2022/04/05

顧客満足度とNPS®

ロイヤルカスタマーは重要な戦略ターゲット。増やす方法は?

ロイヤルカスタマーとは、特定の商材に対する熱いファンのような存在です。自社製品・サービスの継続購入や利用のほか、他者への推奨も期待でき、競合へのスイッチが少ないことから、企業にとって最重視すべき顧客となります。

この記事では、ロイヤルカスタマーの特徴や増やすメリット、ロイヤルカスタマーを育成して増やしていく方法などを解説します。

ロイヤルカスタマーとは

ロイヤルカスタマーとは、どのような顧客のことなのかを最初に説明しましょう。

ロイヤルカスタマーの意味

ロイヤルカスタマーとは、顧客ロイヤルティやLTVが高い顧客のことです。単に購入頻度や購入金額が多いだけではなく、自社の製品やブランド、サービスに対して、深い愛着と信頼、忠誠心を持ち、継続的に購入・利用してくれる顧客となります。競合に流れることなく、繰り返しの購入や利用を期待でき、他者に推奨してくれるような存在が、ロイヤルカスタマーです。

一般的に新規顧客を獲得するには、既存顧客を維持するよりも5倍のコストがかかる※とされています。そのため、既存顧客の満足度を向上して継続利用いただき、LTVを最大化し、安定した成長や収益を確保することが、企業の重要課題となっています。ロイヤルカスタマーは、多くの顧客の中でもロイヤルティやLTVが最高ランクにあることから、企業にとって最も大切な顧客となります。

※1:5の法則:新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかるという法則

優良顧客・売上上位顧客との違い

ロイヤルカスタマーと同様の顧客に、「優良顧客」「売上上位顧客」があります。それぞれの違いを説明しましょう。

優良顧客

優良顧客とは、製品やサービスの購入・利用頻度が高く、購買金額が大きい顧客のことです。ロイヤルカスタマーとの違いは、その愛着心や信頼の有無です。優良顧客は、多くの金額を払っても、購入の動機は必ずしも愛着や信頼からくるものではありません。そのため、競合他社が魅力的なプロモーションを行った場合、簡単に乗り換えられる可能性があります。一方のロイヤルカスタマーは、その製品やサービスの熱いファンであり、自らブランドを育てる意識もあることから、簡単に他製品に切り替えることはありません。

コモディティ化が進み、製品やサービスの差別化が難しい現代では、このロイヤルカスタマーをいかに増やしていくかが、企業が生き残るカギとなるのです。

売上上位顧客

売上上位顧客とは、文字通り企業の売上に大きく貢献している顧客のことです。「売上の8割は、2割の売上上位顧客で成立している」というパレートの法則にあるように、売上の大部分はこの顧客の購入額が占めています。売上上位顧客の中にロイヤルカスタマーや優良顧客が含まれますが、一度限りの購入で売上上位になる顧客もいるので、必ずしもロイヤルカスタマーとは一致しません。

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ロイヤルカスタマーを増やすメリット

ロイヤルカスタマーが増えると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

顧客獲得コストの削減

自社製品やサービスに対する愛着や信頼度が高いロイヤルカスタマーは、よほどのことがない限り、他ブランドに乗り換えることはありません。ロイヤルカスタマーが増えると、その維持費は必要であるものの、新規顧客獲得よりもコストをかけなくて済むので、全体的なコスト削減につながります。

安定的な収益につながる

ロイヤルカスタマーは他ブランドへのスイッチが少なく、継続利用を見込めることから、長期にわたる安定収益を期待できます。これにより、将来的な経営計画も立てやすくなります。

LTVの最大化

最近増えてきているSaaS型のサブスクリプションビジネスでは、ロイヤルカスタマーが育ち継続利用が増えると、チャーンレートの低減につながります。また、アップセル・クロスセルによる顧客単価向上も期待でき、LTVの最大化を実現できるのです。

優良な新規顧客を拡大できる

ロイヤルカスタマーは、口コミやSNSなどで、製品・サービスの情報を積極的に拡散してくれる可能性が高く、コストをかけずに新規顧客獲得を期待できます。同じ消費者による口コミは信用度が高く、ロイヤルカスタマーの口コミは高い訴求力を持つことになります。

顧客ニーズの二次活用

ロイヤルカスタマーは、製品やサービスのヘビーユーザーでもあることから、改善点など良質なフィードバックを得られる可能性があります。企業が想像できない指摘や、ヘビーユーザーならではの使用感などを聴取できれば、さまざまなマーケティング活動に二次活用できます。これにより、顧客ニーズを満たす商品開発やサービス向上につながることでしょう。

顧客ロイヤルティを確認する指標

ロイヤルカスタマーは、愛着や信頼などの顧客ロイヤルティが高いユーザーです。顧客ロイヤルティは、以下の指標で測ることができます。

LTV

LTVとは、「Life Time Value(顧客生涯価値)」の略称で、顧客が生涯を通じて企業にもたらす総利益・価値を表す指標です。売上構成比や購入頻度が高い顧客や、長期にわたり継続使用してくれている顧客は、LTVが高くなります。その分、製品やブランドに愛着があると考えられ、LTVが高い顧客は、顧客ロイヤルティも高いと判断できます。

