
2024/12/24
顧客満足度とNPS®
顧客体験価値(CX)とは?注目される背景や体験価値を高める方法を解説
企業を成長させるためには、自社ならではの商品・サービスを提供するだけではなく、それらを通じて発生する「顧客体験価値(CX)」の向上を図ることが必要不可欠です。
本記事では、顧客体験価値の基礎知識を踏まえつつ、注目される背景や向上のメリット、顧客体験価値を高める方法などについて解説します。顧客体験価値を向上させたい方は、ぜひご一読ください。
- 顧客体験価値(CX)とは、顧客が商品・サービスを購入・利用するまでに得られる体験を通じて感じる価値のことで、主に5つの要素で構成されている。
- コト消費・トキ消費へのシフトや顧客接点の多様化に伴い、顧客体験価値の注目度も上がっている。
- 顧客体験価値が高まることで、顧客ロイヤルティ・ブランドイメージの向上やプロダクトの成長・創出といったメリットを享受できる。
- 顧客体験価値を向上させるためには、データ基盤の構築や顧客体験のパーソナライズ、生成AIやNPS®の活用などが有効。
顧客体験価値(CX)とは
顧客体験とは、顧客が商品・サービスに興味を持ってから、実際に購入・利用したりサポートを受けたりするまでの過程で得られる一連の体験のことです。オフライン・オンラインを問わず、顧客と企業のありとあらゆる接点での体験を指します。
この顧客体験を通じて顧客自身が感じる価値こそ、今回のメインテーマとなる「顧客体験価値」です。「Customer Experience(CX:カスタマーエクスペリエンス)」とも呼ばれています。
企業成長を導く「顧客体験(CX)」とは?その重要性と高める方法や事例を紹介
顧客体験価値はランキングも発表されている
顧客体験価値はブランドイメージや収益との関連性が深いので、多くの企業から注目されています。日本でも「顧客体験価値(CX)ランキング」が毎年発表されており、2023年度の上位3社は以下の通りです。
1位.帝国ホテル(6.53)
2位.サイゼリヤ(6.42)
3位.ファンケル(6.37)
※()内はCXスコア
出典:インターブランドジャパン「顧客体験価値(CX)ランキングTM2023」|株式会社インターブランドジャパン
本ランキングでは、顧客体験価値が「CXスコア」という数値で表記されていますが、これは商品・サービス自体の機能や性能だけではなく、顧客体験による顧客の感情なども含めて算出されています。
顧客体験価値の重要性とは
多くの企業で顧客体験価値に関する統計が取られており、その中で以下のことが明らかになっています。
- 消費者の多くは優れた顧客体験を提供しているブランドの商品・サービスに対して、より高い金額を支払っても良いと考えている
- 良質な顧客体験を提供することで、顧客は一度限りではなく、長期的なブランドの支持者になりやすい
- 顧客体験に優れたサービスを提供した場合、顧客がリピート購入する可能性、およびトラブルが発生しても再度利用する可能性が高くなる
- 消費者の多くはブランドへの忠誠心を感じるために、優れた顧客サービスが欠かせないと考えている
このような統計から、顧客体験価値は重要だと認識されています。
顧客体験価値が注目される背景
顧客体験価値が注目を集めている背景には、以下のような事情があります。
- 商品・サービスの差別化が難しくなった
- 「コト消費・トキ消費」へシフトしている
- 顧客接点の多様化と複雑化が進んだ
それぞれ詳細を解説するので、きちんと押さえておきましょう。
商品・サービスの差別化が難しくなった
近年、商品・サービスの種類や形態などが増えているうえ、似たようなものを取り扱う企業や店舗も増加しています。それに伴い、以前は購入の決め手であった商品・サービスの品質や価格での差別化が難しくなっている状況です。
商品・サービスそのものだけではなく、ホームページの内容や店舗スタッフの接客態度、顧客からの口コミ評価やアフターフォローなどが注目されています。これらの要素に対して優れた顧客体験価値を提供することが、顧客から選んでもらうための必須条件です。
「コト消費・トキ消費」へシフトしている
従来、形として残るものに価値を見出す「モノ消費」が主流でした。しかし、消費者のライフスタイルや社会情勢の変化に伴い、現在はモノ消費から「コト消費・トキ消費」へとシフトしています。
コト消費とは、商品・サービスを利用することで得られる体験に価値を見出す消費行動のことです。例えば、レストランでの食事や旅行での宿泊、趣味の習い事などが該当します。
