2021/12/24

顧客満足度とNPS®

企業成長を導く「顧客体験(CX)」その重要性と向上させる方法とは

顧客体験(CX)とは、顧客が商品・サービスを知ってから購入・利用、アフターサービスに至るまで、一連の企業との接点における体験のことです。顧客体験は、顧客接点が増えたことや消費スタイルの変化などにより注目度が高まっており、顧客に良いCXを提供できれば、総合的な顧客ロイヤリティの向上につながり、企業の安定的な成長を実現できます。

この記事では、顧客体験の重要性やNPSを活用した分析方法、顧客体験を向上させるための手順などを解説します。

顧客体験とは?なぜ大切なのか

最初に顧客体験の意味や重視されるようになった背景、顧客満足度・顧客ロイヤルティとの違いなどを説明します。

顧客体験とは?

「顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)」は、Customer(顧客)と Experience(体験)を組み合わせたマーケティング用語で、「顧客体験価値」「顧客経験」とよばれることもあります。顧客が製品やサービスを知って興味を持ち、他と比較しながら購入して、アフターフォローを受けながら利用し続けるまでの、一連の企業との接点における体験のことです。

スマホの普及や、商品を売ってからが始まりとなるSaaS型ビジネスモデルの浸透により、顧客は企業とたくさんの接点を持つようになりました。顧客は、欲しい商品や興味のあるサービスの検索や比較を日常的に行い、SNSや比較サイトで口コミを確認してから購入します。質問があればチャットで企業に問合せをして、配送やサービスのきめ細やかさやアフターサービスも、厳しくチェックします。製品やサービスに何か問題があればすぐに口コミで拡散し、簡単に他のブランドに乗り換えてしまいます。

このように顧客との接点が増え、顧客の好感や不満が簡単に拡散できるようになったことから、それぞれの接点で顧客ニーズに合った体験を提供することが求められるようになりました。商品の開発から提供、アフターフォローまで、全ての接点における顧客体験の向上が、顧客の総合的な満足度や顧客ロイヤルティの向上につながり、企業の売上増や成長を促すことになります。こうした理由で、顧客体験が重視されるようになったのです。

顧客体験における5種類の価値

顧客体験で得られる価値としては、満足しているなどの感情的価値や合理的価値などが挙げられます。アメリカの経済学者であるバーンド・H・シュミット氏は、この顧客体験における価値を、5つに分類しました。

Sense(感覚的価値)

視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感で得られる価値のことです。例えば、美しい風景や心地よい音楽、おいしい料理などにより、感覚的価値がもたらされます。

Feel(情緒的価値)

顧客の感情や内面に働きかけることでうまれる価値のことです。嬉しい、安心できる、感激した、かわいい、興奮したなど、心が動く体験価値がこれにあてはまります。

Think(創造的・知的価値)

顧客の好奇心や探究心に働きかけることでうまれる価値のことです。興味がわく、もっと詳しく知りたい、それによりアイディアがうまれるなど、創造力や知的好奇心をかき立てる経験で得られる価値です。

Act(行動、ライフスタイルにかかわる価値)

今までにない体験や、ライフスタイルに変化をもたらすような体験によって得られる価値のことです。具体的には、初めてチャレンジするアクティビティや、新しい技術で利便性が向上したなどの体験がもたらす価値のことです。

Relate(準拠集団への帰属価値・社会的経験価値)

特定の集団に属することで得られる体験価値のことです。ファンクラブや同じ目的を持つサークル、イベントへの参加など、集団の一部となることで得られる特別感です。

顧客体験が重視されるようになった背景

顧客体験が重視されるようになった背景としては、以下の理由が挙げられます。

スマホ・SNSの普及による顧客との接点の増加

多くの人がスマホやタブレットを日常的に使うようになったことで、企業が発信する情報にいつでもどこででも簡単にアクセスできるようになりました。その結果、商品・サービスの認知から比較・検討、購入、アフターサービスという一連の消費行動における企業と顧客との接点が増えています。また、個人による商品やサービスの使い勝手やアフターフォローの良し悪しなどの情報提供も気軽にできるようになり、それに左右される顧客も増えています。情報過多の中で、自社の商品やサービスに多くの支持を集め、あらゆる接点で顧客の満足度を高めるためにも、顧客体験を重要視することが求められるようになりました。

