電力会社の選択に関する調査

~“サービス重視層”のNPS®が高い傾向に~

昨今のエネルギー価格の高騰に伴い、電力会社の契約見直しが進んでいることを背景に、「NPSベンチマーク調査2023【電力】」の調査回答者を対象に、電力会社の選択に関する意識について追加調査を行いました。消費者の契約変更意向や、電力会社の選択時の重視点別のクラスターやNPSの傾向についてレポートします。調査対象者は主要15社の電力会社を契約している18歳~74歳の男女4,350名となります。

調査対象企業(アルファベット順、50音順):
〈一般電気事業者〉: 関西電力、九州電力、四国電力、中国電力、中部電力ミライズ、東京電力エナジーパートナー、東北電力、北海道電力、北陸電力
〈新電力〉: auでんき、ENEOSでんき、J:COM電力、大阪ガス、ソフトバンクでんき、東京ガス

<調査結果のポイント>

1. 2割弱が電力会社の契約変更意向あり。電気料金が高くなったことが理由

1年以内の電力会社の契約変更に関する検討状況を調査したところ、「変更済みである」は8.1%、「現在変更を検討中である」は4.5%、「今後変更を検討したい」は13.7%となり、2割弱が契約変更意向があることがわかりました。

図:1年以内の電力会社の契約変更に関する検討状況

図:1年以内の電力会社の契約変更に関する検討状況

また、契約変更の意向がある人に対し、その理由を調査したところ、「現在契約している電力会社の電気料金が高くなったため」が45.6%と、他の理由と比較しても突出して高い結果となりました。一般電気事業者および新電力の事業者別でも分析したところ、いずれも同様の傾向がみられました。

図:電力会社の契約変更意向の理由

図:電力会社の契約変更意向の理由

2. 電力会社選択時に重視することの上位は「料金」「信頼・安心」

電力会社の契約見直しが進む中、電力会社を選択する際に重視することを調査したところ、全40項目のうち「重視する・やや重視する」が最も高いのは「月々の料金が適切であること」(88.7%)となり、次いで「信頼性の高い企業であること」(85.5%)、「災害時の復旧が早いこと」(83.1%)が続き、料金や信頼・安定性が上位となりました。

図:電力会社を選択する際の重視点(重視する+やや重視する)

図:電力会社を選択する際の重視点(重視する+やや重視する)
※全40項目のうち上位10項目を掲載。下位項目についてはダウンロード資料をご覧ください

3. 電力会社の選択時の重視点に基づき、消費者を6つのクラスターに分類

電力会社の選択する際における重視点の特徴をもとに消費者を分類するために、クラスター分析*を行ったところ、6つの選択重視点別クラスターに分類されました。各クラスターの特徴は以下の通りとなります。

図:選択重視点別クラスターの特徴

図:選択重視点別クラスターの特徴
※ダウンロード資料にてクラスターのプロフィールをご覧いただけます

*クラスター分析とは:集団の中から、似た傾向を持つ人同士をグループ化する統計的な手法。消費者の意識や行動特性によりグループ化する際に用いられ、マーケティングのターゲティング戦略などに活用される。

6つの選択重視点別クラスターのうち、最も割合が高いのはコスパ重視層(37.5%)であり、次いで信頼性重視層(15.1%)、サービス重視層(14.1%)となりました。

図:選択重視点別クラスターの構成比

図:選択重視点別クラスターの構成比

4. サービス重視層のロイヤルティが高い傾向に

選択重視点別クラスター別にロイヤルティを測る指標であるNPS(Net Promoter Score)を分析したところ、最もNPSが高いのはサービス重視層(-35.7ポイント)となり、いずれの企業においても同クラスターはNPSが高い傾向となりました。サービス重視層においては、マイページの利用率や節電チャレンジ・節電プログラムの実施率が高く、かつこれらの満足度が高い結果となりました。サービス重視層の構成比は全体の14.1%と小さいものの、マイページや駆けつけサービス、コールセンターといった電力会社が提供するサービスに対する期待の充足がロイヤルティにつながっているとみられます。

図:選択重視点別クラスター別のNPS

図:選択重視点別クラスター別のNPS

「NPSベンチマーク調査2023【電力】」の調査結果において、NPSが高い企業3社でそれぞれ属するクラスターを比較したところ、一般電気事業者Aでは全体と比較してサービス重視層の割合が高く、新電力のB社では信頼性重視層、同じく新電力のC社ではコスパ重視層の割合が高い傾向になるなど、各社ごとにクラスターの構成比に違いがみられました。自社の顧客が重視する層の特徴やボリュームを把握していくことが求められる結果となりました。

※企業別のクラスターの詳細データは、有料のクロス集計表にてご覧いただけます。

図:企業別クラスター構成比

図:企業別クラスター構成比

5. 節電チャレンジ・プログラムの利用意向が高い。選択重視点別クラスターによって求められるサービスは異なる

エネルギー会社が提供するサービスのうち、利用したいサービスを調査したところ、最も高いのは「節電や節ガスの取り組みに応じたポイント付与や割引(節電チャレンジなど)」(36.6%)となりました。次いで、「電気設備の点検・処置・修理の駆けつけサービス」(28.9%)、「ウェブページや公式スマホアプリでの日々の電気利用料のお知らせ(プッシュ通知等)」(28.3%)が続きました。

図:利用したいサービス

図:利用したいサービス

さらに、「節電や節ガスの取り組みに応じてポイント付与や割引がある(節電チャレンジなど)」の利用意向について、選択重視点別クラスターごとに分析したところ、環境配慮重視層、サービス重視層、信頼性重視層において特に利用意向が高い結果となりました。この他の項目でもクラスターごとに利用意向が高いサービスに違いがみられ、自社のクラスター構成比を踏まえて、クラスターごとに求められるサービスを提供することの重要性が示唆される結果となりました。

図:選択重視点別クラスターごとの節電チャレンジの利用意向率

図:選択重視点別クラスターごとの節電チャレンジの利用意向率

<調査概要>

  • 調査対象企業(アルファベット順、50音順):
    〈一般電気事業者〉: 関西電力、九州電力、四国電力、中国電力、中部電力ミライズ、東京電力エナジーパートナー、東北電力、北海道電力、北陸電力
    〈新電力〉: auでんき、ENEOSでんき、J:COM電力、大阪ガス、ソフトバンクでんき、東京ガス
  • 調査対象者: インターネットリサーチモニターのうち上記電力会社の契約者
  • 調査方法: NTTコム リサーチによる非公開型インターネットアンケート
  • 調査期間: 2023/7/28(金)~ 2023/8/1(火)
  • 有効回答者数: 4,350名
  • 回答者の属性:
    【性別】男性:51.2%、女性:48.8%
    【年代】20代以下:6.1%、30代:12.4%、40代:23.2%、50代:21.1%、60代以上:37.2%

Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。