2023/11/14

ビジュアルIVR

コールセンター業界の課題とは?対処法と今後の展望を解説

コールセンターは顧客と直接やりとりする窓口として、企業にとって重要な役割を担っています。しかし、コールセンターには人手不足や応対品質のばらつきなどさまざまな課題があり、頭を悩ませている企業担当者の方も多いでしょう。

本記事では、コールセンター業界の代表的な課題とその対処法を紹介します。コールセンターの運営に課題を感じている方は、ぜひチェックしてみてください。

この記事の内容
  • コールセンター業界の代表的な課題として、「人手不足の慢性化」「オペレーターの離職率が高い」「業務効率化が難しく生産性が低い」などが挙げられる
  • 課題を解消するには、「職場環境の改善」「アウトソーシングの活用」「IVR/ビジュアルIVRの導入」「BCP対策」などが効果的
  • コールセンター業界では、AI活用の広がりや多言語対応の需要の高まり、在宅コールセンターの拡大などが予想されている
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コールセンター業界の代表的な12の課題

コールセンター業界には人材確保や業務効率化などさまざまな課題があります。はじめに、コールセンター業界における代表的な12の課題を紹介するので、自社に当てはまるものがないかチェックしてみてください。

1.人手不足が慢性化している

少子高齢化などが原因で、日本では多くの業界が人手不足に陥っています。人材を募集しているのに応募者が少なく、採用に苦労している企業も少なくありません。コールセンター業界も例外ではなく、人手不足が慢性化しています。

コールセンターのオペレーターは商品やサービスについて熟知したうえで、顧客からの問い合わせに対して的確に対応しなければなりません。このように知識やスキルが求められる業務のため採用基準が高く、人員を確保しづらいのも人手不足を引き起こす要因となっています。

2.オペレーターの離職率が高い

先述のとおり、コールセンターのオペレーターには高いスキルが求められ、時にはクレームを受けることもあるため負担を感じている人も少なくありません。そのため離職率が高く、これも人手不足に陥る原因のひとつです。

CALL CENTER JAPANが2018年に実施した調査では、「入社1年以内のオペレーターの離職率」を「71%以上」と回答した企業が22%に登りました。せっかく苦労してオペレーターを採用しても7割以上が1年以内に離職してしまうと、採用や教育にかかるコストも膨らんでしまいます。

3.十分な人材育成ができない

早期離職者が多いために、十分な人材育成ができないことも課題として挙げられます。採用した人材を優秀なオペレーターとして育成しようとしても、教育の途中で退職してしまうケースも少なくありません。

新しく採用したオペレーターの教育だけでなく、その教育を担当できるレベルのオペレーターを育成するのも困難で、そもそもの教育体制が十分に整えられていない現場も多いのではないでしょうか。また、人手が足りずコールセンター業務だけで手一杯になってしまい、教育に十分な時間をかけられていないケースもあります。

4.オペレーターにより応対品質にばらつきがある

オペレーターの育成が十分にできないことで、人によって応対品質に差が出てきてしまいます。「困りごとを解決してもらえなかった」「オペレーターによって回答内容が違う」などと感じさせてしまうと顧客満足度の低下やクレームにつながり、企業への信頼や売上にも影響を与えかねません。

また、応対品質のばらつきによってクレームが生まれると、それを負担に感じたオペレーターが退職してさらに人手不足が進むといった悪循環に陥ってしまいます。応対品質のばらつきは、顧客と企業の双方にとってデメリットの大きい、解決すべき課題のひとつです。

5.在宅勤務が難しい

新型コロナウイルス感染症の流行によって在宅勤務を検討したものの、さまざまな理由で実施を断念したコールセンターも多いでしょう。在宅勤務が難しいのも、コールセンター業界の課題のひとつです。

コールセンターが在宅勤務を導入しづらい要因として、情報漏洩のリスクが挙げられます。コールセンターは顧客の個人情報を扱うため、万が一情報漏洩が起きてしまったときの被害は甚大です。企業への信頼の低下や顧客への賠償責任などが発生するリスクが高いため、コロナ禍でも出勤せざるを得なかった企業も多いのではないでしょうか。

6.電話がつながりにくく、あふれ呼・待ち呼が発生する

「オペレーターの数が足りない」「問い合わせ件数が増えた」といった理由で、あふれ呼・待ち呼が頻発しているコールセンターもあります。あふれ呼・待ち呼とは、電話の回線数を上回る入電によって電話がつながらなくなった状態のことです。

