2025/12/26

NPS®(ネットプロモータースコア)入門・導入編

従業員エンゲージメントと従業員満足度(ES)の違いとは?高める方法や企業事例を紹介

従業員エンゲージメントと従業員満足度(ES)はよく似た言葉ですが、それぞれ意味が異なります。どちらも従業員の生産性やモチベーションに影響力を持つ指標なので、数値を高めるための向上施策を講じることが大切です。

本記事では、従業員エンゲージメントと従業員満足度(ES)の違いを踏まえつつ、重要性や高める方法、企業の取り組み事例などについて解説します。従業員に関する指標のノウハウを学べるため、ぜひご一読ください。

【この記事の内容】
  • 従業員エンゲージメントは企業に貢献したいという意欲、従業員満足度(ES)は職務内容や給与に対する満足度を示す指標
  • 従業員エンゲージメント・従業員満足度を高めることで、労働生産性の向上やモチベーションの向上、離職率の低下といったメリットが発生する
  • 従業員エンゲージメントはMVVの策定や経営層の継続的な発信、従業員満足度は労働環境や評価制度の整備によって向上が見込める
  • 従業員エンゲージメント・従業員満足度を調べる際は、アンケート調査を採用するのが一般的

従業員エンゲージメントと従業員満足度(ES)の違いとは?

従業員エンゲージメントと従業員満足度(ES)は似て非なるものなので、まずは2つの言葉が持つ意味の違いを押さえておきましょう。

従業員エンゲージメントとは?

従業員エンゲージメントとは、従業員が企業の理念や方向性に共感し、自発的に貢献したいという意欲を持っている状態です。「愛社精神」を表す言葉としても使われています。

厚生労働省の定義は、従業員エンゲージメントは「企業などの所属組織への貢献意欲を指し、個人と組織との関係に着目したものである」というものです。

出典:働きがいのある職場づくりのために|厚生労働省

従業員エンゲージメントは、以下の3要素で構成されています。

  • 理解度:企業が掲げる理念やビジョンを理解していること
  • 共感度:企業と仲間に対して愛着や誇りを持っていること
  • 行動意欲:企業のために積極的に仕事をこなそうとする意欲があること

社内における従業員の体験全般「従業員体験(EX)」により、従業員エンゲージメントは形成されます。

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従業員満足度とは?

従業員満足度(ES)は「Employee Satisfaction」の日本語訳で、業務内容・労働環境・人間関係・給与・福利厚生などに対し、従業員が感じている満足度を示す指標です。「従業員にとっての居心地の良さ」を表し、従業員から企業に対する一方向の評価となります。

アメリカの臨床心理学者のフレデリック・ハーズバーグが提唱した「ハーズバーグの二要因理論」によれば、満足度は以下の2要素で構成されています。

  • 動機付け要因(仕事のやりがいなど)
  • 衛生要因(給与や労働環境など)

従業員満足度の向上だけでは、必ずしも企業の業績向上には直結しない点に注意が必要です。

従業員エンゲージメントと従業員満足度の違いと相関性

従業員エンゲージメントは「企業への貢献意欲」を、従業員満足度は「現状への満足度」を示します。前者は企業と従業員の双方向の関係性を指していますが、後者は従業員から企業への一方向の評価です。

従業員満足度が高くても、従業員エンゲージメントが低いケースは存在します。例えば、現状の待遇には満足しているものの、愛社精神は薄いという状況です。

2つの指標は相関性を持っているので、従業員満足度が向上すれば、従業員エンゲージメントも高まる傾向にあります。逆に従業員エンゲージメントが高い企業は、従業員満足度の数値も高めです。

従業員エンゲージメント・従業員満足度は顧客満足度に影響を与える

ハーバード大学教授のヘスケットらが提唱した「サービス・プロフィット・チェーン」では、従業員満足度が企業に収益をもたらすプロセスが示されています。

従業員エンゲージメント・従業員満足度が高い企業の場合、従業員は自発的に顧客へ良いサービスを提供するので、顧客満足度が向上します。その結果、収益の増加につながる流れです。

