2018/12/05

【NPSトップ企業に聞く顧客ロイヤルティ向上の秘訣2018】

自動車保険部門 第1位 セゾン自動車火災保険株式会社様
~「お客さま本位の業務運営方針」のKPIとしてNPSを公表~

NPSベンチマーク調査2018、自動車保険部門で2年連続の第1位に輝いたセゾン自動車火災保険株式会社。2017年よりNPSを取り入れ、2018年には「お客さま本位の業務運営方針」の一環として、NPSスコアを社外に開示するに至った同社の、この1年の取り組みについてお伺いしました。

NPSをビジネスの中心に据え、KPIとして活用

― NTTコム オンラインNPSベンチマーク調査2018において、自動車保険部門でセゾン自動車火災保険株式会社様が2年連続の1位を獲得されました。誠におめでとうございます。この1年でNPSのご活用がさらに進んでいらっしゃるとお伺いしています。「お客さま本位の業務運営」のKPIとしても公表されているそうですね。

(右)セゾン自動車火災保険株式会社 代表取締役社長 梅本 武文 様
(左)NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 代表取締役社長 塚本 良江

(以下敬称略)

梅本:私たちは「お客さまに選んでいただく」というスタンスを、経営方針として「ブランドメッセージ」に掲げています。また、当社の「お客さま本位の業務運営方針」は、金融庁が発表した「顧客本位の業務運営に関する原則」を踏まえて策定・開示しましたが、これは、ブランドメッセージをベースとして、社内外で共通のメッセージを発信し推進していこうというコンセプトとしています。NPSをKPIとして公表したのは今年からでして、これも、社内で活用している主要なKPIを社外にも発信していこうという考えによるものです。

― CSよりもNPSに一本化された理由は何でしょうか。

梅本:CSは苦情などのマイナス要因を改善し、NPSでいう批判者を減らすことには適しているのですが、持続的に成長していくためには、推奨者を増やすことが重要であると考えています。実際にNPSを指標としてみると、推奨者を増やすにはマイナス要因を改善するのとは違う「ひと工夫」が必要だとわかりました。批判者が、突然推奨者になるわけではない、まずは中立者になって、それから推奨者へ……と徐々に移行するのが実態なのではないでしょうか。そこで、推奨者を増やす「ひと工夫」にしっかり取り組んでいくために、NPSを注視すべき指標の中心に据えました。

― ブランディングに対するNPS調査だけではなく、契約継続に際してのNPS調査や、事故対応後のNPS調査なども実施されているのですね。

梅本:代理店で加入する場合と比較し、「顔の見えないネット自動車保険で大丈夫?」というお客さまの漠然とした不安はまだまだ払拭できていないようなのです。そこで、継続や事故対応など、加入後のNPSスコアも開示し、お客さまにご覧いただくことにしました。

現場の担当者がお客さまの声に耳を傾け、チーム一丸となって業務改善によるNPS向上を実現

― NPS導入から2年目になるとのことですが、社内の浸透度としてはいかがでしょうか。

梅本:若手社員が多い会社ですので、保険のプロとしての知識など「個の育成」に加えて、「チームでの人づくり」といったことも会社全体の方針としています。そこで、日々のNPSの変遷状況も主にチーム単位で見える化するようにして、それぞれのチームで考えながら改善しています。
上期は、チーム横断のプロジェクトチームを組んで、NPS改善策を考える活動を実施しました。この改善策は、現場の知恵が凝縮された内容になっています。たとえばコールセンターでは、実際に電話を取っているオペレーターが、新規のお客さまに対し、「こういう表現でお伝えするとわかりやすい」といった現場の知恵を出し合います。そして、改善策を取り入れたチームと、取り入れないチームのNPSを一週間単位で分析し、改善策によりNPSがどう変わるか確認します。自ら考えて行動していると、結果を出したくなりますから、スコアも上がってきます。
こうした動きが、コールセンターだけでなく保険金支払部門であるサービスセンターでも活性化してきました。部長や課長に「あまり口を出さないように」と伝えたのも良かったのかもしれません。下期は、それを徐々に横に展開しながら、全体の底上げにつながるよう、取組みを進めています。

