2015/09/30

NPS®(ネットプロモータースコア)入門・導入編

最終回 時間のない方のための5分でわかるNPS®(ネットプロモータースコア)

最終回となる今回は、これまでのコラムのハイライトと、日頃セミナーなどでよくいただく質問とその回答をまとめました。

本コラムが、お読みいただいた皆さまのNPSに対する理解を深め、少しでも導入検討に際してお役に立てるようポイントをご紹介します。

NPS®(ネットプロモータースコア)入門まとめ

これまで5回にわたり、NPSをこれから学んでいきたいという方に向けて、NPSに関する基礎知識や、NPS利用に関するベストプラクティス、具体的なビジネスにおける導入事例などをご紹介してきました。

第1回「企業にとって顧客ロイヤルティの向上がなぜ必要なのか?」では、NPSを理解する上で重要なキーワードとなる「顧客ロイヤルティ」とは何か、顧客ロイヤルティはどのように形成されるのか、顧客行動にどのような影響を及ぼすのか、そしてそれは企業経営にとってどのような価値をもたらすのか、についてお伝えしました。

第2回「顧客ロイヤルティを測る新指標「NPS」とは?~究極の質問の発見とその本質~」では、「再購入」「推奨」という顧客ロイヤルティを反映する顧客行動を高い精度で予測する「究極の質問(=あなたは○○を友人や同僚に薦めますか?)」の発見、推奨度に応じた顧客行動の特徴とカテゴライズ(推奨者、中立者、批判者)、最後にそのカテゴライズを利用したNPSの算出方法についてご紹介しました。さらに、NPSの本質は単にスコアを得るだけではなく、スコアを得る過程で得られたお客様の声に真摯に耳を傾け、改善アクションを起こし、お客様に働きかける「クローズドループ」というサイクルにあることをお伝えしました。

第3回「NPSの向上は本当に企業の成長につながるのか?」では、多くの企業がNPSに注目している大きな理由のひとつである「売上成長との相関」について、米国の航空業界におけるNPSと売上成長率との相関性検証、イギリスで実施された業界別NPS向上による業績へのインパクト調査をご紹介しました。また、LTV(ライフタイムバリュー)という観点からロイヤルティの高い顧客とそうでない顧客の価値を示し、ロイヤルティの高い顧客を維持・創出することには大きな経済的価値があるということをB2Cのコンピューターハードウェアメーカーの事例を使ってお伝えしました。

第4回「指標としてのNPSからマネジメントシステムとしてのNPSへ ~クローズドループとは?~」では、NPSと顧客満足度調査の違いに触れ、企業の売上成長につながる真の原動力である「クローズドループ」についてご紹介しました。NPSは売上成長との相関が証明されているからこそ、継続的にNPS向上に取り組むモチベーションにつながりますが、顧客の声の収集、顧客ロイヤルティに影響の大きな要因の特定、改善・強化策の検討および実行、そして成果検証とお客様へのアナウンスという一連のサイクルを適切に回さなくては、NPS向上=顧客ロイヤルティの向上にはつながりません。

第5回「NPS導入事例 ~シマンテック社の取り組み~」では、セキュリティソフトウェアのリーディングカンパニーであるシマンテック社が、主力製品のノートンシリーズの開発・マーケティング主管部門でNPSを導入した事例をご紹介しました。NPS導入前、担当ごとのKPI設定が業務のサイロ化を引き起こし、顧客ロイヤルティに大きな影響を与えるサポートセンターでの顧客対応に悪影響を及ぼしていたという、どの会社にとっても他人事ではない事例を通じて、NPSを共通のKPIとして現場から経営層までが一丸となって顧客ロイヤルティの向上に取り組むことの重要性をお伝えしました。

ここまでの入門コラムを通じて、NPS初心者の方にも理解しやすいよう、基本を踏まえながら、その全体像と本質をお伝えしてきたつもりですが、より具体的かつ実践的な質問をセミナーでいただくことが増えてきました。そこで、ここではよくある2つの質問への回答をまとめ、まさにこれからNPS導入のご検討を始められる方々のお役に立てればと思います。

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NPS®(ネットプロモータースコア)に関するよくある質問

Q1. NPSはどんな業界・業種でも使えますか?