データの取得や活用技術の発展

また、テクノロジーやAIの進化に伴い、スマホやIoT機器など多様なチャネルを経由して、顧客の購買情報や位置情報、広告効果など、さまざまな詳細データを入手できるようになりました。これらのビッグデータを解析する機械学習やディープラーニングの精度も上がり、顧客一人ひとりに合わせた顧客体験の提供が可能となりました。

コト消費、イミ消費へ。消費スタイルのシフト

顧客の消費スタイルは、商品やサービスの機能を重視する「モノ」消費から、体験に価値を置いて消費の対象とする「コト」消費へとシフトしています。さらに最近では、商品・サービスに付帯する社会的・文化的な価値に共感して選択する「イミ」消費や、特定のその時、その場所でしか得られない体験を求める「トキ」消費も増えています。いずれも商品やサービスを通じて得られる経験による付加価値を求めており、こうした消費スタイルのシフトも、顧客体験重視を後押ししています。

差別化が難しい市場の成熟化

今は多くの市場で成熟化が進み、商品がコモデティ化しており、商品やサービスそのものに対する満足度は高くても、購入プロセスやサポート体制などにちょっとした不満があると、すぐに競合の商品・サービスに移行してしまいます。こうした市場の中で生き残るには、顧客一人ひとりが望む顧客体験を提供し顧客ロイヤルティを上げることが不可欠であり、企業にとって喫緊に解決すべき課題となっています。

サブスクリプションなどSaaSビジネスの浸透

サブスクリプションなどSaaS型のビジネスモデルが急速に増えていることから、従来の「売ったら終わり」から「売ってからが始まり」へと、マーケティングスタイルが大きく変化しています。自社の商品やサービスを長く使い続けてもらうには、顧客ロイヤルティやLTVの向上が必要で、それらを支える顧客体験が注目されるようになったのです。

顧客体験と顧客満足度、顧客ロイヤルティの違い

顧客満足度(CS)は、顧客が商品を購入、あるいは、サービスを利用した際の満足度のことで、主に購入・利用の1回ごとに測る指標となります。一方の顧客ロイヤルティとは、顧客が企業や製品、ブランド、サービスに対して、信頼や愛着を感じている状態のことです。1回限りの購入や利用だけではなく、顧客の長期的な愛着度や継続利用の見込みを判断する指標として用いられます。サブスクリプションなどが浸透した今では、顧客満足度よりも、自社商材の継続的なファンを育成する、顧客ロイヤルティの向上が重要視されています。

また、顧客満足度が、商品やサービスを「購入した」「利用を始めた」時点の顧客が対象であるのに対し、一連の接点における体験である顧客体験(CX)は、「興味を持ち始めた」「比較・検討している」見込み客や、購入後に「利用し続ける」既存客も対象となります。

企業が安定した売上増と成長を見込むには、1回限りではなく継続して自社商材をご愛顧いただく必要があり、そのためにも、接点ごとに満足度の高い顧客体験を提供した、顧客ロイヤルティの向上が重要となるのです。

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顧客体験はカスタマージャーニーマップで整理する

顧客との全ての接点において、より満足度の高い顧客体験を提供するには、カスタマージャーニーマップを活用して整理することをおすすめします。

カスタマージャーニーマップの重要性

顧客のニーズを把握して、各接点で適切な顧客体験を提供するには、接点ごとのアプローチ方法を整理できる、カスタマージャーニーマップの活用が適しています。顧客が旅をする姿に見立てて作成するカスタマージャーニーマップに落とし込むことで、プロセスが可視化でき、顧客との最初の接点からアフターフォローまで、一気通貫した戦略の構築にも役立ちます。また、強化すべきポイントや改善点を明確にできる利点もあります。

顧客視点に立った価値の創造を

カスタマージャーニーマップの作成で注意したいのは、顧客視点に立った体験価値の提供を落とし込むという点です。企業都合による価値の提供ではなく、あくまでも顧客が望む価値の創造が重要で、顧客が満足して長く利用したくなる体験を設定するようにしましょう。

顧客体験を向上させるには?