― トランザクションのレベルでNPSを回されているというのは、去年からの大きな変化ですね。2018年はNPSを軸に、批判者を減らすよりも推奨者を増やすところに軸足を移していかれるとのことですが、他にはどのような施策をお考えでしょうか。

梅本:現場を支える本社の機能としては商品改善ですね。価格競争だけでは事業として厳しい。価格以外でお客さまから求められることのひとつとして「商品の自由度」があげられます。必要な補償を自由に組み立てやすい商品構成や、それがわかりやすいWebサイトであることについては、一定の評価をいただいています。
加えて、既存のお客さまにアンケートを実施したところ、最も不安な要素が「きちんと保険を選べているかどうか」だとわかったのです。そこで、他のお客さまの選択状況がわかるよう、個々の補償・特約の加入割合をWeb上に表示したり、お客さまが予期することが困難なリスクを自動でセットしたりすることで、ネット上でのおすすめの仕方を工夫しています。本社のスタッフにもNPSの改善を「現場だけの仕事だと思わないように」とよく言いますね。ネット上でのおすすめの仕方を変えると、コールセンターのNPS指標が変化する、といったことも実際にあるわけです。

― NPSの一番有用な使い方は、現場は現場でお客さまの声によって改善のためのPDCAが回っていき、経営陣や本社もまたお客さまの声を聞いて、戦略としてどう改善していくかという大きな視点のPDCAを回す、この2つが同期することだと言われているのですが、まさにそのものですね。

NPSを基本に据えた経営の中で、お客さまへ安心感を与えられるネット保険を目指して

― 昨年のインタビューでは、「つながるボタン」などのユニークなテクノロジーに関するお話も伺いましたが、テクノロジーの面で、新しく取り組まれていることなどはありますか。

梅本:この1年ですと、7月から、メール問い合わせ対応に加えAIチャットボットを導入しました。まだ取り組みをスタートさせたばかりで、お客さまとのやり取りで進化させている状況です。お客さまからすると、ご自身の都合の良い時間帯に問い合せをしたいといったニーズもありますから、今後はそれにお応えできるようにしていきたいですね。また、お客さまへのやり取りにおいて、スピードや迅速さも重要な評価ポイントなのですが、当社ではそのために業務プロセスを改善しようと、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を導入していて、上期ですでに15のロボットが稼働しています。
お客さまに推奨いただくため、当社では「心地よい体験を提供する」ことを重要方針としており、お客さまのお好みや嗜好から2つの区分をしています。ひとつは「おもてなし」、たとえば「電話で丁寧に」という観点。もうひとつは「手間なし」と呼んでいますが、お客さまにとって「手間」がかからないという観点。社内のデータからは、50代後半以上、特に60代以上の方は、どちらかいうと「おもてなし」重視ですが、40代以下、特に30代は、圧倒的に「手間なし」の方にニーズがあります。「自分のニーズを的確に早く叶えてくれる」というのは、あらゆる年代層のお客さまにとって重要な点ですが、こういった年代間のニーズの差や、お客さまの行動の変化を、ネット企業としてしっかりとらえていこうとしています。

― 最後に、今後の展望についてお聞かせいただけますか。

梅本:NPS経営をベースとして、良い口コミを原動力にお客さまを増やしていくという形で今後も成長できるよう、取り組みを継続していきます。そのために強化していく点として、まずは顧客接点での改善が必要です。コールセンター等、人による顧客接点については改善の仕組みが構築できつつあるので、次はWebの顧客接点をよりよくしていきたいですね。また、商品そのものに関しては、補償の充実と補償内容の選びやすさ、サービスに見合った価格水準、といった点にも力を入れていきます。そして、お客さまに商品を選んでいただき評価いただくためにも、ネット保険だからという不安を払拭し、お客さまに安心して選んでいただける保険である点を、しっかりお伝えしていきたいですね。

Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

NPSベンチマーク調査レポート2018【自動車保険】

NPSベンチマーク調査レポート2018
【自動車保険】

自動車保険会社12社のNPS(ネットプロモータースコア)およびロイヤルティ要因についての分析レポートです。

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