2021/01/07

カスタマーロイヤルティxビジネス

顧客エンゲージメントとは何か?信頼関係によるリピート率の向上

企業と顧客は広告・電話・メールなどのクローズドな関係性でしたが、現在では口コミサイトやSNSなどのソーシャルメディアが発展し、オープンなコミュニケーションが重要視されております。また、FacebookやX (旧Twitter)で、ユーザーの反応(いいね!・クリック・リツイート・シャアなど)を「エンゲージメント率」として指標化されたことから、マーケティングに浸透しています。本記事では、企業と顧客の信頼関係を示す「顧客エンゲージメント」の意味や重要性、具体的な向上方法などについて解説していきます。

「エンゲージメント」とは?

「エンゲージメント」は契約や約束、婚約などの意味がありますが、ビジネスでは「各種マーケティング活動において、顧客の興味や注意を引きつけ、企業と顧客の結びつきを強めること。」として使われています。ここでは、「顧客エンゲージメント」、「顧客ロイヤルティ」、「従業員エンゲージメント」について紹介していきます。

「顧客エンゲージメント」とは

「顧客エンゲージメント」とは、“顧客の行動“に基づいて評価される、企業と顧客の信頼関係や親密さを示す指標です。顧客エンゲージメントが高い場合、以下のような行動がとられるといわれています。

  • ポジティブな口コミを発信する
  • 多少の価格の差があってもサービスを利用する
  • 企業やサービスの情報発信に対して、すぐ反応する

エンゲージメントを高まる瞬間というのは、“顧客の感情“が企業やサービスに対して感動した時です。まさに「真実の瞬間(※)」といわれるもので“顧客の感情“を高めることが出来た結果で、企業にポジティブな影響を与えてくれます。
(※)消費行動における重要な顧客接点

「顧客ロイヤルティ」とは?

顧客エンゲージメントは “顧客の行動“で評価されますが、今まで計測が難しかった「企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか」を数値化することで、企業の顧客との接点における顧客体験の評価・改善に生かすための指標として「顧客ロイヤルティ」があります。「Loyalty」という忠誠心の意味からきており、顧客が企業やサービスに対する信頼や愛着の大きさを、NPS®(Net Promoter Score)で調査することができます。

2003年にグローバル経営コンサルティングファームBain & Companyのフレッド・ライクヘルド氏を中心とするチームにより評価方法NPS®(Net Promoter Score)が開発されております。原理は簡単です。顧客に対して「0~10点で表すとして、○○を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」のシンプルな質問となります。このアンケートを分析することで、「顧客ロイヤルティ」の評価ができます。

関連記事:NPS®とは?

顧客満足度や顧客エンゲージメントなどの様々な指標がありますが、「顧客ロイヤルティ」は売上と相関が強い事が調査結果より明らかです。

関連記事:第3回 NPSの向上は本当に企業の成長につながるのか?

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントとは、従業員が企業の理念やビジョンを共有し、企業への信頼や貢献意欲を持っているかを示す指標です。「思い入れ」や「愛着」、「信頼」などと表現される場合もあります。そのため、従業員に対するロイヤリティ向上も必要といえます。

従業員に対するロイヤルティ向上は誰の仕事か

顧客ロイヤルティを高めるには、自社従業員のロイヤルティ向上も重要です。NPS®は従業員ロイヤルティ向上の指標にも活用できます。経営陣や人事部ではなく、現場の事情を知る管理職が主導することで当事者意識を育み、現場の事情に沿った適切な対応が可能となります。

従業員に対するロイヤルティすなわち、従業員エンゲージメントが高いと、従業員は求められていること以上のことをしたいと願い、仕事へのモチベーションが高くなります。そのため、生産性が高くなったり、より質の高いサービスを提供できるようになったりするでしょう。その結果、顧客の満足度が上がり、さらに従業員の満足度も上がる、と好循環になります。従業員の定着率が上がり、優秀な人材の流出を防げるようにもなるでしょう。

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「顧客エンゲージメント」が重要視されるようになった背景

従来の主なマーケティング手法は、「良い商品を安く提供すること」でした。しかし、似たような商品やサービスがたくさん出回り差異化が難しくなると、消費者はどれを使っても同じだと感じるようになり、価格競争が激化します。また、インターネットやスマホの普及により、消費者はたくさんの情報を簡単に入手できるようになりました。情報の流れも、以前は「企業から消費者へ」という一方通行でしたが、今では消費者自身も情報を発信できるように変化しています。

見込み客を含む消費者に働きかけ、一人ひとりの顧客を大切に育てる必要があります。誰に、いつ、どのような情報を、どのような方法で提供するかをしっかり考えることが大切です。パーソナライズされた体験を提供し、企業と顧客のつながりを強め、顧客の関与度を高める施策も必要となってきます。