もう一つのトキ消費とは、特定の場所・タイミングでしか味わえない体験に価値を見出す消費行動のことです。例えば、アーティストの音楽フェスやハロウィンの仮装イベントなどが当てはまります。
コト消費・トキ消費が主流になりつつあるため、顧客体験価値の重要性も高まっている状況です。
顧客接点の多様化と複雑化が進んだ
デジタル技術の進歩・普及に伴い、顧客接点の多様化と複雑化がますます進んでいます。例えば、Webサイト経由で顧客から企業に問い合わせたり、SNS上で顧客と企業担当者がやり取りしたりすることは今や当たり前の行為です。
企業にとって顧客接点の増加は集客のチャンスである一方、顧客が競合他社に分散しやすいという問題もあります。今後も自社の商品・サービスを選んでもらうためには、購買プロセス全体の最適化によって購買意欲を刺激することが重要ですが、それには顧客体験価値の向上が欠かせません。
「今後も利用したい」「他の人にも勧めたい」など、購入後にも価値を感じてもらうことも大切です。
顧客体験価値の向上によるメリット
顧客体験価値を向上させることで、以下のようなメリットを享受できます。
- 競争力を高める鍵となっている
- 顧客ロイヤルティ・ブランドイメージの向上に効果がある
- 売上・収益向上に影響する
- プロダクトの成長と創出が期待できる
各メリットの詳細もまとめました。
競争力を高める鍵となっている
顧客にとって価値の高い体験を提供することは、商品・サービスの差別化につながる要因です。自社ならではの強みや付加価値を持たせることにより、市場での競争力を高められるので、結果的に競合優位性を確保できるようになります。
先述の通り、近年は商品・サービスが多様化しているため、モノ自体の差別化を図ることが難しくなっている状況です。それゆえ、顧客体験価値の向上に関する取り組みは高い効果が期待できるでしょう。
顧客ロイヤルティ・ブランドイメージの向上に効果がある
キャンペーンやアフターフォローを通じて顧客体験価値を高めると、顧客の熱意や満足度が高まって「顧客ロイヤルティ」の向上を実現できます。顧客ロイヤルティとは、顧客が抱いている企業や商品・サービスへの愛着や信頼度のことです。
また、顧客体験価値の向上はブランドイメージの向上にも効果を発揮します。質の高い顧客体験を提供すれば、顧客は企業や商品・サービスに対してポジティブな印象を抱くため、結果的にブランドイメージの改善につながるでしょう。
顧客ロイヤルティ(顧客ロイヤリティ)とは?向上させるメリットと事例
売上・収益向上に影響する
顧客体験価値の向上によって顧客ロイヤルティ・ブランドイメージが向上することで、顧客単価・リピート率・成約率・口コミ投稿数などが増加します。その結果、より多くの商品・サービスが売れるだけではなく、企業の経営が安定しやすくなるため、売上・収益向上につながることも大きなメリットです。
売上・収益がアップすれば、企業は新たなビジネスを展開したり、経営規模を拡大したりすることもできるので、さらなる成長につながるでしょう。
プロダクトの成長と創出が期待できる
顧客体験価値の向上に関する取り組みには、顧客のフィードバックの収集が必要不可欠です。商品・サービスに対する建設的な意見や要望を集めて、その内容を分析する過程を進めると、既存プロダクトの成長もしくは新規プロダクトの創出につながるアイデアが浮かぶ可能性もあります。
顧客の声に寄り添った姿勢を確立すれば、より有益なフィードバックの獲得も見込めるので、さらなる改善が期待できるでしょう。
顧客体験価値を構成する5つの要素
顧客体験価値は大きく分けると、以下の5つの要素で構成されています。
- 感覚的価値(Sense)
- 情緒的価値(Feel)
- 知的・創造的価値(Think)
- 行動価値(Act)
- 社会的価値(Relate)
各要素の概要も併せて解説します。
1|感覚的価値(Sense)
感覚的価値(Sense)とは、顧客が持つ五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)に働きかける価値のことです。例えば、商品のパッケージや店内のBGM、料理の味・臭いなどが該当します。
五感を通して顧客にポジティブな印象を与えることができれば、高評価の獲得や商品・サービスの差別化につながります。
2|情緒的価値(Feel)
情緒的価値(Feel)とは、顧客の感情に働きかける価値のことです。例えば、高級ブランドの商品を手にした際の感動、スタッフの丁寧な対応や気配りによる信頼感などが当てはまります。
