2019/05/21

【NPSトップ企業に聞く顧客ロイヤルティ向上の秘訣2018】

通販化粧品部門 第1位 株式会社再春館製薬所様
~お客様に最高の商品とサービスを提供。豊かな人生を送るお手伝いをしていく~

NTTコム オンラインNPSベンチマーク調査2018「通販化粧品部門」で第1位に輝いた株式会社再春館製薬所。「お客様の肌をよくして喜んでいただく」ために全社一丸となって施策を展開する同社の、お客様との向き合い方や社内改革について、お伺いしました。

お客様としっかり向き合う。売上の9割以上はリピーターによるもの

― NPSベンチマーク調査通販化粧品部門の1位の獲得、おめでとうございます。

(右)株式会社再春館製薬所 代表取締役社長 西川正明様
(左)株式会社再春館製薬所 執行役員 お客様感動推進事業本部 本部長 小林珠紀様

(以下敬称略)

西川 : ありがとうございます。私たちが目指しているところは、表面的な売上ではなく、丁寧に、ひとりひとりのお客様としっかり向き合って永くおつきあいいただける商いを続けるということなので、今回の受賞は社員全員の誇りにもなりますし、うれしい限りです。

― 最初に、事業として目指していらっしゃるところや、理念など、お聞かせ願えますか。

西川 : 弊社はもともと漢方の製薬会社でして、対処療法より、人が本来持っている自己回復力に着目した商品の開発を行っています。ドモホルンリンクルでいえば、年齢と共に増えるシワやシミなどのお肌の悩みをお客様と一緒に解決して、お客様の人生が豊かになるお手伝いが出来ることを目指しています。ありがたいことにリピートしてくださっているお客様からの売上が9割を占め全国に約25万人いらっしゃいます。そのうち6割は5年以上のおつきあいをいただいています。絶対的な商品力と、その良さを伝えようと努力をする社員たちのサービスを合わせて、お客様と信頼関係を築き、結果として100年続いていく会社にしていきたいと考えています。

「お客様満足室」に集まるのは、手書き対応がすくい取る本音

― お客様とのコミュニケーションはどのように取っていらっしゃいますか。

西川 : 電話、メール、チャットなどで応対します。お客様と人と人としての関係を大切にしており、お悩みへのアドバイスもするためお客様から頂くひと言を流さないようにしています。また、社員がお客様に対してしたいと思っていることを、システムを整えてバックアップしていくのも会社の役割だと考えています。例えば、プリーザー(注:お客様対応をしている社員を「お客様プリーザー(PLEASER)」と呼んでいます。プリーザーの言葉の意味は「人を喜ばせる人」)が応対したお客様にあてた手書きのメッセージを、隣の建屋の発送センターでメッセージカードにプリントアウトして商品に同封できるようになっています。
また、フリーダイヤルはお客様を待たせないように、5秒以内取得目標95%、10秒以内98%を実現しています。ひとつの番号で、ご注文も、お問い合わせも、肌の悩み相談も、全部対応することで、お客様が電話をかけやすい環境を作っています。そのために、プリーザー全員がどのような内容でも対応できるようにしています。だからみんなは覚えなきゃいけないことがたくさんあって、大変です。

― プリーザーの方たちに集まるお客様の声はどのように活用されるのでしょうか。

西川 : 『お客様満足室』という部署がありまして、プリーザーが受けたありとあらゆる声が全部そこに集まるようになっています。それも、会話中書き記した手書きのメモが紙として集まっていくような流れになっています。キーボードをたたきながら会話するよりも手書きメモのほうがお客様の話を集中して聞けます。
また、テキストだけ切り取って集計してしまうと、例えば、お肌の乾燥に対する悩みが多いときは、乾燥対策のDMを作ればいい、という流れになってしまいます。でも実は大事なのは、「乾燥」の前後にあるお客様の言葉、「乾燥」の悩みの先に何があるのか、という点だと思います。人の言葉を人が聞いて、感じ取ったことやニュアンスも含めて人が書き残す、というのが大事なんじゃないかなと考えています。

