更新日:2023/01/13(公開日:2020/11/12)

顧客満足度とNPS®

顧客満足度(CS)とは?向上させる目的・方法・注意点を徹底解説

企業の成長には、顧客の期待を超える製品・サービスの提供が必須です。そのためには、まず顧客の期待、要望、ニーズなどに応えられているのか定量的・定性的に評価し、課題を発見していくことが改善のきっかけになると言えます。この記事では、顧客の満足を測る目的から評価する方法、注意点を挙げていきます。顧客満足度を向上させるポイントの一つとして参考にしてみてください。

顧客満足度とは

顧客満足(customer satisfaction)は、企業が提供する製品・サービス・接客が、顧客の期待にどの程度応えているかの指標として定義されます。まずは、顧客に対して、現状を把握するためのアンケート調査を実施します。適切なアンケートで正しく現状を把握することが必要となります。また顧客の状況は定期的に把握し、改善の結果顧客の満足を満たすことができたのか、期待に応えることができたのか、次どうすればいいのか確認していくことが重要となります。

顧客の期待にどの程度応えているかの評価

顧客満足度を評価するには、さまざまな角度から顧客の要望、ニーズを確認する必要があります。
製品・サービスが違えば顧客が重要視するポイントは異なります。

顧客の期待は、価格・品質・スピード・利便性だった

顧客の期待は、主に価格・品質・スピード・利便性などサービスそのものに対して寄せられていました。昨今は商品、サービスを提供する環境、市場の状況、競合の状況なども以前とは変わってきています。従来の顧客満足度調査の結果、改善施策につながらない場合は、アンケートの質問項目を見直して行くことも一考するといいでしょう。

特に、価格・品質の満足度は、競合と比較して評価されやすいポイントであり、スピード・利便性は顧客体験での課題が発見されやすいポイントです。
顧客満足度調査は、課題発見とも言えますので、アンケート結果を評価する際は、自社の商品、サービスの特長を捉えたうえで分析を行います。

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顧客満足度を向上させる目的

ビジネスを行っていく上でのゴールは、利益の最大化です。ここでは、顧客満足度を測ることでどのようなことがわかるのか例を上げていきます。

既存顧客のLTVの向上

新規顧客を獲得するには、既存顧客の5倍コストがかかるとも言われています。そのため、既存顧客の維持にフォーカスすることが利益最大化の重要なテーマの一つです。顧客となってから終わりまでの期間内の利益(LTV:Life Time Value)を大きくさせることが顧客満足の目的と言えるでしょう。

顧客体験の最大化(成功体験、クレーム低減)

顧客満足度調査で80%の顧客が満足していると評価されたとしても、利益に直結しない場合も多々あります。ターゲットとしている顧客の期待に、100%を超える価値を提供することが顧客体験の最大化です。サブスクリプションモデル(定額制のサービス利用)が一般的になり、顧客体験(CX:Customer Experience)が重要視されるようになってきました。顧客との重要なタッチポイントで、成功体験づくりの支援(カスタマーサクセス)が必要となっています。

競合他社との差別化

ほとんどの業界で市場競争が激しさを増しており、顧客の奪い合いがビジネスの日常となっています。その中で競合他社との差別化をしていくには、顧客満足度を指標として自社と顧客の関係性を評価することが改善のきっかけとなるでしょう。

顧客満足度の向上は「事前期待」と「実績評価」の把握がポイント

顧客に満足してもらうためには、「事前期待」を認識することが重要です。事前期待とは顧客が商品やサービスに対して持つ期待値で、「実際に提供される商品やサービスが、事前期待値を上回ったときに満足感が生まれる」といわれています。いくら企業が顧客のためを思って考案した商品やサービスであっても、顧客の事前期待に沿っていないものであればCS向上は臨めないでしょう。

事前期待値を把握するには以下の4つの方法があります。

インターネット
  • 「検索キーワード=顧客の事前期待」
  • ターゲット層のアクセスページやサイトから流出するページなどを把握する
アンケート調査
  • 顧客の商品・サービスに対する事前期待が反映されやすい
  • 自社商品・サービスの実績評価を把握することも重要
  • 顧客の声をいかに商品・サービスに反映させられるかがポイント
ヒアリング
  • 顧客の商品・サービスに対する事前期待がダイレクトにわかる
  • ただし、真の事前期待を直接的に言うことは多くないため推察が必要
統計データ
  • 行政や調査会社が公表している統計データを活用する
  • 市場規模の推移や商品別の時系列支出を追うことができる
表の続き →