昨今、商品・サービスの品質や価格だけで差別化を図ることは困難なので、顧客自身にアプローチする情緒的価値の重要性が高まっています。
3|知的・創造的価値(Think)
知的・創造的価値(Think)とは、顧客の知的好奇心に働きかける価値のことです。例えば、これまでにない視点を持ったサービスや、ユーザーによって使い方が大きく異なる商品などが挙げられます。
顧客のワクワク感を醸成することは、顧客体験価値の向上につながります。
4|行動価値(Act)
行動価値(Act)とは、顧客の身体的行動やライフスタイルに変化をもたらす価値のことです。例えば、ロボット掃除機を導入した場合、顧客は掃除の手間を省けるだけではなく、今まで掃除に費やしていた時間を他のことに回せるようになります。
新たな顧客体験を提供することで、顧客の人生を変える価値が生まれる可能性もあります。
5|社会的価値(Relate)
社会的価値(Relate)とは、集団への帰属意識がもたらす価値のことです。例えば、有名人のファンクラブや限定メンバーシップに参加したり、好きなプロスポーツチームのグッズを購入したりすることが該当します。
モノ自体を得ることより、特別なコミュニティに所属していることが価値を生み出しています。
顧客体験価値を向上させる方法
顧客体験価値を向上させるためには、以下のような方法を実践する必要があります。
- データ活用の基盤構築
- カスタマージャーニーの把握と最適化
- パーソナライズされた体験の提供
- カスタマーサービスの改善
- 質の高いカスタマーサクセスの提供
- オムニチャネル戦略の活用
- 生成AIの活用
- NPS®の活用
それぞれ概要や注意点を詳しく解説します。
データ活用の基盤構築
顧客体験価値の向上に取り組む場合、まずは各タッチポイント(顧客接点)のデータを一元化する必要があります。しかし、顧客情報を統合したデータ基盤をしっかり構築できていないと、データの一元化は困難なので、適切な分析や顧客体験に優れたサービスの提供も難しくなるでしょう。
データ基盤の構築・整備を行う場合、ツールの活用をおすすめします。例えば、顧客データを統合・分析できる「CDP(Customer Data Platform)」を使うと、自社サービス上の顧客行動や実店舗の行動データなどを集約・分析することが可能です。
データ基盤を構築すれば、事業や部門を横断してデータを活用できるようになります。
カスタマージャーニーの把握と最適化
カスタマージャーニーとは、顧客が商品・サービスの存在を認知し、実際に購入してから継続や再購入を検討するまでの一連の体験を「旅(Journey)」に例えた概念です。
顧客体験価値の向上に取り組む場合、カスタマージャーニーを可視化した「カスタマージャーニーマップ」が欠かせません。認知・検討・購入・利用などのプロセスに分けつつ、カスタマージャーニーの全体像を把握しましょう。
カスタマージャーニーをもとに各プロセスとタッチポイントを最適化すれば、顧客体験を包括的に向上させることが可能です。
カスタマージャーニーマップの詳しい作成方法はこちら
企業成長を導く「顧客体験(CX)」とは?その重要性と高める方法や事例を紹介
パーソナライズされた体験の提供
顧客体験価値は「良質な顧客体験」によって向上しますが、すべての顧客が同一の体験を求めているとは限りません。そのため、顧客一人ひとりのニーズや行動を踏まえつつ、顧客体験をパーソナライズ(最適化)することが大切です。
例えば、ECサイトで購入履歴や属性をもとにレコメンドすれば、顧客は「自分に合った商品を紹介してくれている」という特別感を抱くようになります。
パーソナライズされた体験を提供すれば、顧客一人ひとりにより大きな価値を感じてもらえるので、顧客満足度や信頼度だけではなく、売上や収益の向上にもつながるでしょう。
カスタマーサービスの改善
顧客の多くはカスタマーサービスの対応品質を重視しているので、その改善に取り組むことで、顧客体験は向上する傾向があります。逆に1回でもカスタマーサービスに問題や不満を感じると、競合他社に移行してしまう可能性があるため、常に高いレベルで対応品質を維持しなければなりません。
海外の調査データによれば、カスタマーサービスの迅速な対応(Comm100:Quick response 71%)が、顧客体験を向上させることを示しています。
出典:Infographic Millennials Prefer Live Chat for Speed and Convenience|Comm100
顧客がカスタマーサービスに求める要素は、以下の3つです。
