2018/03/20

【NPSトップ企業に聞く顧客ロイヤルティ向上の秘訣2017】

ECサイト業界 第1位 ZOZOTOWN(スタートトゥデイ)様
~ファッション好きが集まるプラットフォーマーとしてお客さまの欲求に応える~

NPS®ベンチマーク調査2017、ECサイト業界部門で見事第1位を獲得したZOZOTOWN。その運営会社である株式会社スタートトゥデイに、利用者から高く評価される顧客対応の取り組みについておうかがいしました。

ファッション企業としてITを最大限に活用し最高のサービスを

― ZOZOTOWNが、NPSベンチマーク調査2017ECサイト業界部門で第1位となりました。おめでとうございます。本日は高いロイヤルティを実現されている御社の取り組みについてお伺いさせていただきます。まず、成長を続けていらっしゃるZOZOTOWNの経営ビジョンについてお聞かせください。

(左)株式会社スタートトゥデイ  取締役 清水 俊明 様
(中)株式会社スタートトゥデイ  取締役副社長兼CFO 栁澤 孝旨 様
(右)NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 代表取締役社長 塚本 良江

(以下敬称略)

栁澤 : スタートトゥデイは2000年からファッションeコマース事業を手がけており、ZOZOTOWNは2004年にスタートしました。eコマースというとIT企業のイメージがあるかもしれませんが、我々は自分たちはファッション企業だと思っております。スタッフが欲しいブランド、買いたいブランドを集めて売る、というのが基本ポリシーです。ファッション好きのスタッフが多く、ブランドさまといい関係を築くことで、私どもを使っていただける。

清水 : ブランドが増えるとお客さまが増え、お客さまが増えればまた出店したいというブランドさまが増えていく、そういうエコシステムができている。プラットフォーマーとしては大変ありがたいことに、この好循環があって弊社の成長があります。

― ZOZOTOWNは6000を超えるブランドを取り扱っていらっしゃり、NPSベンチマーク調査でも、「品ぞろえ」が突出した推奨理由となっています。NPS1位になるということは、口コミが多いということでもあるのですが、その理由はどこにあると思われますか。

栁澤 : サイトの使いやすさやイメージ、ブランド数といった特徴が、「おしゃれなものをZOZOTOWNは売ってるよね。ブランドいっぱいあるよね」という口コミを誘発しているのではないでしょうか。

清水 : ZOZOTOWNはアプリ経由の売上も伸びている一方で、PCサイトでもスマートフォンサイトでも検索されると上位表示される。それに日替わりのブランドクーポンやタイムセールが相まって、お客さまに買う楽しみや毎日来る動機づけができているのではないかと。また「WEAR」というファッションコーディネートのアプリもあるのですが、それがZOZOTOWNでの購入にもつながっています。新品だけでなく二次流通といわれる古着、そしてコーディネートなど、ファッションにまつわるサービスのすべてをプラットフォーマーとして網羅していることも、お客さまを惹きつける要因ではないでしょうか。

“友だちならどうするか”の視点で、従業員ロイヤルティを顧客ロイヤルティへと昇華

― 経営戦略の中で、顧客ロイヤルティはどのような位置づけになっているのでしょうか。

清水 : 弊社の原点は1998年に代表の前澤が始めたスモールビジネスで、2004年にZOZOTOWNが立ち上がった時も、知る人ぞ知る、お客さまとの関係性が近い会社でした。ところが、2009年にテレビCMを放映したことで認知度が急激に高まり、お客さまが一気に増えました。前澤はその時点でお客さまとの関係性が希薄になるのではないかという危機感を持っていました。

当時、色々なスタッフと話す中で、従来型のCRMはこの会社には馴染まないのではないかという感覚を持ったのと、スタッフのロイヤルティが非常に高い、という事も感じました。それが、高い従業員満足度をいかに顧客満足度につなげていくか、その結果として顧客ロイヤルティがついてくるのではないか、という考え方のスタート地点になりました。

― カスタマー・フレンドシップ・マネージメントという取り組みをやっていらっしゃるとお伺いしています。

清水 : 当時一般的であったCRMはいかに優良顧客を囲い込むかという考え方が主流でしたが、そうではなく、オープン、フェアネスの精神で、会社が大きくなっても一人ひとりのお客さまの心のあり様を見逃さないで、我々ならではのおもてなしをするという思いが大事なのではないか、という話をしました。そのコンセプトを聞き、「それは“友だち”になることだよね」と前澤が発言したのです。