また、従業員満足度と顧客満足度には相関性があることも調査で判明しています。従業員が企業理念に共感し、積極的に商品やサービスの改善に取り組めば、結果的に顧客からの評価が高まるのです。

顧客満足度が上がることで、顧客の購入単価やリピート率の向上が見込めます。

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従業員エンゲージメント・従業員満足度が重要視されている理由

日本は少子高齢化によって労働人口が減少しているため、採用市場は求職者数より求人数のほうが多い「売り手市場」の状況です。業界や業種を問わず、限られた人材を確保しつつ、しっかり定着させることが企業の重要課題となっています。

従業員エンゲージメントが向上すれば、求職者に「従業員を大切にしている企業」という印象を与えられるため、より多くの応募を獲得できるでしょう。

さらに、労働者の価値観が時代とともに変化・多様化したことで、従来の終身雇用制度は形骸化し、転職が一般的になりました。優秀な従業員に長く活躍してもらうためには、従業員エンゲージメント・従業員満足度の向上に注力し、貢献・成長・やりがいといったニーズに応える必要があります。

2023年以降、上場企業を対象に「人的資本情報の開示」が義務化され、従業員エンゲージメントが開示項目の一つになったことも注目を集めている理由です。主にエンゲージメントサーベイや従業員満足度調査の結果などを開示します。

日本企業の従業員エンゲージメントは世界水準に比べて低い

米ギャラップ社の2024年版レポートによれば、日本企業の従業員エンゲージメントはわずか6%です。この数値は世界水準に比べてかなり低く、世界で最も低いエンゲージメントの国の一つとなっています。

また、日常的にストレスを感じている従業員の割合は41%でした。個人のウェルビーイング(心身ともに良好な状態)に成功していると回答した従業員の割合は29%であり、どちらも他国よりネガティブな数値です。

従業員エンゲージメントの数値は、離職率にも関連する要素です。米ギャラップ社の分析によれば、従業員エンゲージメントデータベースの上位25%の部門は、下位25%の部門より離職率が51%低くなっています。

出典:日本の雇用主が直面する人材確保の課題|GALLUP

日本企業の従業員エンゲージメントが低い要因として、受け身の仕事姿勢や上意下達の組織文化、成長機会の不足などが指摘されています。

従業員エンゲージメント・従業員満足度を高める利点

従業員エンゲージメントが高い企業は、営業利益率や労働生産性が有意に高いことが判明しています。業績向上のメリットは、モチベーションエンジニアリング研究所と、慶應義塾大学 大学院経営管理研究科/ビジネス・スクール 岩本研究室の共同調査に基づく事実です。

出典:「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開|株式会社リンクアンドモチベーション

従業員エンゲージメント・従業員満足度が向上すれば、従業員は企業に対して愛着や信頼感を抱くので、離職率が低下します。結果的に人材の定着率が高まり、技術やノウハウを蓄積できることもメリットです。

また、従業員のモチベーションが向上し、自発的に業務改善や新規事業の提案を行うようになります。積極的に意見を出し合う風土が醸成されるため、イノベーションの創出につながるでしょう。

従業員エンゲージメントの高さを何らかの方法で証明・共有すれば、求職者に良い印象を与えられます。その結果、優秀な人材が集まりやすくなるため、採用活動で優位に立てることもメリットです。

従業員エンゲージメントや従業員満足度を高める方法

従業員エンゲージメントと従業員満足度は、どちらも自然に上がる指標ではありません。従業員が納得して働ける職場をつくることで、初めて向上します。

各指標を高める具体的な方法を紹介するので、しっかり押さえておきましょう。

1-1 従業員満足度を上げるには?

