2023/04/27
NPS®(ネットプロモータースコア)入門・導入編
サイレントカスタマーの定義や割合とは?3つのリスクと対策方法を解説
直接クレームとして挙がってきていないのに、いつの間にかSNSやレビューサイトにネガティブな口コミが投稿されていた経験はないでしょうか。このように、直接声を挙げない物言わぬ顧客は「サイレントカスタマー」と呼ばれています。
サイレントカスタマーの存在を認識せず放置してしまうと、企業にとって大きな損失となる可能性が高いため注意が必要です。
この記事では、サイレントカスタマーがどれくらい存在するのかに加えて、放置するリスクや具体的な対策方法について解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
サイレントカスタマーとは?定義・関連法則・割合を解説
サイレントカスタマーとは、商品やサービスに何かしらの不満を抱えていても、提供する企業や人に直接声を伝えず離反してしまう顧客のことです。
ここからは、サイレントカスタマーの「定義」「危険性」「割合」について解説していきます。
サイレントカスタマーの定義は「企業に意見を伝えない顧客」
サイレントカスタマーの定義は、商品やサービスの不満を「直接」企業に伝えない顧客です。
企業に直接不満を伝えることはありませんが、友人や知人に伝えたり、SNSやレビューサイトなどで不満を発信したりする可能性はあります。
直接クレームを受けるわけではないため安心と思うかもしれません。しかし、知らないうちに顧客が離れてしまう可能性があるため、注意が必要です。
サイレントカスタマーは「サイレントクレーマー」と呼ばれることもあります。サイレントクレーマーについて対策まで詳しく解説している記事があります。こちらも参考にしてみてください。
サイレントカスタマーの危険性を示すグッドマンの法則
グッドマンの法則とは、アメリカのジョン・グッドマン氏が代表を務めたマーケティング会社TARPが行なった消費者苦情処理調査のデータから、佐藤知恭氏が分析により発見した以下3つの法則より名づけられました。
- 第一法則|クレームを伝えた顧客が対応に満足するとクレームを言わない顧客よりもリピーターになる確率が高い
- 第二法則|不満に関する口コミは好意的な口コミの「2倍」も影響力がある
- 第三法則|顧客に対して適切な情報を提供することで信頼が増し、良い口コミにつながるなど市場の拡大に貢献する
3つの法則のなかでも特に注目したいのが第一の法則です。顧客が納得できる適切なクレーム対応を行なえば、リピーターになる確率が高まるという分析結果が出ました。しかし、直接クレームを伝えてくる顧客よりも、クレームを言わない、または言えない顧客の方が圧倒的に多く、リピートにつながらないということも想定されます。
そのため、サイレントカスタマーを放置すると、顧客が離反するばかりか、知らないうちに不満点が拡散されていく可能性が考えられるでしょう。
サイレントカスタマーの割合は顧客の7割以上
サイレントカスタマーは、顧客全体の7割以上に及び、日本人は海外に比べて特に多いことが判明しています。
2020年2月に行われた、株式会社日経リサーチによる「生活者痛点 基本調査」、CCMC社による「2020 National Customer Rage Study」では、日本とアメリカで不満を感じた顧客の割合はともに約65%であるのに対し、クレームを直接伝えるのはアメリカでは51%、日本では27.5%という結果が出ました。
出典:株式会社日経リサーチ クレームしない日本人、「痛点」に先回りし顧客離れ防ぐ
日本では7割以上の顧客がサイレントカスタマーに該当するため、及ぼす影響は無視できません。サイレントカスタマーに対してどう先回りして対応していくかが重要です。
サイレントカスタマーを対策しない3つのリスク
サイレントカスタマーを放置することで、以下3つのリスクが想定されます。
- リピートにつながらず既存顧客を失う
- ネガティブな口コミにより潜在顧客・見込み顧客を失う
- 自社商品・サービスの課題に気付けない
ここからは、3つのリスクが及ぼす影響について詳しくみていきましょう。
1|リピートにつながらず既存顧客を失う
グッドマンの第一法則にもある通り、顧客が納得するクレーム対応ができるほどリピート率が向上します。しかし、サイレントカスタマーは直接声をあげてくれるわけではないため対応できません。そのため、リピートにつながる可能性は下がり、離反するリスクが高まってしまいます。
