2025/04/03

NPS®(ネットプロモータースコア)入門・導入編

ES(従業員満足度)調査に活用できる9の指標(KPI)を徹底解説

従業員満足度とは、業務内容・労働環境・福利厚生・マネジメント体制などに対する従業員の満足度を表す尺度のことです。英語では「Employee Satisfaction」と表記しますが、一般的に略称の「ES」で呼ばれています。

本記事では、ES調査に欠かせない指標の基礎知識を踏まえつつ、ES調査に活用する代表的な指標の詳細、コアな指標にeNPS®をおすすめする理由について解説します。また、ES調査に役立つサービスも紹介するので、従業員満足度の調査を検討している方は、ぜひご一読ください。

この記事の内容
  • ES(従業員満足度)は多様な要素で構成されており、ES調査で用いる指標(KPI)も企業によって異なる。
  • ES調査に活用する主な指標としては、定着率・離職率・内部昇進率・オンライン企業評価・eNPS®などが挙げられる。
  • ES調査のコアな指標には、従業員のエンゲージメントを計測できるeNPS®を活用すると良い。

ES(従業員満足度)調査に必要な指標(KPI)は企業によって異なる

従業員満足度を構成する要素は多種多様であり、企業によって活用している指標も異なります。ES調査に必要な指標も企業によりけりなので、仮説を立てたうえでES調査を行い、その結果に基づいて改善しなければなりません。

従業員満足度が高まると、従業員エンゲージメント(会社に対する愛着や共感)や仕事のパフォーマンスが向上しやすくなります。

さらに、厚生労働省が発表した資料によれば、従業員満足度と顧客満足度を重視する企業は顧客満足度のみ重視する企業に比べると、売上高や営業利益率が高いことも判明しています。

出典:取り組みませんか? 「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保|厚生労働省

ここまで解説した通り、従業員満足度は企業成長に関わる重要な要素です。次章より紹介するES調査に活用できる指標を把握したうえで、自社にマッチしたものを選択しましょう。

従業員エンゲージメントの意味・重要な理由とは?向上させる方法や事例も紹介

NPS導入事例と成功のためのポイントをご紹介! NPS導入を成功させる4つの秘訣 詳細はこちら

ES調査に活用する代表的な指標

ES調査に活用する代表的な指標としては、以下の9つが挙げられます。

  1. 定着率・離職率
  2. 欠勤率
  3. 試用期間後の継続率
  4. 内部昇進率
  5. オンライン企業評価
  6. 従業員アドボカシーの数
  7. 目安箱の結果
  8. ESI(Employee satisfaction index)
  9. eNPS®

それぞれ詳細も解説します。

1|定着率・離職率

定着率とは、企業に入社してから一定期間働き続けた従業員の割合を示す指標です。以下の計算式を用いることで、定着率を算出できます。

定着率(%)=現在の在籍従業員数÷入社時の従業員数×100

定着率が低い場合、入社後に離職する従業員が多いということなので、その企業は何らかの問題を抱えていると考えられます。

一方、離職率は一定期間内に離職してしまった従業員の割合を示す指標です。定着率と離職率を合わせると100%になるので、離職率は以下のように算出します。

離職率(%)=100-定着率(%)

定着率とは逆に、離職率の方は高いほど企業が問題を抱えている可能性も高くなります。

定着率とは?離職率との違いや高い会社の特徴、数値を上げる7つの方法を解説

2|欠勤率

欠勤率とは、所定労働日数のうち従業員が労働に従事していなかった日(欠勤日)の割合を示す指標です。以下の計算式を用いることで、欠勤率を算出できます。

欠勤率(%)=欠勤日数÷所定労働日数×100

欠勤率が高い場合、出勤している従業員やチーム全体の負担が増えるため、パフォーマンスや生産性の低下、離職率の増加といった問題を引き起こしかねません。従業員満足度に対する影響も大きいので、企業は早急に改善する必要があります。

3|試用期間後の継続率

試用期間後の継続率は文字通り、試用期間が終わったあとも引き続き働いている従業員の割合を示す指標です。試用期間後の本採用率とほぼ同義であり、新入社員や中途採用社員の定着化を図る「オンボーディング」の成功率と深く結びついています。

