2020/10/05

【NPSトップ企業に聞く顧客ロイヤルティ向上の秘訣2020】

生命保険部門 第1位 アフラック生命保険株式会社様
~カスタマー・エクスペリエンスの向上を目指し、クラウドサービス「NPX Pro」を活用したNPS改善と顧客満足推進に取組む~

NTTコム オンライン NPSベンチマーク調査2020の「生命保険部門」で1位となったアフラック生命保険株式会社(以下、「アフラック」)。感動的なお客様体験価値(カスタマー・エクスペリエンス:以下、CX)を提供するため、全社を挙げて顧客ロイヤルティ向上、顧客満足の推進に取り組んできました。CX向上に取り組む背景や、NPSを通じて実施している取り組み、素早い改善を実現する組織体制についてなど、幅広くお伺いしました。NTTコム オンラインの提供するNPS向上のためのクラウドサービス、NPX Proの活用方法についても、お聞きしました。

不満の解消と、期待を上回る感動的なサービスの提供を目指し、CX向上に力を入れる

―1位獲得おめでとうございます。アフラック様におかれましては、「『生きる』を創る。」というブランドプロミスに則ってのサービスのご提供、事業の運営をされているということですが、その言葉に込められた想い、そこから生み出される事業戦略などをお聞かせいただけますか。

(右)アフラック生命保険株式会社  アジャイル推進室 室長 田中満実様
(※取材当時の所属および肩書きはお客様サービス推進部 部長)
(中央)アフラック生命保険株式会社 執行役員 木曽川栄子様
(左) NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 代表取締役社長 塚本 良江

木曽川 : 当社は、「がんに苦しむ人々を経済的苦難から救いたい」という強い想いのもと、日本で初めてがん保険を提供する会社として1974年に創業しました。以来、その想いや、「お客様第一」を掲げる企業理念、「『生きる』を創る。」というブランドプロミスなどに表されるコアバリュー(基本的価値観)を全役職員が大切にしてきました。お客様を大切にするというコアバリューを長年にわたり実践してきたことが今回の評価に繋がったと考えています。当社は創業以来、このコアバリューを大切にしながら、時代の変化を先取りした商品・サービスの提供を通じて社会的課題を解決していく、社会と共有できる価値を創造していくCSV経営(Creating Shared Value:共有価値の創造)を実践しています。

―お客様と向き合う中での、顧客満足やカスタマー・エクスペリエンスについてのお考えをお聞かせください。

木曽川 : 当社でお客様満足度(カスタマーサティスファクション:以下、CS)の向上を目指す活動というのは、1993年ごろから本格化しています。CS推進部が立ち上がり、お客様から寄せられる声を真摯に受け止めて改善していく、さらに、お客様満足度調査を実施し、お客様から顕在化しているニーズを吸い上げていくという活動をして参りました。
しかし、最近では顕在化しているニーズを吸い上げるだけでは、お客様が真に当社のファンになっていただくには不十分であることが分かってきました。お客様の期待を上回る、感動的なお客様体験を提供していくためには、潜在的なニーズをどう把握するかが非常に重要な要素となってきています。そのような中で、これまでのご不満やご要望を解決していくというCS活動から、一歩先のステージとなるロイヤルティの向上、お客様に当社のロイヤルカスタマーになっていただくためのCX向上活動へと、活動の視点を拡げています。それが現在の当社における、お客様体験価値を向上させる大きな枠組みになっており、どのようにしたらお客様に満足いただけるかではなく、どのようにしたらお客様に当社のロイヤルカスタマーになっていただけるか、ファンになっていただけるか、ということが重要であると感じています。
例えば、お客様が保険を使わなければいけない状況になられることは、本当に残念なことなのですが、当社では、そのような時こそお客様のお役に立てるよう、迅速な支払いを心がけており、実際にこの点については、いつもお客様にはお喜びいただいています。

お客様の声に向き合うデジタル面での改善や、改善を支える組織体制が、1位の評価を実現

―これまでのNPSベンチマーク調査では、3年連続で、ファイナンシャルプランナーやフロント担当者の方たちを強みとする企業様が1位となっていらっしゃいました。ただ、今年は、ネットやデジタルでのサービスにも強い、貴社が1位となっております。流れが変わった、とも捉えられる結果でしたが、貴社が今回NPS1位になられた最大の理由、受賞をされた理由というのはどのような点にあるとお考えでしょうか。