コールセンターへの問い合わせはトラブルなど緊急な内容のものも多くありますが、電話がつながらず顧客を長く待たせることになると、顧客満足度や企業への信頼が低下する原因になります。また、購入前に気になるポイントを確認するためにコールセンターに問い合わせをする人もおり、あふれ呼が発生していると疑問を解消できず他社製品に流れてしまう可能性もあります。

関連記事:あふれ呼の意味とは?問題点や原因・対策法を解説

7.問い合わせ手段が多様化している

従来は電話による問い合わせがメインでしたが、近年はメールやSNS、チャットなど電話以外の問い合わせ手段を取り入れる企業も多くなっています。顧客側の問い合わせ手段に対するニーズも多様化していて、そもそも電話でしか問い合わせができないことを不満に思っている顧客もいるかもしれません。

問い合わせ手段を複数用意しようと思っても、ツールの導入やオペレーターの教育には手間や時間、コストがかかるため、すぐに導入に踏み切れる企業ばかりではないでしょう。このように、問い合わせの多様化による対応が求められていることもコールセンターの課題として挙げられます。

8.営業時間外の対応が困難

24時間対応のコールセンターも存在しますが、多くの場合は営業時間を設けています。営業時間外は基本的に電話に出たりメールを返信したりできないため、問い合わせに対応できない時間帯がどうしても生まれてしまいます。

顧客から24時間対応や営業時間外の対応を求められることもあるかもしれませんが、人手不足で要望に答えられない企業も多いのではないでしょうか。また、時間帯によって問い合わせ件数に差があり、単純に営業時間を伸ばした分だけ多く対応できるとは限りません。

営業時間を延長しても対応件数がそれほど変わらなければ、人件費が多くかかるだけで顧客満足度は向上しません。このように、営業時間外の対応について課題を感じている企業も多いでしょう。

関連記事:営業時間外の電話は出るべき?対応することのデメリットと対処法を解説

9.繁忙期と閑散期の業務量の差が大きい

繁忙期と閑散期の業務量の差が大きいコールセンターも少なくありません。例えば引っ越し業界や季節モノの商品を取り扱う企業などは、特定の時期に問い合わせが急増するケースが多いでしょう。

繁忙期に合わせて人員を確保すると閑散期に人が余ってしまい、反対に閑散期に合わせると繁忙期に対応できなくなってしまいます。このように人員調整や業務量の調整が難しいのも、コールセンターの課題のひとつです。

10.業務効率化が難しく、生産性が低い

コールセンターの業務は、効率化が難しいという特徴があります。時間をかけて丁寧に対応すると顧客満足度は上がるものの、オペレーター1人あたりが対応できる件数が減ってしまいます。

業務効率化のためには、短い時間で多くの問い合わせに対応しなければなりません。しかし、「対応が不十分だった」と顧客に感じさせてしまうとクレームにつながるため、顧客満足度と生産性の向上を両立させるのは難しいのが現状です。

11.他部署との連携が難しい

問い合わせの内容によっては、他部署との連携が必要なケースもあります。コールセンターが一次窓口になるものの、営業部門や開発部門などに確認が必要になる問い合わせも多いのではないでしょうか。

しかし、コールセンターとして組織が独立している企業では、他部署と十分に連携がとれていないケースが少なくありません。コールセンターだけで対応できる問い合わせだけなら門外ありませんが、問い合わせ内容が多岐にわたる場合は必要な部署との連携ができていないと応対品質が下がってしまいます。

12.災害や緊急時への対策が不足している

在宅勤務を導入していないコールセンターでは、災害や緊急時にオペレーターが出社できなければ業務に支障が出ます。地震や台風など日本は自然災害が多いため、何らかの原因でオペレーターの出社が難しくなることを予め想定し、対策をとっておくことが必要です。

しかし、災害や緊急時への対策が万全にできているコールセンターばかりではありません。例えば、多拠点にコールセンターを設置するのは災害対策の代表的な方法ですが、人員確保や費用などの問題で実施できない企業も多いでしょう。

災害対策が必要だと理解はしているものの、実際には対策が不足しているコールセンターが多くあります。

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コールセンターの課題に対する9つの対処法

ここまで紹介してきたような課題への対策として、以下の9つの方法があります。

  • マニュアルを改善する
  • 職場環境を改善する
  • 業務量に合わせたオペレーターの配置を行う
  • アウトソーシングを活用する
  • FAQの設置と改善を行う
  • チャットボットを活用する
  • SNSを活用する
  • IVR/ビジュアルIVRを導入する
  • BCP対策を行う