顧客が離反すると、離反した分を新規で獲得しなければなりません。しかし、1:5の法則が示すように、同額の目標を新規顧客で達成するためには、既存顧客のおよそ5倍のコストが必要です。
サイレントカスタマーの不満を解消できればリピートにつながる可能性が高まるため、対策は必須といえるでしょう。
2|ネガティブな口コミにより潜在顧客・見込み顧客を失う
グッドマンの第二法則が示すように、ネガティブな口コミはポジティブな口コミの2倍以上の影響を及ぼします。
顧客の購買行動における比較や検討段階では、SNSや動画チャンネルなどで情報を収集することがあります。とくにSNSでは拡散スピードが早く、フォロワーの多いインフルエンサーのSNSや動画に不満点が投稿されれば、瞬時に何万人もの人が目にしてしまう可能性があるでしょう。
サイレントカスタマーの対策を疎かにすると、見込み客を一気に失う可能性もあります。売上に与えるインパクトは非常に大きいため、適切な対策が求められるでしょう。
3|自社商品・サービスの課題に気付けない
顧客からのクレームは企業側が想定していなかった内容もあるため、商品やサービスの課題が明確になり価値を向上させる機会といえます。より良いものに改善することで、ロイヤルティを高めたり新規顧客の獲得につなげられます。
しかし、サイレントカスタマーは直接クレームを言ってくれません。サイレントカスタマーの対策をしないと自社商品・サービスの課題や顧客ニーズが把握できず、プロダクトの価値を高める機会を失ってしまいます。
クレームが多すぎるのは望ましくないですが、まったくないのも危険です。クレームがないことによる影響について解説した記事があります。こちらもぜひ参考にしてみてください。
サイレントカスタマーの対策は多くの効果をもたらす
顧客の趣味嗜好の変化に対応するため、商品やサービスは目まぐるしいスピードで多様化しています。しかし、短期的な成果だけでは継続的な事業成長は望めません。長期的な支持を獲得するためのプロダクトを構築する重要性が高まっており、それを実現するためにはサイレントカスタマー対策が必要となります。
クレームが顕在化していれば課題は明確になりますが、表面化した内容に対応するだけでは競合に遅れを取ってしまうでしょう。サイレントカスタマーが抱える悩みや不満をどう顕在化していくかが差別化を図る上では重要です。
サイレントカスタマーの声を顕在化できれば、商品やサービスの改善スピードが上がるほか、顧客ニーズを正確に把握できるようになり、継続的に利益が生まれるプロダクトを実現しやすくなるでしょう。
サイレントカスタマーの対策方法
サイレントカスタマーの対策方法には、以下4つの方法があります。
- SNSによるサポートを行う
- 問い合わせへの動線を見直す
- 適切な情報提供を行う
- 顧客が意見を表明できる機会を用意する
ここからは、4つの対策方法について詳しくみていきましょう。
SNSによるサポートを行う
SNSに投稿されている口コミに対して企業側から返信などの対応をすることで、サイレントカスタマーの意見をすばやく収集することが可能です。
SNSは利用状況に加えて、商品の購入やサービス加入のきっかけになることも増加傾向です。とくにX (旧Twitter)は男女ともに幅広い年代で活用され、企業アカウントをフォローしているユーザー数が多いSNSでもあります。
しかし、膨大な投稿から自社に関連するものをピックアップして収集するには、多くの手間と時間が必要です。そのため、SNSからリアルタイムで自動収集可能なツールが活用されています。
SNSの自動収集ツールのひとつ「Buzz Finder」は、X (旧Twitter)の投稿から商品名などを条件指定し、ポジティブな内容とネガティブな内容に分けて自動収集するほか、様々な分析にも活用できます。VoC(Voice of Customer=顧客の声)の自動収集にはツールの使用が効果的なため、ぜひ検討してみてください。
Buzz Finderの詳細はこちら
出典:総務省 令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
問い合わせへの動線を見直す