木曽川 : 当社は、年間16万件以上いただくお客様からの声を貴重な経営資源として、商品やサービスの改善に真摯に取り組んできた会社です。また、昨年から、アジャイル型の働き方を導入しており、変化の激しい時代に対応し、柔軟かつスピーディにお客様に価値あるサービスを提供していこうとしています。部門や部署を超えたクロスファンクショナルなアジャイルチームが短期間でさまざまなサービスをお客様に提供し、お客様の反応を見ながら継続的に改善するサイクルを回し始めております。さらに最近は、デジタルで手続きをしたいと要望されるお客様も増えているので、web上での見やすさ・使いやすさも迅速に改善しており、こういった点が今回の賞をいただいた大きな理由になっているのではないかと思っております。

―まさに、NPSベンチマーク調査の結果でも、お客様からの評価が非常に高かったのが、商品力や、マイページなどオンラインを中心としたデジタル対応力というようなところでした。
また、お客様に寄り添う姿勢や、お客様の声を大切にする点も高い評価となっていました。

田中 : 当社は1535万人(2020年3月末現在)という非常に多くのお客様に選んでいただいております。そのお客様一人ひとりのニーズにお応えするために、24時間365日、デジタルを活用して、より便利な体験をしていただくことが有益であると考えています。デジタルというと、若い方だけと思われがちですが、当社のご契約者専用サイト“よりそう ネット”では、若い方のみならず多くのお客様にもご利用いただいています。年齢にかかわらず、多様化するお客様の行動を踏まえ、すべてのお客様接点において一貫性をもった体験価値を提供するため、ペルソナ(*1)分析や、カスタマージャーニー(*2)等の活用を通して、潜在ニーズを把握し、それらのニーズを満たすことにスピーディに取り組むCX向上の取り組みを継続的に行ってきました。
また、昨年から社員一人ひとりが多様なお客様に寄り添い、優れたCXを提供できるよう、「CX人財の育成」として、さまざまな知識習得や資格取得、意識の醸成などの取り組みを実施してきました。これらの取り組みと、今回お客様から高い評価をいただいた「企業の寄り添う姿勢・お客様の声を大切にする姿勢」「契約者ページの使いやすさ・わかりやすさ」の項目が一致しており、大変嬉しく思っています。

(*1)商品やサービスを利用するターゲットとなるお客様像。
(*2)商品やサービスを認知、購入する一連のプロセスを「お客様の旅=お客様体験」として捉え、時系列で可視化したもの。

―アジャイルチームについても伺いたいのですが、組織的にはどこに所属しているのでしょうか。

木曽川 : アジャイルチームは、各部に設置されているのではなく、クロスファンクショナルなチームが組織として確立しています。お客様対応を行う部門だけでなく、営業・マーケティング部門やIT部門のスタッフなど、様々な部署からそれぞれの専門的な知識や経験を集約する形で構成されており、かなりの権限委譲もされています。これまでは、ひとつの部門で新しいことを考えて実行する際にはシステムの構築に1~2年かかることもありましたが、アジャイルチームは、週単位で検討を積み重ねることで意思決定も早く、2~3週間で新しい成果物を作っていくことも可能です。完璧な製品ができなかったとしても、ニーズを満たした最小限のアウトプットを生み出し、継続して改善していく仕事の進め方を実践しているチームです。

NPSのリレーショナル調査を通じて最優先の改善事項を見つけ出す

―現状のNPSへのお取り組みについて教えてください。

田中 : 当社のCX活動においては、CS、NPSどちらかだけではなく、両者に対して手を打つ必要があると考えています。NPSについては、2015年から検討を始め、まずは当社の立ち位置を知るための競合調査を実施いたしました。その後、2016年から、お客様対応を行う部門の受電領域を中心に活用してきました。2019年からは本格的に、全社で顧客ロイヤルティを測るための調査として当社全体(商品・サービス・ブランド)に対する推奨度を測定するためのリレーショナル調査を開始しました。お客様満足度調査とリレーショナル調査、そして「お客様の声」を、統合的に分析することで、お客様にとって最優先の改善点を見つけ出します。これに対して施策を実施したうえで、お客様に評価していただくサイクルを実施しています。

―リレーショナル調査ではブランド価値や企業へのロイヤルティをはかりますので、導き出される改善策としては、商品改革など大きなテーマになるかと思います。リレーショナル調査の結果としての改善活動はどのように実施されているのでしょうか。

