2022/12/07

NPS®(ネットプロモータースコア)入門・導入編

従業員満足度(ES)を上げるには?影響する要素や取り組み事例を紹介

今や顧客満足度と並び、ビジネスの成功のために注視すべき指標として考えられている「従業員満足度」。企業の持続性を担保するには、従業員が企業に満足していることが重要な条件となっています。この記事では従業員満足度の概要や基本的な情報、そしてどのような取り組みをしたら満足度が向上するかを具体的な事例も用いて解説します。さらに従業員満足度の計測方法についても解説しますのでぜひ参考にしてください。

従業員満足度とは?概要と背景を解説

従業員満足度とは「職場の福利厚生、給与待遇、仕事内容などについて従業員がどの程度満足しているか」を示す指標で、英語ではEmployee Satisfactionと言うことからESと呼ばれることもあります。従業員満足度が重視されるようになった背景には、少子高齢化に伴う労働人口の減少と働き方の多様化があります。高い生産性を保つには、優秀な人材を確保し魅力的な職場をつくる必要があるのです。従業員満足度が上がると人材定着率や顧客対応の質が向上する等の効果が期待できます。逆に従業員満足度が低下すると人件費や採用コストがかさむ恐れがあります。

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従業員満足度と従業員エンゲージメントの違いは?

従業員エンゲージメントとは、勤めている企業や同僚への愛着や共感の程度を示す指標で、従業員が企業理念を理解し主体的に体現する意志があることを含意するため、「与えられたタスクをこなすだけ」「ただ給与のために働いている」といった状態は、従業員エンゲージメントが高いとは言えません。

対して、従業員満足度はあくまで職場の労働条件に対する満足度の指標で、愛社精神や共感性はあまり関係ありません。しかし、一般的に従業員満足度が高い場合は従業員エンゲージメントも高い傾向にあり、関連性を持っています。そこでまずは従業員満足度を改善し、その後従業員エンゲージメントを高める施策を行うのが理想的とされています。

従業員満足度に影響する5つの要素

一般的に従業員満足度へ直接的につながる要素として福利厚生や給与待遇が挙げられますが、それ以外にも、仕事のやりがいや職場の居心地など、従業員満足度に影響する様々な要素があります。ここでは従業員の満足感につながる主な要素を5つ解説します。

1.企業のビジョンや価値観

企業が目指すビジョンや社会貢献に対する価値観に従業員が共感すると、その企業で働くことに誇りを感じてより積極的に働くようになります。とはいえ、ビジョンや価値観を強制的に押し付けると反発を招いてしまいます。目指すビジョンの具体的な内容や価値観の詳細を示し、実際に行う業務との関連性を丁寧に説明することが重要です。従業員とビジョンを共有できれば、全体が同じ行動指針を持つこととなり団結力が高まります。当然、仕事や人間関係も円滑に進み従業員満足度も高まりやすくなります。

2.仕事内容と貢献度

従業員が「自分のスキルを十分に活かせる」「自分の特性に合っている」と感じられる仕事内容であれば従業員満足度は高くなります。成長を感じられない環境でやりがいのない仕事を続けていると、当然企業に対して不満が生じます。そのため企業側も個人の適性に合った仕事内容を与えられるように工夫しなければなりません。加えて、従業員が「会社に貢献できている」と実感できることも重要です。社内で称賛し合える仕組みを作り、それぞれの仕事がどう貢献したかを伝え合うと良いでしょう。

3.マネジメントの質や評価制度

上司が適切に仕事の進捗を管理しているか、説得力のある評価を与えているかといったことも従業員満足度に影響します。マネジメントへの不満が多く、自分に対する評価にも納得できない場合、離職率は高まる傾向にあります。そのため上司のマネジメント能力不足がネックになっている企業では、まず管理職向けの研修や環境改善が必要です。評価に関しては、目標設定と明確な評価基準を導入すると効果的です。また、労働時間や人事異動などに関しても企業側の都合だけではなく従業員自身の裁量と意向を尊重したいものです。

4.人間関係の質

従業員にとって会社は1日の多くの時間を過ごす空間。ここでの人間関係は心の状態に大きな影響を与えます。人間関係がストレスになるとモチベーションが低下し、ミスや遅延など業務にも支障が現れます。反対に人間関係が良いと仕事が円滑に回る他、良い意味でリラックスした雰囲気が職場に溢れ、新たなアイデアも自然に生まれてクリエイティブな仕事ができます。そのような状態をつくるには、コミュニケーションの質を高めることが必要。ただ交流の機会を増やすのではなく普段からお互いに関心を持つことが大切です。