- スピード:迅速に問題を解決できる
- 利便性:いつでもカスタマーサービスを利用できる
- 共感力:サポート担当者が親身に対応してくれる
これらの要素を意識しつつ、カスタマーサービスの改善に取り組みましょう。
質の高いカスタマーサクセスの提供
カスタマーサクセスとは、自社の商品・サービスを通じて顧客の成功を支援するための取り組みです。例えば、SNSやメルマガで商品の上手な活用方法を紹介したり、サービスの契約者に対して企業から疑問や不安がないか声掛けしたりすることが該当します。
商品・サービスの利用を助けるとともに、本来の価値を感じてもらいやすくなるため、顧客体験価値の向上にも効果的です。
また、顧客が商品・サービスを初めて利用する際の支援「オンボーディング」も重要です。海外の調査データでは、購入後に顧客を支援するオンボーディングコンテンツに投資する企業に対し、86%の人が忠誠を誓う可能性が高いという結果が出ています。
また、10人中8人の人は「使い方がわからない」という理由で、アプリを削除したことがあると回答しています。
出典:How Onboarding Optimises User Retention [UNIQUE DATA]|Wyzowl
オムニチャネル戦略の活用
オムニチャネルとは、顧客と企業の接点となるチャネル同士を連携させて、顧客にアプローチする販売戦略のことです。例えば、実店舗にオンライン注文専用のカウンターを設置したり、お買い物アプリに接客用のAIチャットボットを導入したりするケースが該当します。
オムニチャネルの仕組みを構築すれば、サービスの利便性が高まるだけではなく、より一貫性のある顧客体験を提供できるため、結果的に顧客体験価値も向上します。
なお、オムニチャネルは「マルチチャネル」「O2O」とよく混同されがちですが、実際は別物なので要注意です。
生成AIの活用
生成AIとは、テキスト・画像・動画・音楽といったコンテンツを新たに生み出すAI(人工知能)のことです。従来のAIよりコンテンツの創造性が段違いに高くなっているので、人間が作ったコンテンツと相違ないクオリティを実現できます。
生成AIが進歩したことで、以下のようなシステムや取り組みが強化されたため、顧客体験価値にも良い影響をもたらしています。
- チャットボットの回答精度向上
- ユーザーレビューの要約
- パーソナライズの促進
生成AIの活用により、従業員の業務効率化も進めることができるため、有効な活用法を検討しましょう。
NPS®の活用
NPS®とは、顧客ロイヤルティを測るための指標です。「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略称となります。
NPS®調査では、アンケート対象者に「商品・サービスを親しい人にどのくらい薦めたいか」という旨の質問を実施し、0~10の11段階で回答を取得します。最終的に顧客ロイヤルティを数値化することで、顧客体験全体および各タッチポイントの評価を確認し、改善につなげることが可能です。
専門家にNPS®調査を依頼したり、NPS®の運用ツールを活用したりすれば、より精度の高い調査を実施できます。例えば、顧客体験価値への影響度が高い項目を明確化できるため、より効率的・効果的なアプローチができるでしょう。
顧客体験価値の測定に有効な指標
顧客体験価値を測定する場合、以下のような指標も有効です。
指標 | 概要 |
---|---|
CSAT(顧客満足度スコア) | 商品・サービスに対して顧客がどれくらい満足しているかを測るための指標。顧客の声を集めて改善を進めることで、顧客ロイヤルティの向上を実現できる。 |
CES(顧客努力スコア) | 顧客がサービスを利用するにあたって、どれくらい労力がかかったかを測るための指標。労力を削減することで、顧客ロイヤルティの向上を実現できる。 |
eNPS® | 「自分の職場を親しい人にどのくらい薦めたいか」と質問し、従業員の満足度を測るための指標。従業員の意見に基づいて社内を改善することで、顧客体験価値に良い影響を与えられる。 |
アクセス解析 | 顧客がWebサイトやアプリをどのように利用しているかを分析する手法。顧客の行動に基づいて改善を図り、顧客体験の向上につなげる。 |
リテンションレート(顧客維持率) | 顧客がWebサイトやアプリにどれくらい再訪しているかを示す指標。顧客と長期的かつ持続的な関係を築くための施策を検討する際に役立つ。 |