― お客様の声のメモは、どのように活用されるのでしょうか。

西川 : 『お客様満足室』の社員と、企画の社員が、毎週“お声会議”をしていて、改善するべきところは出来るだけ迅速に動くようにしています。

― 改善活動が進んでいくことで、ご要望なども徐々に集約され、数が減ってくるのでしょうか。

西川 : 減るというよりは、むしろ無限な気がしています。声を拾い上げる社員の感度も上がってきているということもあります。でも、マイナスな声があがってこない会社より、あがってくる会社がいいなと思いますし、どんどん改善していきたいと思います。 ただ、最終的に一番大切なのは、お客様のお肌がよくなり、喜んでいただくということです。だから、ご注文が目的の電話でも、最近の状況や悩みをお伺いして、必要なアドバイスや情報を提供していく。また場合によっては必要な情報やアドバイスを電話だけでなく、その方にあわせて書面で提供する。極論を言えば、ご要望もご不満もなにも無いお客様にも、どうすれば喜んでいただけるか、ということです。

お客様と直接接点を持つスタッフが「お客様感動推進事業部」を立ち上げる

― 「満足していただく」ということのもう一歩先までお客様に寄り添う感じでしょうか。NPSも、「満足の先にある」と表現される方も多いです。

西川 : モノを買う時は、買っていただく側が「ありがとう」だと思うのですが、お客様のほうから「ありがとう」と言っていただくことがあります。それで社員みんなに話をしているのは “「ありがとう」の売り上げ”で成長する会社にしようということです。
昨年4月、現場でお客様と直接接点を持つ社員たちの声がより一層あがるよう、『現場事業部』というのを立ち上げました。そうしたら、10月くらいになって、『お客様感動推進事業部』に改名したいという話が出て。これまでは、事業部の評価としては、受けた電話の本数だとか、会話の量だとか、数字的な評価が中心だったのですね。でもそうではなくて、これからは、「お客様に喜んでいただく」ということを第一義におこう、また、管理者たちは、それをやっている社員がみんなイキイキと働けているかを見ていこう、ということにしました。
毎月実施している表彰制度にも、新たに『そこまでやるかお客様感動賞』『お肌と心の満足とことん賞』を新設しました。候補事例を公開して、みんなの投票で決めるようにしています。そうすることで、どういうことでお客様も社員も会社も全員ハッピーになれるのか、また、どういうことが評価されるのか、を分かってもらいたいと思っています。

― 社員の方が生き生きと働けるように、というお話も出ましたが、NPSでも、この会社をお知り合いにお勧めしますかという質問を通じて測る、eNPS(注:Employee Net Promoter Scoreの略で、企業で働く従業員のロイヤルティを数値化した指標)があります。社員の方たちが高いロイヤルティを感じられる会社にしていくことが非常に重要である、という考え方です。

西川 : 間違いなくそう思っています。社員の成長を後押しする、イコール社員の日常の生活環境を整えるべきだと思っています。今年、30年前ぐらいにウチで働いていた管理職の方の子どもさんが入社してきました。こうやって親子で勤めたり、また、兄弟で入社してくれることはすごくうれしいですね。

NPS1位はこれまで信じて貫いてきたことの結果

― NPSに対しての期待値を教えていただけますでしょうか。

西川 : 今回、NPSのレポートを拝見しまして、私たちの業態が目指す指針としては、とてもヒットすると思いました。私どもは目の前のお客様の声を聞くことを第一に考えているので、なかなか他社様との比較もしませんが、今回のレポートではそういった部分も見ることが出来ました。私たちが信じて貫いてきたことが、結果としていい評価につながっていて、ありがたいです。

― 最後に、今後の展望についてお聞かせ下さい。

西川 : 今までやってきたことを、もっと高めていきたいと思います。今、製造業ではOEM系が多くて、弊社のように製造と販売を一体化してやっている会社は少ないです。でも、自分のところで一貫してやっているからこそ、お客様に自信を持って安全なものをお届けできる。結果を出していくためには、商品力と、安心して使っていただける環境が何より大切なので、立ち止まることなく進んでいけたらなと思います。
ちょっと前にお客様の声を拝見していて、こんな意見がありました。毎朝5時起きの女性の方で、弊社の商品を愛用いただいたことで肌の調子がよくなり、「早起きして肌のケアするのが楽しくなった」と。私たちの作ったものが、そうやって彼女の人生まで明るくすることが出来て、お客様にキレイになっていただいて、人生までハッピーになれるお手伝いが出来るのは本当にうれしいことです。これからも、常にお客様第一でやっていければいいと思っています。

― 徹底してお客様を中心に考えていらっしゃることが、結果として高いNPSに表れているのが、よく分かりました。本日はどうもありがとうございました。

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