試用期間後の継続率が低い場合、従業員が仕事や企業風土に合わなかった、あるいはチームに溶け込めなかったという原因が考えられるため、採用基準や体制の見直しが必要です。

4|内部昇進率

内部昇進率とは、組織内で従業員が昇進する割合を示す指標です。内部昇進制を採用している企業の場合、従業員個人の業績に基づいて昇進の可否が決まるので、企業がトップパフォーマーを維持するうえで、重要な指標といえます。

人材マネジメントに注力している場合、内部異動率(組織内で異動する従業員の割合)なども指標として活用できるでしょう。

5|オンライン企業評価

オンライン企業評価とは、オンライン上で掲載された企業に対する従業員の評価です。従業員による企業のレビューサイトが代表的であり、自社と直接関わりのない一般ユーザーも閲覧できるので、就職・転職前の情報収集にも活用されています。

将来性・給与・人間関係・やりがいなど、項目ごとに詳細なレビューが記載されているため、現状把握に役立つ指標です。また、原則としてレビューは匿名で投稿されるので、忌憚のないリアルな意見を収集できます。

6|従業員アドボカシーの数

従業員アドボカシーとは、従業員がSNSなどで企業やブランドを宣伝することです。例えば、SNSで自社の事業やニュースをシェアしたり、自社製品に対する感想を述べたりすることを指します。

企業やブランドに対するエンゲージメントが高い従業員は、自社の情報を共有する意欲も高いので、デジタルマーケティングの効果を引き上げてくれます。従業員アドボカシーが成功すれば、売上アップや優秀な人材の採用につながるため、企業は推進したいところです。

近年は従業員アドボカシーを管理するツールも登場しているので、積極的に活用しましょう。

7|目安箱の結果

目安箱とは、従業員が企業への要望や不満を紙に書いて提出するシステムのことです。匿名で気兼ねなく意見を述べられるので、従業員は上司に相談しにくい悩みや自分が抱えている問題意識を伝えることができます。

さらに、企業は目安箱を設置することで、従業員の意見・提案・課題などを可視化できるため、双方にメリットがあるシステムです。

目安箱の結果から参加人数の推移や内容の変化をチェックすれば、従業員満足度を推し量ることができます。

8|ESI(Employee satisfaction index)

ESI(Employee satisfaction index)とは、従業員満足度を数値化したものです。「職場にどれくらい満足しているか」「理想の職場にどれくらい近いか」といったことを質問し、それらを10段階の数値で回答してもらうことで、より正確に従業員満足度を測定できます。

ESIを算出するための調査項目として、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が作成した項目を表形式で紹介するので、ぜひご参照ください。

大項目 小項目 項目の内容
「仕事」満足度 仕事内容満足度 自分の役職や等級から見て妥当な仕事内容、適度な仕事量
人材育成満足度 仕事を通じて身につけられる新しい知識やスキル、この3年での成長感
仕事継続満足度 勤続意向、会社への愛着、自身の仕事における将来像
「職場」満足度 職場でのノウハウの共有やたたえあう雰囲気、職場の人間関係
「上司」満足度 上司との関係や上司への尊敬、上司からの信頼や熱心な指導と援助
「会社風土」満足度 会社風土満足度 チャレンジする雰囲気や市場変化への迅速な対応、社員を大切にしている程度
会社インフラ満足度 情報インフラの充実や必要な設備の整備、リスク管理の徹底
会社風紀満足度 セクシャルハラスメント行為の有無や規律、マナーの遵守
「処遇」満足度 人事評価満足度 人事評価の公平性や人事評価基準の明確性、統一性
給与等満足度 業務内容や質と照らし合わせた年収の妥当性、成果や努力の処遇への反映度合い
個人目標満足度 目標設定の十分な話し合いや目標の進捗状況を話し合う機会
労働時間満足度 休日・休暇のとりやすさや労働時間の適切さ
「福利厚生」満足度 福利厚生満足度 勤務形態の自由度や退職金や年金の制度、慶弔についての配慮
「経営」満足度 会社のビジョンや経営方針への共感、会社の将来性
総合満足度 会社・職場・仕事に対する総合的な満足
表の続き →

