2017/12/14
【NPSトップ企業に聞く顧客ロイヤルティ向上の秘訣2017】
NPS®ベンチマーク調査2017、転職エージェント業界部門で見事第1位を獲得した株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(以下ジェイ エイ シー リクルートメント)。グローバル案件への強みやマネジメント層にフォーカスした人材紹介が高く評価され、成長を続けてきました。一人のコンサルタントがキャンディデイト(求職者)と、採用企業を担当する「両面型」のスタイルを取り入れるなど、顧客ロイヤルティ向上を支える特徴ある取組みについてお伺いしました。
― ジェイ エイ シー リクルートメント様は、NPSベンチマーク調査2017転職エージェント業界部門で第1位となりました。本日は高いロイヤルティを実現されました御社の取り組みについておうかがいさせていただきます。まず、成長を続けていらっしゃる御社の、経営ビジョンや事業戦略についてお聞かせください。
松園 : ジェイ エイ シー リクルートメントは42年前にイギリスで創業しました。現在グループ会社を含め世界10カ国で展開しています。経営を担うような人材を世界各地で数多く紹介し、それを通じて社会に貢献していく、ということをミッションとして掲げています。
外資系企業だけでなく日系企業からもグローバル人材ニーズが高まってきており、我々の強みと上手くフィットしてきています。また、マネジメント層や専門職、経営幹部にフォーカスしており、そこも評価いただいている大きなポイントになっています。
― 成長をけん引した要素として、「両面型」のビジネスモデルが特徴的だと思うのですが、なぜそのスタイルにたどり着いたのでしょうか。
松園 : 我々は、キャンディデイト(求職者)と企業を一人のコンサルタントが担当してコンサルテーションをする、「両面型」というやり方にこだわっています。企業にもいろいろなカルチャーや事業の特性があるので、それを知らずにコンサルタントが「いい求人があります」と言っても、リアリティがなく、キャンディデイトの満足度も下がると思います。 我々が、プロフェッショナルなコンサルタントとして、一人ひとりのキャンディデイトと面談した上で、イマジネーションを働かせながら、これまでに培ったスキルと経験を十分に発揮できる企業に紹介するという点が評価されているのだと思っています。
引き出しの多さやクリエイティビティ、アクティビティ、人としての軸など、プロフェッショナルを作り上げる要素は多岐にわたります。プロとして数多くの紹介実績を作り出し、また、一度紹介したら終わりではなく、 キャンディデイトとも企業とも、決めてからも長いお付き合いをすることにもこだわっています。かかりつけの医者のような存在でありたい、という考え方です。
― コンサルタントの中途採用も多いと聞いていますが、プロとなるような人材をどうやって見つけていらっしゃるのでしょうか。
松園 : コンサルタントはお客さまである企業経営に寄り添っていく難しい仕事なので、なかなか見つかりません。ただこだわっているのは、主体性があり失敗を恐れない、難易度が高いことにもチャレンジする意欲をもっている、といった点です。お客さまも社内も巻き込んで進めていくことができる、というのも大事です。
― 経営戦略の中で、顧客ロイヤルティはどのように位置づけていらっしゃいますか。
松園 : お客さまのロイヤルティは我々が一番重要視しているところです。社内の教育もそうですし、定性的なミッションやビジョン、方針にも定量化されたKPIを必ずセットし、可視化できるようにしています。それを皆でシェアし、顧客満足度をあげる努力をしています。同時に、外部機関を利用して、定期的にキャンディデイトと企業の両サイドに対して満足度調査を実施し、定点観測しています。
― 今やっていらっしゃる定点観測の満足度調査と同様に、NPSにも定期的に、ブランド調査といった位置づけで実施するリレーショナルNPSがあります。また、それとは別に、タッチポイント毎や、例えばコンサルタント毎に、NPSを調査していく、トランザクショナル調査があります。トランザクショナル調査によって、小さなPDCAや改善活動を回していくことができ、通常この2つを組み合わせて実施していきます。トランザクショナルNPSはシステムプラットフォームを入れて実施するのですが、システムが入ることにより、現場を含め組織全体が同じ結果をタイムリーに共有できるようになります。組織全体が優先すべき改善活動が何かといった点を共有し、自分たちでPDCAをまわるようになるので、現場のモチベーションアップにもつながります。
松園 : そういった手法については、これからもっと研究していきたいと考えています。我々のこだわりは事業の規模感を拡大しながらも、コンサルティングの高いクオリティを維持していくところにあります。個々のコンサルタントの複眼的なものの見方がコンサルティングのレベルを上げていくという思想なので、それ自体かなり難しい話ですし、いろいろなことを目配せしていないとリスクが発生する場合もある。なので、今おっしゃったような仕組みの中でサイクルをまわしていくというのは、スピード感や規模感も含めて、理想的かと思います。
― NPSに対しての期待値についてはいかがですか?