それぞれの対処法について、以下で詳しく見ていきましょう。

マニュアルを改善する

システムの操作や問い合わせ内容ごとの対応方法などをマニュアルにわかりやすくまとめておくと、誰が対応しても一定の応対品質を保てます。また、顧客対応の方法がマニュアルにまとまっていれば、新しくオペレーターを採用したときの教育の手間を軽減できるのもメリットです。

応対品質にばらつきを感じたり、オペレーターの教育に時間がかかったりしている場合は、既存のマニュアルの内容を見直してみてください。内容のわかりやすさや業務中の参照しやすさなどを確認し、必要に応じて改善しましょう。

職場環境を改善する

人材確保の観点では、職場環境の改善が重要です。マニュアルの整備や在宅勤務の導入、評価制度の明確化など、オペレーターが働きやすい環境や制度を整えることで離職率の低下が期待できます。

職場環境の改善は、就職希望者の増加にもつながります。売り手市場で求人への応募自体が減っているコールセンターも多いのではないでしょうか。働く環境で職場を選ぶ求職者もいるため、現在勤務しているオペレーターの意見を取り入れながら職場環境の改善に取り組んでみてください。

業務量に合わせたオペレーターの配置を行う

業務量に対して適切に人員配置を行うことで、あふれ呼や無駄な人件費の発生を防げます。コールセンターの業務量を可視化するために、「呼量」を測定してみましょう。

呼量は、顧客とコールセンターのどちらから発信したのかに関わらず、電話が相手につながって通話を終了するまでを1とカウントする「呼」を使って、以下の式で求めます。

呼量=呼の回数×呼の平均利用時間(秒)÷測定時間(秒)

時間帯や日ごとの呼量を測定することで、コールセンターの業務量を数値化できます。業務量の増減の傾向がわかれば、それに合わせて適切なオペレーターの配置が可能です。

アウトソーシングを活用する

コールセンター業務のアウトソーシングサービスが増えており、自社で対応が難しい範囲を外注するという選択肢もあります。例えば、人手不足で自社でのコールセンター運用が難しい場合は、コールセンターをまるごと外部に委託してしまうことが可能です。また、繁忙期だけアウトソーシングを活用してコールセンターを増強するという活用方法もあります。

アウトソーシングを活用すれば、自社で人材確保やオペレーターの教育を行う必要がなくなり、問い合わせ対応の高いスキルを持った人材をすぐに確保できるのがメリットです。人手不足対策のひとつとして、アウトソーシングの活用も検討してみてください。

関連記事:コールセンターのアウトソーシングのメリットと企業選びのポイント

FAQの設置と改善を行う

問い合わせの件数を減らすには、FAQの設置が効果的です。WebサイトにFAQを設置しておけば、コールセンターに問い合わせをしなくても顧客が自分で問題を解決できるようになります。顧客は電話をかける手間が省け、オペレーターはトラブルなど本当に対応が必要な問い合わせに注力でき、双方にとってメリットです。

これまでの問い合わせ内容を分析して、特に問い合わせの多い内容はFAQにまとめて記載しておきましょう。定期的に問い合わせ内容を分析し、FAQの更新や改善を行うことも大切です。

関連記事:FAQを作成するメリットと作り方の手順・ポイントを解説

チャットボットを活用する

電話以外の問い合わせ手段として、チャットボットを導入する企業が増えています。チャットボットとは、顧客が問い合わせ内容をチャットに打ち込むと自動で回答してくれるロボットのことです。

オペレーターの業務の一部をチャットボットに任せれば、業務効率化や人手不足の解消が期待できます。営業時間外の問い合わせ対応も可能になるため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

関連記事:チャットボットを導入するメリットと失敗しない選び方

SNSを活用する

LINEなどのSNSも、問い合わせ手段のひとつとして活用できます。例えばSNSとチャットボットを組み合わせれば、顧客がSNSから問い合わせをして、チャットボットが瞬時に回答を返すことが可能です。

顧客は電話をかけたり公式サイトにアクセスしたりすることなく、日頃から使っているSNSから手軽に問い合わせができるため、顧客満足度の向上が見込めます。SNSはプロモーションや顧客とのコミュニケーションなどさまざまな活用方法があるため、問い合わせ対応に限らず積極的に活用するのがおすすめです。