出典:ES調査とそれに基づく組織改革|独立行政法人労働政策研究・研修機構

従業員満足度(ES)を上げるには?影響する要素や取り組み事例を紹介

9|eNPS®

eNPS®(Employee Net Promoter Score)とは、従業員の企業に対する愛着度や信頼度を示す「従業員エンゲージメント」を測定するための指標です。類似語にNPS®がありますが、こちらは顧客ロイヤルティ(企業に対して顧客が持つ愛着度や信頼度)を測定します。

eNPS®を測定する場合、従業員に対して「友人や知人にあなたの職場をどれくらい勧めたいか」という質問を行い、0~10の11段階で回答してもらいます。そして、回答者を「推奨者(9~10点)」「中立者(7~8点)」「批判者(0~6点)」の3つに分類し、以下の計算式を用いるとeNPS®を算出可能です。

eNPS®=推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)

eNPS®を指標として活用すれば、従業員の思考傾向や離職リスクをより正確に把握できます。

事業成長に寄与するeNPS℠とは?調査方法や向上させる方法を解説

ES調査のコアな指標にeNPS®をおすすめする理由

eNPS®を活用すれば、以下のようなメリットを享受できます。

  • 従業員エンゲージメントを測定できる
  • 従業員満足度に加えて企業への愛着度や信頼度も測定できるので、自社の実情を正確に把握しやすい
  • 従業員の立ち位置が明確になる
  • 従業員エンゲージメントを11段階評価で表すため、満足している・していないの2段階評価より従業員の立ち位置が明確になりやすい
  • 改善対策を検討しやすくなる
  • 推奨者を維持するための対策、中立者・批判者を推奨者に変えるための対策を検討しやすくなります。

eNPS®はES調査に役立つ指標ですが、設問設計や分析には知識と経験が必要です。自社にリソースがない場合、専門家に調査を依頼するか、ツールの活用を検討しましょう。

ES調査に有効なeNPS®の活用をサポートする「eNPS®調査」

NTTコム オンラインでは、eNPS®の関連サービスとして以下の2つを提供しています。

業界内での自社のポジショニングを可視化する「eNPS®ベンチマーク調査」

「eNPS®ベンチマーク調査」は、弊社パネル「NTTコム リサーチモニター」を活用した調査サービスです。業界内でのポジショニング調査や自社の強み・弱みの把握、従業員エンゲージメントに影響を与える要因分析などに対応しています。

アンケート調査や調査分析のほか、コンサルティングを提供するサービスも選択できるため、幅広いサポートを受けることが可能です。

eNPS®調査を手軽に実施できる「ES-Quick」

「ES-Quick」は、eNPS®調査およびES調査を簡単かつ手軽に実施できるリサーチサービスです。

調査は選択式のWebアンケートで行いますが、弊社が独自に用意した質問項目200問から20~最大60問を選ぶだけなので、設計や調査依頼に手間がかかりません。自由記述式の質問を含んだり、属性ごとの回答数を確認したりするなど、アンケート機能も充実しています。

また、アンケート結果はグラフ化されたレポート形式で提供するため、従業員エンゲージメントや従業員満足度、評価の要因をすぐ確認・分析できる点も強みです。

調査事例|製造業 様

ある製造業様は、従業員満足度のアンケート調査で求めている結果が集まらないこと、離職率増加の原因が分からないことが課題でした。

ES-Quickを導入した結果、従業員個人の意識が変わりチーム単位での業績が向上。さらに、従業員の不満を洗い出し、業務改善のPDCAも確立したため、スムーズに改善を行うことができ、離職率減少および全社での業績向上につながったといわれています。

ES調査は自社に合った指標を活用しよう

ES調査を成功させるためには、各指標の概要を押さえたうえで、自社に合った指標の選択・活用が必要になります。特にeNPS®は従業員満足度との関連性が深いため、ツールやサービスを使って導入したいところです。

eNPS®調査を行う場合、NTTコム オンラインが提供する「eNPS®調査」をご活用ください。ご紹介した2つのサービスを利用することで、従業員のリアルな声や評価を引き出します。

また、eNPS®の分析レポートもダウンロードしてご活用ください。

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