5.ワーク・ライフ・バランス

給与や福利厚生は従業員満足度に直結する重要な要素ですが、現代では従業員のライフスタイルに合う無理のない働き方を実現しているかどうかも見逃せません。生活と仕事の調和を意味するワーク・ライフ・バランスという理念をよく理解して、プライベートな時間が維持できるよう適切な仕事量を与える、社会情勢の変化に応じてテレワークを導入するなど、個人の幸福度や多様性に対応することが求められています。従業員それぞれの特性や生活環境を把握し、コミュニケーションを取りながら改善を図りましょう。

従業員満足度を上げるメリット

従業員満足度が上がると具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか。まず、一番に挙げられるのは生産性の向上です。会社に対する満足度が向上すると働く意欲が維持しやすく能動的に仕事へ取り組むことができます。その結果、全体の生産性が高まるのです。

さらに、生産性が上がることで自ずと顧客対応の質も改善し、顧客満足度の向上につながります。また、人材の定着というメリットも見逃せません。大きな成果を出す従業員が長く会社に残ることで企業の業績が上がり、社会での認知度や魅力も高まります。もちろん採用活動にも効果をもたらすので、採用コストも抑えることができるでしょう 。

従業員満足度の低い会社・高い会社の特徴

従業員満足度の低い会社と高い会社では何が違うのか、それぞれの特徴を端的に解説します。両者の特徴を参考に、自社の状況がどちらに近いか考察してみてください。

まず従業員満足度の低い会社の特徴は、職場でのコミュニケーションが不足しており従業員同士の関係が希薄なことです。同僚への関心が薄く自分の負担にばかりが気になり不満が蓄積してしまうため離職率が高い傾向にあります。当然チームワークを行う上でも連携が上手くとれず、生産性の低下につながるという悪循環が見られます。

一方、従業員満足度の高い会社はコミュニケーションが活発で良好な人間関係が築かれていることが特徴です。お互いの仕事ぶりへの関心や理解が深いため、チームとしてのパフォーマンスが高く、より正当な評価も得やすい環境が整っています。そのため従業員それぞれが仕事の意義や充実感を実感でき、優秀な人材が定着する傾向があります。

従業員満足度を上げるには?具体的な取り組み事例を紹介

ここからは、実際に従業員満足度の向上のための環境整備や施策に取り組み、大きな成果を出している企業の事例を具体的に紹介します。汎用性の高い取り組みが多いので、ぜひ自社で実施した場合を想定しながらご一読ください。

ワーク・ライフ・バランスへの配慮【サイボウズ 株式会社】

家庭生活や余暇などプライベートの時間をきちんと持つことは従業員満足度と生産性の向上につながります。特に長時間労働が常態化しているような職場の場合、会議の時間を削減する、一部業務を外注する、残業を事前申請にする、従業員個人が勤務時間を決定できるようにするといった施策を行い、過剰労働時間を減らすことが効果的です。

社員が自分らしく働けるよう、多様な働き方を実現する制度策定に取り組むサイボウズ株式会社では、離職率が過去最高を記録した2005年以降、育児・介護休暇制度、短時間勤務制度、在宅勤務制度、独自の"育自分‘’休暇制度を設ける等の施策を実施。その結果、離職率が3-5%まで低下しました。

従業員同士の感謝を見える化【Sansan 株式会社】

多くの仕事は従業員同士の連携により成立しているため、お互いに敬意や感謝の気持ちを抱くもの。しかしそれを胸の内に留めているのではなく、きちんと相手に伝えてこそ仕事のやりがいにつながります。しかも単に口で伝えるのではなく、社内で手軽に使えて交流が深まるツールを取り入れる方が現実的・実践的です。

Sansan 株式会社では、従業員の貢献に対してお互いに褒め合う文化をつくるためのチャットツールを導入。感謝や称賛の声を送ると当人同士だけではなく他の人にもそれが分かり、しかも貢献がポイントとして可視化されることでポジティブな流れが生まれ、定量的にも定性的にも成果が出たそうです。

eNPSの導入で課題の把握・改善【株式会社 東急エージェンシー】

働き方改革や女性の活躍を推進するため、2017年に「ワークスタイルデザイン部」を立ち上げた株式会社東急エージェンシー。同部署が取り組む施策の効果を検証するため、eNPS℠(Employee Net Promoter Score:エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)を導入。これにより優先すべき課題が明確になり、改善施策を行いやすくなったといいます。

