2020年1月30日開催 テクマトリックス CRM FORUM 2020 第一生命様ご登壇!「お客様に寄り添う応対」カスタマーファーストの実現
~NPSを活用した迅速な改善アクションとそれを支えるシステム~
セミナーレポート

2020年1月30日に開催された「テクマトリックス CRM FORUM 2020」のNTTコム オンラインのセッションは、ほかの金融機関に先駆けてコンタクトセンターのオペレーターの応対品質評価にNPS®を導入された第一生命保険株式会社 コンタクトセンター統括部の篠崎様にご登壇いただき、NPS導入の経緯から現在の活用状況までをお話しいただきました。
本格的にNPS改善活動を実施するにあたり、アンケート作成から集計、分析をワンストップで支援するNPSクラウド「NPX Pro」をどのように活用し、「お客様に寄り添う応対」を実現されているのか、当社のお取り組みを様々なデータを示しながらご紹介いただき、会場は200名以上のお客様で熱気に包まれたセミナーとなりました。

1.顧客ロイヤルティを計測する新指標「NPS」とは?

はじめに、弊社データ&アナリティクス部 光安より、NPSについてご紹介しました。

(1)顧客ロイヤルティの新指標NPSとロイヤルカスタマー育成を支援するNPSプラットフォーム

弊社で提供しているサービス、NPX Proは、NPSを計測するためのプラットフォームです。
NPS(ネットプロモータースコア)とは、「顧客がその企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか」を数値化する指標のこと。顧客推奨度ともいわれています。
NPSは、「友人や知人に薦めたいと思いますか」という究極の一問を投げかけ、それに対する回答から推奨者と批判者の割合を算出。その差から、NPSのスコアを計算します。

CS(カスタマー サティスファクション)に比べ、未来の行動(継続利用、追加購入、口コミなど)との整合性があることから、売り上げや業績との相関が高いとされています。
そのため、現在NPSはロイヤルカスタマー(推奨者)を創出し、良き利益による持続的な成長を目指す指標として、多くの企業によって取り入れられています。
とりわけ、NPSの導入が加速しているのが金融業界です。

(2)NPSの運用をサポートするNPX Pro

弊社が提供するNPX Proは、プログラム設計、アンケートによる顧客の声の収集、NPS把握、要因分析、改善アクションの展開まで、一連のプロセスをワンストップで提供する、NPSに完全特化した分析・改善プラットフォームです。
NPSの商標を持つNICE Satmetrix社が開発し、海外で350社以上の導入実績を有します。弊社はこのNICE Satmetrix社と世界唯一の独占販売代理店契約を締結しており、ノウハウやナレッジをクライアントに提供しています。

(3)NPX Proを活用して迅速なアクションへ

NPX Proを導入するだけでは業績向上にはつながりません。
その結果を活用し、迅速なアクションにつなげてPDCAをスピーディーに回転させることで、初めてサービス品質の改善や業績向上につなげることができるのです。

2.第一生命コンタクトセンターの概要と従来の課題

次に、業界において他社に先駆けてNPX Proを導入し、めざましい実績につなげていらっしゃる第一生命保険株式会社 コンタクトセンター統括部の篠崎様にご登壇いただき、まずは導入の経緯についてお話しいただきました。

(1)カスタマーファーストを追求

第一生命様では、日本全国に5つの拠点をお持ちです。いずれもお客様との接点拡大や、ホスピタリイティ追求を掲げ、さまざまな施策を実現してきました。
当初は、お客様から苦情や申し立てをお受けして、それから対応策を打つのが一般的でした。その後、運営の安定化や応対改善を図るなか、苦情を発生させないうちに対応するという先手型の体制に変化していきました。
お客様に寄り添う応対でご満足いただくのはもちろんのこと、お客様のご期待を超え、感動をご提供するという「カスタマーファースト」の実現に向けて、センター一丸となり取り組まれています。

(2)従来型「人による評価」とは?