従業員満足度を上げる方法は、以下のとおりです。

  • 労働環境を整備する
  • 適切な評価制度を設ける
  • 人材配置を最適化する
  • コミュニケーションの活性化に取り組む

労働環境を整備する

労働環境は大きく分けると、以下の2要素があります。

  • 物理的環境:オフィスの快適性や設備の充実度
  • 心理的環境:人間関係や職場の雰囲気

空調や照明を調整したり、使いやすい機器を取り入れたりするなど、物理的環境の整備は満足度および生産性の向上につながります。

心理的環境を整えるためには、業務量の調整や長時間労働の是正などが必要です。テレワークやフレックスタイム制の導入など、多様性のある働き方を実現し、ワークライフバランスを高めることも重要となります。

また、健康管理支援や育児・介護支援といった福利厚生を充実させて、従業員の生活面でのサポートも強化したいところです。

適切な評価制度を設ける

公正かつ透明性の高い評価制度を構築することで、従業員は納得感を得られるので、モチベーションの向上につながります。そこから満足度の向上に結び付けるためには、評価に応じた昇給制度やインセンティブ制度が必要です。

明確な評価基準を設けつつ、あらかじめ従業員に共有すれば、何を目指すべきか把握しやすくなります。成果だけではなく、目標達成までのプロセスや行動も評価対象に含めることで、より多面的な評価が可能です。

評価のフィードバックを丁寧に行い、従業員のさらなる成長を実現しましょう。

人材配置を最適化する

従業員の適性・スキル・キャリア志向などを考慮した人材配置により、個人の能力を最大限発揮できる環境を整えることが大切です。適切な業務を担当させることで、従業員の仕事に対するやりがいが向上し、企業や社会への貢献も実感しやすくなるので、満足度の向上につながります。

定期的な面談やキャリア面談を通じて、従業員一人ひとりの希望や適性を把握し、適材適所の配置を実現しましょう。ジョブローテーションやキャリアパスの明示により、企業から従業員に成長機会を与えることも重要です。

コミュニケーションの活性化に取り組む

社内コミュニケーションを活性化すれば、従業員同士で信頼関係が構築されて、チームワークが向上します。円滑な人間関係は、満足度の向上に欠かせません。

定期的な1on1ミーティングなどで上司と部下の対話を促し、相互理解を深めることも重要です。同時に情報共有の仕組みを整備し、組織内における情報の透明性を高めることで、従業員の疑問や不満を解消しやすくなります。

さらに、社内イベントや交流の場を設けるのも一案です。部署を超えた横のつながりを強化することも、従業員のモチベーション向上につながります。

従業員満足度(ES)を上げるには?影響する要素や取り組み事例を紹介

従業員エンゲージメントを上げるには?

従業員エンゲージメントの向上には、以下の取り組みが有効です。

  • MVVを策定する
  • 経営層が継続的に発信する
  • 管理職にMVVの理解を促す

MVVを策定する

MVVは企業理念の体系であり、以下の3要素の頭文字を取った略称です。

  • Mission(ミッション)
    企業が社会に対して果たすべき使命、企業自身の存在意義を示す要素。「何のために企業が存在するのか」「社会に何を提供するのか」といった問いへの答えを表す。
  • Vision(ビジョン)
    企業がミッションを達成した際の理想的な状態を示す指標。「どのような企業になりたいか」「10年後に何を達成したいか」といった問いへの答えを表す。
  • Value(バリュー)
    企業がミッション・ビジョンを達成するための具体的な行動指針や価値観を示す指標。「お客様と真摯に向き合う」「チームワークを重視する」といった項目を設定する。

MVVを明確に定義すれば、従業員は企業の方向性を理解し、自身の役割を認識しやすくなります。

経営層が継続的に発信する

MVVを策定したら、経営層が自らMVVや企業理念を発信し、その重要性と本気度を従業員に伝える必要があります。全社会議・社内イベント・メッセージ配信といった機会を活用し、経営層の言葉で企業の方向性を語りましょう。

1回伝えるだけでは従業員に浸透しにくいため、繰り返し見聞きできるよう、継続的に発信したいところです。発信を続けることにより、MVVを従業員の意識に定着させたうえで、日常業務の判断基準として機能させましょう。

