更新日:2023/07/27(公開日:2020/08/25)

NPS®(ネットプロモータースコア)入門・導入編

NPSの計算方法とアンケートの評価方法とは?導入のメリットや活用のポイントも解説

顧客ロイヤルティを数値化するNPSを使えば、顧客が企業のサービスや商品に対して、どのくらい愛着があるかや、信頼をしているかを確かめることができます。CS調査では商品やサービスの満足度を評価しますが、NPS調査は商品やサービスの推奨度を評価することから、業績と相関しやすいビジネス指標となります。海外ではAppleやAmazonをはじめ多くの消費者視点の企業が、NPSでアンケートを行って回答を集計・分析し、継続的なCX推進改善活動に役立てています。推奨者と中立者、批判者に分類することで、改善のアクションがとりやすくなるからです。ここでは、NPSで収集したアンケート結果のスコア分類、計算方法について解説していきます。

記事の内容
  • NPSは、顧客ロイヤルティを測る指標で、事業成長との相関性が高い
  • NPSの値は、「0〜6点(批判者)」「7〜8点(中立者)」「9〜10点(推奨者)」で集計し、「推奨者の割合ー批判者の割合」で求められる
  • NPSのメリットは、導入コストが低く分かりやすい設計や、業界ごとのベンチマークが公表されており自社の立ち位置を把握しやすい点が挙げられる
  • NPSを導入する際は社内への事前説明を徹底し、活用する際は十分なサンプル数を取ることがポイント
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NPSの重要性と顧客満足度との違い

ここでは、NPSの重要性と顧客満足度との違いについて解説します。

NPSの重要性

NPS(Net Promoter Score)を用いたアンケート調査は、企業の業績に直結するビジネス指標です。「400社以上15万人以上の評価分析から、NPSは売上高成長率と高い相関」が検証されています。顧客にサービスを継続して利用してもらうには、サービスに対する愛着心や信頼関係が重要となります。例えば、製品の安さだけでお客様を呼び込んでも、品質が維持できなければ、お客様は次第に離れていき、なかには批判者となり悪い口コミが発生し事業の成長を妨げます。

NPSと顧客満足度の違い

顧客満足度は短期的な評価を把握できる調査方法です。価格や機能的な観点からの評価が主なので、企業やプロダクトに対するロイヤルティを計測するのには適しません。そのため、アンケートにより高い顧客満足度を示した顧客であっても、サービスを解約してしまうことは往々にしてあります。このことからも、顧客満足度は将来の収益性と連動しないケースもあるといえます。

一方、NPSは顧客ロイヤルティを計測できるため、顧客満足度調査では計測できない「リピートする可能性」や「顧客が他の人におすすめする可能性」を計測できる点が特徴です。

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推薦者・中立者・批判者のスコア分類

NPSのアンケートは、単に顧客満足度を測るためだけの調査方法ではありません。推奨度を測ることで、周りに薦めてくれる人がどのくらいいるか割り出せるので、次の購入に繋がるか、新しい顧客を増やせそうかの目安となります。実際のNPSのアンケートでは、企業のサービスや商品を購入、利用した顧客に対し、「友人や知人に薦める可能性はありますか」といった質問が問いかけられます。それに対して、顧客は0~10の11段階の評価から、薦める可能性が高いほど大きな数字を選びます。

NPSアンケートで0~6の点数(推奨度)は「批判者」

NPS®のアンケートでは、他者に薦めたいかという質問に対し、0~6のスコアを答えた人は、すべて批判者に分けられます。批判者は、企業のサービスや商品を他の人に薦めてくれる可能性は、かなり低いとみることができるでしょう。とはいえ、0と答えた人と6と答えた人では、数字の値に大きな開きがあります。それにもかかわらず、なぜ批判者に分類されてしまうのかというと、6というスコアを回答した人でも、継続利用に至らないケースが多くあり、そのままにしておくことは企業に対してデメリットとなるためです。

NPSアンケートで7~8の点数(推奨度)は「中立者」

他の人に薦める気があるかというアンケートで、7~8といったスコアを回答した人は、中立者に分けることができます。中立者は、商品やサービスに対しての満足度がそれほど高いわけではなく、次の利用があるかは分からない人たちです。大きなデメリットを感じているわけでもない人たちなので、しばらくは使い続けてくれるかもしれません。しかし、他の企業から、自社のサービスや商品を超えるようなものが出れば、途端に次の利用はなくなってしまうでしょう。