ただし、LTVが高い顧客の中には、「自社製品・サービスに不満はありながらも、他を探すのが面倒なので継続利用している」「セール時のみ購入している」「解約の違約金が惜しいので継続利用している」などのユーザーが含まれる可能性もあります。そのため、LTVだけでロイヤルカスタマーであるかを判断するのは難しく、ほかの指標も活用して見極めるようにしましょう。

RFM分析

RFM分析とは、RFM分析とは、「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」という3つの指標を用いて、顧客を分析する手法です。3つの指標を組み合わせることで、優良顧客や新規顧客、離反顧客、休眠顧客などのグループ分けができます。各グループの購入実態で分類するので、顧客の求めるタイミングやニーズに合わせたマーケティング施策を行いやすいメリットがあります。

RFM分析もLTVと同様に、購入動機までは測れないことから、後述するNPSやLTVを組み合わせて分析することをおすすめします。複数の指標を活用することで、より精度の高い顧客分析が可能となり、ロイヤルカスタマーの正確な実態を把握できます。

NPS

NPS(ネットプロモータースコア)は、顧客ロイヤルティを可視化する指標です。

NPSを調べるには、顧客に対して特定の製品やサービスのアンケートを行います。顧客に、製品やサービスを他人に薦めたい推奨度によって、0~10点までの11段階で評価してもらいます。その結果により、0~6点を付けた回答者を「批判者」、7~8点を付けた回答者を「中立者」、9~10点を付けた回答者を「推奨者」として分類します。この推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値がNPSとなります。

例えば、推奨者の割合が40%、批判者の割合が10%であった場合、NPS=40%-10%=30となります。NPSが高いほど、顧客ロイヤルティが高いと判断します。また、同時に「なぜその点数を付けたか」という理由も聞くことで、購入動機や満足している要素、不満点なども確認できます。

NPSで調査を行う場合、アンケートで9~10点と回答した「推奨者」は、ロイヤルカスタマー、ないしは、将来のロイヤルカスタマーと考えてもよいでしょう。この層が、どのような購入行動を行っているか、どんな心理で継続購入しているのか、今後の継続意向はあるかなども同時に調査することで、最適なアプローチのあり方を浮き彫りにできます。

顧客満足度

商品やサービスそのものに対する「顧客満足度」も、顧客ロイヤルティの計測によく使われる指標です。継続性や顧客の愛着度などは加味されていないものの、満足度が高ければロイヤルティが高いことの裏付けになります。

顧客満足度NPSとの違いは、今後の収益や業績との相関関係の有無です。顧客満足度が、現時点の満足の度合いであるのに対し、NPSは「他者にすすめる」という未来の行動を点数化するため、今後の収益性を予測できる指標となります。単に顧客満足度の向上を行っても成果が出ないことが多いのは、NPSの視点で対策を組んでいないことに起因します。こうしてNPSは、顧客満足度に代わる新たな指標として、多くの企業で取り入れられるようになりました。

継続利用・リピート意向

今後も続けて利用する、あるいは、再購入や再利用を考えているなどの「継続利用・リピート意向」も、ロイヤルティに影響します。これらも組み合わせて把握しておくことで、より精度の高い分析となります。その際は、行動面だけではなく、心理面のロイヤルティが伴っているかを確認することが重要です。

ロイヤルカスタマーを増やす方法

ここからは、ロイヤルカスタマーを育てて増やす方法を、5つのステップで解説します。

STEP1 NPSなどで現状の顧客ロイヤルティを把握する

最初に、前述したNPSなどの指標を用いて、顧客ロイヤルティを可視化します。目的に応じて前述した指標のほか、口コミや紹介回数から導く推奨意向、ログイン率、サービス利用率なども活用するようにしましょう。

STEP2 戦略ターゲットやKPIを決める

ロイヤルカスタマーの現状が把握できたら、ロイヤルティの度合いやLTV、継続期間、他者への拡散の可能性などにより、顧客をセグメントします。前述のNPSで分類した「批判者」「中立者」「推奨者」のセグメントも使いやすいので、活用してみましょう。自社の目的を達成するための指標を用いて分類し、どの層を「ロイヤルカスタマー」とするのかを決めます。

セグメントができたら、自社の業種やビジネススタイルに合わせて、戦略ターゲットを決めていきます。例えばNPSによる分類で、「推奨者」をロイヤルカスタマーとした場合、その中でも、アップセル・クロスセルが可能な顧客、今後の成長は期待できないユーザーなど、その将来性によって攻めるべき対象が変わります。

また、ロイヤルカスタマーを増やしていくなら、NPSの「中立者」を育成し「推奨者」化する必要があります。将来的にロイヤルカスタマーになりそうな層が、戦略ターゲットとなることでしょう。