問い合わせ先が分かりづらい、限られた時間しか受け付けていないといった場合は、顧客がサイレントカスタマー化する可能性が高くなります。なるべく顧客がスムーズに問い合わせできるように、以下の点を見直してみましょう。
- ホームページやSNSなどの分かりやすい場所にフォームをつくる
- FAQ(頻度の多い質問と質問に対する回答)を充実させる
- 問い合わせフォームの入力項目数を見直す
- 24時間対応できるチャットボットを導入する
顧客にとって問い合わせのハードルが低くなるように配慮することで、少しでも多くのVoC収集に役立ちます。
適切な情報提供を行う
そもそも利用した顧客が不満を抱かなければ、サイレントカスタマー化することはありません。そのためには、顧客が不満に感じる原因を事前に考慮し、適切な情報提供による期待値の調整をすることも大切です。
クレーム要因のひとつに、企業と顧客の認識の違いが挙げられます。例えば、実際に使ってみると思っていたよりもバッテリーがもたないといった不満が顧客にあるとしましょう。この場合、広告や商品ページにある情報が足りないことで、顧客が理解できていなかったと考えられます。
商品のスペックを表示していたとしても、顧客が認識できる情報は限定的です。実際に使用する場面を想定して、不満に感じるであろうポイントの情報を提示することで、企業と顧客の認識ギャップを回避できる可能性が高くなります。
グッドマンの第三法則にあるように、商品やサービスを正しく理解してもらうためには、どの情報を提供するのが必要かを考えることが大切です。
顧客が意見を表明できる機会を用意する
顧客が意見を表明しやすい環境を整えることで、サイレントカスタマー化を防げる可能性が高まります。そのために、以下のような環境を検討してみましょう。
- 苦情相談窓口の設置
- コールセンターの設置
- 郵送によるアンケートの実施
また、形式的に設置するだけでなく、しっかりと声を受け止めて改善に役立てる姿勢を顧客に伝えることが重要です。
顧客アンケートの必要性について解説した記事があります。こちらもぜひ参考にしてみてください。
顧客満足度アンケートはなぜ必要?確認すべき指標、調査方法を解説
サイレントカスタマーの対策実施にはNPS®の活用が効果的
NPSとは、「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、商品やサービスをどれくらい人にすすめたいと思うかをスコア化した、顧客ロイヤルティを測る指標です。
NPSのスコアによって、批判者・中立者・推奨者に分けられます。
NPSを行うことで、顧客が意見を表明する機会を設けると同時に、商品やサービスの現状を把握することが可能です。マーケティング施策の効果測定や同業他社との比較にも役立ちます。
NPS®について詳しく解説した記事を用意しています。こちらも参考にしてみてください。
NPS®(ネットプロモータースコア)とは?
サイレントカスタマーの対策には「NPX Pro」
NPX ProはNPSの調査から分析を行うクラウドサービスで、大手企業をはじめ様々な企業が活用しています。NPX Proは、NPS調査を効率化・高精度化できる以下のようなメリットがあります。
- カスタマージャーニーのポイントごとに直感的な回答がしやすいアンケートの作成できる
- メールやSMSなど顧客に負担の少ない配信方法が選べる
- アンケート結果の自動収集により事務作業が軽減できる
- 分析ダッシュボードにより分析業務を軽減できる
- ダッシュボードやPDFダウンロードですばやくデータを共有できる
NPS公認資格を持つコンサルタントが導入から運用までをサポートするため、サイレントカスタマー対策を効率よくスムーズに行うことが可能です。
サイレントカスタマーの対策は長期的な事業成長に寄与する
サイレントカスタマー対策は、顧客ロイヤルティの向上につながります。顧客ロイヤルティが高まれば、リピートに加えて好意的な口コミによる拡散が期待できるため、企業にとって長期的な利益をもたらすでしょう。
NPSは顧客ロイヤルティの向上と相関性が高いことが判明しています。NPSをマーケティングに活かすにはNPX Proの活用が有効です。まずは機能や導入事例を確認してみてはいかがでしょうか。
NPX Proの詳細はこちら
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