さらに、経営層自身がMVVを体現した行動を見せることで、従業員の共感や信頼を得られるので、従業員エンゲージメントの向上につながります。

管理職にMVVの理解を促す

管理職は経営層と一般従業員の橋渡し役であり、MVVの浸透において重要な役割を担う存在です。

まずは管理職向けの研修やワークショップを実施し、MVVの意味や重要性を深く理解してもらいましょう。その後、管理職が部下との1on1ミーティングや日常のコミュニケーションにてMVVに触れることで、現場レベルでの浸透を図ります。

管理職自身がMVVに基づいた行動を示し、一般従業員の模範になることで、組織全体への浸透スピードを加速させましょう。

従業員エンゲージメント向上を目的とした企業の取り組み事例

従業員エンゲージメントを向上させるためには、実在する企業の取り組み事例を研究し、具体的な施策やノウハウを学ぶ必要があります。特に注目すべき事例をピックアップしたので、ぜひ参考にしてください。

スターバックスコーヒージャパン

世界的な知名度を誇るコーヒーチェーンのスターバックスは、従業員エンゲージメントが高い企業としても有名です。

従業員がそれぞれの個性を活かせるよう、スターバックスは「成長の階段」として以下のプロセスを策定しています。

Phase-1 自分存在の証明:自分を知り、自分を社会に役立てる
Phase-2 自分自身に対する期待感:人にフィードバックをもらい、自分で解決する(自分発)
Phase-3 他者への影響:自分を変えた方法で、人を変える

参照:LEARNING & EXPERIENCE スターバックスでの成長|スターバックス

この3段階のプロセスに基づき、一人ひとりが自ら考えて行動する風土を醸成。実際、スターバックスにサービス関連のマニュアルは存在せず、おすすめドリンクの紹介や飲み方のアドバイスは従業員がすべて自発的に提供しています。

キャリアアップを目指す従業員には、店舗運営の中核を担う「シフトスーパーバイザー」などの役割を用意。社内試験の合格者だけが着用できる「ブラックエプロン」など、コーヒーの専門性を成長させる制度も設けています。

LIXIL

LIXILは、住宅の水回り設備や窓・ドアの製造・販売に携わる企業です。従業員に行動指針を示すため、基本理念として「Purpose」と「Behaviors」の2つを掲げています。

Purpose(存在意義)
世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現

Behaviors(3つの行動)

  • 正しいことをする
  • 敬意を持って働く
  • 実践し、学ぶ

参照:PurposeとBehaviors|LIXIL

また、従業員エンゲージメントの向上を図るため、LIXILでは「従業員エクスペリエンス(組織内における従業員のあらゆる価値体験)」に関連した取り組みを推進しています。その一つが従業員の声に耳を傾け、意見を積極的に取り入れて組織全体の活性化を図る戦略「Employee Listening」です。

Employee Listeningでは、全従業員を対象とする意識調査「LIXIL Voice」を年1回実施。2025年3月期の回答率は90%、エンゲージメント肯定的回答の割合は72%に達しています。

株式会社ユーザベース

株式会社ユーザベースは、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」の運営企業です。従業員から「経営層のマネジメントが行き届いていない」と批判が上がったことを契機に、従業員エンゲージメント向上への取り組みを推進しています。

従業員エンゲージメントを高めるにあたり、ユーザベースは行動指針として「The 7 Values」を策定しました。

  1. Be free & own it(自由主義で行こう)
  2. Unleash ingenuity(創造性がなければ意味がない)
  3. Thrill the user(ユーザーの理想から始める)
  4. How fast? Wow fast.(スピードで驚かす)
  5. Don't know? Choose brave.(迷ったら挑戦する道を選ぶ)
  6. In it together. No matter what.(渦中の友を助ける)
  7. We need what you bring(異能は才能)

