NPSベンチマーク調査 業界横断分析シリーズ【第2弾】
NPS導入状況分析レポート

NPSベンチマーク調査 業界横断分析シリーズ【第2弾】となる、NPS導入状況分析レポートを発表しました。
NTTコムオンラインが実施した業界別NPSベンチマーク調査の結果と、対象企業のIRなどの公開情報や自社調べを基に、NPS導入率や導入企業におけるNPSやロイヤルティ醸成要因、業績との連動性について分析した内容をレポートします。

対象業界(以下18業界)
銀行、生命保険、代理店型自動車保険、ダイレクト型自動車保険、対面証券、ネット証券、クレジットカード、QRコード決済、電力、都市ガス、MVNO・サブブランド、セキュリティソフト、アパレルEC、ネットスーパー、動画配信サービス、人材派遣、通販化粧品、プレステージ化粧品
※本レポートで分析対象としているデータは2022年度までのNPSベンチマーク調査の結果に基づきます

<結果のポイント>

1.NPSは金融業界で導入率が高い

顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSは、事業の業績との高い相関があることから、顧客満足度に代わる新たな指標として注目されており、日本において様々な業界で導入が進んでいます。

NPSベンチマーク調査対象企業について、IRなどの公開情報や、NTTコムオンラインによる自社調べを基に業界別のNPSの導入率を分析したところ、最も高いのは「代理店型自動車保険」(100.0%)となり、次いで「銀行」(92.3%)、「ダイレクト型自動車保険」(85.7%)が続きました。金融業界においては、「顧客本位の業務運営」のKPIの一つとしてNPSが活用されていることもあり、導入率が高くなりました。金融業界以外では、「人材派遣」(85.7%)や「プレステージ化粧品」(83.3%)、「電力」(66.7%)もNPSの導入率が高い傾向となりました。一方で「ネットスーパー」(20.0%)や「通販化粧品」(14.3%)においてはNPSの導入率が低くなりました。

図:業界別にみたNPSの導入率(推定値)

図:業界別にみたNPSの導入率(推定値)
※1:各企業のIRなどの公開情報や、NTTコムオンラインによる自社調べを基に作成
※2:NPSベンチマーク調査対象企業は2022年度時点

2.NPS上位企業において、NPS導入率が高い傾向に

18業界の「NPSベンチマーク調査」のNPSランキング別にNPSの導入率を分析したところ、各業界のNPSランキング上位の導入率は63.6%と、中位・下位企業よりも高い傾向がみられました。

図:NPSランキング別にみた、NPS導入率

図:NPSランキング別にみた、NPS導入率
※1:ランキングは各業界で実施した2022年度のNPSベンチマーク調査結果を参照
※2:上位/中位/下位の分類は各業界のランキング対象社数に応じて等分になるよう分類した。

また、NPS導入有無別に2018年から2022年にかけてのNPSの変化を分析したところ、NPSが5ポイント以上向上した企業の割合は、NPS導入企業では45.6%となり、NPS未導入企業よりも高い傾向となりました。

図:NPS導入有無別にみた、NPSが5ポイント以上向上した企業の割合(2018年から2022年)

図:NPS導入有無別にみた、NPSが5ポイント以上向上した企業の割合(2018年から2022年)
※2018年から継続して調査している12業界を対象に分析

3.NPSを導入しCXの向上に向けた改善アクションに取り組むことがNPS向上のポイントに

NPS導入企業の中で、2018年から2022年にかけて特にNPSが向上したのは動画配信サービスA社(26.3ポイント向上)、と銀行B社(19.7ポイント向上)となりました。

動画配信サービスA社においては、2018年から2022年にかけてロイヤルティ構成要素の全ての項目で満足度が向上しており、特に「興味があるジャンルの豊富さ」や「コンテンツの幅広さ、多様性」に加え、「コンテンツの探しやすさ/検索のしやすさ」がロイヤルティ向上に寄与する結果となりました。推奨理由の自由記述においても、「観たい映画やアニメが多く配信されている(30代男性)」や「アプリが使いやすく、作品も多い(50代女性)」、「検索機能やランキング機能が使いやすい(20代以下男性)」といった声がみられました。同社はカスタマージャーニーに基づく改善アクションに取り組んでおり、お客様に合わせたコンテンツの拡充や、アプリや機能の使い勝手の改善がNPS向上につながったとみられます。

銀行B社においては、2018年から2022年にかけて、「資産運用における期待通りの運用の成果」に加え、「公式アプリの使いやすさ・分かりやすさ」の評価が高まり、ロイヤルティ醸成のポイントとなりました。同社はお客さまの声を基にアプリのリニューアルを行うなど、CX改善の取り組みを進めており、NPS向上につながったとみられます。
(※ロイヤルティ要因の変化など詳細のデータはダウンロード資料にてご覧いただけます)

4.NPSと企業の業績は連動している

NPSが大きく向上した動画配信サービスA社において、NPSと動画配信事業売上の推移を確認したところ、2018年から2022年にかけて、NPSの上昇と同時に売上も上昇しており、NPSと企業の業績指標の連動性がうかがえる結果となりました。

図:動画配信サービスA社におけるNPSと動画配信事業売上の推移

図:動画配信サービスA社におけるNPSと動画配信事業売上の推移
※動画配信事業売上は2018年を100として伸び率を算出

Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。