木曽川 : リレーショナル調査の結果については、これまでのお客様満足度調査の結果や「お客様の声」についての活用の仕方と同様、関係する主管部へ連携するとともに、常務以上で構成されているお客様サービス推進委員会で共有しています。さらに、同委員会等での議論をもとに、改善が必要と思われるタスクがそれぞれの主管部あるいはアジャイルチームに振り分けられます。そして、どのような施策をどう実行したかについては、お客様サービス推進部が年間の取り組み結果をまとめ、お客様サービス推進委員会において活動内容の実績として報告するサイクルになっています。

NPX Proを活用し、トランザクショナル調査でスピーディな改善アクションを実現

―NPSの改善サイクルを回していくために、弊社で提供しているNPS向上のためのクラウドサービス、NPX Proを2018年に導入されました。トランザクショナル調査(注:タッチポイントごとに体験直後に実施するNPS調査)で活用されているとお伺いしていますが、具体的には、どのように調査を進めていらっしゃるのでしょうか。

田中 : リレーショナル調査でロイヤルティに寄与する優先改善領域が特定された後、その領域におけるより具体的なお客様の潜在ニーズを把握するために、トランザクショナル調査を実施しています。
トランザクショナル調査では、2018年に導入したNPX Proを活用しており、お客様接点のある部署や、アジャイルチームが中心となり、新契約や保全手続きなど、それぞれのタッチポイントで改善点を見つけることを目的に実施しています。
NPX Proは、お客様のご意見やコメントもすぐにわかりますし、分析も見やすいという事で、大変好評です。システムを利用することで、調査後すぐにお客様評価結果を見て、次の施策をスピーディに検討できます。改善のために実行した施策についてのお客様の反応も、短期間で把握できるところが魅力的です。非常に便利なツールなので、今後さらに活用を広げていきたいと考えています。

―NPX Proを活用される前と後で、現場に起きた変化はありますでしょうか。

田中 : 例えばデジタルの領域ですと、トランザクショナル調査の方がリレーショナル調査よりも高い点数となる傾向が見られました。お客様による体験直後にしっかり調査すると、具体的な結果がタイムリーに得られるということは、現場のチームにとっては非常にモチベーション向上につながっていると思います。

―NPSのリレーショナル調査、そしてトランザクショナル調査と、NPS活用のステップを進められてきました。次のステップとして、検討されていることがありますでしょうか。

田中 : これまで実施してきたNPSを活用しての改善活動に加え、今年度は、お客様にフィードバックする、という点に力をいれていきたいと考えています。「お客様からいただいた貴重なご意見をもとに改善を実現しました」と、お客様にきちんとお伝えしていくことを、改善サイクルの中に含めて実施していくことを目指しています。

お客様に一層貢献していくために、NPSに期待

―では最後に、これからのCX戦略の中でのNPSの位置づけをお聞かせいただければと思います。

木曽川 : 現在は、新型コロナウイルス感染症問題で、お客様の価値観や、求められるニーズが変わってきていると思います。その中で、お客様が何を考えていらっしゃるか。当社を選んでいただいたお客様にとって、具体的に何が良かったのか。潜在的にどのようなニーズが潜んでいるのか。これらを把握できるNPS調査の重要性は高まっていると考えます。今回、ベンチマーク調査で1位に選んでいただけたことは本当に喜ばしいことですが、順位に一喜一憂せず、本当の意味でお客様のニーズを把握し、改善項目を特定し、改善を続けていくことが重要です。お客様に当社を繰り返しお選びいただき、かつ友人や同僚などにお勧めしたくなるような感動的な顧客体験を提供できるよう、NPSを活用したいと思っています。また、お客様の潜在的なニーズを把握し、お客様が当社に最も期待してくださっていることにお応えすることで、当社を選んでくださったお客様とのエンゲージメントを強固なものにしたいと考えています。それにより、より多くのお客様が安心して健やかな自分らしい生き方ができるよう、お客様ひとりひとりが自分らしく充実した「『生きる』を創る。」ためのお役に立てる存在となるよう取り組んでまいります。

NPSベンチマーク調査レポート最新版【生命保険】

NPSベンチマーク調査レポート最新版 2020年
【生命保険】

生命保険会社13社のNPS(ネットプロモータースコア)およびロイヤルティ要因についての分析レポートです。
生命保険会社と契約者のコミュニケーションの一環であるアフターフォローや契約者ページの利用などについても、取り上げています。是非ご覧ください。