NTT東日本(東日本電信電話株式会社)様

NPS調査が営業活動の実践的な改善を導き、顧客ロイヤルティを高めるPDCAサイクルを生んだ

電気通信事業を中心に、地域社会の課題解決に取り組んでいる東日本電信電話株式会社(NTT東日本)。同社の法人部門であるビジネスイノベーション本部で、お客様のロイヤルティを高め、継続的な関係を作るために実施されたのが「NPX Pro」によるリレーショナル調査でした。ここではその経緯とNPS調査の内容についてうかがいました。

東日本電信電話株式会社 ビジネスイノベーション本部 マーケティング部
写真左から
グループ長 永田 朋之 氏
担当課長 尾形 鉄也 氏
主査 山本 東 氏
樋口 友理 氏

お客様の課題を解決することで継続的な関係を築き、信頼されるビジネスパートナーに

― ビジネスイノベーション本部の事業内容ならびに担当業務について聞かせてください。

永田 : ビジネスイノベーション本部はいわゆる法人営業部門でして、商材としてはAI、通信環境や関連の機器類、データセンター、情報セキュリティなどSI(システムインテグレーション)やネットワークを中心に扱っています。
この本部に加えて東京・神奈川・千葉・埼玉・宮城・北海道に事業部があり、その事業部の配下に29の支店があります。本部・事業部を合わせると、約1万2000人の社員・派遣社員が営業活動をしております。その中で、我々は本部のマーケティング部に所属し、CS(顧客満足度)調査を担当しています。

― NPX Proを導入するに至ったきっかけは何だったのでしょう。

永田 : 従来は、CS調査がISO9000認証における品質担保の指標となっていたことから、受託SIに特化し、構築終了後のタイミングで、現場の実務者の方を対象にアンケートを採るトランザクショナルの形でCS調査を行っていました。
ただしこれは「そのプロジェクトがどうだったか」を評価するもので、いわば現場サイドの PDCA を回すための指標。品質担保という観点では重要ですが、お客様と継続的な関係を築くためのデータとしては不十分だったのです。
そもそも我々の目的は、お客様の課題を解決することで継続的な関係を築き、信頼されるビジネスパートナーとなっていくことにあります。それには、会社としての意思決定をなさる管理職以上の方も調査対象とし、お客様の営業戦略上、弊社の商材やサービスはどうなのかをしっかりと聞く必要がありました。
そこでまず「我々はお客様の経営課題を引き出し、ICTを活用した課題解決を行うパートナーを目指している、その指標としてNPSおよびCS調査がある」と定めました。そして、リレーションが既にあるお客様に対してNTT東日本の現状を確認するべく、御社にご支援いただきながら、新たにリレーショナルCS調査を設計していったのです。

NPS調査で、コメントの中でしか出てこなかった「本質的なご要望」を定量化

― NPS調査はどのような内容で行っているのですか。

永田 : まず全体像として「お客様との接点が数多(あまた)ある中で、接点ごとにきちんと満足度を見ていこう」と考えました。従来のCS調査では、例えば「情報提供はどうでしたか」といったことを聞いて、点数でお答えいただいていたわけですが、「情報提供に不満があるようだ」ということだけがわかっても、打ち手はなかなか見つかりません。一方、その際にお寄せいただいたフリーコメントには「一般的な情報は豊富だけれども、自社にとって本当に欲しい情報がない」という、より具体的なお客様の声がありました。
もうひとつ例を挙げると、コストパフォーマンスについて、従来我々は「見積書をタイムリーに出せているか」「費用は安いか高いか」にばかり注目していたのですが、CS調査で「うちにとって本当に費用対効果があるかがわからなかった」というコメントをいただいて、初めてお客様の抱えている課題がタイミングや価格そのものではないことがわかったのです。
こうしたことを受けて、新たなリレーショナルCS調査では、お客様がフリーコメントでお寄せくださった内容を設問に落とし込み、具体的なところまで踏み込む「実態設問」を設けて、アンケート結果を改善に活かす取り組みを行いました。

― 調査開始にあたり、ご苦労なさったのはどのような点ですか。

尾形 : 従来の調査は郵送で行っていましたので、電子化するための仕組み作りには苦労しましたね。郵送調査は北海道、宮城……といった各地域の事業部が発送を担当していましたので、それをまずは本部へ集約し、調査実施のためフローを作って、それぞれの担当者にそのフローを落とし込んでいく必要がありました。それに加えて営業担当への協力要請や、お客様のメールアドレスへの送付物ですので、セキュリティ対策、コンプライアンス面での確認事項など、苦労する点もありました。そういったところで、御社の協力を得られたのはありがたかったですね。