松園 : 他人に「お薦めしたいか」を評価する仕組みが素晴らしいと思います。本人だけの満足度をみていてもなかなか本質がとらえられない。我々自身もリファーラル(推薦、紹介)を重視しており、本年度は特にリファーラルでキャンディデイトの紹介をしていただけるように、全社を挙げてプロジェクトを組んでいます。まさにNPSと同じ考え方で、日頃質の高いサービスを提供しているからこそ、新たなキャンディデイトを紹介していただける、という良いサイクルを目指しています。自分がコンサルタントから支援を受け、親身に対応してくれたから紹介したい、という満足度が本質的には非常に重要だと思います。ですので、NPSの考え方は、もっともっと認知が上がるべきと感じています。
― 特徴あるサービスは、「お薦めしたいですか」という切り口ではとても高く出る場合があります。御社ならではの特徴的な良さや提供価値は、一言でいうとどこにあるのでしょうか。
松園 : 我々の提供価値は、企業経営に影響力のある人材を紹介し、かつその方が定着して改革やイノベーションを起こしながらその企業をリードしていく、という状態を作ることです。キャンディデイトには、自分が気づいていない部分も含めて、活躍の場を提供したり機会を創出する。我々にとっては定着も一つのキーワードで、ミスマッチが原因で転職した会社を辞めるようなことになっては良いサービスを提供しているとは言えないと考えています。
― 御社は、日本のヒューマンリソースマネージメントに対して改革を促しているような点もあるかと思います。今後の展望について教えてください。
松園 : 以前からジェイ エイ シー リクルートメントがマーケットをリードしてきたのは、ミドル、シニアの転職です。35歳転職限界説というのがありましたけど、すでにそういう時代ではありません。今後もさらにミドルやシニアの方々が転職できるような市場と業界を牽引する存在であり続けたいと考えています。
また、グローバル化やイノベーションという流れもあります。グローバル化は中堅中小企業まで広がっていますが、ほとんどの場合経験のある人材がいないので、企業にグローバルに強い方を紹介していきます。IoTなど専門性に特化した分野については、時には人事の方と一緒に経営トップから話をお伺いし、ニーズのヒアリングをして、そこから人材を提案することもあります。求めるような人材がなかなか見つからない場合は、こういう方なら業界は違うけど求めている仕事にフィットする、といった形で提案するなど、マーケットを作り上げていくようなところもあります。
― 日本の未来を担う分野にも適材適所で人材を紹介し、市場を創出されていくということですね。
本日は貴重なお話、ありがとうございました。
転職関連サイト・転職エージェントのNPS(ネットプロモータースコア)およびロイヤルティ要因についての分析レポートです。
スカウトサービスの利用有無別NPSや、転職により実現できたことについても掲載しています。是非ご覧ください。
【インタビュー後記】by NPSベンチマーク調査担当
NPSベンチマーク調査2017転職エージェント業界の結果から読み取れる株式会社ジェイ エイ シー リクルートメントの強み
NPSベンチマーク調査では、転職エージェントに関連した15の要因別に満足度を聞いていますが、株式会社ジェイ エイ シー リクルートメントは、「キャリアアドバイザーのカウンセリング力」「キャリアアドバイザーのレスポンスの速さ」「応募書類の記入方法などアドバイスの適切さ」といった、キャリアアドバイザー(コンサルタント)に関連した項目で、業界トップクラスの満足度を得る結果となっています。
また、「推奨者」の推奨理由としても、「自分の希望を細かく聞いてくれ、質問に対しても「調べてすぐに回答します」と返事をくれました。自力で探していたら絶対に見つからなかった職種に転職でき、心から感謝しています」(女性、40代)、「コンサルタントのプロ意識が高く、各種業界への知識が深い」(男性、30代)など、コンサルタントに対しての高い評価が見られました。