参照:私たちについて|株式会社ユーザベース

The 7 Valuesによって企業が従業員に求める行動が明確になり、不満の解消につながっています。

また、企業と従業員の認識のズレを防ぐため、The 7 Valuesについて具体例を交えて説明した「34の約束」も策定しています。

株式会社オリエンタルランド

株式会社オリエンタルランドは、東京ディズニーリゾートの運営企業です。お互いを称え合う風土を醸成する取り組みにより、従業員エンゲージメントの向上を実現しています。

取り組みの一つ「ドリームアップ アイデア!」は、同社の企業使命にある「自由でみずみずしい発想」を促すことが目的です。すべての従業員が気軽にアイデアを出せるので、組織や役割の枠を超えた活躍が見込めます。

キャスト同士の絆を深めるため、仲間のすばらしい行動をメッセージカードに書いて称える活動も推進。特に高評価を得たキャストは「マジカルディズニーキャスト」に選出され、記念品としてピンが贈られています。

また、上司がキャストの行動を称える「スペシャルレコグニッションカード」も用意し、モチベーションの向上を図っています。

小松製作所

小松製作所は、世界第2位のシェアを誇る建設機械メーカーです。従業員エンゲージメント向上の施策として「優れた従業員体験」を創出するため、育児・介護支援や休暇制度の整備に取り組んでいます。

また、教育研修体系の充実化を図り、従業員がそれぞれ最大限に能力を発揮できる職場を提供したこともポイントです。

さらに、小松製作所は永続的な価値観「コマツウェイ」を共有してきましたが、2011年に内容を改定・簡潔化し、事例やブランドマネジメントの内容を追加。そのうえで、経営層が自らコマツウェイの考え方などを従業員に伝える活動をスタートしています。

マネジメント層に対してもコマツウェイの説明会や研修を実施し、エンゲージメント向上で特に配慮すべき5つの要素を提示しています。

  1. 信頼
  2. モチベーション
  3. 変化
  4. チームワーク
  5. 権限移譲

リンクアンドモチベーション

株式会社リンクアンドモチベーションは、独自の基幹技術「モチベーションエンジニアリング」によるコンサルティング事業などを展開している企業です。従業員エンゲージメントの重要性を認識し、組織改善を推進しています。

例えば、長く働きやすい労働環境をつくるため、出産や介護といった状況に応じて一時的に働き方を変えられる制度「ワークスタイルオプション」を導入。年次や性別を問わず、すべての従業員が対象なので、利用者数が年々増えています。

さらに、自立的な人材を育成するため、自分を一つの株式会社と見なしてキャリア形成を行う「アイカンパニー」の考え方を導入。従業員が自身のアイカンパニーを育めるよう、さまざまな研修や制度を設けています。

株式会社SRA

株式会社SRAは、各種システム構築やITサービス運用、ソフトウェア販売などに携わる企業です。テレワークの普及に伴い、働き方や考え方に多様性が求められている現状を踏まえ、制度変更や調査に取り組んでいます。

例えば、従来のキャリアパスは単線型なので、技術職継続希望でも役職が上がれば、管理職にならざるを得ない状況が続いていました。複線型のキャリアパスに変更したことにより、技術職が4つの系統に分類されたので、昇進時に自身で選択できるようになっています。

また、従業員の意見や目標を把握するため、キャリアパスに関するアンケートを実施。アンケート結果を分析することで、現在の業務と希望キャリアのギャップ、将来的に発生しうる課題などを明確にしています。

さらに、複線型キャリアパスの導入に合わせて研修制度の検討も進められました。

従業員エンゲージメントと従業員満足度(ES)の調査方法

従業員エンゲージメントと従業員満足度の調査では、一般的にアンケート調査が採用されています。基本的な手順は、以下のとおりです。

  1. 課題を洗い出し質問の項目をつくる
  2. 調査の目的とスケジュールを共有して実施する
  3. 回答を集計して分析を行う
  4. 改善策を立案して実行する