― どのような成果が見られましたか。

永田 : 当初の狙い通り、これまでフリーコメントの中で定性的にしか出てこなかったご要望が、定量的なデータとして測定できるようになり、具体的な改善の手を打てるようになりました。調査にご協力いただいたお客様にも、調査結果や改善の取り組みをフィードバックすることで、ロイヤルティの醸成につながっています。

良い点も悪い点もフィードバックし、改善の姿勢を示すことでロイヤルティを醸成

― お客様へのフィードバックはどのように行ったのですか。

永田 : アンケートにご協力をお願いしたすべてのお客様がご覧いただけるWebサイト上で、「我々はお客様へのアンケート結果をこのように受け止めました。この結果に対してこのようなアクションをします」という、改善宣言を含めたフィードバックを行いました。
最初のステップとも言える「情報提供」や「ご提案」に対して、実は厳しいお声が多かったのですが、それも隠さずフィードバックさせていただきました。そして、それを踏まえて次の「3つのアクション」を宣言したのです。

・情報提供

お客様からは「最新情報が欲しい」、「自分たちのニーズに即した情報が欲しい」というお声を多くいただきました。
我々がタイムリーに情報提供できていなかった理由のひとつに、弊社でCC(コンシェルジュ)と呼んでいる営業やシステムエンジニアのスキルレベルおよびコンサルティング能力が挙げられます。これは育成に力を入れていくとお約束しました。また、営業を支える仕組みとして、タイムリーな情報提供をできるように社内の体制を整備しました。
CCからの情報だけでなく、デジタルツールも使いながらの情報提供も充実させていきます。調査にご協力いただいた方のうち7割以上がご契約くださっているサービス「BizDrive」のメールマガジンの情報も、ブラッシュアップしていく見込みです。これは、調査の段階で「お客様にとってどんな経営課題がありますか」、「ICTのどんなことに関心がありますか」という設問を設けていましたので、その結果を踏まえたものになります。

・ご提案

「提案のスピードが遅い」、「もっと迅速に回答してほしい」というお声も多かったです。ただ、「早くします」と言うだけでは根本的な解決になりませんので、「なぜスピードが遅いのか」を紐解いていくところから始めました。
CC自身が営業プロセスを見直して、情報提供・提案・契約・保守という一連の営業プロセス中でどこに一番時間がかかるかを洗い出し、お客様に関連しない稼働を効率化する、いわゆるBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)です。
例えば「社内業務が多すぎる」という課題を解決するために、事務処理を代行するチームを作って、CCの稼働負荷を軽減しています。
もうひとつ挙げると、これまでお客様に「このサービスとこのサービスを組み合わせると、工事日は最短でいつになりますか」とお問い合わせいただいた際は、サービスごとに工事日を調べる必要があったのですが、そこを効率化できる支援システムも整えました。

・情報共有

お客様からいただいたお声は、マーケティング部だけでなく営業活動をする部門すべてに共有します。CS調査の結果はもちろんですが、例えばこのフィードバックについては、お褒めの言葉もあれば、正直に言って同じくらい「まだまだだ」というお声もあります。お叱りをいただいたお客様の情報も営業部門へエスカレーションして、次のアクションをとる形で対応しているところです。

打ち手がわかったとしても、CC個人だけで実践するのはなかなか難しいですよね。実践できる仕組みを作ったり、負荷を軽くできるように調整したりするのは正直、一番大変でした。ただ、本質的な課題に切り込み、現場レベルの小さな改善を超えて、会社全体のアクションと連動させることはこの調査の意義でもありますから。そこへ持っていけたところが大きな成果だし、それがまだまだやりきれてないところが課題でもあると思っています。

お客様から「点数をつけられる」のではなく、「情報をいただける」と感じられる仕組みを

― その後、調査範囲を受託SIだけではなく、サービスごとの調査にも拡大されたそうですね。

永田 : はい。サービスごとの調査は、回線以外で我々が得意とする、いわゆるネットワークや高付加価値商材と言われているサービスでトライアルを行っています。
受託案件は、お客様の要望に基づいてカスタマイズしながら構築していくものですが、こうしたサービスは商品としては一律のものをお客様に提供しています。そういった領域でのお客様の声もお聞きしたいということですね。アンケート結果を受けて改善が期待される主な部門は、受託であれば我々ビジネスイノベーション本部自身ですが、サービスの場合はビジネス開発本部、いわゆる商品開発チームですので、そちらへ情報共有し、サービスの改善につなげようというわけです。

