2015/09/03
NPS®(ネットプロモータースコア)入門・導入編
第5回 NPS導入事例 ~シマンテック社の取り組み~
シマンテック社はシリコンバレーに本社を置くセキュリティソフトウェアのグローバルカンパニーです。
シマンテックのウィルス対策ソフト「ノートンセキュリティ」と言えば、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
今回は同社がNPS®(Net Promoter Score:ネットプロモータースコア)を活用し、顧客ロイヤルティの向上に取り組んだ結果、主力製品の改良とそれに伴うサポート部門の問題解決を実現した事例をご紹介します。
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シマンテックの事業部門のひとつで、ノートンシリーズの開発とマーケティングの主管であるコンシューマービジネスユニット(以下、CBU)は2006年からNPSを指標とした顧客ロイヤルティ向上プログラムを開始しました。
シマンテックの抱えていた課題
NPS導入以前、CBUでは営業、顧客サポート、エンジニアリングなどの各部門がそれぞれ独自の目標や管理指標を持っていました。例えば、開発チームは、バグ修正数、新機能の実装状況については管理を行っていましたが、それが重要な顧客接点である顧客サポートや顧客ロイヤルティにどう影響するかについて考えていませんでした。
このような状況でNPS調査を行ったところ、インストール、製品性能、サポート対応が顧客ロイヤルティを決定づける重要な要因であることがわかりました。さらにサポート部門にあがった顧客からのフィードバックとNPS調査を分析した結果、顧客はソフトウェアのインストールプロセスと製品性能に大きな不満を持っており、それがサポート部門の問題を引き起こしていることがわかりました。具体的には電話回数、保留時間、問題解決時間の増加の原因となっていたのです。
シマンテックの取り組み
この構造的な問題に対処するために、シマンテックは以下の大きな改革に取り組みました。
- 全社がNPSというひとつの指標に集中し、すべての部門の目標をNPS向上というゴールに関連づけて設定
- 体制の強化、部門横断チームの設立
- 顧客の声を継続的に収集/分析/共有するためのテクノロジーを導入
また、並行でインストールプロセスの改善など、製品改良による顧客体験の抜本的な改善と、製品内に顧客サポート体験を向上させる機能の実装にも取り組みました。
NPS導入がもたらした影響と結果
こうした取り組みの結果、顧客ロイヤルティ向上プログラムを通じてCBUのNPSは大幅に改善されました。また製品改良の結果、サポート部門の問題も大幅に解消されました。
- サポート部門の満足度は13ポイント改善
- 顧客サポートの通話時間が10-12%削減。これまで顧客1人の問合せ対応にかかっていた時間で平均1.6人の顧客に対応できるように。
- サポートコストが30%削減。削減分を顧客体験の向上に再投資。
これらの改善活動を行うにあたって、シマンテックでは3階層でのレベルでのクローズドループを回しています。
- 現場にもっとも近いサポートチームでは、毎月、関係者がミーティングを持ち、お客様からのフィードバックと満足度スコアをレビューします。
- 部門横断チームは隔週でミーティングを持ち、お客様からのフィードバックとNPSの対計画比を確認し、進捗に応じて改善計画を立てます。そして、目標と実績のギャップを特定し、経営幹部へエスカレーションします。
- 経営幹部は四半期毎にNPSの結果をレビューし、その結果を各種の投資判断に活用しています。
NPSはシマンテックのビジネスシステムに深く組み込まれており、経営者および従業員が責任を持って取り組むことで、顧客重視の文化が作り上げられています。その裏には、テクノロジーの導入により、顧客データの収集、分析、共有をリアルタイムに行い、従業員がワークフローの中でデータにいつでもアクセスできることで、顧客体験の向上を継続的に推進する仕組みがあります。
シマンテックのこのような取り組みは、セキュリティソフトウェア業界でマーケットリーダーであり続けること、そしてその立場を活かした新たな収入機会を生み、継続的なイノベーションを可能にする安定した基盤となっているのです。
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