ブランドロイヤルティ分析レポート
【ブランドレゾナンスピラミッド分析編】

~レゾナンスを目指す取り組みがブランド価値向上につながる~

NTTコム オンラインが実施した「NPSベンチマーク調査 生命保険部門」の生命保険会社13社を対象に、ブランド構築モデルの1つであるブランドレゾナンスピラミッド分析に関する内容をレポートします。

ブランドレゾナンスピラミッド分析を行うことで、自社の位置づけや課題を把握し、ブランド価値向上に向けて効果的なアクションにつなげることができます。

<調査結果のポイント>

1.ブランド価値を高めるためには理性的なルートと感情的なルートが存在

 生命保険会社におけるブランド評価を把握することを目的に、ケラーが提唱した「ブランドレゾナンスピラミッド」の考え方をベースに調査を行いました。ブランドレゾナンスピラミッドとは、ブランド価値を高めるためのプロセスをピラミッド型に示したもので、ロイヤルティが高い状態である最上位の「レゾナンス」に至るには、理性的なルートと感情的なルートが存在します。

本調査では、生命保険13社を対象に、ピラミッドを構成する6つのブロックごとの評価を分析しました。各ブロックの詳細説明についてはダウンロード資料にてご覧いただけます。

図:ブランドレゾナンスピラミッドについて

図:ブランドレゾナンスピラミッドについて

※出所:Keller, K. L. (2013), Strategic Brand Management, Building, Measuring, and Managing Brand Equity, Forth Edition, Pearson Education. (恩蔵直人監訳『エッセンシャル戦略的ブランド・マネジメント 第4版』,東急エージェンシー).

2.レゾナンス評価が高いのは東京海上日動あんしん生命

ブランドレゾナンスピラミッドの頂点にあたるロイヤルティが高い状態を表す「レゾナンス評価」について、愛着や共感、推奨度などの6つの質問項目から算出したところ、最も評価が高いのは東京海上日動あんしん生命となりました。

レゾナンス評価が高かった東京海上日動あんしん生命について、ブランド価値を形成している要因を探るために、ピラミッドを構成する6つのブロックごとの評価を分析しました。その結果、5指標で業界平均よりも高く、特に商品やサービスに対する品質・信頼性を表す「ジャッジメント評価」が非常に高くなりました。一方でブランドの認知やブランドに対する認識の強さを表す「セイリエンス評価」については業界平均を下回りました。

このことから、東京海上日動あんしん生命は商品やサービスの品質や信頼感に支えられ、強いブランド力を発揮しているものの、ブランド認知度においてはさらなる向上に向けた取り組みが重要になります。

図:東京海上日動あんしん生命のブランドレゾナンスピラミッド分析

図:東京海上日動あんしん生命のブランドレゾナンスピラミッド分析
※評価の算出方法と、算出に用いた質問項目についてはダウンロード資料にてご覧いただけます

3.レゾナンスを目指す取り組みがブランド価値向上につながる

次に、レゾナンス評価中位企業と下位企業について、同様にピラミッドを構成する6つのブロックごとの評価を分析しました。

レゾナンス評価中位企業A社においては、商品やサービスの機能や性能に関する評価である「パフォーマンス評価」がやや高いものの、全体的に業界平均と同程度の評価となりました。またブランドの認知やブランドに対する認識の強さを表す「セイリエンス評価」については業界平均を下回りました。このことから、A社においては認知度向上に向けた取り組みに加え、理性的ルートと感情的ルートの両面からさらにブランド価値を向上させる取り組みが期待されます。

図:レゾナンス評価中位企業A社のブランドレゾナンスピラミッド分析

図:レゾナンス評価中位企業A社のブランドレゾナンスピラミッド分析

またレゾナンス評価下位企業B社においては、「セイリエンス評価」は高いものの、その他の5指標では低い結果となりました。B社は高い認知度を獲得できているものの、契約者における評価は全般的に低いため、ブランド価値向上に向けて、「パフォーマンス評価」や「イメージ評価」を高める取り組みが重要となります。

図:レゾナンス評価下位企業B社のブランドレゾナンスピラミッド分析

図:レゾナンス評価下位企業B社のブランドレゾナンスピラミッド分析

このように、ピラミッドを構成するブロックごとの評価について競合と比較した位置づけを把握することで、自社の強みや弱みを知ることが可能となります。ブランドレゾナンスピラミッド分析を通じて最上位のレゾナンスを目指す取り組みが、ブランド価値向上に向けて重要となります。

<調査概要>

  • 調査対象者:国内に在住する18~74歳
  • 調査方法: NTTコム リサーチによる非公開型インターネットアンケート
  • 調査期間:2023/5/26(金) ~ 2023/5/30(火)
  • 有効回答者数:1,333名
  • 回答者の属性:
    【性別】男性:71.6%、女性:28.2%、不明:0.2%
    【年代】20代以下:2.0%、30代:10.5%、40代:23.2%、50代:31.9%、60代以上:32.4%

*分析対象企業(アルファベット順、50音順):SOMPOひまわり生命、アクサ生命、アフラック、オリックス生命、かんぽ生命、住友生命、ソニー生命、第一生命、東京海上日動あんしん生命、日本生命、プルデンシャル生命、明治安田生命、メットライフ生命
※「NTTコム オンライン NPSベンチマーク調査生命保険部門」対象企業

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