NPSアンケートで9~10の点数(推奨度)は「推奨者」

NPS®のアンケートで、他者に薦めたいかという問いに対して、9~10のスコアを答えた人は推奨者に分けられます。彼らは、他人に薦めたいと感じているほど、商品やサービスに満足していることが分かります。継続的に使ってくれる確率が高く、かつ他者へ薦めてくれる可能性があるため、企業にとってはプラスになる存在です。推奨者が多ければ多いほど、企業は成長できるでしょう。

アンケート調査後のNPSの計算方法

NPSのアンケートを行い、誤差の少ない値を出すために必要な回答数が得られたら、計算をしてNPSの値を求めましょう。NPSは結果を分析し、改善アクションや経営に反映するまでのプロセスは大変ですが、計算方法はシンプルで素早く調査結果を得られるのが利点です。

NPSは「推奨者」の割合-「批判者」の割合で求められる

NPSの値は、推奨者の割合から、批判者の割合を引くことで求めることが できます。仮に400人アンケートに答えてくれたとして、推奨者が100人、中立者が250人、批判者が50人いたとします。NPSの計算では中立者の数は使わないため、推奨者の割合と批判者の割合が必要です。まず、推奨者の割合は「100÷400×100%」で25%と求めることができます。一方で、批判者の割合は「50÷400×100%」で12.5%と求められるでしょう。推奨者の割合と批判者の割合を求められれば、NPSの値は25から12.5を引いた12.5ということが分かります。尚、NPSの値を表すときは数値で表記され、%の表記を省いたのがNPSスコアです。

NPSはどのくらいのスコアになるか

NPSで計算されたスコアは、-100~100の範囲となります。数値が高いほど、製品やサービスの満足度や評価が高いことになります。日本においては、マイナスのスコアが出やすい傾向にあります。業界により平均値が異なるので、競合他社との相対比較や自社のスコアの時系列で改善のサイクルを回すことが重要です。

NPSのスコアがマイナスになるのは珍しいことではない

NPS®の数値は、海外ではプラスになり、日本ではマイナス傾向になるとよく言われます。これは、日本人を対象に0-10点で得点をつけるNPS調査を行った際、多くに人が中間である5や6あたりを回答することに起因します。NPSでは5や6は「批判者」に該当するので、自然と批判者の割合が多くなります。

また、NPSスコアは調査対象によっても大きく変動します。自社顧客を対象とした調査ではそもそもアンケートに回答してくれる層=自社のファンや推奨度合い層の回答が集まりやすく高く出る傾向にあります。一方で一般モニタを対象とした調査では様々な層からの回答が集計されるため、スコアは低くなる傾向にあります。このため、調査対象や背景が異なるNPSスコアを見て一喜一憂するのではなく、NPS®の値がマイナスになってしまったとしても、企業の商品やサービスが悪いと悲観的になる必要はありません。その結果を企業の成長に役立てれば良いのです。

NPSがマイナススコアになる際の考え方についてはこちらの記事もお読みください。

次に繋げるためのNPSの評価方法とは?

NPSの値を求めて、その後どう活かすべきかが分からないという企業は少なくありません。せっかく手間のかかるアンケート調査をしたのですから、自社の反省すべき点と強みを明確にしてみることをおすすめします。

自社の改善すべきところと強みについて

なぜNPSの値がそうなったか、数値を左右した原因を掘り下げることが大切です。他者に薦められないと感じていたり、他者に使って欲しいと感じたりする要因は、顧客によって異なるからです。評価を低くしている原因が、価格や品質に問題があるのか、それとも接客や店舗の対応が悪いと評価されているのかなどは把握しておきましょう。また、強みについても、何が顧客から高い評価を受けているのかは知っておくことが重要です。

NPSを導入するメリット

NPSを導入する主なメリットとしては、導入コストが低く、シンプルで分かりやすい設計であることなどが挙げられます。NPSは少ない質問を用いて顧客から回答を引き出しやすいため、企業にとっても評価分析方法がシンプルで導入しやすい点が魅力です。自社と競合他社の評判を比較する際にも信頼性が高く、継続的にNPS調査を実施し改善点に向き合うことで、収益性向上にもつながります。

