株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)
日本全国にWi-Fiアクセスポイントを展開し、通信環境だけでなく、利用者の動向分析データなども提供する株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)。日々膨大なデータを収集する同社で、パワフルな集計・分析により一歩進んだデータ活用を実現したのが「TIBCO Spotfire」でした。ここではその経緯と導入後の詳しい活用方法について、認証レポートを担当している橋田氏、訪日外国人動態分析を担う川名氏、社内のデータ利活用を推進する堀江氏にうかがいました。
[お話を伺った方]
営業本部 副本部長 川名氏
技術運用 第一本部 チームリーダー 橋田氏
技術運用 第二本部 チームリーダー 堀江氏
― はじめに、御社の事業についてお聞かせいただけますか。
橋田氏 : 弊社はKDDIグループにおける「公衆無線LAN」に特化した通信事業者です。自社ブランドサービスである「ギガぞうWi-Fi」、「Wi2 300」、auスマートフォンユーザー向けの「au Wi-Fi SPOT」といったキャリアWi-Fiサービスの提供を行うとともに、企業・自治体ブランドで展開するフリーWi-Fiサービスにおいても広くWi2のシステムをご利用いただいており、全国各地のWi-Fiスポットの運営を行っています。
「ギガぞうWi-Fi」ではスマートフォン向けのWi-Fi接続支援アプリも展開。使い放題でWi2が運営する街中の高品質(EAP-TTLS方式)Wi-Fiスポットをご利用いただけることに加え、Free Wi-FiをVPNで安全に接続するなど、通信事業者ならではの高セキュリティな公衆無線LANサービスを提供しています。
また、訪日外国人向けの「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」アプリでは、多言語での観光情報やクーポン等の配信サービス、統計情報を基にした訪日外国人の動線分析レポートなど、インバウンドビジネスをサポートするサービスを幅広い企業・団体様にご利用いただいています。
― 「認証レポート」についてお聞かせいただけますか。
橋田氏 : 弊社のアクセスポイントを導入していただいたお客様に対して、個々の実績、例えばそのアクセスポイントの利用者数や利用者の属性(利用している言語、認証に使ったSNSの種類など)といったデータを定期的にレポート化し、「認証レポート」として契約者様へご報告しています。
― それまで抱えていらした課題と、Spotfireでの解決策について教えてください。
橋田氏 : 認証レポートは、従来ですと弊社が保持しているログから、基本的にCSVファイルで提供していたのですが、お客様から「表計算ソフトの形式に変換してほしい」、「グラフ化してほしい」といった個別のご要望があった場合は、それにもお応えしていました。お客様ごとに個別のレポートデータを作るとなると、手作業も入りますから、そこにかなりリソースを取られていたのです。ありがたいことなのですが、契約者様が増えるにつれて、そうしたちょっとした負担が大きくなってしまいまして。そこで、レポート作成を効率化するというのが、新ツールの導入を検討するきっかけでした。
選定にあたってジャパンシステム様へご相談し、複数のツールを検討した結果、認証データ、位置情報データといった大量のデータを取り扱う中で、Spotfireが最も多くのデータを扱えるであろうという結論に至ったのです。
― Spotfire導入後の手応えや、成果はいかがですか。
橋田氏 : すべて自動化することができましたので、かなり稼働を削減することができたと実感しています。
また、お客様にも我々が利用しているのと同じダッシュボードを共有して、リアルタイムでデータを見ていただけるようにしていますので、わざわざデータをお渡しする手間も、それによるタイムラグもありません
お客様にとっても、今までは基本的に数字でしか見えていなかったものを、リアルタイムにグラフで見ていただけるようになって、視覚的にデータの内容が分かっていただけるようになりました。しかも、特別なサポートがなくてもご自身で簡単にドリルダウンなどを行うことができ、直感的に、より細かく分析できる。おかげさまでお客様からの評価も上々です。
― 「訪日外国人動態分析」についてお聞かせいただけますか。
川名氏 : 弊社では訪日外国人観光客向けにWi-Fi接続アプリ「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」を提供しております。そこから得られた訪日外国人観光客の国内各地での位置情報を集計・分析し、WEB版レポートサービスとして契約者様へ提供しています。
「認証レポート」と大きく違うところは「動態分析データ」、いわゆる移動ルートや立ち寄り先、滞在先などの分析を行うところですね。
― それまで抱えていらした課題と、Spotfireでの解決策について教えてください。