LTV(顧客生涯価値) | 一人の顧客が生涯(取引を開始してから終了するまでの期間)を通じて自社にもたらす価値を示す指標。取引期間中に顧客がどれくらい利益をもたらしているか計測し、経済的な価値を測る。 |
CS解決率 | 問題解決率やワンコール解決率など、カスタマーサービスの対応品質を評価する指標。顧客の反響やフィードバックをもとに、マーケティングの改善や調整を図る。 |
現状の顧客体験価値を包括的に分析できるNPS®に加え、上記の指標も必要に応じて活用しましょう。
顧客体験価値向上の成功事例
顧客体験価値の向上に取り組む場合、他社の成功事例を知っておくことも大切です。いくつかの事例を具体的な施策内容とともに紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Uber(ウーバー)
タクシーの配車サービスで有名なUberは、本国アメリカで強力な顧客体験を提供しています。92%という高いブランド認知度に加え、モビリティサービスユーザーの63%が同ブランドを支持していることが何よりの証明です。
さらに、アメリカのキャリアサイト「Comparably」が実施しているユーザーアンケートでは、「あなたは自分自身を忠実なユーザーだと思いますか?」という質問に対し、76%のユーザーが「はい」と回答しています。
出典:Comparably|Uber is ranked #10 in Top Brands for Millennials
Uberでは、タクシーを呼ぶ際のあらゆる問題点を洗い出し、それらを一つずつ解消しました。タクシーの現在位置や到着時間を正確に伝えることで、待ち時間のストレスを最小限に抑えています。
また、最近は現金を持ち歩く人が少なくなっているため、アプリ内クレジットカード決済に対応している点も強みです。
Netflix(ネットフリックス)
Netflixは定額制動画ストリーミングサービスの代表格であり、特にオリジナルのドラマや映画は日本でも注目を集めています。
有料会員数は2011年時点で2,150万人でしたが、2019年時点だと1億5,800万人超まで増加しています。2024年は第1四半期だけで、新規有料会員が900万人以上も増加している状況です。
Netflixでは、ユーザーのパーソナライズに注力。プロフィールや視聴履歴に基づいてアルゴリズムが働き、リアルタイムでおすすめのタイトルを判断・提案されるため、ユーザがつい夢中で視聴してしまうという体験を提供しています。
またX(旧Twitter)やInstagramといったSNSとの連携も充実しているため、好きなタイトルでコミュニティを形成しやすいことも特徴です。
JetBlue(ジェットブルー)
JetBlueは、アメリカの格安航空会社です。格安航空会社というと「料金が安い代わりにサービスは悪い」というイメージが一般的ですが、同社はエコノミークラス・ベーシックエコノミークラスにおいて顧客満足度第4位(北米)、ファーストクラス・ビジネスクラスでは2位を獲得しています。
出典|statista|JetBlue Airways - statistics & facts
例えば、チェックインカウンターに並ぶ人々に水とドーナツを配ったり、フライト中に無料チケット付きのクイズゲームを開催したりするなど、顧客体験を向上させる数々の施策はどれも好評です。
また、JetBlueは専用の顧客サービスプランも用意しており、限られた条件下であっても最高の旅行体験を提供することに注力しています。
Disney(ディズニー)
Disneyは多くの人が知っている有名企業であり、アメリカのウォルト・ディズニーワールドには毎年多数の人々が訪れています。顧客ロイヤルティスコアも83%と高水準ですが、その裏には最高の顧客体験を提供するための施策があることも事実です。
出典:Comparably|The Walt Disney Company is ranked #13 in Global Top 100 Brands
例えば、ディズニープリンセスの配役は本人の希望ではなく、オーディションの審査員の判断によって決定します。合格者は体型やサイズの管理はもちろん、役柄を理解するために長期間のトレーニングを受けなければなりません。
また、プリンセスを演じる前にマスコットキャラクターとして働く期間も設けられており、来訪客を楽しませるノウハウを実践形式で学ぶ必要があります。いざプリンセスを演じ始めたら、今度は子どもたちの夢を壊さないよう、常にプリンセスとして振舞うことが求められるのです。
IKEA(イケア)