ここからは、実際に顧客体験を向上させるための対策の進め方を、段階ごとに説明します。効果的な顧客体験向上を目指すのであれば、「NPS」の活用をおすすめします。

STEP1.KPIやターゲットを明確にする

最初に、顧客体験を向上させる目的やKPI、行動指針、ターゲットなどを明確にします。顧客体験を向上させるには、顧客と接する現場だけではなく、他部署や経営層も含めた理解と協力が必要となり、企業としてどのように取り組むかの方針づくりも重要となります。ターゲットは、顧客情報などのデータを元に、購入頻度やロイヤルティの度合などでセグメントして、戦略的に攻めるターゲットを決めるとよいでしょう。

STEP2.NPSを活用して現状を把握する

会社の方針やターゲットが決まったら、現状を把握する作業を行います。その際は、NPSを活用すると、重要な顧客接点や、顧客体験の課題などを把握できます。

NPSとは

「NPS」(Net Promoter Score)は、顧客ロイヤルティを測る代表的な指標として知られています。計測は、顧客に対するアンケート形式で行い、製品やサービスを人に勧めたい度合によって、0~10点で評価してもらいます。アンケートの結果によって、6点未満の顧客を「批判者」、7~8点の場合は「中立者」、9~10点と付けた人は「推奨者」として分類して、推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値がNPSとなります。例えば、推奨者の割合が40%、批判者の割合が10%であった場合、NPS=40%-10%=30となり、NPSが高いほど顧客ロイヤルティが高いということになります。

NPSは、計測方法が簡単で、結果の信頼性が高いことから多くの企業が導入しており、他社との比較に容易に利用できることも、メリットのひとつです。

詳しくはコチラ

NPS調査で確認したい顧客体験

リレーショナル調査では、顧客のブランド体験全体に対する評価を確認します。顧客は年間を通じて、ブランドと直接的・間接的に様々な接点を持ちますが、その全ての体験をまとめた評価を調査するものです。NPSの設問と合わせて、各顧客接点の満足度を確認しておくと、どの顧客接点の体験が顧客にとって評価が高いのか、ロイヤルティを高めるために重要なのかを知ることができます。この調査は、複数の体験をまとめて確認するので、年に1~2回の実施が望ましいとされています。

一方のトランザクショナル調査は、ロイヤルティへの影響が高い顧客体験の直後に調査を実施して、その体験に対する評価を確認するものです。具体的には、顧客が店舗で商品を購入する、Webサイトで情報を得る、カスタマーセンターに問合せをするなどの後に、その体験に対する評価を確認します。顧客体験一つひとつに対する正確な評価を把握でき、課題の発見につながります。また、ロイヤルティの度合が異なる顧客の体験や満足度を比較して、サービス改善につなげることなどもできます。年間で定期的に実施する場合や、必要に応じて都度実施する場合があります。

NPS調査で現状を確認する場合は、リレーショナル調査で重要な顧客接点や顧客体験を抽出し、トランザクショナル調査で、その顧客接点における課題を発見するというような使い分けをすると、より具体的な状況を把握できます。できれば2種類両方の調査結果を合わせて確認することが望ましいといえます。

STEP3.課題を明確にする

NPS調査によって重要な顧客接点や、課題のある顧客体験を把握できたら、どの部分に問題があり改善すべきかを突き止めていきます。その体験は顧客の期待以上の価値を与えているか、顧客の事情をふまえた価値なのかなど、あくまでも顧客の視点に立って整理することが大切です。

STEP4.解決策を策定する

続いて、課題ごとに、その解決策を導き出します。例えば、「興味・関心」段階での顧客体験の満足度が低く、ロイヤルティへの影響が大きい場合には、SNSを有効活用してみましょう。InstagramやTwitterなどのSNSは、プラットフォームごとに主な利用層が異なるので、狙ったターゲットが多く利用するSNSを活用することで、ニーズに合った情報を届けることができます。また、「購入・利用段階」の顧客体験を改善するには、利用頻度や利用額の多さや、特定の貢献度などに応じて、優良顧客にさまざまなサービスや特典を提供する「ロイヤルティプログラム」などを実行するのもよいでしょう。優良顧客限定のイベントへの招待や有償トレーニングの無償化などの対策が、優遇される立場にある自覚と誇りをうみ出し、さらなるロイヤルティ向上につながります。

STEP5.定期的なPDCAを回す

解決策を実践した後は、必ず効果検証を行い、問題点があれば改善していきます。できれば、年に1~2回のリレーショナル調査の実施と、状況に応じた定期的ないしは随時トランザクショナル調査を行い、効率的にPDCAを回していくようにしましょう。

まとめ

消費スタイルやビジネスモデルが変化した現代では、消費活動の各接点において、満足度の高い顧客体験を提供することが顧客ロイヤルティを上げ、企業の安定的な売上増や成長につながります。顧客一人ひとりに適切な顧客体験を提供するには、NPSを活用することで現状を正確に分析でき、課題解決策の効果検証なども容易にできるようになります。NPSは計測方法が簡単で結果の信頼性が高いことから、多くの企業が導入しています。

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