川名氏 : 従来は、コンサルティング会社と協業しながら他社ツールを利用してWEB版レポートを提供していたのですが、協業終了にあたって自社でデータベースを作り、ツールも開発しなければならなくなりまして。そこで、「認証レポート」で既に利用していたSpotfireが、「訪日外国人動態分析」でも活用できるのではないかということで、ジャパンシステム様にご相談した結果、「改修すればできるかもしれない」とご回答いただき、開発をスタートさせました。
「認証レポート」と同じように、お客様とダッシュボードを共有して、リアルタイムでデータを見ていただけるようなツールです。我々のお客様はデータサイエンティストというわけではなく、例えば自治体で観光施策を担当されている方などです。そこでツールも、いきなり深掘りでどんどんドリルダウンして分析していくというよりは、一見するだけで「今地図上のここはどうなっている」と誰でも簡単に分かり、その上でデータを深掘りしていくこともできる……といったようなつくりを目指しました。
― Spotfire導入後の手応えはいかがですか。
川名氏 : 一見して分かりやすく、データの深掘りもできるつくりは実現できたと感じています。
訪日外国人観光客がどこを訪れたか示す「訪問マップ」では、まず期間や場所を選択して「検索」ボタンで実行していただくと、地図上の人が多数来た場所が赤く、少なくなるにつれて青く表示されます。右側には、その実数も表示されます。その上で、例えば全国のマップを表示して、地図上の東京都をクリックすると東京都の行政区単位の表示になり、さらに港区をクリックすると港区の町丁目単位の表示になり……という形でドリルダウンしていくこともできます。
おかげさまで現在はWebアプリとして完成形に近い運用ができているのではないでしょうか。お客様の操作もクリックのみですし、サポート対応を求められることもなく、ツール上のマニュアルだけで使っていただけています。
― Spotfireにはダッシュボード編集などの全機能を利用できる「Spotfire Analyst」と、ダッシュボード閲覧やドリルダウン機能を利用できる「Spotfire Consumer」の2種類のライセンスがありますが、堀江様は「Spotfire Analyst」ライセンスを用いたデータ分析などをご担当されているそうですね。
堀江氏 : はい。我々のチームは技術部門ということで、ログの集計や、それを踏まえての傾向分析などを中心に進めています。社内ではSpotfireだけでなく他社のBIツールも併用していますが、目的によって使い分けています。そういった意味では、Spotfireではドリルダウンやドリルスルーを使用する場面が多いですね。特に弊社には位置情報などのデータが集まってきますので、ドリルダウン機能で位置をもっと深掘りしたり、ドリルスルー機能でその位置にあるWi-Fiスポットなどの詳しい位置情報のデータを詳しく見ていくというような感じです。
他には時間の深掘りでしょうか。毎月のログ集計データをざっくり眺めて「ここだけちょっと特殊な状態になっている」というポイントが見つかれば、そこを日単位で見て、さらに時間単位で見て、という形でよくドリルダウンを使用していますね。
― 他社のBIツールも併用されているとのことで、Spotfireにはドリルダウン以外にどのような特徴があると感じていますか。
堀江氏 : 弊社の取り扱うデータはカラムとレコードどちらも多いのが特徴です。レコード数は分析対象によっても変わるのですが大量のデータを集計する際には、Spotfire が取り回しがいいと感じますね。
― 今後はSpotfireをどのように活用していきたいとお考えですか。
堀江氏 : 我々のチームはまだできて間もないということもあり、現在は社内のオーダーに応えて、データ集計やレポート作成を取り扱う場面が多いのですが、今後はより深い分析や、機械学習を使った予測にも踏み出したいですね。実際に、依頼された業務とは別に時間を設けて、模索を続けています。「認証数が今後どれくらい増えていくのか」といった時系列分析やクラスタリングという形で「この地域はこういう人が多い」といった分析をしていく時には、Spotfireが活躍してくれると思います。
今、データベースもさまざまなものが登場しています。弊社もデータ分析にクラウドサービスを活用していますが、将来的に別のクラウドサービスやこれから登場する新しいサービスなどにも環境を広げるとなれば、プラグインとなるSpotfireにそのコネクタがあるかどうかは重要なポイントです。Spotfireは新しいサービスへの対応が早いし、コネクタも多い。「Spotfireは新しいサービスが出てもすぐに使えるね」という状況が続いてくれれば、安心できますね。
― 迅速に対応するのはもちろん、すぐには難しい場合でも「いつ対応できるか」をきちんとお伝えし、今後もしっかりとサポートさせていただきます。本日はありがとうございました。
※掲載内容は2020年11月時点の情報です。