スウェーデン発祥の家具ブランドであるIKEAは、一般的な顧客体験から排除される摩擦や緊張をあえて活用することで、顧客ロイヤルティを高めています。
IKEAは実店舗を訪れる顧客が多いため、家具を自宅に置いたらどう見えるかについて考慮したディスプレイとなっています。ブースで仕切り、居室をイメージした空間に家具を配置することで具体的なイメージを見せるという方法です。顧客は各ブースをめぐることになるため、店内を歩き回る必要があります。一見面倒なこの行動ですが、家具のある暮らしを想起できるため、良い体験ととらえられています。
一方、同社のモバイルアプリで買い物リストを作成したり、ARテクノロジーで家具を疑似的に自室へ置いたりするなど、デジタル技術を使った顧客体験にも注力しています。
顧客体験の管理や改善に関する詳しい情報はこちら
顧客体験マネジメント(CXM)とは?CRMとの違いや成功のポイント、企業事例を紹介
顧客体験価値の向上をサポートするNTTコム オンラインの「NPS®ソリューション」
NTTコム オンラインでは、顧客体験価値の向上をサポートする「NPS®ソリューション」を提供しています。サービスの概要や導入事例も紹介するので、ぜひご確認ください。
NPS®のスムーズな導入・活用に「NPS®調査・コンサルティング」
「NPS®調査」では、経験豊富なNPS®認定資格者がアンケートの設問設計や実査、レポートなどを支援しています。
自社のポジショニングを調べる「NPS®ベンチマーク調査」や、自社のNPS®の有効性を検証する「NPS®アセスメント調査」にも対応可能です。さらに、収益性の相関や推奨者・批判者の経済的な価値などの検証も行っています。
また、高いロイヤルティの要因分析や優先改善項目の把握、改善につながる調査もサポート可能です。ブランドロイヤルティ調査では、以下のような取り組みを実施しています。
- 4つの品質保持(モニター・調査票・アンケートシステム・回答結果)を柱とした「クオリティポリシー」に基づく徹底した品質確保
- 自社の位置づけや課題を把握し、ブランド価値向上に効果的なアクションにつなげる
- 自社の認知度向上や新規顧客獲得に向けた戦略立案
もう一つのNPS®コンサルティングでは、導入・定着・活用・拡大といった各フェーズでNPSコンサルタントが適切なサポートを提供しています。
NPS®の運用をサポートする「NPS®分析・顧客体験管理ツール」
NPS®ソリューションでは、顧客の課題に合わせて2種類のツールラインナップを提供しています。主な機能と併せてご確認ください。
クアルトリクス(顧客体験管理ツール)
- カスタマージャーニーを直接把握し、顧客の不満をベストタイミングで解消
- オムニチャネルによるインサイト分析で、満足・不満の根本原因を解明
- 多拠点の顧客体験を一元管理することで、顧客体験の最適化を促進
NPX Pro(NPS調査ツール)
- NPS®アンケートの設問を標準搭載することで、迅速な作成・配信を実現
- リアルタイムで回答結果を確認し、各種フレームワークで分析可能
- NPS®アンケートの分析結果をツール上で共有し、改善を効率化
導入事例|Experian 様
Experian(エクスペリアン)様は、世界各国でデータや分析ツールを提供している情報サービス企業です。顧客重視の企業文化をさらに推進できるよう、迅速なフィードバック対応を行ったり、新商品開発に向けてカスタマーインサイトを利用したりするなど、NPS®ソリューションを積極的に活用しました。
その結果、CSDA 部門はすべての主要ロイヤルティドライバーで競合企業を超える評価を獲得。社内でのロイヤルティドライバーの満足度も向上し、NPS®と業績が継続的に向上しています。
顧客体験価値の向上は取り組むべき重要施策
消費傾向の変化や顧客接点の多様化が進んでいる現状、顧客体験価値は企業の成長に欠かせない重要なファクターです。顧客体験価値が向上すれば、顧客ロイヤルティや収益が向上するだけではなく、プロダクトの成長・創出にもつながります。
カスタマージャーニー・パーソナライズ・オムニチャネル・NPS®など、顧客体験価値は複数のアプローチを通じて向上させる必要があるので、それぞれ理解を深めておきましょう。
特にNPS®は高い効果が見込めます。よりスムーズに調査や運用を行いたいならNPS®ソリューションの導入もご検討ください。
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顧客満足度とNPS®
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