その年の中期経営計画で、CFM(カスタマー・フレンドシップ・マネジメント)と、EFM(エンプロイー・フレンドシップ・マネジメント)が発表されました。会社と従業員も労使という緊張関係ではなく、友だちみたいな関係になること。またお客さまとも友だち関係を、ということがミッションになりました。スタッフとお客さまの間にファッション好きという共通項があるからこそ、友達としても、ファッション好きならではのニーズに応えることができるのだと思います。

― 御社の場合は、施策としてお客さまの声を聞いているというよりは、自然に聞いていらっしゃるような感じですね。

清水 : そうですね。TwitterやFacebook, Instagramとかで可視化されているものから、時代の空気とか、お客さまの気分を日々色々なセクションの人間が感じているというところもあります。
それと同時に、我々は、粋だとかサプライズがすごく好きな会社なので、マーケットイン的な発想で調査分析や裏付けなどから世の中のニーズを見いだし、これに当てはまるサービス開発をしようというよりは、なにか面白いことをやりたいとか、突き抜けたことをやりたいというような、自分たちベースのものを発信したいという意識がすごくあります。新しいことをガンガンやりたいヤンチャな会社なので、それをいかに我々がディフェンスとして、最後方で守るかという意識で私たちも頑張っています。

業績との親和性が高くアクションにつながる指標となるNPSに期待

― NPSは経営に役立つ指標と言われています。NPSへの期待値を教えてください。

栁澤 : 私は、NPSはKPI(重要業績評価指標)である業績や成長率との相関性がとても高いと感じていて、そのあたりに非常に興味を持っています。

清水 : 今は満足度指標を中心に使っていますが、確かに顧客満足度は業績と必ずしも連動していないですよね。顧客満足度が高い企業の成長率が高いかというとそうでもない。
NPSはシンプルで業績との親和性も高いのではないかと思っています。ただ、難しいと感じるのは、NPSの増減に対し、原因がわかるのか、例えば値が下がったときに、何がお客さまにとって下げた要因なのかといったところです。

― NPSと業績との相関はよく知られていますが、同時に、アクションにつながる情報を得ることができる指標でもあります。「友人や知人におすすめしますか」で始まるNPSのアンケートでは、調査設計の段階で、NPSの増減に関わりそうな要因の重要度や満足度を設問に入れ込むことで、何が要因で上がった、あるいは下がったのか、また、何をすれば改善できるのかといったアクションにつなげることができます。

清水 : 弊社では四半期ごとに、問い合わせ内容などのVOCと顧客アンケート結果を事業ごとにフィードバックしているのですが、説得力を高めるためにNPSの活用はいいですね。

― 最後に順調に業績を伸ばしていらっしゃる御社ですが、今後の展望について教えてください。

栁澤 : 商品取扱高を5000億円、営業利益を500億円以上にすることを中期的な目標として掲げていますが、これはZOZOTOWNの収益で十分達成できるでしょう。今期は取扱高2700億円、営業利益320億円を目標額としています。
今後はさらに年代層もファッションの趣向という意味でも裾野は広がっていくと思います。今やっていることを実直に変えずにやっていくこと。市場を見ながら、お客さまを見ながら、さらにブランドを充実させて成長させていくことが大事だと考えています。

― ファッションでECサイトを牽引するリーディングカンパニーとして、今後のますますのご活躍を期待しております。本日はありがとうございました。

【インタビュー後記】by NPSベンチマーク調査担当
NPSベンチマーク調査2017ECサイトから読み取れる、ZOZOTOWNの強さ

NPSベンチマーク調査2017ECサイトでは、ECサイトの一連の購買行動に関連して、16の要因別に満足度を聞いています。ZOZOTOWNは、「品揃えの幅広さ」といった商品ラインナップ、「セールやポイントアップキャンペーンなどの特別価格の提供」といったキャンペーンなどで、業界トップクラスの評価を得ていました。
また、「推奨者」の推奨理由(自由記述)としては、「おしゃれなブランドが揃っており、セールや割引が頻繁にあってゆっくり落ち着いて選べるから」、「ブランドと商品が多数あり選ぶのが楽しい」、「様々な商品が手頃な価格で購入できる」といった豊富な品ぞろえに関するコメントが多く見られました。
同時に、「コーディネートの参考になる写真がたくさんある」、「買い替え割やツケ払いなど、他のサイトよりも先進的」といった、幅広い意味合いでの満足感を感じさせるコメントも多数見られる結果となりました。

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