データ解析と可視化が同じプラットフォームでできるSpotfireはBIツールとして画期的
株式会社チェンジ(CHANGE)
NEW-ITをビジネスに活かすための強力なサポーターとして、コンサルティング事業や教育トレーニング事業を手掛ける株式会社チェンジ。その中でもデータサイエンス領域の事業で活躍しているのが「TIBCO Spotfire」です。ここではSpotfireの詳しい活用方法について、NEW-ITユニット シニアマネジャーでデータサイエンティストの廣野氏に伺いました。
[お話を伺った方]
NEW-ITユニット シニアマネジャー データサイエンティスト
廣野 勝利 氏
― はじめに、御社の事業についてお聞かせいただけますか。
弊社の主なミッションは「生産性革新をIT技術でサポートする」ことにあります。NEW-ITと呼ばれるクラウドサービスやAI、ビッグデータなどは、基本的に各領域に習熟していなければ扱えません。さらに、それぞれ単体で供給されているので、企業はそれらを組み合わせて導入しなければならない。この両方をまかなうのが難しいために「自社に合うツールの導入が進まない、使えない」といったことが起きてしまうのです。我々はそういった企業様の課題とIT技術をマッチングするコンサルティングや、ツールを活かすための教育トレーニングなどの事業を行っています。
マッチングや教育のためにはあらゆるIT技術に習熟しなければなりませんから、社員皆で新しい技術にどんどんトライすることに日々努めていますね。
私は2013年頃から「アナリティクス&IoT」、つまりビッグデータやAIに関連する事業を担当しております。お客様にとってデータが扱いやすくなるパワフルなツールとして、コンサルティングでも教育トレーニングでもSpotfireを実際に使わせていただき、導入のサポートなども行っているんです。
― Spotfire導入前に抱えていらした課題について教えてください。
エンタープライズ型BIが主流だった当時、弊社に限らずデータサイエンス領域全般が抱える課題ではないかと感じていたのが、データ活用のハードルの高さでした。基幹システムからETL(Extract/Transform/Load)ツールでデータを抽出・変換してデータウェアハウス(DWH)に統合し、そこから多次元キューブを構成してダッシュボードやレポーティングツールで可視化するといった複数の構成が一般的にとられていました。そのようなシステムの構築はIT担当者が要件定義から始めて延々と可視化に至るまで、それらのスタックを一つ一つ積み上げていく形で進められてきました。
大量のデータがそこにあるのに、IT担当者にしかアクセス権限がなく、誰もが自由に扱えるわけではない。担当者へ依頼して見たいデータを切り出してもらうのに1ヶ月かかり、しかもそのデータは手元の表計算ソフトで扱えず……といったナンセンスな状況がままありました。どういうデータか本質的に理解できないので、その先にある解析に進めないのです。それもあってSpotfireをはじめとするセルフサービス型BIが台頭してきたのではないでしょうか。
もちろん我々も、さまざまなBIツールにトライしました。ただ結果的に、私自身は現在Spotfireをメインで業務に使用しています。他のツールはご要望に応じて、といったところですね。
― Spotfireをそこまで評価してくださるポイントは何だったのでしょうか。
「データ解析と可視化が同じプラットフォームでできる」ところですね。これは未だ他のツールが追いついていないところではないでしょうか。例えばあるBIツールだと、あらかじめR言語を使ってクラスタリングしたデータを用意し、BIツールで可視化するというフローになります。しかしSpotfireは解析したデータを瞬時に可視化できるので、データを持っていくタイムラグが発生しないのです。しかも同じプラットフォーム内ですから、お客様に可視化したデータをお見せする席でご要望があったら、それについて話をしながら変更して解析し直せる。私はこれまでR言語やSPSSを使って解析をしてきたのですが、Spotfireの「データ解析と可視化がセットになっている」というのは従来では考えられない画期的な体験でした。