IVR/ビジュアルIVRを導入する

IVRとは「自動音声応答システム」のことで、オペレーターにつなぐ前に要件などに応じて番号をプッシュしてもらい、問い合わせ内容に応じた対応のアナウンスが可能です。ビジュアルIVRはIVRの機能を視覚的に提供するもので、Webサイトやスマートフォンアプリで問い合わせ内容に応じてメニューをクリックしていくと、適切な対応方法が提示されます。

それぞれの問い合わせ内容に特化した専門のオペレーターにつなぐようにすれば、応対品質の向上が可能です。また、ビジュアルIVRならFAQやチャットボット、Webサイトなど適切な窓口を案内でき、電話による問い合わせ件数を減らす効果も期待できます。

関連記事:IVRとは何か?コールセンターに導入するメリットや導入方法

BCP対策を行う

自然災害などに備えて、BCP対策にも取り組んでおく必要があります。BCPとは「事業継続計画」のことで、災害などの緊急事態に遭遇した場合に事業の継続や早期復旧ができるよう対策をしておくことです。

コールセンターのBCP対策としては、オペレーターが自宅でも問い合わせ対応ができる専用システムの導入など、オフィスに出勤しなくても自宅から業務ができる環境の整備が挙げられます。

コールセンター業界の今後の展望

コールセンター業界の今後の展望として、以下のようなものが挙げられます。

  • AIの活用が広がる
  • 在宅コールセンターが拡大する
  • 外国語対応の需要が増加する
  • 業務の効率化が求められる

上記4点について、以下で詳しく解説します。

AIの活用が広がる

さまざまな業界でAIの活用が広がっていますが、コールセンター業界も例外ではありません。AIを搭載した音声認識システムやチャットボットなどを活用することで、業務効率化やオペレーターの負担軽減などが可能になります。

SNSやチャットなど、デジタルツールの活用がコールセンターでも進んでいます。そのため、電話のイメージが強い「コールセンター」ではなく、多様な手段で顧客とやりとりする「コンタクトセンター」と呼ぶケースも増えてきました。

AIも含めて、コールセンター業界では今後さらに最新技術の活用が広がると予想できます。

在宅コールセンターが拡大する

感染症対策やBCP対策の観点から、コールセンター業界でも在宅勤務の必要性が高まっています。コロナ禍では、専用ツールの導入などを進めて実際に在宅勤務を導入したコールセンターも少なくありません。

在宅コールセンターは感染症対策やBCP対策が可能になるだけでなく、人材確保にも効果が期待できます。出社する必要がないため居住地を問わず人材を採用でき、在宅勤務を希望する人は多いため離職率の低下や求人応募数の増加にもつながります。

在宅コールセンターの拡大は、本記事で紹介したコールセンター業界の課題解消に大きな効果があるでしょう。

外国語対応の需要が増加する

外国からの観光客や労働者が増加していることから、外国語対応の需要の高まりが予想されます。英語をはじめ、中国語や韓国語など複数の言語に対応できるようにしておくと、顧客満足度の向上につながるでしょう。

しかし、複数言語に対応できる人材を採用するのは簡単ではありません。比較的取り組みやすい外国語対応としては、複数言語のFAQの整備や多言語対応のチャットボット導入、外国語対応が可能なアウトソーシングサービスの活用などが挙げられます。

業務の効率化が求められる

生産性の低さが課題となっているコールセンター業界では、業務効率化が急務です。コールセンターの業務を効率化するには、以下のような方法が挙げられます。

  • 業務マニュアルの整備
  • 適切な人員配置
  • FAQやチャットボットなどの導入
  • アウトソーシングの活用

業務を効率化するとオペレーターの負担を軽減でき、離職を防いで人材確保にも効果が期待できます。また、限られた人員でコールセンターを運営していくためにも、業務の効率化は必須です。

ビジュアルIVRでコールセンターの課題を解決

コールセンター業界には、人手不足や生産性の低さなどさまざまな課題があります。コールセンターの課題をそのままにしておくと顧客満足度や売上の低下を招くおそれがあるため、適切に対処しなければなりません。

課題を解消する方法のひとつが、ビジュアルIVRの導入です。Webサイトや他のデジタルチャネルでの自己解決を促すことができるため電話応対が必要な問い合わせだけをコールセンターに誘導できます。簡単な内容なら電話をしなくても顧客自身で解決できるため、業務効率化と顧客満足度の向上が可能です。

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