事前期待と現状の実績評価を把握して、改善案を策定するのがポイントです。

関連記事:顧客満足度アンケートはなぜ必要?確認すべき指標、調査方法を解説

顧客満足度を向上させる手順

顧客満足度を向上させるための手順は以下のとおりです。

  1. 事前期待と実績評価を把握する
  2. 改善計画を立案する
  3. KPIを設定する
  4. 施策の効果測定

まずは、顧客が何を求めているのか、事前期待値を把握しましょう。加えて、実績評価も把握することで顧客が抱えている課題やニーズを理解でき、顧客満足度を高める解決策が見つかるはずです。課題が見つかったら、続いて改善計画を立てましょう。改善アクションにつながりやすくするため、ここでは具体的な目標数値を設定することをおすすめします。

また、顧客満足度を把握するためには、複数のKPIを設定するのが有効。KPIには顧客維持率や継続率、解約率、プロダクト・エンゲージメント、コンバージョン率などが挙げられます。施策を実行したあとには効果測定が不可欠です。理想は半年~1年に一度程度、アンケートを実施するなどしてヒアリングを行うのもよいでしょう。評価と改善を繰り返すことで顧客満足度を向上させることができます。

関連記事:顧客満足度調査とは?重視されている理由や評価方法を解説

顧客満足度を向上させる3つの方法

ここでは、顧客満足度を向上させる3つの方法について解説します。

1|カスタマーサクセスの強化

「カスタマーサクセス」とは、顧客が商品やサービスに満足できるといった成功体験に導くことです。顧客の疑問や不満を事前に予測し、先回りして問題解決の方法を提示します。例えば、顧客から問い合わせがあったときにサポートするのではなく、課題をあらかじめ予測して対応するなど能動的なサポートも含まれます。

また、商品やサービスの活用法がわからないといった課題を予測し、ツールの活用動画を公開するのもカスタマーサクセスへのアクションの1つです。カスタマーサクセスにつながる施策を実施することで、企業のブランディングやリピーターの増加など、さまざまなメリットが期待できます。

2|ツールの活用

顧客満足度を向上させるためには、CRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)などのツールの活用もおすすめです。CRMとは顧客情報を集約して管理するためのツールで、SFAとは営業部門における情報や業務プロセスを自動化・データ化し、分析するシステムを指します。

これらのツールにより正確かつ速く分析ができるため、顧客の事前期待値を把握するのに役立ちます。また、社内での情報共有や顧客へのアプローチの統一にも効果的です。事前期待を把握して商品やサービスの開発・改善に反映することで、結果顧客満足度を向上することができるでしょう。

3|従業員満足度(ES)の向上

従業員満足度とは、働きがいや職場環境、福利厚生などに関して、従業員の満足度を示す指標です。従業員満足度が向上することで業務の質が高まり、結果として商品・サービスの質向上が期待できます。

一方、従業員満足度が低ければ、顧客満足度に有効な改善策が見つかっても十分な効果を得られない可能性があります。そのため、顧客満足度だけでなく、従業員満足度も意識することが重要です。

顧客満足度の注意点

顧客満足度の調査、向上を追求していくにあたり、知っておきたい注意点を挙げていきます。

顧客満足度の調査は状況によって左右されやすい

日本人は「可もなく不可もなく」といった選択肢を選びやすい傾向も出ております。そのため、率直な感想を頂けるタイミングや、適正なアンケート内容、定性的なコメントを模索していくことが、課題発見の手がかりとなります。

顧客満足度向上の施策は必ずしも業績に相関はしない

「毎年、顧客満足度調査を行い、CS向上に取り組んでいるが業績と相関しているかわからない」といった企業も少なくありません。ビジネスを成長させていく上で、業績に繋がる取り組みは余儀なくされます。そのためには、顧客の満足度を超えられているのか、いないのかはっきりしていく必要性があります。

顧客満足度に代わる指標として、NPS®が日本でも多くつかわれるようになってきています。業績との相関があるNPS®は「この製品・サービスを友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問から測定します。顧客の期待を超えている状況、すなわちロイヤリティを把握することが可能です。そのため、NPS®を分析することで顧客の期待を超える施策を追求していくことができるようになります。

関連記事:第2回 顧客ロイヤルティを測る新指標「NPS」とは?~究極の質問の発見とその本質~

まとめ:顧客の期待を超えるためには

顧客満足度は顧客の期待にどの程度応えられているかの指標です。どのような課題がどこにあるのかを顧客満足度のアンケート調査から分析していきます。
また、NPS®は顧客のロイヤルティを測る指標です。
顧客の期待を超えるような施策を立案・実施し追求していくことが企業成長に繋がります。また、業界ごとに市場の競争化が激しくなっていますので、施策のスピードも求められます。
目的、タイミングに応じて最適な指標を使って最適なタイミングで調査を行っていくことが改善施策につながっていくと考えられます。

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