その一方で、内部では自前の処理しかできないというわけではなく、TERR(高速Rエンジン)やPythonも搭載されているため、より高度な統計解析や数理モデルを用いた分析に対応している柔軟さも大きいですね。これらの言語を使って、複雑な条件を持った高度なフラグも立てられるので、Spotfireを導入したコンサルティングのお客様に、ダッシュボードのメンテナンスを提供するととても喜ばれるのです。トレーニングを受けた方なら、コードの書き換え方をお教えすれば、自らメンテナンスすることもできます。
― 教育トレーニングの場ではどのように活用されているのですか。
弊社で提供している「データサイエンティスト養成講座」がありまして、その「統計解析」演習で使わせていただいています。この講座は、5日間かけて「ビッグデータの活用方法」、「IT技術」、「統計解析」、「分析プロジェクトの推進」といったことを演習形式で学ぶもので、その3日目にSpotfireで「統計解析」のいろいろな手法を実践します。例えばクラスタリングなどの機械学習といったものですが、ここでR言語やPythonを使うと、そちらの扱いに気を取られてしまいがちです。コードを書く作業に一生懸命になってしまって、統計解析が上の空になってしまうというか。
弊社の養成講座では、まず、2日目の「IT技術」でSpotfireを使ってデータを圧縮して高速で可視化する体験をし、Spotfireに慣れていただきます。その上で、翌日もっと高度な解析をするのですが、どちらもサクサク作業が進むので、上の空になることもなく、学ぶべきポイントに確実にフォーカスできるわけです。メーカーの設計開発、企画職の方などは、今まで表計算ソフトで分析や考察に必要なパラメータを抜き出し、グラフを作成していて、分析に大変手間を取られてきた方が多いのです。それだけに、この講座でSpotfireの、データの相関を総当たりで見られる様子や、グラフ上で選択した範囲だけにフォーカスして分析を行い深掘りしていく様子を見て、「こんなに簡単にできるのか!」と……Spotfireに気を取られるわけではないですが、興味を持たれることもありますね(笑)。
― コンサルティングも教育トレーニングも「体験してもらう」ことで、御社だけではなくお客様もSpotfireの良さを実感されているのですね。
そうですね。それもチュートリアル的に操作してみるだけでは響かないのです、「ストーリー」がないと。例えば、自社の事業でなかったとしても「ある事業において、なにか課題を持っている担当者が、データを元にこういう分析をして解決策を引き出した」というストーリーをたどると、すんなりと腑に落ちる。
それだけに今、新型コロナウイルス感染症の影響で対面での研修がなかなか開催できない状況は歯がゆいところがあります。
― 現在浸透しつつあるオンライン研修で、自分ごととして「体験してもらう」となれば、Spotfireのダイナミックかつインタラクティブな操作性などが力を発揮するのではないでしょうか。
そうですね。例えば「実習内容とは別の条件で検証したい」という質問があった場合に、他のツールだと「次回までに用意しておきます」ということになりますが、Spotfireであればその場ですぐ実践できますよね。
自分で操作しながら検証となるとつまずくこともありますが、オンラインであれば、講師の画面を共有して、まるで自分が操作しているかのようにフローをたどりながら検証していき、直感的に理解してもらうこともできます。その上で、さらにズームスライダー&ドラッグによる範囲選択、指定カラムによるパネル分割表示が一瞬で作成できるトレリス機能などを使って、自分の見たいデータを細かく見ていける。まさに自分ごととして「学ぶべきポイントにフォーカスできる」環境かもしれません。
― 早速イメージが湧いてきました。オンラインでもSpotfire本来の良さを感じられる場を作っていただけるよう、これからもサポートさせていただければ幸いです。本日はありがとうございました。
※掲載内容は2020年7月時点の情報です。
※株式会社チェンジはTIBCO製品のパートナー企業です。
株式会社チェンジのデジタル人材育成事業、およびSpotfire導入支援などのDX推進支援事業は、2021年4月1日より株式会社チェンジの連結子会社である、株式会社ディジタルグロースアカデミアに承継しております。