顧客エンゲージメント向上で期待できる消費者行動

顧客エンゲージメントを向上させると、顧客が継続して商品やサービスを利用してくれるだけでなく、顧客が第三者に紹介、良い口コミが広がります。意見や不満があっても、部外者に言うのではなく、直接企業に伝えてもらえるようにもなります。

一般的に、最初の消費者行動は、顧客が企業と接点を持つことです。自社サイトを訪れたり、提供したコンテンツを読んだりして、企業や商品・サービスを認知します。この段階では、顧客エンゲージメントはまだ低いでしょう。認知したものを理解したり気に入ったりすると、顧客エンゲージメントが少し上がり、商品購入ページなど企業にとってより詳しい情報を提供しているコンテンツを見たり、お気に入りに登録してくれたりします。商品購入やサービス利用、アプリケーションの利用などの消費者行動につながると、顧客エンゲージメントがさらに上がるでしょう。そして、満足すると、次なるレベルの消費者行動が期待できます。取引の継続や口コミ・レビューの発信、第三者への推奨などです。

このような消費者行動を促す大きな要因となるのは、商品やサービスへの満足感だけではなく、企業の理念やビジョン、サービス対応などへの感動が挙げられます。そのため、顧客エンゲージメント向上には、企業やサービスへの愛着を持ってもらうことが大切であると言えます。顧客がどのように商品を認知し購入に至るのか(カスタマージャーニー)から真実の瞬間を追っていきます。

具体的な施策の検討には、NPS®(ネットプロモータースコア)を利用したアンケートを実施して、満足度が高く推奨度への影響が大きい点や満足度の低い点などを理解し、顧客の感情をよく理解することも大切です。一人ひとりに合った情報を提供するために、顧客のニーズや好みを把握することも欠かせません。まず顧客とのつながりを作り、信頼関係を築き、良い顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の提供が最大の目的です。

オフラインで顧客と直接接触する接客・サポート

顧客エンゲージメントを向上させるためには、接客・サポート品質向上は欠かせません。対応一つで顧客エンゲージメントは大きく左右されます。実際に店舗やサービスを受けられる場所に出向く、サポートセンターに電話をかける、など五感で体験したことは感情に大きな影響を与えます。接客・サポート品質は、従業員一人ひとりの技術やモチベーションに影響される分野です。従業員エンゲージメントを向上させることが、接客サービスの向上につながり、顧客エンゲージメントの向上にもつながっていきます。

接客・サポートを担当するスタッフは、商品やサービスに関する知識はもちろん、接客のマナーや顧客に関する理解も深めておくと良いでしょう。対面する場合は従業員の服装や身なり、従業員同士のチームワークや雰囲気、インテリアを含めた店舗全体の印象も、大きな影響を与えます。コールセンターの場合は顔が見えなくても、伝わるものです。迅速で丁寧な対応は、顧客の企業に対する安心感や信頼感につながるでしょう。

オンラインで顧客と接触するサイトやSNS

FacebookやInstagram、X (旧Twitter)などの SNSは、顧客とつながるのに便利なツールです。ターゲットが関心のある話題や情報を提供し、投稿を継続して見たいと思わせることが、接触回数の増加につながります。「いいね!」やシェア、リンクやリツイート、ハッシュタグなどから、顧客エンゲージメントを調べる方法もあります。積極的に交流することで顧客や見込み客の生の声を知ったりするのにも役立ちます。情報を提供する際には、ただ事実を羅列するのではなく、「ストーリーテリング」を意識するとよいでしょう。伝えたい思いやコンセプトを、体験談やエピソードなど具体的な「ストーリー」として伝える方法です。理解や共感を得やすく、記憶にも残りやすいでしょう。サービスや商品を利用することで人生がどう変わるか、どんなメリットがあるかを、ターゲットが鮮明にイメージできるようにすると、感情が動き、行動につながりやすくなります。リアルタイムで結果がわかるため、変化が早い市場でも素早く対応出来ます。

ダイレクトメールやメールマガジンなど、電子メールを使って顧客エンゲージメントを向上させることもあります。親しみやすさをもってもらうために、オンライン上では必ず名前や顔を出して、より親近感を持ってもらえるように工夫している企業もあります。

まとめ:顧客エンゲージメントに適切な施策を知る

顧客との重要なタッチポイントはどこなのか?どのような施策とるのがいいのか?を検討するために、顧客の反応や声を聴くことが重要です。タッチポイントごとに顧客からアンケートを通じて声を収集するための仕組みや、複数のタッチポイントを跨ぐショートタームジャーニー調査も承りますので、ぜひお問合せください。

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