例えば調査の結果、従業員のエンゲージメントを上げるためには社内の風土の改善が重要ということが判明したため、「風土改革委員会」を発足して個人のチャレンジを評価する人事制度へ変更。さらに業務時間の長さに不満があるという結果を受け、在宅勤務の導入によって移動を削減する、会議を短縮する等の施策を実施して労働時間の管理を推進しました。

従業員満足度を計測する方法

従業員満足度を計測するには、企業が独自でアンケート調査を行う他、先の事例でも紹介しようにeNPSを活用する方法があります。以下、この2つの計測の具体的な仕方について概要や、実践する上でのポイントを解説します。

独自のアンケート調査を行う

企業自らが独自のアンケート調査を行う場合には、まず自社に最適化したアンケートで調査することが重要。そのためには自社の課題を抽出し、その要因が何か仮説を立てます。例えば「若年層の離職率増加」が課題であれば、要因を「若年層が相談できる環境がない」と仮定する、といった具合です。そして立てた仮説が正しいかどうかを見る「検証項目」と、施策の方向性を確認する「施策項目」に大別して質問を作成します。「若年層が相談できる環境がない」の検証項目は「周りに相談できる人はいますか?」、そして施策項目は「仕事の相談支援を行うメンター制度の導入は有効と感じますか?」などです。

また、アンケートは自社でひな形を作成しても良いですが、収集や集計を効率化するため従業員満足度を計測するクラウドサービスを活用すると効率的です。アンケート調査を実施する頻度は1年に1度程度が適切とされています。

eNPSを活用する

eNPSとは、自分の職場を親しい人にどれくらい勧めたいか、つまり職場の推奨度を測る指標。もともとは、アップルが自社店舗で働く従業員のエンゲージメントを可視化するために転用したところから広がったと言われています。

調査で設定する質問事項は、例えば労働環境に関してであれば「労働時間に満足しているか」、やりがいについてであれば「顧客への貢献を実感しているか」、会社のビジョンについてであれば「自社のブランドに愛着を感じるか」など。調査結果は3セグメントに分けられます。9~10点を付けた人は「推奨者」。会社の労働条件に満足し、働くモチベーションも高い従業員です。7~8点を付けた人は‘「中立者」。職場や仕事に人並み以上の愛着を持つ従業員です。0~6点を付けた人は「批判者」。仕事、報酬、待遇などに満足していない従業員です。

eNPSスコアは「推奨者の割合-批判者の割合」で算出されます。スコアが高いほど従業員エンゲージメントも高い傾向にあることが明らかになっているため、eNPSの導入は従業員エンゲージメントの調査にも有効です。また、自社のeNPSスコアを業界別eNPSベンチマーク調査の平均値と比較することで業界における自社の位置を把握できます。

関連記事:第2回 顧客ロイヤルティを測る新指標「NPS」とは?~究極の質問の発見とその本質~

従業員満足度の計測・改善はeNPS with NPX PRO

eNPS with NPX PROは、従業員満足度を調査し結果をタイムリーに把握したいという企業向けにeNPSアンケートを実施、分析するシステムサービス。その特徴は多機能クラウドツールによる様々な調査の一元管理が可能なこと。さらに部署や担当ごとなど、確認したい範囲でのダッシュボードの作成が可能で、経年でのデータ変化を確認できる点も魅力です。また、リアルタイムに回答を確認・分析・共有できるため時間のロスが少なく、改善アクションにより速やかに取り組むことができます。回答数に応じた定額制なので、ワークスタイルの変化、自社の施策の変化などのタイミングに応じて何度でも調査を実施できます。さらに施策効果の検証にも利用でき、その後の方針決定に役立ちます。

従業員満足度を改善すれば生産性を高められる

この記事で解説したように、従業員満足度を向上させることは企業の生産性を高めることにつながります。従業員を取り巻く環境がスピーディに変わる現代では、頻度を上げて従業員のロイヤルティを確認することが必要です。従業員満足度調査のためのツール導入を行う場合は、大企業向けで柔軟な設問設定と高度な分析が可能なeNPS with NPX PRO、もしくは中小企業向けで用意された質問項目を選ぶだけで手軽に調査が実施できるEs-Quickがおすすめです。

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