また、弊社が生命保険会社を対象に実施したNPSベンチマーク調査によると、NPSが高い企業は保有契約高の年平均成長率も高い傾向にあることがわかりました。これは、NPSと企業成長への相関性の高さを示しています。

参考:NTTコムオンライン|業界全体のNPSは2017年から向上傾向。マイページ・契約者ページでの体験がロイヤルティ醸成の鍵に

NPSを活用するときのポイント

ここからは、NPSを効果的に活用するためのポイントを3つ解説します。

社内での事前説明を慎重に行う

NPSを活用するためには、経営層や従業員への事前説明をしっかりと行い、理解を促すことが重要です。NPSの概要やメリットを自社で共有できていないと、後々問題が起こりやすいので注意しましょう。

経営層への説明には、同業他社の導入事例や企業成長との相関性、収益の見込みなど、データで説明できるよう準備しておく必要があります。従業員には業務の負担にならず、各部門での取り組みがより顧客ロイヤルティの向上につながることを説明するのもポイントです。

十分なサンプル数を取る

サンプル数が少ないアンケート調査は精度が低下するため、十分なサンプル数を確保する必要があります。一般的に、信頼がおけるとされるサンプル数は「信頼度95%」「誤差5%」といわれています。調査を実施する母集団の数で変動はあるものの、母集団の総数が1万を超える場合、サンプル数が400あると信頼度95%、誤差5%以内に収められます。

50程度のサンプル数の場合、誤差20%まで広がることもあるので、十分なサンプル数を取るようにしましょう。母集団の数値が小さくなればなるほど、その分集めるサンプル数の割合を増やさなければなりません。

業界毎のNPSスコアを把握しておく

同業種のNPSの値がどうなっているのか気になる場合は、調査結果を参考にしてみてください。NTTコムオンラインでも独自に各業界のNPSの値を調査しています。業界1位企業へのインタビューも実施しているので、、改善のヒントを見つけるきっかけになるかもしれません。他社のNPSの値と比較することで、改善ポイントが見えてくることでしょう。

NPSの導入・活用には「NPX Pro」

「NPX Pro」は、CX向上を支援するためのNPSツールです。アンケート作成から回収、分析までのフローを効果的に行ない、改善アクションの促進までをスムーズに実現できます。NPX Proの主な機能は以下のとおりです。

  • NPSアンケート作成、配信
  • NPSアンケート集計、分析
  • NPSアンケート分析結果の共有
  • 改善アクションの促進・管理

メールやSMSでのアンケート配信による回答率の高いリサーチが可能なうえ、カスタマージャーニー・ショートタームジャーニーに合わせたアンケート作成、また複数の調査の一括管理が可能です。分析ダッシュボードの仕様もシンプルなので、複雑な統計処理や分析作業は必要ありません。コメントのネガポジを通知するアラート機能や、担当者のアクション履歴・進捗が管理できる点も特徴です。

導入事例:株式会社サムザップ 様

スマートフォンゲームの企画・運営・配信事業を展開している株式会社サムザップ様は、社内に「顧客の声を把握する仕組み」がなかったことが課題でした。当初はアプリ評価サイトや口コミサイトなどに書き込まれる膨大な情報をすべて目視でチェックし、情報の偏りも気になるところでした。

そのようななか、導入のためのステップや運用フローのコンサルティングまで支援してもらえるNTTコムオンラインのNPSツール NPX Proを採用。何が評価を下げる要因となっているかや、ロイヤルティに関連のある要素は何かなどを瞬時に把握できる「可視化」により、社内での情報共有が可能になり、方向性が間違っていないというスタッフの自信にもつながったといいます。

NPS®を成功させる4つの秘訣

CX向上を支援するNPSツール NPX Proを導入することで、多くの企業様がNPS導入を成功されています。

お客様が悩まれているポイントに対して効果的なアプローチの仕方や対策の秘訣について、NTTコム オンライン独自のノウハウを資料に詰め込んでいます。

NPS導入にご興味のあるご担当者はもちろん、顧客ロイヤルティ向上につながるアプローチでお悩みの方も、ぜひご一読ください。

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