2023/04/27

NPS®(ネットプロモータースコア)入門・導入編

グッドマンの法則とは?マーケティングに取り入れる方法や活用事例を紹介

ネガティブな声ほどSNSなどで拡散しやすく、クレーム対応に苦慮している企業も多いことでしょう。しかし、クレームをうまく活用することでより顧客とのエンゲージメントを高め、商品やサービスのリピーターを増やせるというマーケティングの法則もあります。この記事ではクレームをビジネスチャンスとするグッドマンの法則の概要や活用事例、活用のための便利なツールについて解説します。

グッドマンの法則とは?わかりやすく解説

グッドマンの法則とは顧客へのクレーム対応と再購入率の関係を表した法則です。クレームを入れた人ほどリピーターになる可能性を秘めていることを示しています。

1975年~79年と1982年の2回、米合衆国消費者問題局から依頼を受けたジョン・グッドマン氏が代表を務めていたTARP社が「アメリカにおける消費者苦情処理調査」を行いデータを取りまとめました。そこから顧客ロイヤルティ協会・佐藤知恭氏が法則性を見つけ、代表の名前をとって名付けた法則がグッドマンの法則です。

古い法則ですが、普遍的な顧客心理に関係しているためマーケティングでは現在でも重要な法則とされています。

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グッドマンの法則①「クレームの解決はリピートに寄与する」

「サービスや商品に関する苦情を申し立て、対応・解決に満足した顧客の再入決定率は、不満を持ちつつも苦情を申し立てなかった顧客に比べて高くなる」というものです。前項で紹介した調査では、「苦情を申立てした人が4%」「申立てしなかった人が96%」でした。申立てて迅速に解決したケースの再購入率は「82%」、申立てなかったケースの再購入率は「9%」です。(いずれも高額商品)

近年の調査として、「コミュニケーションサイエンスラボ」の「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2020」でも、苦情を伝えた顧客の再購入決定率が54%に対し、伝えなかった場合は46%となり、クレームに対応した場合に比べサイレントカスタマーの再購入率は大幅に低下することが分かります。

活用ポイント:顧客からの苦情を促す取り組みを行う

前項の解説で、顧客が持つ不満への対応の重要性とともに、苦情は必ずしもネガティブではないことが分かります。クレームをネガティブなこととだけ捉えるのではなく、苦情を聞いた際の迅速な対応と、顧客からクレームを引き出す工夫が重要です。

グッドマンがMediumに寄稿した記事 「No News Is NOT Good News: Beware of Customers Who Don’t Complain」によると、店舗・コールセンタースタッフへのクレームは全顧客のうちの25%に満たず、BtoBにおいてはクレームが入るのは5%以下となります。1件のクレームの背後には4〜25件の類似したクレームが潜んでいると考えられ、単純にクレームが少ないから問題がないと判断するのは危険です。

難しいのは店舗やコールセンターに伝わらない苦情で、クレームを伝えない顧客はロイヤルティが20%低下すると言います。クレームを直接企業に伝えない顧客も、不満をSNSに書く可能性はあり、拡散されれば企業に多大な損失を生み出す可能性があります。

アンケートや店頭、Webサイトなどでクレームをできるだけ拾い、課題を解決に導くためのツールの導入、顧客の期待値調整などを検討することが大切です。

No News Is NOT Good News: Beware of Customers Who Don’t Complainの考察記事はこちら
第10回 『お客様からの苦情がないこと』について考える

グッドマンの法則②「ネガティブな口コミはより拡散する」

第2の法則は「クレーム処理や対応に不満を抱いた顧客の口コミは、好意的な口コミに比較して、約2倍、世間に影響を与える」というものです。

人はポジティブな感情を持つと、その話題を4〜5人に伝えますが、ネガティブな話題は9〜10人に伝えると言います。さらに20人以上に伝える人も12.3%存在するというデータもあります。

グッドマンの法則は1980年前後の調査結果から作られたので、SNSが浸透した現在は、よりその傾向が強くなります。ネガティブな口コミは非常に早く、多くの人に拡散されるので大きなリスクです。

一方、ポジティブな発言もSNSを通じて多くの人に影響を与えます。アジャイルメディア・ネットワーク株式会社による「SNSのクチコミが購入・来店に与える影響調査(2022年)」によると、若年層を中心に2人に1人が商品の購入後にSNSで口コミ発信をし、SNSの口コミ経由の顧客は6割がリピートするとのことです。

現代では、以前よりも口コミの力が大きいことを認識しておかなければなりません。

ネガティブな口コミには迅速な対応を行う

世の中に対する口コミのインパクトは大きく、一度拡散したものはなかなか消せません。ネガティブな口コミをゼロにするのは難しいものですが、炎上を避けるための早期発見と迅速な対応に注力することでリスクを抑えられます。

ネガティブな声にいち早く気付き適切な対応を行うと、炎上を免れるだけではなく、クレームを言った人がリピーターとなる可能性もあります。また、世論で好ましいとされる解決策をとることで、ポジティブな話題が口コミで広がるケースもあるでしょう。

素早い対応には、日頃からSNSなどに目を配ったりソーシャルリスニングツールを導入したりなどの工夫が必要です。

グッドマンの法則③「適切な情報提供は信頼関係の構築につながる」

第3の法則は「企業による消費者教育は、企業に対する消費者の信頼度を高めて好意的な口コミを増やし、自社のサービスや商品へのリピート率を増やすだけでなく市場拡大に貢献する」という内容です。

消費者教育とは、良い情報も悪い情報も問わず、消費者が求める情報や商品・サービスの活用に役立つ情報提供をすることを指します。企業の真摯な情報提供は、ロイヤルティの醸成、ロイヤルカスタマーの創出によるLTV(顧客生涯価値)向上などが期待できます。

ロイヤルカスタマーを増やすならばこちらもご覧ください。
ロイヤルカスタマーは重要な戦略ターゲット。増やす方法は?

