管理領域(経営企画、人事、総務など)の飛躍的な業務効率改善へ
NTTアドバンステクノロジ株式会社(NTT-AT)
NTTグループの技術的中核企業として、トータルソリューション/セキュリティ/クラウド・IoT/AI×ロボティクス/グローバルの5つのビジネス分野に加え、NTTが提唱したIOWN関連のビジネスや純国産RPAのWinActorを手掛けるNTTアドバンステクノロジ株式会社で、データ活用による業務効率化やコスト削減を実現したのが「TIBCO Spotfire」でした。ここではその経緯と導入後の活用方法ついて、導入や運用のサポートを担うAIロボティクス事業本部 アドバンスデータアナリシスビジネスユニット 田中氏、高梨氏、そして実際に活用中の経営企画部 大川氏、人事部 岸本氏、総務部 大谷氏に伺いました。
[お話を伺った方]
AIロボティクス事業本部 アドバンスデータアナリシスビジネスユニット 主任技師 田中 隆秋 氏
AIロボティクス事業本部 アドバンスデータアナリシスビジネスユニット 主査 高梨 理衣子 氏
経営企画部 経営推進部門 部門長 大川 和永 氏
人事部 担当課長 岸本 哲也 氏
総務部 主査 大谷 真規 氏
― はじめに、御社の事業についてお聞かせいただけますか。
大川 : NTTアドバンステクノロジはNTT研究所と密接に連携し、またNTTグループ各社とも連携を図って、「ソリューション系事業」「プロダクトセールス系事業」「ネットワーク系事業」の3つの事業を軸に、多種多様なニーズに応えています。ソリューション系事業、プロダクトセールス系事業では、代理店としてSpotfire活用のご提案も手掛けています。
― それぞれの部署で抱えていらした課題と、Spotfireでの解決策について教えてください。
大川 : 私の所属する経営企画部は昨年、ERPシステムを旧システムから新システムへ移行しました。それまではERPシステム内をカスタマイズして、帳票などのデータをまとめて作り、各ユーザーがデータをダウンロードするという使い方をしていたのですが、システムを移行することでカスタマイズした部分の機能がなくなってしまいました。もう一度費用をかけて、新システムをカスタマイズして……となると余分なコストがかかり非効率なので、なにか良い方法はないかとAIロボティクス事業本部に相談したところ、Spotfireとの連携をすすめられました。
さっそく「こういうデータを取得して、このような形で見られるようにしたい」と依頼し、ダッシュボードを制作してもらいました。
高梨 : 私たちの方で要件を聞き、5種類ほどのデータを組み合わせていきました。データ量が多いのが特徴的でした。行数は、ある程度処理スピードがあったので問題ありませんでしたが、カラム情報が非常に多いのと、経理情報にあまり詳しくなかったので、お聞きしながら内部処理を構築していきました。
岸本 : 私は人事部で給与を担当しており、働き方改革の進展を可視化するため、毎月、時間外勤務実績データを幹部会議で報告しています。表計算ソフトを使って各組織の勤務データを集計し、前月比較、前年比較、組織整備があればそこを修正して……と、この作業だけで半日以上かかります。さらにそれをPDF化し、会議用システムへの入力と並行して、各組織の企画総務部門長と補佐の方々にもデータをお送りします。共有フォルダを使うようになるまでは、暗号化メールで1件ずつ送っていましたので、非常に煩雑で、稼働がかかる作業でした。
そこで、これまで作ってきた資料をAIロボティクス事業本部に渡して、ダッシュボードを作ってもらったのですが、本当にあっという間。1週間ほどで作っていただき、さらに、依頼していない機能まで「便利だろうから」と作っていただき、正直驚きました。
高梨 : 元になる資料があって要件がはっきりしていた分、早くできました。こちらのダッシュボードは、時間外勤務時間が増えているか減っているかという組織ごとの合計と、個人のデータが見られます。組織ごとに、確認したい月を選択すると、直近2ヶ月のデータが表示できるようにプルダウンで設定してあります。
また、全社では「部署全体の時間外勤務時間」を部署ごとに色分けして直感的に比較できるようにしたり、個人別では「時間外勤務時間の推移」を折れ線グラフで示して年間での稼働状況を見たりと、分析結果が一目で分かるよう工夫しています。
大谷 : 総務部の抱えていた課題は、2019年4月、働き方改革関連の法改正によって年次有給休暇取得5日間が義務化されたことに端を発します。もちろん、従来も社内システムを使って有給取得数は把握していたのですが、それらを一元的に可視化できる環境がありませんでした。社員約2,000人の有給取得状況について、1人ずつ、つまり2,000回チェックをするというのは現実的ではありません。管理データを表計算ソフトで管理する文化をやめようという社の方針もあり、AIロボティクス事業本部に相談して、Spotfireで有給取得状況を管理できるダッシュボードを作ってもらいました。
高梨 : 各組織の上層部の方は、自分の配下の社員の有給取得状況を見るのはもちろん、それぞれ年間で有給取得計画を立てさせるようにしていますので、その計画と実際の取得状況を突き合わせて、達成状況まですぐに見られるようになっています。
大谷 : 全社員が見られるわけではないのですが、権限があれば社内のどこからでも見られますし、四半期に1回、幹部が集まる場でも定期的に共有させてもらっています。
― Spotfire導入後の手応えや、成果はいかがですか。