ES(従業員満足度)調査に活用できる9の指標(KPI)を徹底解説

1.課題を洗い出し質問の項目をつくる

アンケート調査を行う場合、まずは調査の目的を明確にしたうえで、事前に「何を知りたいのか」「どの領域に課題があるのか」といった点を整理しておきましょう。

質問項目は、以下のように多角的な視点で設定します。

  • 業務内容
  • 労働環境
  • 人間関係
  • 評価制度
  • 企業理念への共感度

質問数は回答者の負担にならないよう、適切な量に調整します。回答時間は5~10分程度が目安です。

アンケートの設問設計は、回答率や回答の精度に大きく影響します。自社で知見がない場合、従業員エンゲージメントや従業員満足度の測定に関するサービスの利用も検討しましょう。

2.調査の目的とスケジュールを共有して実施する

調査の開始にあたり、あらかじめ従業員に対して調査の目的や意義などを丁寧に説明し、協力を仰ぎましょう。調査のスケジュールや回答方法をわかりやすく伝えて、従業員が安心して回答できる環境を整えることも大切です。

また、アンケート形式の調査なので、従業員が率直な意見を述べられるよう、匿名性を確保する必要があります。

経営層や管理職がアンケート調査の重要性を理解し、従業員に協力を呼びかけることも、回答率を高める重要な施策です。

3.回答を集計して分析を行う

アンケートを回収したら回答を集計し、従業員全体の傾向や部署・年代などセグメント別の傾向を分析します。エンゲージメントや満足度が高い項目と低い項目を特定しつつ、取り組むべき課題の優先順位をつけましょう。

自由記述欄を設けた場合、従業員の生の声を丁寧に読み取り、定量データでは見えない課題を把握することが重要です。

さらに、過去の調査結果と比較することで、今回のアンケートまでに講じた施策の効果を検証できます。

4.改善策を立案して実行する

分析結果をもとに、優先順位の高い課題から改善策を立案し、目標やスケジュールに沿って改善を進めます。改善策は具体的かつ実行可能なものを選ぶこと、責任者や期限を明確にすることが大切です。

調査結果や改善策のフィードバックを行い、透明性を保つことで、従業員から信頼を得やすくなります。

改善策の実行から一定期間が経過したら、再度アンケート調査を実施しましょう。改善と効果検証のサイクルを確立すれば、エンゲージメントと満足度が向上しやすくなります。

従業員エンゲージメント・従業員満足度の向上をサポートするNTTコム オンラインの「ES調査」

NTTコム オンラインでは、従業員エンゲージメント・従業員満足度の関連ソリューション「ES調査」を提供しています。ES調査の軸となるサービスが「ES-Quick」と「eNPSレポート」です。

「ES-Quick」は、従業員満足度調査を低コストで実施できるサービスです。弊社が独自に用意した基本設問200問から最大60問を選ぶだけで、アンケート調査の準備が整います。

また、自由記述式の設問や貴社独自のオリジナル設問(最大5問まで)も作成可能です。調査結果はグラフ化されたレポート形式で提出するので、属性別の満足度や従業員エンゲージメントの関連項目を分析しやすくなっています。

もう一つの「eNPSレポート」は、従業員の企業へのロイヤルティをeNPS®で指標化するサービスです。貴社のご要望や課題に合わせて、経験豊富なコンサルタントが調査に用いる設問を設計・カスタマイズします。

「独自の設問を多く盛り込みたい」「従業員数が500名~1,000名程度」という企業には、eNPSレポートがおすすめです。

従業員エンゲージメントと従業員満足度は企業にとって重要な指標

従業員エンゲージメントと従業員満足度は密接な関係にあり、どちらも従業員の生産性やモチベーションを左右します。業績や離職率にも関わる指標なので、安定した経営の実現に向けて、できるだけ数値を上げたいところです。

数値向上につながる改善策を講じるためには、アンケート調査で現状の課題を押さえる必要があります。NTTコム オンラインの「ES調査」を活用すれば、よりスムーズに調査を進められるので、ぜひご検討ください。

NTTコム オンラインのES調査の詳細はこちら

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