自社のビジネスモデルに適した情報の提供を行う

顧客への情報提供の手段はさまざまですが、自社のビジネスモデルに適したものを発信するようにします。たとえば、以下のようなものが挙げられます。

  • 書店のポップに書かれた書評
  • スーパーで配られるレシピ
  • 小売業における商品の正しい使用方法
  • トラブルがおきたときの素早く客観的な情報提供
  • 商品・サービスの具体的な活用方法

良い情報だけでなく、企業に不利な情報も提供することで信頼感が生まれ、結果的にロイヤルティは高まります。

グッドマンの法則に留意した施策はNPS®による調査と効果測定をセットに

グッドマンの法則を基にマーケティング施策を行うことは効果的ですが、間違った施策をしないためには事前調査と効果測定が欠かせません。的確な事前調査、効果測定にはNPSが有用です。

NPSとは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、スコアにより顧客ロイヤルティのレベルを明確に判定できる指標です。まずアンケートを実施し、企業の製品やサービス、ブランドを友人や同僚にすすめる可能性を割り出します。すると他者にもおすすめする「推奨者」、どちらでもない「中立者」、おすすめをしない「批判者」に分類されます。そして、推奨者の割合から批判者の割合を引いたものがNPSです。

NPSについてさらに詳しく知りたい人はこちらもご覧ください。
NPS®(ネットプロモータースコア)とは?

NPS®(ネットプロモータースコア)の利点

NPSは顧客ロイヤルティを数値化できるため、社内全員で共通した認識を持ち、施策の方向性を統一したり課題の抽出に役立てたりできます。また、業界ごとのベンチマークがあるため、部署間や同業他社との比較にも活用可能です。

NTTコム オンラインで実施している「NPS®業界別ランキング&アワード」では、推奨度が高い顧客はサービスの継続意向が高く、購入回数や購入金額が高い傾向があると分かっています。つまり、NPSは顧客行動との相関関係があり有用性の高い指標ということです。

グッドマンの法則の活用事例

グッドマンの法則に則り顧客の声を調査、反映させた事例を紹介します。各社ともNPSプログラムの一元管理するツール「NPX Pro」を導入し、顧客ロイヤルティを高めています。

楽天トラベル

品質向上に一層の力を入れるため、2016年から楽天グループ全体でNPSへの取り組みが始まりました。ツールを導入したことにより細かいトランザクショナル調査が可能となり、顧客の声がサービスや製品の担当者に直接届き、現場から改善の声が上がるようになったと言います。

NPX Proには50~60人の社員がアクセスし、推移を定期的に確認しています。その結果、細かな意見を吸い上げ、迅速な改善が可能となりました。たとえば顧客から「予約変更やキャンセルの情報が分かりにくい」と声が上がったことから、予約完了メールなどの内容を見直したそうです。

詳しいインタビュー記事はこちら。
楽天トラベル(楽天株式会社)様

トレンドマイクロ株式会社

CRMの一環としてNPS調査を導入し、当初は業界全体の様子や自社のポジションの確認を行っていたものの、NPSをKPIとして本格運用するためにNPX Proを導入。

年一回のリレーショナル調査に加えて、トランザクショナル調査を実施することで「正解だと思う施策を、ユーザーは実際どう受けとめているか」に特化して調べらえれるようになり、ベンダー側が気づいていないユーザーの不満の明確化を行っています。

詳しいインタビュー記事はこちら。
トレンドマイクロ株式会社様

グッドマンの法則を有効活用するには「NPX Pro」

グッドマンの法則に沿って顧客ロイヤルティをアップさせるには、「NPX Pro」の導入が効果的です。

「NPX Pro」は顧客の声の調査、管理を効率化し、改善につなげるための分析結果を「見える化」します。さらに利用者に適したダッシュボードにカスタマイズが可能で、担当者間での情報共有が容易にできます。

導入からフォローアップアクションまで、NTTコム オンラインのコンサルタントがサポートするので、ご担当者様の負担を軽減します。

グッドマンの法則はロイヤルカスタマーの創出に寄与する

顧客からのクレームとクレームへの対応、そして再購入率の関係を表したグッドマンの法則は、マーケティング業界では重要な法則として用いられています。グッドマンの法則に合わせ顧客の声を集めることで、ロイヤルカスタマーの創出を目指すことができます。顧客の声を集め数値化し、サービスや商品開発に役立てるにはNPX Proの導入が効果的です。NPSを有効活用したい企業の担当者の方は、NPX Proの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
「NPX Pro」の導入・活用に役立つ資料のダウンロードはこちら

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