岸本 : これまで1日かかっていた作業が、5分ほどでできるようになりました。それに、我々が今まで提供していたものは集計後の表をPDF化したものだったので、それ以上の情報を求められると元のデータを渡して「ご自身で集計してください」ということになっていました。それが今は、Spotfireのドリルダウン機能が反映されたダッシュボードがあるおかげで、セルフサービスでのデータ分析も以前よりずっと簡単にできるようになりました。それまでは本部からもいろいろ問合せをいただきましたが、今ではまったくなくなりました。Spotfire自体の使い方も特に説明していません。ビジュアルを見れば直感的に使えるというか、気になったところをクリックするとどんどんデータがドリルダウンされていくので、触った方が早いですよね。
大谷 : 総務部としても、やりたいと思った機能は現在のダッシュボードに全部入っていると感じています。はじめの頃こそ「これはできないの?」と相談していたのですが、「できない仕様です」ということはまずなく、大抵「これだったらできますよ」といった感じで反映してもらえています。はじめの準備をしっかりしておけば、要件は満たせますね。特に有給取得状況のツールは、幹部にもかなり見やすいと評価をいただいていますし、総務部としても満足度は高いです。
― もう一歩踏み込んでSpotfireを使いこなすという意味では、簡単な相関分析をする活用法もおすすめしたいですね。例えば人事部のダッシュボードの中で、「給与額と時間外勤務時間数の関係」などを分析していく。Spotfireはワンクリックで統計解析できる機能が搭載されている汎用ツールですので、表計算ソフトを使う方であれば、少し慣れるだけでこういった使い方も問題なくできると思います。
大川 : おもしろそうですね。そういえば我々も、今取り組みたいことがあります。例えば、社内ではERPが売上実績の情報を持っていて、Salesforceなどが売上計画に関する情報を持っています。予実管理のためには本来ひとつにまとめた方がいいような情報が振り分けられているので、今はひとつのシステムに他を合わせていくような感じで、コンバートしながら情報をまとめています。今後、Spotfireを中心にシステム間の連携を適切に実施していけば、さまざまな切り口から分析できるのではないかと構想しているところです。
田中 : ERPの売上実績の情報については既に実現済みですが、手作業ではなくWinActor(RPA)を利用してレポート抽出を行い、その抽出したレポートをSpotfireで可視化して社内公開しています。Salesforceの情報など複数データソースがあるのであれば、WinActorを活用してSpotfireと連携させることで、さらに社内のDXを効率よく実施することができると考えています。
― Spotfireには、ダッシュボード編集などの全機能を利用できる「Spotfire Analyst」と、ダッシュボード閲覧やドリルダウン機能を利用できる「Spotfire Consumer」の2種類のライセンスがありますが、経営企画部、人事部、総務部の方々はどのライセンスを利用しているのですか。
高梨 : 「Spotfire Consumer」です。はじめはダッシュボードの編集も各部署で実施していただくつもりでしたが、込み入った編集を各々に任せるのは効率が良くないということで、編集は「Spotfire Analyst」を利用している、私たちAIロボティクス事業本部で行っています。ただ、現在は「データのファイルをそこに置けば更新されます」という形までダッシュボードを作り込めたので、今後データ更新については各部署へお任せする流れになっています。
これは、関数が豊富で、最低限のデータセットが準備されていれば特に前処理が要らない、つまり内部だけで複雑な計算処理も完結できるSpotfireならではの特長だと思います。こちらとしても、前処理がないとデバッグしやすいので助かっています。
― 導入にあたって、社内で研修を行なうなどの取り組みはあったのですか。
高梨 : 基本的に触っていれば覚えられるソフトですし、ツールもそのように作っているので、エンジニアに対しても、他部署の社員に対しても研修などは特に実施していません。
田中 : 質問がくる場合も「どう使うの?」ではなく、実際に触ってみて「ここがうまく動かない」といったことが多いですね。よく聞かれるのはデータファンクション機能の使い方や、データテーブル連携の設定などでしょうか。最初でつまずくというよりも、使い込んでみて初めて疑問が出てくるといった感じです。
高梨 : 質問といえば、他のソフトだと「これはできない仕様なんです」で片づけてしまうようなことでも、工夫すればできたりするのはSpotfireのおもしろいところですね。ちなみに私は、マップチャートを利用して独自にレーダーチャートを制作しました。六角形の画像を背景に貼り込んで座標を決め、トレリス機能でグラフを格子状にグループ分割表示して……座標を決める時は少々大変でしたが、おかげで見やすく仕上がりました。
― 社内でもこれだけいろいろな部署で、それぞれに合う形でSpotfireを活用されているということで、今後は社外の方にも、もっといろいろとご提案できそうですね。
田中 : BIツールについては、今はまだ「データを帳票のフォーマットに加工して効率化したい」ですとか、「分析結果はあるのでそれを可視化したい」といった入り口に近いニーズも多いのかもしれません。これからはもう一歩踏み込んで、分析にも大いに力を発揮するSpotfireの良さを、多くの方に伝えたいですね。
― 総務や人事での活用例などが紹介されているこの記事も、今後さまざまな業種・部署の方にSpotfireを活用していただくヒントになれば幸いです。本日はありがとうございました。
※掲載内容は2020年7月時点の情報です。
※NTTアドバンステクノロジ株式会社はTIBCO製品のパートナー企業です。Spotfireの導入支援、ダッシュボード作成支援をいたします。