A1. NPSの共同開発元の一社であるSatmetrix社のCEOリチャード・オーエン氏は以前、インタビュー(*1)の中で、

  • 「NPSの適合度」は、業界というより、企業とお客様との関係において決まってくる。
  • お客様との取引が単発ではなく複数回にわたり、結果として生涯価値(Life Time Value:LTV)が非常に高くなるような企業、顧客との関係性を継続することが重要な企業が該当するだろう。
  • 典型的な業種としては、通信事業、銀行などの金融サービス、保険、先進的な技術を用いたプロダクトを製造・販売する企業などが適合度が高い。消費者向け(BtoC)、法人向け(BtoB)を問わず、「だれが自分たちの顧客であるか」を深く理解している企業に向いているといえる。

と述べています。

こちらに加え、私どもの知見・実績も踏まえ、まとめると、

  • 「お客様との取引が単発ではなく、複数回/長期間にわたって行われる企業であること
  • 上記の「典型的な業種」以外にも、オンラインゲーム、フィットネスなど幅広い業種で適用可能であること
  • 顧客ロイヤルティに大きな影響を与えるタッチポイント(お客様と企業/製品/サービスの間で何らかのやり取りを行うところ)にて直接顧客接点を持っている企業であること

と考えています。

ただし、NPSと相関の高い財務指標(売上、解約率など)や推奨者・批判者の経済的価値は業界・業種によっても異なることから、導入前に自社におけるNPSの有効性検証を行うことをお薦めします。

Q2. 推奨度を尋ねる場合、0-10の11段階での評価尺度と分類方法は日本でも有効なのでしょうか?
日本人は中間の5に回答が偏ることが多いため、NPSが低くなるのではないでしょうか?

A2. おっしゃるとおり日本人は回答が中間の5に集まりやすく、NPSは他の国に比べて低くなる傾向があります。2015年3月31日に弊社が発表した業界ベンチマーク調査でも21業界中、NPSがプラスだったのはネット銀行、パーソナルコンピューター/ラップトップコンピューター、ハイクラスホテルの3業界だけでした。

NPSはシンプルで、柔軟性と適応力に富むシステムであり、どうしても守らなければならないルールは可能な限り最小限にとどめています。よって、自社において、推奨度は0-7の8段階で聞く、または、推奨者は8-10、中立者は5-7、批判者は0-4とする、というような変更を行っても問題ありません。ただし、ここで注意しなければならないことが2点あります。

1点目は、その変更が単に「NPSを上げる目的で行われているものではない」ということです。これまでのコラムで述べたとおり、NPSはスコアの絶対値に一喜一憂するためのものではなく、顧客ロイヤルティ向上に継続的に取り組んでいくための評価指標として使うものです。よって、初回調査で-40というスコアが出ても、次の調査で-30になっていれば「改善により効果が上がっている」とみなすことが出来ます。評価尺度や分類方法を変更する場合は、本当にそれが自社の顧客の行動をより正確に予測するものであること、そしてその検証が出来ていることが重要です。

そして2点目は、一度変更を行ったら、それ以降、同じ評価尺度、分類方法でNPSを計測し続けるということです。調査のたびに評価尺度や分類方法を変更していたら、正しい時系列比較ができなくなります。また競合他社とのベンチマーク調査を行う場合、同じ評価尺度、分類方法でないと比較ができません。

評価尺度や分類方法を変更してはいけないというルールはありませんが、他社との比較という観点では、これまでに多くのケーススタディにより有効性が認められた現在の評価尺度、分類方法をまず使ってみることが現実的ではないでしょうか。

以上、6回にわたりNPS入門コラムをお送りしてきました。

次回からは、いよいよ導入&実践編です。
「NPSの導入担当者になってしまったんだけど、どうやって進めていけばいいの?」「調査って実際どうやって行うの?」「何を聞けばいいの?」という、ご担当者の方のより具体的な質問にお答えできるコラムをお送りしてまいります。

(*1)Web担当者Forum(http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2014/04/18/17262)から引用

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