続いて、戦略ターゲット別にKPIを設定します。どの指標をどの程度改善するか、それによって継続利用率や顧客単価、収益などをどこまで引き上げるかなどの、数値的な目標を設定します。最終目的は、ロイヤルカスタマーのLTVの最大化と、中立者・批判者をいかにロイヤルカスタマーに育てるかということです。ただし企業によって、目標やリソースが異なるので、自社に合ったKPIを設定するようにしましょう。

STEP3 効果的なCXを設計する

 

戦略ターゲット・KPIが決まったら、カスタマージャーニーマップを用いて、それぞれのターゲットのタッチポイント別に、適切な顧客体験(CX)を落とし込んでいきます。STEP1のNPS調査などで、課題も明確になっているので、どの顧客接点のCXを改善するかを決めていきます。

STEP4 適切な施策を実践する

STEP3で設計した効果的な顧客体験を、具体的なアクションに移していきます。ロイヤルカスタマーには、1to1マーケティングによる手厚い支援や、ロイヤルプログラムの実行、SNSを活用した細やかな対応などが効果的です。また、中立者をロイヤルカスタマーに育てるには、適切なタイミングでアップセルやクロスセルの提案をするなどの施策があります。顧客データに基づいて、それぞれのニーズに合ったアプローチを行うようにしましょう。

STEP5  効果を検証する

顧客ロイヤルティは、顧客体験の小さな改善の積み重ねで総合的に向上します。実践した施策は必ず効果検証を行い、見直しを図りながら、PDCAを回していくことが重要です。

ロイヤルカスタマーに適した具体的な施策

ロイヤルカスタマーのロイヤリティやLTVを向上させる方法としては、以下が挙げられます。顧客の実情に合わせて、適切な手法を選ぶようにしましょう。

ロイヤルティプログラムの実行

「ロイヤルティプログラム」とは、ロイヤルカスタマー向けの優遇策です。利用頻度や利用額の多さ、貢献度などに応じて、さまざまなサービスや特典を提供することです。例えば、ロイヤルカスタマー限定のイベントへの招待、新製品の優先先行販売、購入金額に応じたギフト券の配布などで、良質な顧客体験を提供します。ロイヤルカスタマー側には、優遇される立場にある自覚と誇りがうまれ、一層ロイヤルティが増すことになります。

共創体験の提供

ロイヤルカスタマーと企業が、一緒に何かを創り上げる、共同で目標を達成するなどの体験を共有すると、顧客側に高いロイヤリティが育まれます。例えば、ロイヤルカスタマーがユーザー会やコミュニティの幹事メンバーとして参画する、対談やセミナーに登壇するなどが挙げられます。製品やサービスの育成に伴走しているという誇りと行動が、ロイヤルティ向上につながります。

ロイヤルカスタマーを効果的に増やすには

最後に、顧客のロイヤルティを向上し、効率よくロイヤルカスタマーを増やしていくためのポイントを解説します。

接触頻度を増やす

将来的にロイヤルカスタマーになりそうな層には、接触頻度を増やすようにします。製品やサービスへの理解や愛着が深まるように、日頃からコミュニケーションを頻繁に行うようにします。SNSやメールマガジンの活用で、顧客のニーズに合わせた有益な情報を届けるようにしましょう。

顧客の状況に合わせた適切な対応を行う

BtoB企業の場合、顧客のビジネス環境は日々変化します。社内外の要因で顧客の状況が変わるときには、それに適した機能や活用方法のアドバイス、支援などが必要になることもあります。顧客の変化は常に敏感にキャッチして、状況に合った最適解を提供するようにしましょう。

顧客視点に立ったアプローチを行う

タッチポイントにおける顧客体験の提供は、あくまでも顧客が望む、顧客視点に立ったアプローチを行うようにします。提供する企業には、会社が決めたアピールポイントや売り上げ目標などがあり、企業目線によるアプローチになりがちです。あくまでも顧客が望み、顧客の課題を解決できて成功に導く、自社商材の使い方や他社事例を紹介するなどが有効です。

組織を横断して取り組む

ロイヤルカスタマーを含めた顧客の育成は、営業やマーケティングだけではなく、アフターサービス、お客様窓口・カスタマーセンターなど、顧客と接するすべてのセクションが連携できる体制づくりが重要です。NPSで得られたデータや、施策の進捗などを社内で共有するためのツールやシステムを導入すると、効率よく業務を進められることでしょう。

まとめ

製品やサービスに深い愛着と信頼のあるロイヤルカスタマーは、企業にとって最重視すべき顧客です。ロイヤルカスタマーは継続利用を見込めることから、安定的な収益につながり、LTVの最大化も実現できます。他者への推奨も期待できるので、優良な新規顧客を獲得できる可能性も高まるでしょう。

企業がロイヤルカスタマーを増やすには、まずNPSなどの指標を活用して、ロイヤルカスタマーや将来的な戦略ターゲットをセグメントします。それぞれの現状のロイヤルティや貢献度などを確認しながらアプローチ方法を決め、適切な顧客体験を提供していきます。必要に応じて改善を図りながら、地道に接触を継続していくことで、真のファンであるロイヤルカスタマーが増えていきます。

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