そのような中、コミュニケーターの応対品質の向上は、どの拠点においても重要な課題でした。
従来は、「人による評価」が中心であり、応対品質管理担当がコミュニケーターの通話をランダムに選択し、それを聞いてアセスメントシートを作成して、スーパーバイザーにフィードバックし評価や改善を行ってきました。
そうした個別指導と同時に、応対品質管理担当は毎月テーマを決めて通話評価とは別にモニタリング評価を行い、教育担当に全体傾向や注意をすべき事項を連携し、全体研修を実施してきました。

(3)応対品質評価に対する課題認識

しかし、このような“人による評価”には、いくつかの課題がありました。
まず、評価に膨大な時間がかかること。一人のコミュニケーターを評価するのに数十分かかります。100名以上のコミュニケーターを評価するには年間1,000時間程度が必要になりますが、応対品質管理担当は従来のアセスメント評価業務とNPS業務を並行して行っているため、日常的にひっ迫していました。

また、印象面の評価には応対品質管理担当の主観が入るとの見方があり、フィードバックを受けたコミュニケーターに納得感が得られないことも少なくありませんでした。
これらの課題を解決するため、2016年にNPSを、続く2017年には、音声認識システムを導入し、2つのシステムを活用して応対品質評価を自動化しました。これは、国内大手生保としては初めての取り組みでした。

3.業界初、「NPS」と「音声認識システム」を導入

続けて、具体的な導入内容とその変化について篠崎様にお話しいただきました。

センターでは、お電話で応対した翌日にSMSにてお客様アンケートを配信し、コミュニケーターの応対を評価いただきます。
導入いただいている「NPX Pro」では回答結果が数時間おきに全指導者層のPCで閲覧でき、閲覧者ごとに必要な情報を表示することも可能です。情報は関係者で共有し、戦略や改善アクションの迅速な決定につなげました。
また、コミュニケーターの評価が低い場合は、リーダーがアラート画面でお客様のコメントを確認できるようにし、良い評価はコミュニケーターにフィードバックするなど、タイムリーに情報共有することで、さらなる品質向上の意識付けに活用されています。

アンケートはコミュニケーターと応対したお客様が回答され、その結果はセンターに自動的に送られ、集計解析が行われます。
結果は拠点別、着信曜日別、着信時間別など、細かく表示することが可能です。そのため、お客様の満足度が低い拠点では、満足度の高い拠点のサービスを積極的に取り入れたり、他に比べて満足度の低い着信曜日や時間があれば改善策を講じることもできます。
このように、NPSの記録分析はコミュニケーターの応対品質を確認するだけではなく、運用改善にもつなぐことができ、大きな成果を生み出しました。さらに、NPSのスコアが高いコミュニケーターは時給をアップするなど、プラス面の要素として使用することにより、モチベーションアップにつなげています。

4.取り組み成果と、今後目指すべき理想の姿

最後に、導入後の成果と今後についてお話しいただきました。

応対品質評価の改定に向けて、これらの取り組みを行ったことによる最大の効果は、応対品質管理担当がこれまで評価にかけていた時間が、大幅に削減されたということです。
従来は年間約1000時間も要していた時間が、システム化により不要になりました。

削減された時間は、その他の付加価値業務を実施する時間に振り替えが可能となります。

  • (1)拠点を横断して新評価結果を使用した応対品質向上策や効果的なフィードバック方法を検討、実行(評価結果一覧表とCM個人カルテの活用)
  • (2)従来以上に充実した応対品質向上研修を実施(NPS、音声認識活用推進)
  • (3)コミュニケーター向けES満足度調査を実施。応対品質取り組み肯定回答40%取得
  • (4)改定に向けて音声認識システムの各種精度向上策(分析、トライアル等)実行

さらに、2018年度のNPS結果を累計したところ、「推奨者の割合-批判者の割合」が示すスコアは当初の目標を大幅に上回ることができました。
また、コミュニケーターの応対に対する苦情についても、前年に比べ、大きく削減することができました。

最後に篠崎様は、「今後もNPX Proを最大限活用しながら、お客様に寄り添い、感謝・感動していただける応対の実現を目指していきます」との言葉でご説明を締め括られました。

今では、金融業界のみならず、多くの国内企業様が顧客ロイヤルティを計測する指針として、NPSを導入されています。NTTコム オンラインはNPS調査からNPS向上に向けての改善アクションまでワンストップでサポートします。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。