尾形 : 営業部門が言うのと、お客様が言うのとではやはり重みが違いますので、ここはサービス開発側を動かす上でも重要なポイントですね。

― こちらの調査では、どのような成果が見られましたか。

永田 : 調査に先んじて「回線のスピードに対する不満」がありそうだと予測できていたので、具体的に「このサービスについてどういったご不満がありますか」という質問を設定しました。そうしたことで、お客様から「この品質の割にこの価格は高い」とか「この価格だったらもう少し上のクオリティを期待する」といった費用対効果についての具体的な声を集めて、開発チームにフィードバックしているところです。
同時に、営業にもこの調査の情報は活かされています。例えばお客様が「ベストエフォート型だから価格が手ごろになっている」といった情報を理解されないまま、不満を抱えているケースなどもあります。そうなればお客様が求めるパフォーマンスやスピードに応じて、CCがアップグレード提案をする必要がありますから、営業チームにフィードバックし、適切な提案をしているかまで追跡してフォローしています。

― 今後のNPS活用について、聞かせていただけますか。

永田 : データ分析ですね。現場には ICT コンサルタントという営業支援の担当者がいますので、そこにCS調査の結果や分析情報を提供することで、支援チームの品質向上を目指したいです。
また、今後もっと積極的に営業部門がCS調査に取り組みたくなるような、「うれしさ」を出せるようにしたいとも考えています。
例えばお客様のご要望やクレームも、デジタルマーケティングツールの「ホットリード」のような形で抽出して、お客様とつながりを深めるためのリード的な位置づけにできれば、ポジティブに向き合えますよね。
そこで我々が、集計結果から分析したマクロな報告だけではなく、お客様の回答からキーワードをある程度抽出した上で加工して提供することも考えています。「こんなニーズがありますよ」とか、「競合他社はこういうことをやっている(とお客様が教えてくれた)よ」といった情報をわかりやすい形で提供して、CCが「なるほど、ここは自分が動かなきゃ」と役立ててくれればと。
逆に、お客様からいただくお褒めの声も、CCまで届くように仕掛けたいと考えています。営業職というのは褒められる機会が少ないので、お褒めの声を取りまとめて現場の部長に渡しながら「ぜひ、このCCさんを褒めてあげてください」というご提案をする。そうすることで、CC個人の意識も変わるはずです。

それというのも、リレーショナルCS調査が効果を発揮した、うれしい事例が出てき始めているのです。
あるお客様の「もっと情報提供が欲しい」という情報を、その後CCや各営業部長に提供したことがきっかけで、部課内で「もっと情報提供しよう」と作戦を立てて動くことにつながり、結果、お客様にも非常にご満足いただいくことができました。さらに、そのお客様はお付き合いのある企業様にクチコミしてくださったんです。弊社も、そちらの企業様とは情報提供をきっかけにご縁ができて。
こういった事例は社内で共有しつつ「CS調査は重要だ」という意識改革を始めています。

― 口コミの形で広げていただけるのは、まさにNPSの基本でもある「推奨」ですね。理想的な成果で、サポートさせていただけて光栄です。今後の意識改革にもぜひ、お役に立てれば幸いです。本日はありがとうございました。

まとめ

お客様の課題

  • 顧客企業の中でも実務者を対象とした「現場レベル」のCS調査だけでは、「全社レベル」の継続的な関係構築について測る指標になり得ない。
  • 顧客企業の経営戦略を握る決裁権者も対象とし、全社レベルの課題を導き出してPDCAを回すことで、継続的な関係構築に役立てたい。

導入の効果

  • これまでのCS調査で踏み込めなかった細やかなレベルで顧客の要望や課題の本質を測定可能に。具体的な改善策を明確に示すことができた。
  • 調査対象の顧客に改善宣言を含めたフィードバックを実施。改善の効果に対しては顧客からも好評が寄せられ、ロイヤルティ醸成につながっている。

お客様プロフィール

東日本電信電話株式会社(NTT東日本)

東日本電信電話株式会社(NTT東日本)

https://www.ntt-east.co.jp/

※ 記載内容は2021年4月現在のものとなります。