NPS®ベンチマーク調査 業界横断分析シリーズ【第4弾】
顧客のクレーム行動とNPS®の関係性分析レポート

サイレントカスタマーの不満の声を捉え、問題解決につなげることが離反防止に重要

NPS®ベンチマーク調査 業界横断分析シリーズ【第4弾】となる、顧客のクレーム行動とNPSの関係性分析レポートを発表しました。
NTTコムオンラインが実施した「業界別NPSベンチマーク調査」の結果を基に、全17業界におけるサイレントカスタマーの割合や苦情を述べた後の問題解決率、顧客のクレーム行動とNPSとの関連について分析した内容をレポートします。

対象業界(以下17業界)
銀行、生命保険、代理店型自動車保険、ダイレクト型自動車保険、対面証券、ネット証券、クレジットカード、QRコード決済、電力、都市ガス、MVNO・サブブランド、セキュリティソフト、アパレルEC、ネットスーパー、動画配信サービス、通販化粧品、プレステージ化粧品

※本レポートで分析対象としているデータは2022年度のNPSベンチマーク調査の結果に基づきます

<結果のポイント>

1.不満を感じても苦情を言わないサイレントカスタマーは約8割

NTTコムオンラインが実施している「業界別NPSベンチマーク調査」においては、推奨度や継続意向、ロイヤルティ構成要素ごとの満足度のほか、顧客の不満とクレーム行動についても調査を行っています。

現在契約や利用をしている会社・サービスに対して、何らかの不満を感じたことがあるかを調査したところ、17業界平均で21.0%が不満を感じたことがあると回答しました。業界別にみると、不満を感じたことがある割合が最も高いのは対面証券(37.2%)となり、次いで動画配信サービス(32.6%)、ネットスーパー(31.2%)と続きました。(詳細のデータはダウンロード資料にてご覧いただけます)

さらに、不満を感じたことがある人に、その会社やサービスに対して苦情を述べたことがあるかを調査したところ、苦情を述べなかった人(サイレントカスタマー)は全体の79.9%と大勢を占めました。業界別にみると、QRコード決済において最も割合が高く(87.3%)、次いで銀行(87.1%)、動画配信サービス(84.8%)と続きました。一方で、プレステージ化粧品やアパレルEC、ネットスーパーでは苦情を述べた経験がある人が比較的多い結果となりました。

図:業界別にみた、不満を感じたが企業やサービスに苦情を述べなかった人(サイレントカスタマー)の割合

図:業界別にみた、不満を感じたが企業やサービスに苦情を述べなかった人(サイレントカスタマー)の割合

2.企業やサービスに苦情を述べた結果、問題が解決した人は約半数

企業やサービスに苦情を述べた人に対し、苦情を述べた結果、問題が解決したかどうかを調査したところ、17業界の平均で問題が解決したと回答した割合は50.6%となりました。業界別にみると、問題解決率が最も高いのはプレステージ化粧品(74.6%)、次いでネットスーパー(60.9%)、セキュリティソフト(57.3%)が続きました。一方で、対面証券や代理店型自動車保険、ダイレクト型自動車保険においては問題解決率が低い傾向となりました。

図:企業やサービスに苦情を述べた結果、問題が解決した割合

図:企業やサービスに苦情を述べた結果、問題が解決した割合

3.サイレントカスタマーや、苦情を述べても問題が解決しなかった人のロイヤルティは低い

企業やサービスに対する不満とクレーム行動別にNPSを分析したところ、「不満に思うことがあったが、苦情は言っていない」人(サイレントカスタマー)や「不満に思うことがあり、苦情を述べたが、問題は解決しなかった」人は、「特に不満に思うことはなかった」人と比較してNPSが低い傾向となりました。一方で、「不満に思うことがあり、苦情を述べたところ、問題が解決した」人は、「特に不満に思うことはなかった」人と同程度にNPSが高い結果となりました。各業界でも同様の傾向がみられましたが、一部の業界では、「不満に思うことがあり、苦情を述べたが、問題は解決しなかった」人は「特に不満に思うことはなかった」人よりもNPSが高くなりました。

不満があっても苦情を言わない顧客が大多数のため、サイレントカスタマーの解約・離反を防ぐための対策が必要となります。問い合わせをしやすい環境を整えたり、SNSで顧客が発信したメッセージに対し返信するといったアクティブサポート、またNPSアンケートを通じて顧客の声を拾い上げ、不満をいち早く察知することが重要となります。

また、苦情を述べても問題が解決できないとロイヤルティの低下につながるため、現場レベルでの問い合わせ等へのスピーディな対応や問題解決力を高めるだけでなく、全社的な取り組みとしてNPSアンケートで拾い上げた不満に対し、スピーディにアクションを打つことで解約・離反を防止する仕組みづくりも期待されます。近年では、サイレントカスタマーの不満を察知し、すべての顧客にアクションを実行するために、アンケート未回答顧客のNPSを予測する「pNPS(Predictive NPS)」の活用の動きもみられています。(詳細は以下でご覧いただけます):サイレントカスタマーにどう対応していけばよいのか?機械学習によるpNPS(Predictive NPS:予測NPS)の動向について(NTTコムオンライン note連載コラム「教えてNPS」より)

図:顧客の不満とクレーム行動別にみたNPS(17業界平均)

図:顧客の不満とクレーム行動別にみたNPS(17業界平均)
※各構成比はダウンロード資料でご覧いただけます