。
  • NPX Proのダッシュボード機能は、データの見せ方、伝え方がわかりやすく、現場の判断に役立つ。

※ 記載内容は2019年8月現在のものとなります。

Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。